ホームドクター通信
2012年 1月 No.74

◆お知らせ

新しい年を迎えました。
旧年中は大変お世話になり有り難うございました。
本年もよろしくお願いします。

昨年は震災・原発事故・台風、大変なことが色々あり、歴史に残る一年でした。
犠牲者も多くでました。自然災害は突然起こります。この国に住む以上は避けようもなく、自然災害は起こるものと認識して、その被害を最小限に抑え
るような対策が重要となります。個人でできるものは用意しないといけませんが、制度のようなシステム的なもの、設備などは政治に期待しないと仕方がありません。
しかし、報道をみてみますと、原発最悪のシナリオをなかったものとしたこと、政府が設置した会議の議事録などが作成されていなかったことなど、ぱっとしないニュースばかり目につきます。マスコミの世論誘導かもしれませんが。さらに政局では、政界再編の動きが活発化しています。いい方に向くよう期待しています。まずは復興第一で。

インフルエンザが猛威を振るっています。
1月になって寒波の襲来が相次ぎ、とても寒い日が続いています。
それに伴い、インフルエンザが流行しており、学級閉鎖の情報も連日でています。
今流行しているのは、A香港型です。B型もでているようです。
インフルエンザには特効薬が何種類かあります。
当院でも、点滴、吸入薬、内服薬を症状、年齢に応じて使用しています。
いずれも昔に比べると切れ味がいいな、、と思っています。
強毒性のトリインフルエンザの流行も危惧されています。感染対策をお願いします。
いつも繰り返しになりますが、まず手洗い、マスク、うがい。手についたウィルスが感染するのは意外に多いです。
咳くしゃみが出る場合は他の人への思いやりとして、咳エチケットをお忘れ無く。
外出時にはマスクを。咳くしゃみがでるときは、ティッシュで口と鼻を覆うよう気をつけてください。

インフルエンザ予防接種について(再掲)

3月31日までインフルエンザ予防接種を行っています。
1回3500円、2回目は2500円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと。
死亡者や重症者を出来る限り減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことはとても大事です。

肺炎双球菌のワクチンのお知らせ

65歳以上の高齢者・基礎疾患があって抵抗力が落ちている方には、肺炎の原因微生物の約半数を占める肺炎球菌のワクチンの接種が勧められます。
しかし、現在メーカーより、品薄になっており、現在新しい接種予約はとらないよう推奨されています。東北3県の高齢者を優先的に接種するためです。
そのため、接種はしばらくお待ちください。
次期予算編成で、このワクチンが公費負担になることも検討されているそうです(決定事項ではありません)。
来年4月以降まで待つのが得策のようです。

糖尿病の診断について

日本糖尿病学は本年4月から 過去一カ月の血糖の平均を示すヘモグロビンA1Cの値に国際規格であるNGSP値を採用する、との発表がありました。これにより、ヘモグロビンA1Cの値は従来の日本規格のJDSから変更され、平均で0.4%上がることになります。
問題は診断とコントロール指標です。「糖尿病の診断」では NGSP値で6.5%以上を糖尿病型とするとあります。つまり、今ヘモグロビンA1Cの値が6.1%の人は現在は糖尿病予備軍ですが、4月以降は糖尿病の診断がつくことになります。
コント ロールの指標はどうするかですが、この点についてはまだ記載がありま
せん。欧米のように7.0%を良の目安とするのか従来通り6.5%とするのかどうかですが。また、次の発表を待ちたいと思います。混乱の無いよう、スムーズな移行を糖尿病学会にお願いしたいです。

今回は今話題の糖質制限ダイエットについて取り上げました。

◆アネトス通信

 新春のお慶びを申し上げます

昨年は、色々とアネトスにご協力、ご理解をいただき有難うございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

いよいよ、受験シーズンの到来となりました。アネトス通信担当の私自身も、受験生時代が懐かしくおもいます。
ただでさえ食欲旺盛だった私が、慣れない受験勉強のおかげで、余計に食欲が増した事が思い返されます。(笑)

1月に入り、インフルエンザの流行がテレビ等でも取り上げられる様になりました。
注意することは、外出時はマスクを着用し、帰宅時は手洗い、うがいをしっかりとすることです。

疲労が蓄積されたり、睡眠不足等で抵抗力が減少したときに感染・発症しやすいと言われている事から、十分な睡眠も大切であると言われています。
予防接種等も受け、日頃から体調を整えましょう。

◆糖質制限ダイエット

炭水化物の主成分、糖質の摂取を極力減らし、肥満や糖尿病の予防に生かそうとする食事療法の関心が高まっています。
もともとは自身が糖尿病患者であったアメリカの医師リチャード・バーンスタイン氏が1972年頃に始めたとされていますが、長い間ダイエットの一方法くらいしか考えられていませんでした。
しかし、、2008年にイスラエルで糖質制限の方がカロリー制限のグループより体重が減ったという調査を発表して以来注目を集めるようになりました。
日本では主食をやめると健康になる、という本を出版した京都・高雄病院の江部院長が中心となって推進しています。
また、今月日本病態栄養学会で、糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?と題する討論が行われています。この1年くらいで糖質制限食の有効性を認める専門家が増えてきたとのことです。

