5月も下旬となりました。
つい先日連休が終わったかと思えば、もう関西梅雨入り宣言。
じめっとした日々が1か月以上続きます。
熱中症にもそろそろ注意が必要。
体調管理には十分ご留意を。
先月の院内報でお伝えした風疹。5月第3週・大阪府で216例の報告があり、まだ発症報告数が衰えていません。
これを受けて、忠岡町では風疹予防接種の助成を開始しました。実施期間は5月20日から9月30日まで。対象は接種日当日、19歳以上で、忠岡町に住民登録を有するもので、@妊娠を希望する女性、A妊娠している女性の配偶者にあてはまる人です。男性については妊婦の配偶者で、接種の際には妻の母子手帳が必要です。
公費助成額は7000円。当院では2000円の御負担で、該当される方には麻疹風疹ワクチンを接種します。
インフルエンザは全国的にほぼ終息しています。
また、中国では新しい鳥インフルエンザ(H7N9)が発症しました。中国での患者数は5月15日の時点で132名、死亡者36名と報告されています。
この鳥インフルエンザAを感染症法に基づく指定感染症とすることが4月29日に閣議決定され、5月6日から施行されました。2類感染症として扱われ、強制入院・就業制限などの対策がなされます。一般診療所では診断は困難なため、中国から帰国され、発熱などの感冒症状のある方は保健所での検査が必要で、今のところ一般診療所では診療しないことになってるようです。該当される方は和泉保健所・地域保健課感染症係(0725-41-1342)までご連絡ください。
糖尿病の過去1-2カ月の血糖の平均を示すヘモグロビンA1Cの値には、国際規格であるNGSP値が一年前から採用されています。従来の日本規格のJDSから変更され、平均で0.4%上がっています。
今まではJDS,NGSPを併記することになっていましたが、この4月からNGSP単独記載、となっています。特定健診でも今年からNGSP値が採用されます。
しかし、私自身まだJDSで糖尿病の経過をみているような傾向があり、まだNGSP単独記載に慣れていません。
そのような折、日本糖尿病学会から熊本宣言というのが出されました。既にNGSP単独記載になっています。
ヘモグロビンA1cの合併症予防のためのコントロール目標値を7.0%未満にしよう、というものです。色んな研究でヘモグロビンA1cの値が6.9%未満であれば細小血管の合併症(網膜症、腎症、神経症)の出現頻度が減少するということがわかっています。欧米では合併症予防のためのコントロール基準を7.0%未満を推奨しています。
これらを併せて、日本でもヘモグロビンA1cを7.0%未満を合併症予防のためのコントロール基準に決めたのが熊本宣言です。
なお、血糖正常化を目指す際のヘモグロビンA1cのコントロール目標値は6.0%未満、低血糖などで治療強化が困難な際の目標値は8.0%未満となっています。当院でもこの基準をもとに診療していきたいと思っています。
忠岡町在住の方、是非健診受けて下さい。
また特定健診の結果で生活改善が必要とされた方には、特定健診結果説明会が開催されます。
6月26日水曜日午後1時半〜。およそ一時間。
場所は忠岡町役場2階の保健センター。生活改善?何をすればい
いのかよくわからない、なかなか実行できない と言われる方は参加してみてください。
問い合わせ先
忠岡保健センター 22-1122内線251まで。
胸部レントゲンを健診項目にいれて頂くよう医師会から行政にはお願いしていることろですが、今年も特定健診項目にははいりませんでした。肺がん健診として、町に申請して検査して頂くことになります。当院かかりつけの方については、できれば年一回くらいは何かの機会に
胸部レントゲンは検査していきたいと考えています。
皆様の体調に変化はありませんか?
