2013年 9月 No.94
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

9月も後半にはいり、急に寒さを感じるようになってきました。
特に朝晩は冷え込むようです。日中はまだ暑さを感じます。
寒暖の差が大きいので、体調管理には十分御留意ください。
徐々に秋が深まってきている感じることができます。
夏生まれで、夏が好きな私としては寂しいかぎりです。。

インフルエンザ予防接種

10月1日よりインフルエンザ予防接種を行います。
1回2500円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。

一昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの二回打ちを推奨しています。
13歳以上は0.5ml接種、一回または2回となっています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことが大事です。

流石に7月から9月は日中に屋外を走るのは避けていました。涼しくなり、ランニングシーズンの到来、といったところです。今シーズンは大阪マラソンに参加予定です。
3年目に初めて当選しました。倍率は5倍だったそうです。10月27日に開催されます。大阪城公園をスタートして、御堂筋を通って、南港がゴールです。
3年目でやっと当たったので、今から楽しみです。
トレーニングは開始していますが、もう少し身体を絞らないといけません。あとは福知山マラソン、来年の泉州マラソンに参加予定です。
泉州マラソンは先着順なのですが、今年は約15分でネットでの4000人が締め切りになってしまったとのこと。
ジムの友人も今年はエントリー出来なくなった人が続出していました。ホントにブームなんですね。

10月1日は当院の開院記念日です。
平成12年に継承し、今年開院13年目になります。
これからも皆様のご意見をお聞きしつつ、ご利用していただける方の健康管理・満足度の向上に努めていきたいと思います。
今年は在宅推進事業で、医療介護連携のシステムが泉大津市医師会に導入されました。入力が大変ですけど、なんとか頑張って医療と介護の連携が進むよう期待しています。
また月一回の院内報だけでなく、新しいメディア、ツィッ ター、フェースブック、LINEなどを
利用した情報発信を3年前から画策しているのですが、これも全く実行できていない状況です。またどなたかの力を借りて始めてみたいと考えているところです。

予約システムはまだ導入できておらず、御迷惑をおかけします。まだ業者選定中です。できるだけ早く導入しようと思っています。新しいシステムが入るまでは、電話での予約をお願いします。
※ 診療時間中と月〜金の昼の時間帯にお願いします。

高血圧の方には、家庭血圧の測定を以前よりお勧めしています。
昨年からオムロンから、血圧の測定結果を自動的にウェブに登録してくれる血圧計が発売されました(HEM−7251G)。
MedicalLinkというオムロンのサービスに登録して頂くと、血圧計を当院に持参されることなく、診察室のパソコンで家庭血圧の記録が表示され、分析ができます。
血圧計・MedicalLinkのパンフレットを待合室に置いています。血圧みまもり隊というパンフレットです。少し費用がかかってしまいますが(血圧計費用15750円・血圧計下取りで10750円、使用料月額840円)もしご自分の血圧を正確に管理したいと思われる方はお申し出ください。

★休診のお知らせ★

11月16日土曜日、学会参加のため休診いたします。
御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

◆アネトス通信

 今年も国内外で有名になっている岸和田だんじり祭りも終わり、気候の方も涼しくなり、ようやく少しずつ秋の気配が感じれるようになってきましたね。
  皆様、体調の方は大丈夫でしょうか?
  寒暖の差がある時こそ、特に体調の変化には気をつけて下さい。

 さて、話は変わりますが、先日アネトスでは皆で食事を楽しもうという事で、たこ焼きパーティーを開催しました。アネトス職員(看護士2名を含む)に加え3名の利用者様方と楽しみました。
  利用者様方の事も考慮し、たこ焼きの中身も、蛸だけではなく、比較的柔らかいウインナーなども入れ、普段は、食事量が少ない利用者様も、「美味しい、美味しい」とおっしゃりながら、たくさん食べて頂き喜んで頂けました。
  普段とは違った利用者様の表情も拝見できて良かったです。
  日々変化する利用者様の体調等を考慮して、また何か企画できたらいいなと思っています。

