◆お知らせ
3月11 日に起こりました東日本の震災で東北・関東地方は大変なことになっています。
被災された方にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し申し上げます。
福島原発事故もまだ落ち着きません。地震・津波・原発と未曾有の災害で本当に信じられないほど多数の方々がお亡くなりになり、いまだ行方不明となっていることに落胆を覚えます。遺族の方のお話などをニュースで聞いているとやり切れない気持ちになります。また、被災地の皆様方の一刻も早い生活再建を心から願っております。
医療系のメーリングリストなどで、被災地に赴いた医師たちの報告が入ってきています。
今回は震災で建物の下敷きになったなどの外傷はあまりなく、主に津波による被害のようです。
亡くなられた方はほぼ溺死で、地獄絵図・生き地獄などと表現されている方もいました。被害が大きすぎます。
津波の本当の恐怖を語れる人はいない。巻き込まれた人は生存できないから、と言われるそうです。
被災地の人々をみていると自分は普通の生活をしていてもいいのかという気になります。被災地に赴きたい気はやまやまなのですが、今は冷静にまず自分に何ができるのかを考える必要があります。
今回の医療情報は災害に関することをあげておきました。
花粉症の方が発症してきています。
今年の花粉量は昨年よりかなり多いとのこと。花粉症の方は見た目を気にせず、マスク、眼鏡など花粉ブロックを。当院は抗アレルギー剤処方(内服だけでなく点鼻、点眼薬も処方可能)程度しかお役にたてませんが、よろしければ症状をお聞かせください。
公費負担の予防接種3種類が2月1日よりスタートしましたが、色々とトラブルがあり、少し中止になっています。
子宮頸がん予防ワクチン:サーバリックス
メーカーの供給不足により新しい接種は控えるよう指導がきています。このため対象からはずれる4月から新高校2年の方はしばらくは救済処置がとられるようです。詳しくは保健センターにお問い合わせください。
インフルエンザb型ワクチン:ヒブ
肺炎球菌ワクチン:プレベナー
接種後の死亡例が6例報告され、因果関係がでるまで接種を見合わせていました。3月24 日に通達がでて、4月1日以降の再開する方向で準備しています。三種混合との同時接種も可能のようです。もう少し情報がでると思いますので、4月以降お問い合わせください。
2月28 日の読売新聞に当院が掲載されました。在宅医療のアンケートに答えたものです。この中で当院の往診件数が4件と他の医療施設に比べてかなり少ない数になっていました。これは定期的な訪問診療と患家に呼ばれて診療に行く往診を分けて考えたため、この数字になりました。訪問診療中の患者さんに呼ばれてお伺いしたときも往診には数えていませんでした。このように在宅医療に新聞が興味を示してくれるのはいい傾向かな、と思っています。
震災の影響で薬剤の製造ラインが止まったりして、徐々に当地にも影響がでてきています。服用している薬が品切れで別の薬に変わる場合がありますのでご了承ください。
◆災害への備え被災して病気やけがなどにより医療機関で診療を受けたり薬を貰ったりする場合、持っていた方がいいものは何でしょう?
