◆お知らせ
4月になりました。桜は4月上旬に誇らしげに咲いて、今は葉桜になっています。
今年は寒い日が多くて、花見も寒かっただろうな、と推察されます。私は往診中
の車の中からだけの花見でした。陽春の候とはいえ(現在4月下旬)、まだ寒い
日があったりで天候は不順です。
インフルエンザは全国的にほぼ終息しています。
新型インフルエンザは一昨年夏から秋に流行しましたので、また時ならぬ流行が
あるかもしれません。
手洗い、うがい、咳エチケットは習慣にしてしまいましょ
う。マスクは夏は少し暑いかもしれませんが。
今年の花粉は昨年に比べると量は多いようです。花粉症の方にはつらい時期です が、花粉ブロック・自分にあった薬で凌いでください。
4月には診療報酬の改定がありました。色々細かいところは変わったのですが、
みていると皆様のお支払いになる一部負担金はあまり変わらないように思います。
在宅医療誘導が強化され(不思議な強化法ですが)、診療所間グループ在宅診療
が推進されています。私は以前より近隣の診療所と連携をとるようにしていまし
たが、今回岸和田と泉大津の2つの診療所グループに所属するよう申請しました。
届け出はしましたが、実際に在宅で診療している内容は従来とあまり変わらず、
訪問看護と連携して24時間対応にあたっています。
65歳以上の高齢者・基礎疾患があって抵抗力が落ちている方には、
肺炎の原因微生物の約半数を占める肺炎球菌のワクチンの接種が勧められます。
今年の4月からこのワクチンが公費負担になりました。
ただし、全額補助ではなく半額の3500円補助。年齢も70歳以上です。詳しくは
忠岡町の広報をご覧ください。忠岡町在住の70歳以上で御希望の方は受付までお
申し出ください。
今年も2月 日から2月23日まで当院のアンケートをお願いしました。
203件の御回答を頂きました。ご協力有難うございました。
アンケートの項目は昨年同様、医師、看護師、事務員について、
1.挨拶・身だしなみ、2.診療・処置、事務の内容に対する説明、3.話を聞い
ているか、4.治療・看護についての満足度、5.総合評価の項目を、5段階(大
変良い、良い、普通、悪い、非常に悪い)で記入して頂きました。
また、診療所
全体について、待ち時間、環境、印象、要望、他の医療機関の印象、フリーコメ
ントの項目も記入していただきました。結果ですが、看護師、事務については各
項目80%以上の方が「よい」以上に○をつけてくださっていました。総合評価に
ついても88%の方が「よい」以上に○で、いい評価を頂いたようです。
医師の方
は、あいさつ、言葉遣い、態度、服装、身だしなみの点で相変わらずやや低い評
価です。質問・話を聞いてくれるかで98%がよい以上だったのが救いでしょうか。
総合評価で3名の方に悪いと指摘されており、また、フリーコメントでも、相変
わらず声が小さい、診察終了後態度が冷たくなる等の厳しい御意見が伺えます。
声については気をつけます。診療中はマスクをしていることも一因のように思い
ます。更に以前にも書きましたが、大きな声で話すと、怒っているような印象を
あたえてしまうという指摘があり、できるだけ穏やかな口調で話そうと心掛けて
います。
ある人に指摘されたのですが、
私は口の動きが足りないそうです。腹式呼吸と口の動きを鍛えるトレーニング、
舌を動かすトレーニングを教えてもらいました。ぼつぼつ実践していきます。市
中のボイストレーニング訓練も受けてみようか、と思いつつなかなか踏み切れま
せん。
また全体については待ち時間の問題はまだ大きなウェイトをしめています。
予約制・番号札制のシステムは崩さないまま、できるだけお待たせしないような
工夫を考えていきたいと思います。
◆アネトス通信
入学式・入社式等、新しいことにスタートする月になりました。
1月は「いく」、 2月は「にげる」、 3月は「さる」と言われているように、 2012年になり、あっという間に、 3ヶ月が過ぎました。
皆様もお変わりなくお過ごしでしょうか?
私はというと、毎日時間に追われるばかりで、なかなか充実しているとは言えず・・・(南)
また、アネトスでは、看護学生の職員が見事に准看護師免許の試験に合格し、今度は、正看護師免許取得の為に、また新たな看護学校に旅立って行きました。
そして、大きな悲しみをもたらした東日本大震災から 1 年が過ぎました。東北地方は、復興へはまだまだ時間がかかると言われている中、復興に向けて必死に頑張っている東北地方の方々の姿を見て、逆に元気をもらい、「困難な時こそ、皆が思いやり団結すれば小さな力が、計り知れない大きなものになる」と改めて理解させて頂きました。
アネトスでは、ボランティアも随時募集しています。利用者様のお話相手等、少しでも興味があればご連絡下さい。
連絡先:療養通所介護アネトス
〒595-0805 大阪府泉北郡忠岡町忠岡東 1-15-28
TEL 0725-32-2884 担当:中岡
◆HbA1C(ヘモグロビンA1c[エーワンシー])について
ヘモグロビンA1cについて
健診や病院で血液検査をすると、検査結果の中に、「HbA1c」という項目があり
ます。
糖尿病と診断された方や糖尿に関してある程度知識がある方なら、十分理解でき
ると思いますが、それほど詳しくない方にとって、アルファベットと数字の羅列にしか見えないか
もしれません。
実はこれは、ヘモグロビンA1c(エーワンシー)という言葉の略で、別名糖化ヘ モグロビンともいい、ヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものです。血糖状態を知る上で、 非常に重要な数値の一つです。ヘモグロビン(Hb)とは、血液の赤血球に含まれ ているタンパク質の一種です。これは、酸素と結合して酸素を全身に送る役目を 果たしています。赤血球が赤いのはこのヘモグロビンの色です。このヘモグロビ ン(Hb)は、血液中のブドウ糖と結合するという性質を持っています。しかも一 度くっつくと離れません。そのブドウ糖と結合した物の一部分が、ヘモグロビンA1cと呼ばれています。
通常、赤血球の寿命は4ヶ月と言われていますが、その間に赤血球は血管の中を
回っていきます。その時に、血液 中の余分のブドウ糖と次々に結合していきま
す。血液の中に余分のブドウ糖があって、高血糖状態が長く続くとヘモグロビン
とブドウ糖は、どんどん結合していきます。つまり、血液検査の結果、この
HbA1cの値が高ければ高いほどたくさんのブドウ糖が余分に血液中にあって、ヘモグロビンと結合してしまったということで、、ヘモグロビンA1cの割合(%)を調
べることで最近の血糖のコントロール状況がわかるという訳です。
正常な人であれば、HbA1c値は 5.8%以下とされています。
このHbA1c値は、過去1ヶ月〜2ヶ月の、血糖状態を表すので、血糖値よりも正確な血糖状態を教えてくれます
血糖値は、あくまでもその血液検査をした時の血糖状態なのです。
ですから、食前と食後では当然違いますし、検査前に何かのことでストレスを感じると、
それだけで血糖値が上がる場合もあります。
糖尿病と診断された人のコントロールには主にこのヘモグロビンA1cが使われています。
では、HbA1cは誰が発見したのでしょう?
