ホームドクター通信
2011年 4月 No.65

◆お知らせ


3 月11 日に起こりました東日本の震災で東北・関東地方は大変なことになっています。被災された方にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。福島原発事故もまだ落ち着きません。今回の医療情報は放射線と人体への影響に関することをあげておきました。

今年も2 月1 日から2 月23 日まで当院のアンケートをお願いしました。194 件の御回答を頂きました。ご協力有難うございました。
アンケートの項目は昨年同様、医師、看護師、事務員について、1. 挨拶・身だしなみ、2. 診療・処置、事務の内容に対する説明、3. 話を聞いているか、4. 治療・看護についての満足度、5. 総合評価の項目を、5 段階(大変良い、良い、普通、悪い、非常に悪い)で記入して頂きました。また、診療所全体について、待ち時間、環境、印象、要望、他の医療機関の印象、フリーコメントの項目も記入していただきました。結果ですが、看護師、事務については各項目80%以上の方が「よい」以上に○をつけてくださっていました。総合評価についても88%の方が「よい」以上に○で、いい評価を頂いたようです。医師の方は昨年よりも総合評価悪いが無くなり、若干あがったようですが、あいさつ、言葉遣い、態度、服装、身だしなみの点であまりぱっとしません。また、フリーコメントでも、相変わらず声が小さい、パソコンばかりみている、等の厳しい御意見が伺えます。電子カルテを採用して、入力も自分でしているので、難しいところではあります。問診、検査結果等はどうしてもパソコンをみながらになってしまいますので、できれば一緒にパソコンを見ていただくことをおすすめします。医療秘書の診療入力を採用すればいいのでしょうが。いろんな問題がクリアーできず、導入できないままになっています。声については気をつけます。診療中はマスクをしていることも一因のように思います。更に以前にも書きましたが、大きな声で話すと、怒っているような印象をあたえてしまうという指摘があり、できるだけ穏やかな口調で話そうと心掛けています。
また全体については待ち時間の問題はまだ大きなウェイトをしめています。予約制・番号札制のシステムは崩さないまま、できるだけお待たせしないような工夫を考えていきたいと思います。

花粉もピークは越えたとはいえ、まだヒノキが飛散しています。インフルエンザはまだ学級閉鎖の報告があります。
インフルエンザ予防接種、数人分でしたら在庫あります。
公費負担の予防接種3 種類のうち、インフルエンザb型ワクチン ヒブ と肺炎球菌ワクチン プレベナーは接種が再開されています。三種混合との同時接種も可能のようです。子宮頸がん予防ワクチン サーバリックスはメーカーの供給不足により新しい接種は控えるよう指導がきています。このため対象からはずれる4月から新高校2年の方はしばらくは救済処置がとられるようです。詳しくは受付にお問い合わせください。
震災の影響で薬剤の製造ラインが止まったりして、徐々に当地の医療機関にも影響がでてきています。いつも服用している薬が品切れで別の薬に変わる場合がありますのでご了承ください。

◆放射線と人体への影響

福島第一原発のニュースが連日テレビ、新聞など各種メディアで報道されています。東北を含まない東京、大阪などの都市の住民を対象に実施した東日本大震災に関するアンケートで、現在不安に思うことについて、4人に3人が福島原発をあげ、最多になりました。実態がわからない不安と、正確な情報がきちんと報道されているのかわからないのが原因のようです。今回は放射線の人体に与える影響について書いてみます。

まず、放射能、放射性物質、放射線の言葉の意味から。
放射線とは電離性(原子から電子をはじきとばすこと)を持った高エネルギーの粒子線、電磁波のことでアルファ線、β線、ガンマ線、中性子線などがあります。
放射線を出す物質のことを放射性物質といい、ウラン、プルトニウム、ヨード、セシウムなどが主な放射性物質にあげられます。この放射性物質の放射線を出す能力のことが放射能です。

放射線量の単位について
放射性物質が放射線を出す能力を表す単位を「ベクレル(Bq)」といいます。
放射性物質にはさまざまな種類があり、放射性物質によって、放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、これにより人体が受ける影響は異なります。このため、放射線が人体に与える影響は、放射性物質の放射能量(ベクレル)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値で比較する必要があります。
この人体の受ける放射線量の数値はシーベルトという単位で表されます。最近報道によく出てくる言葉です。シーベルトは、放射線防護についての研究で大きな功績のあるスウェーデンの物理学者、ロルフ・マキシミリアン・シーベルトにちなんで名づけられています。シーベルトを理解するためにまず、グレイという単位を説明します。
グレイという単位は放射線が照射された物質が質量(kg)あたりのエネルギー(ジュール)を表し、1kg あたり1ジュールの吸収線量を1グレイと定義します。
ジュールというのは仕事量を表す単位です。
シーベルトもグレイと同じ次元の単位なのですが、ここに放射線の種類の概念が入ります。人が放射線を浴びた場合、その放射線の種類(アルファ線、ガンマ線など)により受ける影響が異なります。
たとえば、同じ1グレイの吸収線量でも、人体組織が吸収した場合、アルファ線はベータ、ガンマ線の20 倍の影響があります。
放射線毎に影響力を放射線荷重係数で表して、グレイに積算することで、人体の受ける放射線量シーベルトが計算されます。
たとえば、ある地域で1マイクロシーベルトが観測されたという報道があれば、人間がそこで1時間過ごすと1マイクロシーベルトの放射線を浴びる(被曝する)ということです。
報道では毎時が省略されていることが多いです。
1シーベルトは1000 ミリシーベルトに相当。1ミリシーベルトは1000 マイクロシーベルトに相当します。

