ホームドクター通信
2006年2月 No.7
◆最近の動き

 寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今年に入りライブドアショック、耐震強度偽造問題、東横イン問題などニュースも寒いものが多いですね。でも、10日から始まるトリノオリンピックは楽しみです。日本勢の活躍に期待しましょう。

●インフルエンザにご注意
 インフルエンザも今週あたり(2月上旬)がピークのようです。学級閉鎖のニュースも伝わってきます。幸い鳥インフルエンザが蔓延したという情報はありません。このまま暖かくなってほしいと願っているところです。昨年も2月から3月のインフルエンザ感染が多かったので引き続き注意が必要です。
 予防が第一です。外から帰ったら、うがい・手洗いをしましょう。保温・保湿につとめてください。睡眠をよくとって、疲れを残さないようにしてください。当院医師・看護師も予防のため、マスクをして診療にあたることが多くなっていますことをご了解ください。
 インフルエンザのほか、感染性胃腸炎(ノロウィルス)、流行性耳下腺炎、溶連菌、アデノウィルス感染症も例年より多くでているようです(国立感染研究所の感染症情報より)。

●今月号の特集
 次ページからの特集は花粉症を取り上げました。
 今年の花粉情報、新しい治療法を紹介しています。まだ寒いのに、と思われるかもしれませんが、2月上旬からの治療薬内服が有効です。毎年スギ花粉に悩まされている方は早めに薬をのむようにしてください。

●ISO9001について
 医院のほうでは、患者様満足度向上のために行っているISO9001が3月末で年度末を迎えます。
アンケートを集計して3月末に評価し、新しい年度の目標などを立てなければなりません。そのため、待合室でアンケート調査をお願いするかもしれませんが、ご協力のほどよろしくお願いします。しんどいのに……というときはお願いすることはありません。また結果などもこの院内報に掲載する予定にしています。




◆特集:花粉症





    今年も2月に入り、そろそろ花粉が飛ぶ、
   花粉症の方にはつらい季節がやってきました。
   まだ早いと思うかたも多いかもしれませんが、
   花粉症対策は予防から始まりますので、
   今から始められても早すぎることはありません。
   今回は今年の花粉症の傾向と対策を
   紹介していきたいと思います。








今年の傾向

 今年の花粉の飛散量は少ないことが予想されています。環境省の発表では、平成18年春の予測は、地域により例年の30%から80%程度になるそうです。 昨年末に行われたスギ雄花の花芽調査によれば、平成17年春の花粉大飛散の影響や昨年7月の気温、日照時間が平年を下回った影響により、雄花着生量が例年よりも少ないことが確認されています。 平成18年春の花粉の総飛散量は、近畿、中国、国及び九州では例年の40%〜60%程度と予測されます。

 昨年秋の気温は高めに推移しましたが、11月末から優勢な寒気が南下し、12月は全国的に極端な低温となったことから、スギ雄花の休眠・覚醒(開花の準備)は比較的早く行われたと予想されます。一方で、1月になっても低温傾向は持続し、今後もこの傾向はしばらく継続すると考えられるため、今年春のスギの開花は例年よりもやや遅れると予測されます。
 スギ花粉前線(スギ花粉飛散開始時期を旬単位で示す地図)では瀬戸内側の中国、近畿、甲信で2月20日〜3月1日頃、飛散が始まると予測されます。 昨年は記録的に花粉飛散量が多かったのですが、油断は禁物です。今まで出現しなかったアレルギー反応がコップから水がこぼれ出すように突然出てくることもあるのですから。


花粉症を予防する

 飛散量が多いと言われている今年は例年以上に予防は欠かせません。予防や治療というとまず薬物療法を考えがちですが、まずセルフケアが必要です。スギ花粉症は、通年性のアレルギーと違い、スギ花粉が原因としてはっきりしているので、接触しないようにするのが一番です。帰宅時に衣服をはたくとか、拭き掃除をこまめに行うなども必要ですし、マスクやメガネ等は高い予防効果があることが証明されています。薬物療法についても、予防段階からの抗アレルギー剤の内服は発症を遅らせる、本格飛散後の症状を軽快することから、本格飛散の2週間前、2月の上旬までに服用を開始するのが効果的です。どうしても症状がないと様子を見てしまいますが、予防からはじめることをおすすめします。


花粉症を治療する

 症状が実際に出てきた場合、基本的には、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服や外用薬(点鼻、点眼薬)を組み合わせて処方しています。抗ヒスタミン作用の強い薬は、鼻水、くしゃみなどに即効性がありますが、眠気、口の渇きなどの副作用の強い傾向があるので、本人の症状に適した処方を心がけています。内服薬が効かない、内服薬は面倒という方には耳鼻科でのレーザー等を使用して鼻粘膜焼灼術を行う方法もあります。最近、レーザー焼灼でも効き目がもうひとつだった方に対して、新しい治療法が行われています。神経切断術という手術です。具体的にはくしゃみと鼻汁分泌をつかさどる後鼻神経を鼻の側壁で切断し、同時に腫れた鼻の念舞う区を切除する方法です。内視鏡とハーモニックスカルペルという器具の発達により、安全にできるようになりました。今注目の治療です。施設が限られますので御希望の方は御相談ください。


シーズン前に注射をするといい? 

 脂溶性ステロイドの筋肉注射のことかと思われます。確かに効果は抜群ですが、鼻アレルギー治療ガイドラインでは好ましくない治療と評価されています。理由は筋肉萎縮、胃潰瘍、高血圧、糖尿病、皮膚病変など副作用が多いからで、安易にはおすすめできません。同じステロイドでも局所治療薬(点鼻薬、点眼薬)にはこのような全身副作用がなく、安心して使用できます。


体質を改善する方法がある?

 減感作療法といわれる治療法で、スギなら何万倍にも薄めた溶液から少しずつ濃いものに変えていき、徐々に体をならしていく方法です。現在唯一の花粉症に対する根治治療とされていますが、注射が必要なこと、効果が現れるのに数年かかることなどから、普及率は低いです。


どの方法が一番いいのか?
 
 人それぞれです。
当院では症状と重症度から種々の薬剤を組み合わせています。無効の方には手術のできる耳鼻科も紹介しています。






◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの? かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

花粉症特集はいかがでしたか? 

まだまだ先のことと考えがちですが、早めの予防が大切です。ぜひ対策の参考にしてください。

インフルエンザが流行しています。

外出先から帰ったら、うがい・手洗いをしましょう。こちらも予防が大切です。