日本の糖尿病学に詳しい人々の間では、発見者が日本人であることは有名な話で
す。山口県立医大の臨床病理学講座の柴田進先生が当時、 異常ヘモグロビンの
研究をしており、糖尿病の患者に異常なヘモグロビンを見いだし、 1962年ヘモ
グロビン糖尿病(Hb Diabetes)と命名しました。 残念ながら、日本国内での
報告であったこと、本
体が何かまでは踏み込んで究明されていなかったことなどの理由で、 国際的には知られていません。
世界的には
イランの医師・生理学者であるS.Rahbar(サミュエル・ラーバー)が発見したと
されています。
彼は柴田先生とは異なる電気泳動(タンパク質を分析するひとつの方法)法で糖
尿病患者に異常なヘモグロビンを見いだし、 1967年に報告しました。
S.Rahbarはその後ニューヨークに留学してグリコヘモグロビンの本体を詳しく分
析して医学誌に発表しました。 このような経緯で彼がグリコヘモグロビンの第
1発見者という名誉ある地位を勝ち得たのです
HbA1C の値は、今までは日本だけで使用されている「JDS(Japan Diabetes
Society)」という、日本国内で精度管理・標準化された値を用いていました。
しかし、日本以外のほとんどの国では「NGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)」という値が使わ
れており、JDS と比較すると約0.4%高い値を示すという問題がありました。したがって、国際間のデータ比較時に数値の補正が無いままに使われたり、数値の違いが元で日本抜きの国際共同研
究が進んだりする可能性があるために、国際的に整合性を図る必要から国際標準化に向けた変更が
検討されました。
既に海外の医学論文や国際学会での発表時では、日本の医師もNGSPに相当する値 を使用していましたが、日常診療では従来のJDS値を使用していました。
このたび糖尿病学会は2012年4月1日より日常臨床等においてもNGSP値
「HbA1c(NGSP)」の使用を開始すると発表され、実際にこの4月より、病院でも検査会社でも当院で
も運用しています。HbA1c(NGSP)は、従来のJDS値に0.4を加えた値です。
ただし、当面はJDS値とNGSP値を併記します。
血糖、ヘモグロビンA1cによる糖尿病の診断基準
2010年7月より新しい糖尿病の診断基準を使用しています。
それまではHbA1cha糖尿病診断の補充的な位置づけでHbA1C6.5%以上(JDS)、6.9
%以上(NGSP)とされていま したが、今では、HbA1C を積極的に取り入れて糖尿病型の判定にHbA1C の基準値6.1%(JDS)、6.5%以上(NGSP)
以上を採用しています。
また、血糖値とHbA1C の同日測定を推奨し、一回の検査で糖尿病の診断が可能になり、より早
期から糖尿病の診断・治療が行えるようになりました。
新しい診断基準では空腹時血糖 126mg/dl以上または随時血糖あるいは75gOGTT
検査の2時間値が200mg/dl以上(血糖の糖尿病型)であり、ヘモグロビンA1cが
6.1%(JDS)、6.5%以上(NGSP)以上(HbA1cの糖尿病型)だと糖尿病と診断されます。
新しい糖尿病診断基準の主なポイントとして、HbA1cの基準が厳しくなったこと
(JDSで6.5%から6.1%、NGSPで6.9%から6.5%に糖尿病型の診断が引き下げら
れた)、血糖とHbA1cの組み合わせで糖尿病が診断できるなどHbA1Cが重視される
ようになったことがあげられます。
今回は国際標準値に記載が変更されたHbA1cにスポットをあててみました。
糖尿病はコントロールすれば大丈夫ですが、放置するといろんな合併症を引き起
こすので注意が必要です。
当院では内科系一般診療でも、健診でも、ワンコイン健診(500円で血糖、HbA1cが測れます)、HbA1cを重視して、測定しています。
機会があれば、皆様も糖尿病のチェックをしてください。
◆編集後記
院内報発行の時期を月初めにしようと、2月・3月は早めに書いたのですが、今月、また遅れてしまいました。
5月は連休中に院内報の原稿を
準備しようと思います。