先日アネトスでは、久しぶりに外に出て食事を楽しもうと、回転寿司ツアーに行って来ました。
今回は、看護師2名含め職員4名と、利用者様とボランティアさんが参加して頂けました。
アネトス来所後、少し休憩して頂き、午前中の入浴等のケアをさせて頂き、くら寿司へ向けて出発。初めて回転寿司に来られた方もいて、「美味しい」、「あれも食べてみようかな、これも食べてみようかな」と喜んで頂け、好きなお寿司のネタを美味しそうに食べられている姿には、癒しも分けていただけました。
梅雨になり天候がややこしい時期ですが、利用者様の体調とも相談し、また何か企画したいと考えています。
アネトスでは、若干の空きがございます。
施設内見学等、随時可能ですのでお気軽にご連絡ください。
受付時間:月曜日〜金曜日(祝・祭日は除く) 9時〜17時
療養通所介護アネトス TEL 0725-32-2884 担当:榎谷
長身でスリム。宝塚で鍛えられタフに見える天海祐希さんが三谷幸喜作・演出の舞台「おのれナポレオン」に出演中、軽い心筋梗塞の症状が出たため、舞台を降板されました。
心筋梗塞といえば、メタボな中年男性が予備軍と連想しがちですが、ヤセ型で現役バリバリの売れっ子女優を、なぜ病が襲ったのでしょうか。
当院の院内報でも昨年、天皇陛下の冠動脈バイパス手術の時に、狭心症の記事を載せています。再掲になりますが、狭心症、心筋梗塞の説明をします。
心臓は各臓器に動脈を介して血流を送り、栄養を供給する役目をしていますが、心臓自身も血流を受けています。
心臓の栄養血管が冠動脈で、その冠動脈の血流が不足することによって、心筋が酸素不足に陥ります。
そのために胸痛など痛み、圧迫感生ずる疾患が狭心症です。
血液の供給が減ることや途絶えることを虚血といい、狭心症や心筋梗塞症を合わせて虚血性心疾患といいます。
冠動脈が、一時的に閉塞するのが狭心症、長く閉塞してその冠動脈に栄養される心筋が壊死に陥ったものが心筋梗塞です。
狭心症と心筋梗塞の大きな違いは、心筋が回復するかどうかで、狭心症では心筋が死なず回復するのに対して、心筋梗塞は心筋が死んでしまい回復しません。血管の痙攣により起こる場合もありますが、多いのは動脈硬化で狭くなったところに血栓などが詰まることです。
狭心症は普通は「労作性狭心症」といって労作時に起こります。
つまり、急ぎ足で歩いたり、階段や坂道を登ったとき、またひどく興奮したときなどに胸の中央部が締め付けられる、あるいはなにかを押しつけられているような圧迫感がでてきます。
少し休むとおさまってしまうのが特徴です。
痛みはしばしば左肩・腕や顎まで拡がり、みぞおちに胃の痛みのように感じられることもあります。息切れ、として自覚されることもあります。痛みの場所はあまりはっきりしないのが一般的です。
「この一点が痛い」と指で示せるような場合は心配ないと思っていいでしょう。
症状の持続時間は数十秒から数分です。
もっと短い場合は心配ないことが多いです。
これが一般的な狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の症状です。労作性の狭心症メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)などで動脈硬化が進み、心臓の血管が詰まることが考えられます。スリムな天海さんのイメージとはかけ離れています。
実は心臓の血管が詰まる原因はいろいろあります。心筋梗塞の約6割は、上記の脂質によって血管内に生じたプラーク(蓄積物)が原因。
これはメタボや動脈硬化に関係しています。一方、他にもエロージョンと言って、血管内皮がはがれたところに血栓が生じ、それが狭心症・心筋梗塞の原因になることがあります。
その他にも、血管の内膜の解離、血管が痙攣する血管攣縮(れんしゅく)でも、心臓の血管の血流は止まることがあります。
女性の場合は、コレステロール値が低すぎて、血管壁の脂質が少ないためにダメージを受けることもあります。
メタボではなくても、心筋梗塞は起こるということです。
天海さんがどのようなタイプの心筋梗塞かは報道が無く、憶測にしかすぎませんが、私は血管攣縮性の心筋梗塞の可能性があると想像しています。