アネトスでは、若干の空きがございます。
施設内見学等、随時可能ですのでまたご連絡ください。
受付時間:月曜日〜金曜日(祝・祭日は除く) 9時〜17時
療養通所介護アネトス TEL 0725-32-2884 担当:榎谷

変形性膝関節症

今回は膝関節の痛みで中高年に多い変形性膝関節症を取り上げます。
変形性膝関節症は、筋力低下、加齢、肥満などのきっかけにより膝関節の機能が低下して、膝軟骨や半月板のかみ合わせが緩んだり変形や断裂を起こし、多くが炎症による関節液の過剰滞留があり、痛みを伴う病気です。

膝関節のクッションの役目を果たす膝軟骨や半月板が長期間に少しずつすり減り変形することで起こるもの(一次性)と、関節リウマチや膝のケガなどの他の原因によって引き起こされるもの(二次性)の2種類があります。
今回は一次性の軟骨や半月板がすり減るタイプにつき、書きます。

変形性膝関節症の頻度

厚生省の大臣官房統計情報部が行なった国民生活基盤調査では患者数が約700万人と推定されています。2005年の東京大学・関節疾患総合研究講座の約2,200人の調査では50歳以上の女性で74.6%、男性で53.5%が変形性膝関節症の患者であるとされました。女性の方が多いです。

通常、膝関節の表面は軟骨で覆われており、この軟骨と膝関節間隙の後ろ側に挟まった半月板とが外的衝撃を和らげ、関節の動きを滑らかにする働きをしています。
また、ヒアルロン酸を含み関節間を満たした関節液が潤滑と栄養補給の役割を果たしています。
靱帯は関節の骨と骨をつないで安定化させています。変形性膝関節症の初期には関節軟骨のみが障害を受ける場合が多く、やがて障害範囲が関節軟骨の磨耗、半月板の断裂、靱帯の障害などを含んだものへと進行します。
そのため関節炎が起こり、過剰な関節液が溜まる「膝関節水症」を引き起こす。
これによって関節内のヒアルロン酸濃度は低下して滑らかさをさらに失う事になります。

症状は人によって差異が見られますが、一般的には初期段階で、階段の昇降時や歩き始めに痛んだり、正座やしゃがむ姿勢がつらくなります。
病気の進行とともに、起床時の膝のこわばりや、関節が炎症を起こす、「水がたまる」と表現される膝関節液の過剰滞留などの症状が出やすくなる。
さらに進行すると、大腿骨と脛骨が直接こすれることで激しい痛みが生じ、歩行が困難になり、最悪の場合では安静時でも膝の痛みがとれないようになります。
診断は問診で膝の痛み・上記症状があると、単純のレントゲン検査を行います。
レントゲンでは、骨の形状を細かに見ることで膝の骨の状態を確認し、直接写りませんが骨に付随する軟骨組織や筋肉、腱などの状態を推測できます。
X詳しい診断にはMRIが活用されることが多くなっています。
水がたまっている場合はその関節液を検査して、細菌(化膿性関節炎)、ピロリン酸カルシウム(擬痛風)などがないかチェックします。

