2012年 11月 No.84
ホームドクター通信

◆お知らせ

急激に寒くなってきました。早いもので今年もあと1ヶ月と少しになりました。
クリスマスの装飾が街を彩っています。
今年もあっという間に終わってしまいそうです。
年々、月日がたつのが早く感じます。

インフルエンザは現在のところ(H24.11月末)、この地域では流行はまだみられていません。
急に寒くなってきましたので、発症が危惧されるところです。
感染対策をお願いします。まず手洗い、マスク、うがい。
手についたウィルスが感染するのは意外に多いです。
かわりに、というわけではないでしょうが、感染性胃腸炎が多いです。
今回の医療情報は感染性胃腸炎について書いています。

インフルエンザ予防接種しています

1回2800円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの2回打ちに変更になっています。
13歳以上は0.5ml接種、1回または2回となっています。
昨年はインフルエンザワクチンを打っていても感染する方が多くみられました。
分析では昨年流行していたインフルエンザの型は従来のH1N1からH3N2に変わっていたとのこと。しかも変異が疑われるとのことです。
今年のワクチンにはH3N2型が組み込まれています。
まだの方は是非受けて下さい。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと。
死亡者や重症者を出来る限り減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことはとても大事です。

子宮頸がんワクチン、肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンも引き続き受け付けています。
また新たに4種混合ワクチン(3種混合+ポリオ)が始まりまが、品不足だそうです。

11月25日(日) 神戸マラソンに参加しました。

同じ日に大阪マラソンがあり、大阪3万人、神戸2万人のランナーが市街地を駆け抜けたとニュースが報じていました。神戸マラソンは三宮をスタート地点に、新長田の鉄人28号を横目に海沿いの道を走り、明石海峡大橋の下を折り返して、ポートアイランドでゴール、の42.195kmです。
神戸はいい天気で、コースもよく楽しめました。
明石海峡大橋と鉄人28号と浜大橋の一番高いところからの眺めを写真に撮ろうと思って、iPhoneを持って臨みましたが、結局は余裕がなく、写真は撮れませんでした。
35q地点の坂道は噂通りさすがにきつかったです。
ちょっと11月初旬の走りこみが足りなかったので、完走できるか心配していたのですが、タイムは4時間1分34秒で(ネットタイムは3:57:35)で、今年の泉州マラソンを上回り、自己ベストでした。
ラスト2km、km5分30秒で4時間切り(サブフォー・といいます)だな、、とわかってはいたのですが、足がついてきませんでした。来年2月の泉州マラソンに向けてまたトレーニング予定です。神戸マラソン2012のホームページからランナーの位置情報サービス(ランナーズアップデート)をクリックして、ナンバー(Bib Number)15375 を入力すると、結果がでます。このサービスはレース中に選手が10km毎通過するたび、すぐに画面に通過時間が表示され、選手がいまどのあたりを走っているのかがわかる優れものです。コースもよかったので、また参加したいです。
でも、大阪マラソンも出てみたい。

今年度年末・年始休暇のお知らせ

12月29日(土)-1月3日(木)まで休診させて頂きます。予約診察がこの期間にあたる方は診療予約、薬の処方日数など変更させていただきます。こちらも気をつけますが、定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。御迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

◆アネトス通信

今年も残す所あと1ヵ月余りとなりましたね。
先月までと比べると寒く感じる日が多くなりました。
今月の7日には、立冬も過ぎ冬の到来といってもいいですね。
また、所々でインフルエンザの感染が伝えられています(;>_<;)
皆様も体調には十分に気をつけて過ごしてくださいね。

先日アネトスでは、ちょっと外に出て食事を楽しもうと、第3回回転寿司ツアーに行って来ました。看護師2名含める職員5名と、3名の利用者様が参加して頂けました。
アネトス来所後、必要なケア・処置をさせて頂き、くらへ出発!!
普段、あまり食が進まない利用者様もこの日は、とても食が進み、「美味しい」、「あれも食べたい、これも食べたい」と喜んで頂け、中には回っているお寿司を見て「わぁっ」とびっくりされる利用者様が居たり、たくさんの笑顔を見せて頂けました。

◆感染性胃腸炎(特にノロウィルス感染症)

 細菌、あるいはウイルスなどの感染性病原体による嘔吐、下痢を主症状とし、その結果種々の程度の脱水、電解質喪失症状、全身症状が加わるものを感染性胃腸炎といいます。
年長児や成人では細菌性腸炎の頻度が高いですが、乳幼児ではウイルス性腸炎が圧倒的に多い。

主な感染性病原体

ウィルス :ロタウィルス、ノロウィルス、アデノウィルス
細   菌 :病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ
寄 生 虫 :クリプトスポリジウム、アメーバ、ランブル鞭毛虫

細菌が原因の胃腸炎には抗生剤が有効ですが、ウィルス性の胃腸炎には抗生剤は効きません。
今年は感染性胃腸炎が多く、大阪府医師会からも感染性胃腸炎が急増しています!New・と発表されました。

 大阪府内での感染性胃腸炎の患者報告数が例年より早いペースで急増しています。
府内約200の医療機関(定点医療機関)から報告のあった患者数は、第43週(平成24年10月22日から10月28日)から連続して増加し、1医療機関あたりの1週間の平均患者数は、第46週(平成24年11月12日から11月18日)時点で19.2人と警報発令の基準値である「20」に迫る勢いです。また、同時期よりノロウイルスによる集団発生の報告数も増加しています。
  感染性胃腸炎は、冬に増加し、高齢者、乳幼児等では重症になることがあります。
感染予防及び拡大防止に努めてください。(平成24年11月26日更新)