冠攣縮性狭心症の診断と治療のガイドラインが、循環器系の学会より出されています。
ガイドラインによりますと、冠攣縮は、突然の冠動脈の過収縮により一過性に血流が低下し心筋虚血を引き起こす病態です。
主として、心表面を走る太い冠動脈に生じますが、心筋内の微小冠動脈にも生じることが知られています。多くの場合、先行する血圧や心拍数の上昇、すなわち心筋酸素消費量の増大を必ずしも伴わず、この点で労作性狭心症にとは明確に区別される病態です。つまり、労作性狭心症は急ぎ足で歩いたり、階段や坂道を登ったときなど、血圧が上がったり、脈が増えたり
するときに起こりますが、冠攣縮性狭心症は安静時にも起こります。
冠攣縮は種々の程度の冠動脈硬化部位に認められます。
たとえ冠動脈造影検査で狭窄病変がないように見えても、血管内超音波法では冠攣縮部位に一致して明らかな動脈硬化巣が認められこともあります。冠攣縮性狭心症例において、冠攣縮はアセチルコリンを冠動脈内に直接注入することにより、全身の血行動態に変動をきたすことなしに、高率に誘発され、診断が可能です。
アセチルコリンは血管内皮が正常であれば血管を拡張させますが、これは、血管の内皮が正常であれば内皮細胞から平滑筋を強力に弛緩するNOが分泌されるためです。NO(Nitric oxide・一酸化窒素)は、血管内皮細胞から産生され、血管内皮機能を調節しています。血管内皮細胞から産生されるNOには、血管拡張作用(降圧作用)、血小板凝集抑制作用(抗動脈硬化作用)、単球などの白血球が血管内皮細胞に接着したり内皮細胞下組織に浸潤するのを防ぐ作用、血管平滑筋細胞の増殖を抑制する作用、などがあります。内皮の剥離や傷害があるとアセチルコリンは血管を収縮させる働きをします。
血管平滑筋の収縮機構も冠攣縮狭心症に関係することが知られています。
天海さんは、「舞台の続投を強く希望していた」といいますが、「元気な姿をお見せすることを最優先に考え」て降板を決断されました。宮沢りえさんが代役を務められたことは記憶に新しいです。医師から安静を強く指示されたのでしょう。
では、軽度の場合、どのような治療が行われるのでしょうか。基本的には血流が止まったことにより、心筋が受けたダメージの範囲によります。
軽度の場合の治療は、血管が詰まった原因を取り除くため、血管内カテーテル治療や、血管の攣縮の場合は薬だけで、1週間から10日程度の入院ということもあります。
一般的に冠攣縮性の虚血性心疾患の治療は血管を広げる薬(カルシウム拮抗剤)が中心となります。
軽度の場合、適切な治療を受ければ、退院後は、運動制限などもなく、日常生活を取り戻すことができます。ただし、一度心筋梗塞を起こした人は、そうでない人と比べて、4〜5倍も再び心筋梗塞を起こしやすいと言われています。原因をしっかりと突き止めて、再発予防に努めることは必要です
予防のため大事なのが日常生活の管理(危険因子の是正)です。
ガイドラインでは、下記のものが挙げられています。
天海さんが飲酒・喫煙をしていたのかどうかは知りませんが、舞台で過労、緊張・ストレスはあったものと推察されます。
天海さんはレアなケースのようですが、中年男性の場合は、「高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙」が心筋梗塞の危険因子であることは変わりはありません。
メタボ撲滅が予防の要です。まず、禁煙。それに加え、とにかく食べすぎないように、ということと、適度な運動。
適度な運動とは?週3日一回30分程度のウォーキングから始めることをお勧めしています。また、メタボの方は一度は冠動脈CTで心血管の評価を受けられたらいいのではないかと考えています。また御相談ください。
7月に参院選があります。大阪府の医師会としてもそうですが、個人的にも梅村さとし議員を支援しています。
梅村さんは現職の参議院議員で、内科医師です。
主に厚生労働の分野で活躍されています。
その梅村さんの講演が泉大津のテクスピアで6月8日午後2時から行われます。
平穏死と認知症がテーマです。
入場は無料ですので、是非お越しください。