当院に受診中の方で当院が診療を続けている場合は特に問題ないのですが、当院も被災を受けて診療出来ない場合があります。私は自分が診療できる体調であれば、おそらく近くの病院か医師会の指定する診療所にいっているものと思います。当院かかりつけの方はそちらに来ていただいてもいいかもしれません。
今回の震災では被災者が健康保険証を持っていなくても氏名や生年月日、住所などを申告すれば保険を適用して治療を受けられる措置が取られています。
また保険証が無くても、自費診療で全額自己負担して診療を受けることは可能です。あとから申請して差額は還付されますので。
しかし、通常は健康保険証を持参していた方が安心です。カード式の健康保険証は財布に入れ常に持ち歩くようにしましょう。カード式でない場合はコピーをとって財布にいれておくことをお勧めします。
また、常用薬がある場合は、薬局で発行されるお薬手帳、薬の説明書を持っていると初めて受診する医療機関でもスムーズに処方が可能ですので有用です。普段飲んでいる薬を1日分(できれば数日分)、鞄などに入れておくのもいいでしょう。服用している薬の包装シート(薬名が読めるように)を持参されるだけでも処方の助けにはなります。血圧の白い薬ください、と申請しても初めての診療所では対応ができませんので。
また当院受診中の方は当院が発行している診療手帳を是非携行するようにして、他の医療機関に提示してください。
更に、紙に氏名、生年月日、住所、電話番号、家族の電話番号、血液型、かかりつけ医の連絡先、現在治療中の病気、服薬内容、今までかかった病気、使用して副作用がでた薬、アレルギーの有無などをまとめ、いつも持ち歩くバッグに入れておかれるといいでしょう。
今後当院のかかりつけ患者登録をしておられる方には上記を記載した紙を発行することを検討します。
電子カルテ管理元に問い合わせてみますので、しばらくお待ちください。
つまるところ健康保険証と自分の受けている医療(特に薬)がわかるものをお持ち頂きたいということです。
家庭の救急箱
昔はどこの家にもあった救急箱、今はどうなっているのでしょうか。
急を要さないけがや発熱時、腹痛・頭痛時などの薬、衛生材料は普段から常備しておかれるのがいいでしょう(急を要する場合は診察しているところを探して、訪ねてください)。
救急箱にいれておく必要薬
普段常用している薬、総合感冒薬、胃薬、整腸剤、頭痛時・腹痛時の薬、などでしょうか。
打撲・けがをしたときの湿布もいれておきましょう。
ちなみに擦り傷などのけがは当院では最近消毒しません(夏井先生の提唱する新しい創傷治療を実践していますので)。水道水、出ない場合はできるだけ綺麗な水で洗って、被覆材をあてています。被覆材は薬局でもキズパワーパッド・ポリウレタンフィルムなどが販売されています。最近は擦り傷などにはガーゼを直接傷にあてることはしていません。プラスモイストという被覆材がいいので、一枚救急箱には入れておかれるといいと思います。当院で自費になりますが、販売しています。
バンドエイド、包帯(湿布、被覆材を固定するのに便利)、絆創膏、ガーゼ(被覆材の上からあてたり、体液を拭いたりするのには便利)予防に必要なマスク、うがい薬、手指消毒剤、ディスポ手袋などもいれておきましょう。
避難所での注意点
現在も多くの方が避難所での生活を余儀なくされています。避難中・避難所での注意点を考えてみます。
まず特に冬は低体温に注意しましょう。十分な衣類が無い場合は新聞紙などを体に巻きつけておくと保温に有効です。夏では熱中症ですが、季節的に今なかなか想像しにくいです。こちらは水分、塩分を十分とって体を冷却するようにしてください。
次に脱水。トイレに行くのが嫌、という理由で十分な水分をとらない方がいるそうです。
脱水により循環不全、意識障害などがおこりますので、十分な水分をとるようにこころがけましょう。
何らかの水分が口からとれない、というのは医療の対象です。受診してください。
また、脱水により血液が濃縮されるため、いわゆるエコノミークラス症候群も起こりやすくなります。血液の流れが悪くなり、主に大腿の静脈内で血の塊・血栓が形成されます。
その血栓がはがれて、肺の血管につまることにより、肺梗塞が起こる病態です。車の中で寝泊まりされている人にエコノミークラス症候群がよく起こることが報告されています。ずっと同じ姿勢をとらず2〜3時間毎に立つ、軽い運動などをして血栓形成を予防する必要があります。
更に感染症が避難所ではよく起こるそうです。
他の人の排泄物、分泌物は素手では触らないよう、マスク・うがいが大事です。
メンタル系の障害も報告されます。ストレス・喪失感によるうつ病、ストレスによる胃腸障害はよく起こると避難所での診療にあたった医師の報告にありました。ストレスによるたこつぼ心筋症(心筋梗塞ではないが、胸痛、心不全などがおこる)なども報告されています。1人で悩まず、他の人の助けを受ける、医療を受けるようにしてください。
被災地で診療にあたっている医師からのメールなどを参考に、医療者の視点から思いつくままに書いてみました。今後の被災地の復興が少しずつでも確実に進み、早く普通の生活ができるよう祈念しております。被災地の復興は国家全体の問題です。また、自分にできるのはどんなことなのか、お互いいつも考えるようにしましょう。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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