今回は感染性胃腸炎・特にノロウィルス感染について書きます。

ノロウィルスは普通の細菌よりずっと小さく、電子顕微鏡でないと見えません。
昭和43年アメリカのオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患児の便から分離され、ノーウォークウィルスという名前がつきました。その後、小型球形ウィルスのひとつと分類され、平成14年8月から正式にノロウィルスという名称になりました。
昭和43年以前にもウィルスはいたことは間違いなく、我々の小学生のころの下痢の中にノロウィルス感染があったものと思われます。ただ、ノロウィルスの名前がなかったのでわからなかっただけかも。

ノロウィルスは主にアサリやカキなどの二枚貝や井戸・簡易水道などの水にいます。ただ、感染経路としては貝の生食よりも、人から人感染が多いと考えられています。つまり、ノロウィルス感染患者の嘔吐物、糞便からの接触(処理した手からの感染)、糞便・嘔吐物が付着して乾燥すると、ウィルスは空中に浮遊します。ノロウィルスは10個から100個感染しても発症するといわれるくらい感染力が強いです。食品取扱者が感染していたり、家族内感染も多いようです。
この多彩な感染経路がノロウィルスの制御を困難なものにしています。

ノロウィルスに感染しますと、潜伏期間1-2日で発症します。
主な症状は下痢、嘔吐、腹痛であり、熱は軽度です。
通常元気な人でしたら、1-2日で症状はおさまり、後遺症が残ることはありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状だけ、の場合もあります。ただ、乳幼児・高齢者は脱水になって重症化する場合があるので、注意が必要。

ノロウィルスの診断については、便を材料にした検査キットがあります。
ただし、保険適応になるのは下記の方のみ
ア 3 歳未満の患者
イ65 歳以上の患者
ウ悪性腫瘍の診断が確定している患者
エ臓器移植後の患者
オ抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者ということで、一般の元気な方については保険が適用されません。
特別養護老人ホーム、介護型老人施設など高齢者の集合住宅では感染拡大予防のために有用かもしれません。

治療については、ノロウィルスに有効な抗ウィルス剤はありません。
対症的に整腸剤、吐き気止めの薬を服用する程度です。下痢止めに関しては、腸炎の回復を遅らせる危険性があるので、通常は使いません。
脱水にならないよう注意する必要があります。嘔気があっても、水分(ポカリ、アクエリアスなどのスポーツ飲料がいい)を少しずつ、とるようにします。一度に多くのんでしまうと嘔吐する場合もあるので、本当にひとくちずつ、がいいです。脱水症状が出た場合は補液が必要となる場合もあります。高齢者の場合は嘔吐による誤嚥にもきをつける必要があります。

予防

ノロウィルスのワクチンについては現在研究中です。昨年経鼻投与のワクチンが有用だったとの報告があり、実用化が待たれるところです。
食品については中心熱85度以上で1分以上加熱すると失活すると予測されています。この時期、アサリやカキなどは十分加熱することをお勧めします。
また普段から、外出後、調理の前やトイレの後には石鹸で手を洗うことが大事です。
さらに重要なのは二次感染予防です。ノロウィルスの蔓延を防ぐためには、ノロウィルスに感染した人の便や吐物からの二次感染、人から人への二次感染、飛沫感染を予防する必要があります。
ノロウィルスにはアルコールでの消毒ははあまり有効ではなく、次亜塩素酸の消毒が有効です。次亜塩素酸は家庭用塩素系漂白剤の中に含まれています。

★市販されている家庭用塩素系漂白剤★

原液濃度1%
商品名 ミルトン、ピュリファンなど
原液濃度5%
商品名 ハイター、ブリーチなど

ノロウィルス感染患者の便、吐物には大量のノロウィルスが含まれています。これらを処理する場合、メガネ、マスク、手袋、使い捨てエプロンが必須です。
これらも感染源になりますので、処理し終わったら、ビニール袋に包んで捨てます。
吐物、便はまずふき取る。その上で乾燥させないよう、消毒です。
汚れた床は10倍希釈家庭用塩素系漂白剤(以下ハイター)を浸したペーパータオル、布などで5分くらいおき、その後外側から内側に向けて拭き取り面を折り込みながら静かに拭きます。
便や吐物で汚れた衣類は50倍希釈ハイターを浸したペーパータオルで汚物を取り除いたあと、50倍希釈ハイターに30分漬け込みます。その後他の衣類とは分けて洗います。
トイレの取っ手、ドアノブ、トイレの床などは250倍希釈ハイターで拭きます。30分後水拭きします。

10倍希釈ハイター:500ccペットボトルにハイター(5%)50cc(キャップ2杯)と水道水450ccを入れる。
50倍希釈ハイター:ハイターキャップ2杯に水道水約2.5リットル(500ccペットボトル5本)・バケツなどでつくる。
250倍希釈ハイター:ハイターキャップ2分の1(約10cc)に水道水約2500cc(500ccペットボトル5本)

使用したハイター浸しペーパータオル、布などもビニール袋に密封して捨てるようにしてください。

風邪、インフルエンザとともに感染性胃腸炎にも注意して、冬を乗り切るようにしましょう。

◆編集後記

神戸に行ったとき、久しぶりに満員電車に乗りました。
マラソンの前日、神戸の市民広場前から三宮まで、ポートライナーに乗ったのですが、咳をしている人の多いこと。
私の前の人も口・鼻を覆うことなく咳をされていました。
私もマスクをしていなかったので、気が気ではありませんでした。
通勤される人はいつもこのようなリスクを負っているのだな、と実感しました。

この時期、外出時もマスクは必須ですね。

外出時にはマスクを。咳くしゃみがでるときは、ティッシュで口と鼻を覆う所謂咳エチケットをこころがけてください。