このような質問票で
ニコチン依存症を
判定します。

ホームドクター通信
2006年4月 No.8
◆マネジメントレビュー

桜満開のいい季節になりました。4月は医療保険制度の改正、スタッフの交代などがあり、やや慌しい日々を送っています。
ISO9001の規定により、年度末のマネジメントレビュー(運用の点検)を行いました。その中での皆様からいただいたアンケート結果についてご報告します。

今年は昨年に比べ、厳しいご意見が多かったです。昨年と同様、最大の不満は待ち時間についてでした。待ち時間については昨年と同じコメントになってしまいますが、当院は時間どおりに来られた予約患者を優先的にみる、状態の悪い人や感染症の人は別室に移して早めにみる、という原則で診療しています。予約時間通りに来られなかった方、予約をしていない方については、大体の待ち時間を患者に伝える、受付を済まされた後に院外に出てもよい(時間が近づけば連絡する)など対応させて頂いています。今回は待合にテレビモニターを設置しましたが、環境整備必要であれば検討しますので、スタッフまでお願いします。
医師については検査説明、病状説明、検査薬についての説明に不満があり、声が小さい、言葉が少ないのご意見がありました。診療所開設以来、わかりやすい説明を心がけておりますが、もっと十分にとの声があるようです。話を聞くというスタイルをとっているので、一方的にこちらからまくしたてることはしていません。風邪などの軽い疾患で多くを説明するのも困難であります。しかし、現在の診察時間内でこれ以上の説明は無理と考えていますので、説明に不満な人を診察終了時に拾い上げ、別に時間をとって説明する、などの対策を考えてみます。会計時に診療ノートをお渡しするときに、これが今日の診療の説明です。この説明でわかりましたか?とお聞きするよう事務に申し伝えましたので、わからなかったときはその旨聞いてください。

医師について
声が小さい、PCの画面ばかりみて患者の目を見て話さない、言葉数が少ないという御意見がありました。電子カルテ導入以来、気をつけていることではありますが、実際カルテを書きながら診療をしますので、画面を見ないわけにはいきません。できれば患者さんにも画面を一緒にみていただくことを希望しております。
声についてですが、自分の声の質が高くて細いのは以前より指摘されており、承知しております。低い落ち着いた声で話そうとした時期もありましたが、長続きしませんでした。また、声を大きくすると、怒っているように聞こえるらしく、難聴の方以外は普通に話すように、と以前の職場の看護師からアドバイスされました。できるだけはっきり話すように努めるようにしますが、医療者用の話し方講座というのもあるらしいので、受講してみようかとも考えております。

院内環境・清掃・掲示板については次回検討して、御報告します。




◆特集:禁煙について


タバコ依存症は病気


 やめたいと思うのにやめられない、たばこを吸い続ける理由をこう話す人が多くいます。単なる言い訳ではなく、たばこに含まれるニコチンという依存物質が禁煙を難しくしているのです。テレビのCMなどでもおなじみですが、ニコチンを体内に取り入れることにより、禁煙をサポートしようとする取り組みがなされています。禁煙は最終的には本人の意志ですが、喫煙は病気ととらえ、この4月からは禁煙指導も健康保険が適用されるようになりました。


喫煙のリスク

 2003年の厚生労働省の調査によると、日本の喫煙率は成人男性が46.8%、女性が11.3%。男性は依然として高く、女性は若い世代で上昇傾向にあります。
 喫煙で発症の危険性を高めることが指摘されているのは、まず肺がん。日本肺癌学会では男性患者の7割がたばこが原因で発症したと推定しています。疫学調査では喫煙者の肺癌で死亡するリスクは非喫煙者に比べて2〜4倍高く、リスクは吸う本数、年数が多いほど高くなります。心筋梗塞や脳卒中なども死亡リスクが高くなるとされていて、いずれも非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります。さらに肺気腫、胃潰瘍などの誘因にもなります。またたばこを吸う妊婦では、低出生体重の確率が約2倍、早産の危険性は約3倍高くなります。
 一方禁煙で病気のリスクは低下します。心筋梗塞発症を機に禁煙したグループの再発リスクは、吸い続けたグループの3分の2でした。喫煙による健康被害で約1.3兆円もの超過医療費がかかるという研究報告もあります。たばこが健康に及ぼす障害や周りの人への影響などを考えれば、ニコチン依存症を早期に治療し、肺がんや気管支炎などを防ぐことが重要で、そのために医療保険を適用するのは妥当な結論である、と考えています。


治療について

 では、医療機関での実際の禁煙サポートはどのようにするのでしょうか。保険は以下の方に適用されます。

  ・直ちに禁煙しようと考えていること
  ・ブリンクマン指数 (一日の喫煙本数x喫年数)が200以上
  ・ニコチン依存症と問診票(下記表)で診断されていること
  ・禁煙治療を受けることを文書により同意していること





























 「ニコチン依存症管理料」というのが正式な名称で、患者は12週間で5回にわたり指導を受けることができます。

 しかし、残念ながらニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン製剤は保険給付の対象とはされていません。


 標準の禁煙治療プログラムでは、初回診察時、喫煙状況と禁煙意志の確認、ニコチン依存症の程度の評価を行います。




















 さらに呼気中一酸化炭素濃度測定(写真)により、禁煙状況とニコチン摂取量の評価・説明をします。禁煙開始日を決めて、宣言書を記載していただきます。ここで、問診により得られた家庭環境・職場環境・生活習慣・性格などを考慮して、そのひとに合った禁煙方法、ニコチン製剤の使用法を指導します。

 再診では禁煙状況の確認、呼気一酸化炭素濃度測定によるニコチン摂取量の客観的なモニタリングを評価します。

 その上で、禁煙継続の問題点を把握してアドバイスをさせていただきます。3ヶ月のコースです。

 ニコチン依存症治療という早い段階での小さな医療費負担で、将来の大きな負担を削減することができれば、それに越したことはありません。問題はニコチンパッチが保険適用とならなかったこと、ブリンクマン指数が200以上のため、妊娠を控えた若い女性が適用を受けられないことです。当院では希望される方には保険での指導をいたしますが、同様の指導を自費でも行う予定で、お支払いになる自己負担の費用はそれほど変わらないように設定するつもりです。私(院長)も以前はヘビースモーカーでしたが、禁煙して18年になります。今では新幹線の喫煙車両には煙たくて乗れませんし、いろんな面で禁煙してよかったと思っています。もし、禁煙してみたいとお考えの方がおられましたら、相談してください。






◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの? かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

図らずも3月の院内報が出ませんでした。どうもすみませんでした。

今月より、医学情報は書き溜めるようにしましたので、次回からは大丈夫だと思います。

看護師に続きずっと院内報のレイアウト、編集を担当してくれていた道工さんも都合で退職されることになり、焦りましたが、院内報は引き続き引き受けていただけるとのことで安堵しております。