糖質制限食とは簡単にいうと、主食となるご飯、パン、麺類を抜いて、おかずばかり食べる食事方法です。一食あたりの糖質が20g以下にするのが目安とされています。
糖質の高いNG食材としては、先に述べたご飯、パン、麺類の他に、甘いもの、穀物、イモ類・かぼちゃ、トウモロコシ、ケーキ、スナック類、ビール、ワインなどの醸造酒などがあげられます。
OKなのが、肉類、魚介類、野菜、きのこ、卵、豆腐、納豆、チーズ、お酒では蒸留酒といわれる、焼酎、ウィスキー、ジン、ブランデー、ウォッカなどです。
蒸留酒であれば、カロリー制限ダイエットではダメだったアルコールもOKなため、左党には嬉しいところです。糖質0ビール(発泡酒)もOKです。

では、何故糖質を制限すると体重が減るのでしょうか。
糖質を摂取すると、正常人では速やかに膵臓からインスリンが分泌されます。
分泌されたインスリンは血中のブドウ糖を脂肪細胞や筋肉に取り込ませて、血糖値を下げるよう作用しています。
余った血糖はインスリンにより中性脂肪に変えられ、脂肪組織に貯蔵され、肥満につながるのです。
糖質を多くとると、血糖がすぐに上がりこのインスリンが過剰分泌されてしまします。
過剰分泌されたインスリンは血糖を脂肪に変え、せっせと脂肪細胞に蓄える作業をしているのです。そのため、このインスリンは別名肥満ホルモンとも呼ばれています。
糖質を制限すると、血糖が上がりすぎないため、過剰なインスリンが出ません。
糖質制限ダイエットは過剰なインスリンを放出させないダイエットと言えます。

低血糖にならないの?

糖質を制限することで、脳や赤血球が必要とする糖質が不足するのでは?という疑問もあるでしょう。
しかし、大丈夫。こう説明されています。
糖質のなかでも、ブドウ糖は身体にとっても大切な栄養素であるため、摂取しなくても、肝臓で主に脂質から合成できるようになっています。これを糖新生といいます。
糖新生は、食間や就寝中に脂質を分解することで行われます。
この糖新生がよく行われるようになると、体内の脂肪が少なくなり、ダイエット効果がでるというもの。
ところが、間食や食事で糖質を大量摂取してインスリンが追加分泌されると、脂質分解も糖新生もストップしてしまいます。

今までの食事療法は主にカロリー制限ダイエットでした。
一日の摂取カロリーを1600kcal、1800kcalなどと決め、その中で栄養バランスを考え、メニューをきめていくというもの。
タニタの社員食堂でもお馴染みの一食500kcalダイエットもそのひとつです。
このダイエットは長期の成績もあり、効果が実証されているものです。
カロリー制限の場合、この3大栄養素の比率は「糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%」となっています。
糖質制限ダイエットは、糖質を減らす分、たんぱく質や脂質の割合が増えます。
糖質制限では「糖質12%、脂質56%、たんぱく質32%」に変わるとされています。

 日本病態栄養学会の討論では、この栄養比率が長期的に健康にどのような影響を与えるのかが焦点になりました。たんぱく質、脂肪などの摂取が増えることにより、大腸がんのリスクを高める恐れや、アルツハイマー病など合併症の発症との関連などまだ不明なことが多く残っています。

 また、カロリー制限のない糖質制限食は、おかずばかりなので満腹になっても、結果としてカロリー摂取量が少なくなっている可能性があります。糖質制限ダイエットのメカニズム、長期成績、副作用についてはまだ十分に調査できているとは言い難く、専門医の中でも良しあしを判断しにくい状況です。

実践してみました。

一食の糖質を20g以下にする糖質制限ダイエットを試してみました。ビールは糖質オフ。食材の炭水化物量、惣菜の炭水化物量はチェックして20g以
下にするようにしました。結果は、、体重は予想以上に落ちました。約2週間で-3kg。
一日1500kcalのカロリー制限よりよく落ちる印象で、ダイエット・糖尿病の食事療法に有効かと思います。しかし、実践してみてこれは続かないな、と思いました。
ご飯、麺類、パン、普通のビールが摂取できないのはちょっとつらいものがあります。
慣れると大丈夫なものなのか?インターネットで多数糖質制限食材、食事が販売されています。
玄米、大豆を使ったパン。低カロリースィーツなど。これはまだ試していませんでした。
近々利用してみようと思います。

働き盛りのビジネスマンが糖質制限ダイエットを実践する場合を想定すると、夜は居酒屋メニュー、糖質0ビール、焼酎などで割と凌げそうな印象です。ランチなどはちょっときついかも。
コンビニなどで糖質の少ない惣菜を選んで食べるといいのですが、街の中には誘惑がたくさんあります。
糖質ダイエット、魅力的なダイエットではありますが、科学的な判断に使える比較調査をもっと増やす必要があります。カロリー制限と糖質制限、組み合わせて使う方法がいいかも。
今日は飲みにいくので、糖質制限食で、など。
私のダイエット、次はタニタの社員食堂のような一食500kalの食事または糖質制限の併用で試してみようと思います。 

◆編集後記

今回も月末の発行となりました。今年は是非月初めの発行を目指します。
そのため、2月は20日・3月13日を発行日として、4月から1日発行とします。
アネトス担当の南君とともに頑張ります。
ネットで当院の院内報を毎月読んでいるという方が数名いることが判明し、
少し励みになっているところです。