短期被曝の場合
5%致死線量(被曝した20 人のうち1人が死に至る線量)は2 シーベルト、50%致死線量が4シーベルト、100%致死線量は7シーベルトと言われています。短期とは1時間と考えます。
短期200 ミリシーベルト以下では急性の症状はでないものと考えられています。

人間は地球上のどこに住んでいても常に放射線を浴びています。世界で平均する年間およそ2.4 ミリシーベルトの自然放射線を浴びています。通常の何倍という報道が多いですが、通常は2.4 ミリシーベルト÷24 時間÷365 日で1時間あたり、0.00027 ミリシーベルト、0.27 マイクロシーベルト程度と考えます。
一般人の線量限度は本来年1ミリシーベルトですが、ICRP は原発事故などの緊急時には年20 〜 100ミリシーベルト、事故収束後は1〜 20 ミリシーベルトを認めています。日本の場合、年間20 ミリシーベルトを避難の目安にしました。毎時2.3 マイクロシーベルトです。現在事故を起こした福島第一原発の半径20km 以内は立ち入り禁止となっています。原発事故の影響で放射性物質が大気中に放出されており、放射線を出しているため、立ち入り禁止区域では通常よりも高い放射線量が測定されています。
文科省によると、現時点の放射線量が変わらず、毎日8時間は屋外に、残り16 時間は木造家屋内にいたと仮定すると、校庭での放射線量が1時間当たり3.8 マイクロシーベルトの場合、1年後の積算線量が20 ミリシーベルトとなります。この試算から同3.8 マイクロシーベルト未満の学校では、通常通りの活動を認めることにしました。
文部科学省と厚生労働省は福島県教育委員会などに対し、被曝の恐れのある学校については校庭での活動を1日約1時間とし、活動後には手や顔を洗うことや、砂ぼこりが多いときは窓を閉めることなどを求める通知を出しています。
原子力安全委員会の一部委員は「子どもは成人の半分以下とすべきだ」と強く主張していましたが政府は計画的避難区域の指定基準と同じ年20 ミリシーベルトを下回れば問題ないと判断しています。
ちなみに原発事故作業員の被曝限度量は250 ミリシーベルトに今回設定されています。
また、肺癌検診で用いられる医療用胸部CT は40歳以上の成人では被曝のリスクと肺癌発見のベネフィット解析で利益が上回ると判定されています。
放射線の人体への影響ですが、細胞の中の遺伝子を壊してしまいます。放射線を大量に浴びると、急性では皮膚、造血器に障害がおこります。1シーベルトで吐き気が起こり、2〜5シーベルトで頭髪が抜けるともいわれます。
長期の場合は白血病など発がんが問題になります。
細胞の修復能力が追いつかないためです。
チェルノブイリ原発後は放射性ヨードによる甲状腺がんが小児に多く発症したことが問題になりました。ヨードは甲状腺によく取り込まれるためです。放射性ヨードをブロックするために、ヨード製剤を服用しておくというのは効果のあることです。しかし、消毒用のヨード製剤、うがい薬をのめばいいというデマまで出ました。むしろ有害なことです。
放射線への対応、専門家はしっかり知って、正しく怖がることが大事、と言っています。

◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。


◆編集後記

当院からの情報、お知らせをメールで患者の皆様にお送りしていこうかと考えています(同じ内容をツィッターにも載せようかと)。ご希望の方はinfo@majima-clinic.jp までメールをお送りください。
また受付でも随時、皆様のメールアドレス(携帯でもPCでも)をお伺いしていきますので、当院からのお知らせを受け取ってもいいよ、という方は是非ご登録ください。メルマガの形態をとろうかと検討中です。最初はこちらの登録制で。慣れてきたら誰でもネット上から申し込めるようにしよと思っています。
今年はホームページを充実させて、ブログ、ツィッター、フェースブックなど駆使しながら(いつも1カ月続かない)当院からの情報を発信させていきたいと考えています。