一方、スマホを見続けたときにこわばるのは、首の横から前にかけたところにある前斜角筋(図を参照)と小胸筋(同)だそうです。

膝の構造

 変形性膝関節症と診断されたら、治療が開始されます。
一般的にはまず消炎鎮痛剤、湿布などの薬物療法、関節内のヒアルロン酸注射などがなされます。
関節液に含まれるヒアルロン酸が少なくなることで弾力性や粘り気が弱くなり、骨や軟骨への負担がより大きくなることでも症状が進行します。これを防ぐために、体内のヒアルロン酸に似た働きをする人工的なヒアルロン酸薬液を関節内に注射器で注入します。
こわばりや痛みなどの症状の改善が期待できます。
ただし、ヒアルロン酸は体内に吸収される成分なので、継続して通院することになります。
日本では「水を抜くと癖になるので良くない」と言う方もおられますが、医学的根拠はありません。「水」を抜いても「癖になる」訳ではなく、抜く抜かないに関わらず炎症が続けば「水」は溜まり続けます。関節液の過度の滞留は患者の痛みとなっても体の自然治癒を助けることにはなりません。関節液を抜くのも治療のひとつと言えます。
また、大半の方が健康食品を摂取されておられます。
通信販売などメディアでよく紹介されています。
有効ですか?と聞かれますが、50歳〜60歳の6691人の女性を対象とした臨床医師が行った無作為化比較試験の結果では、治療目的でのグルコサミンの内服は、摂取と発症に関し有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されませんでした。
私の印象として、経口から服用したグルコサミンが膝関節内に移行する率はかなり低いのではないかと感じています。

またこの疾患は生活習慣が起因する場合が多く、適度な運動や食生活の見直し、減量などが効果があります。
同時に大腿四頭筋訓練などをして、大腿の筋力を維持し、膝への負担を減らすことも効果的であり、それだけで罹患を減少させたり、進行を遅らせる効果があります。
また、膝関節は横方向の揺れ、外的刺激に弱いので、膝をまっすぐおろして着地するようにすることも大事です。
装具は靴のインソール調整なども行われます。

手術では関節鏡と呼ばれる4mmほどの太さの棒状器具等を6mm程度切開した2-3箇所の穴から膝内部に入れて行なわれる小規模のものと、人工関節置換があります。
日本国内でも年間5万件以上の人工関節の手術が行われています。
手術という大きな負担と激しい運動には対応していない、術後リハビリが大変と
いう点はありますが、歩けるようになったり行動範囲が広がったりと、大幅な改善をのぞむこともできます。

骨は骨折しても再度つながりますが、軟骨は血液が通っておらず傷を直す細胞も少ないため、欠損すると元には戻りません。
最近、自分の軟骨を採取して培養し、再び移植することで軟骨を修復する技術が新しく開発され、今年の4月から保険適応になりました。
培養方法は、採取した少量の軟骨にコラーゲンを混ぜて1ヶ月間ほど培養。
その後、欠損している部分に移植して、頸骨(すねの骨)から採取した骨膜でふたをします。
これにより、すり減った軟骨に厚みが戻り、痛みを解消することができます。
自家培養軟骨には「ジャック」という名前がついています。
現在の対象は事故などによる外傷性軟骨欠損症と、軟骨がはがれてしまう離断性骨軟骨炎だけ、更に治療できる病院も承認された大学病院などだけですが、将来的に変形性膝関節症にも適応されるものと期待されます。

また日本ではまだされていませんが、欧米では幹細胞による治療も進んできています。骨髄より採取した幹細胞にヒアルロン酸薬液を加えて関節内に注入すれば、幹細胞が軟骨に分化し、損傷した軟骨が再生します。
軟骨培養は60歳までが限界とされていましたが、この幹細胞培養は60歳以上でも適応します。
これにより、期待されるのはiPS細胞を使用して、軟骨、半月板をつくる治療です。
変形性膝関節症の方に適応され、現在のヒアルロン酸注射に加えて、iPS細胞を同時に注射する、というのが一般的な変形性膝関節症の治療、という日が来るのもそう遠くないような気がします。

◆編集後記

ワンコイン健診しています。

あまり病院に受診しない方を対象としています。
500円で糖尿病、脂質異常症、肝機能、腎機能、貧血の検査をします。
健診を受けていない方が結構多くおられ、その方を対象に気軽に自分の健康状態を知ってもらおうと思って始めたものです。
あまり健診を受けていない、病院にかかりたくない人にお勧めしたいと思っています。
周囲に不健康そうだけど、病院に行きたがらない方がいらっしゃったらお勧めください。