ホームドクター通信
2010年3月 No.52

◆お知らせ


寒3月になりました。春の気配を感じます。

ISO9001関連で、マネジメントレビューという当院の見直しをしました。
皆様からいただいたアンケート、内部・外部監査、改善提案書などをもとに当院のマネジメントシステムが健全に機能しているかを確認し、必要に応じて改善していく活動です。

アンケートのご協力有り難うございました。今年度の結果は待合室に掲示します。
事務部・看護部については前年同様非常に高い評価をいただきました。医師について、数名の厳しいご意見をいただきました。改善策を考えますに診察時のおひとりおひとりに丁寧に対応する、に尽きると思います。軽はずみな発言をしない、はっきりわかりやすく伝える、横柄な態度を取らない、などに気をつけていきたいと思います。

待ち時間についても検討していますが、今の時間予約・番号札制を継続することにしています。お待ちになっている方に受付の職員が頻繁に声掛けをすることで対応させていただきます。あとは院内コミュニケーションの改善くらいで、概ね当院のシステムは健全に稼働していると考えます。今後とも改善を図っていくつもりですので、当院に対するご意見がありましたら、お気軽に職員にお申し出ください。


インフルエンザ、下火になっています。今年はほぼ終息でしょうか。
今期は検出されたインフルエンザがほとんど新型で、従来の季節性はほとんど出ないようです。Aソ連型は今年でなかったため、次期のインフルエンザワクチンからはずされ、A香港型、B型、とともに新型インフルエンザが選ばれるとのこと(1ワクチンに3つのタイプしか入れられない)。また、新型インフルエンザワクチンは希望される方が少なくなり、当院も余っている状況です。昨年秋頃の騒ぎはなんだったのだろうという感じです。

また、新しい話題で、貼る予防接種が開発途中・実用間近とのニュースがありました。予防接種はいいけれど、痛いのは誰でも嫌ですから朗報ですね。早く実用化されるのを待っています。


先月はノロウィルスによると思われる感染性胃腸炎が流行しました。感染力が強いため家庭内感染が多いです。吐物などを処理する際は塩素系の漂白剤(ハイターやミルトンなど)を使用します。アルコールは効果があまりありません。ハイターの場合、日常の清掃の場合3ml、吐物の処理の場合40mlとって、2リットルの水で希釈します。空いたペットボトルを使うと便利です。あとはうがい手洗い励行してください。







◆アネトス通信


暖かい日もあれば寒い日もあり、体調には十分気をつけたいですね。


アネトスでは散歩、買い物、入浴や機能訓練などの他にも利用者様にあった
サービスとして、リビングウィルや自分史作りのお手伝いをしています。
実際に記録している利用者様からは、「自分を振り返ったり、いつも介護で
世話になっている家族に感謝の気持ちを伝えることができてよかった」などの
感想がよく聞かれます。
今後の生き方を前向きにするためにもよい方法の一つだと思います
(個人的に私も今から取り組むつもりです)。



2月のアンケートのご協力ありがとうございました。集計結果ができましたので報告させていただきます。

100%の回収率で職員の対応は問題なくほぼ満足が得られました。不満件数は1件で、サービスの時間が短いとありました。
自由記載部分には「送迎が大変なので料金設定をすれば」、「宿泊をして欲しい」がありました。不満に対しては利用者や家族様が納得できるよう、十分な説明と緊急時(介護者の受診や葬式など)の施設利用など柔軟な対応をしていきます。今後もより利用者様や家族様に満足していただけるよう努力していきたいと思います。








◆特集:炎症反応って?


当院に発熱、風邪、腹痛、下痢、嘔吐などで受診されて点滴などを受けられた方の診療手帳には、炎症反応がありました、とか炎症反応はありませんでした、という記載があるかと思います。これは採血して院内の血球計算機で白血球とCRPという物質の値をみたときに記載しています。

では炎症、って何でしょう。炎症とは、生体がケガした、やけどした、風邪ひいた、ばい菌が入ったなど何らかの有害な刺激を受けて細胞が障害を受けた時におこります。その障害を取り除いたり、細胞障害の結果できた壊死物質を片付ける過程を炎症といいます。つまりは病気やケガを治そうとする生体の働きということができます。

炎症では免疫応答が働きます。細胞が壊死を起こしたり、血管の壁の性質が変わるので発赤、腫脹、疼痛、熱感、機能障害といった症候を伴います。小さなやけどの場合も炎症は起こりますし、細菌に感染して血中に細菌が回るような重篤な場合でも炎症はおこります。程度は全く違います。この炎症の程度は現在では主に白血球、CRPで判定します。
生体の白血球数、血中のCRPの量・いわば生体の反応で炎症の程度を推測しようとしているのです。この生体の反応を炎症反応と表現しています。


CRPはC反応性蛋白(C-Reactive protein)は肺炎双球菌の一部のC多糖体と反応する血清蛋白で、1930年にTillerらにより発見されました。CRPは通常血中にはほとんど存在せず、外傷、心筋梗塞、悪性腫瘍などの組織障害、リウマチなどの自己免疫疾患、感染症などによる炎症で生体に侵襲を受けたときに、肝臓で産生され、血中に流出して増加します。病状の回復に伴い速やかに減少します。

またCRPの産生量は受けた炎症の程度、組織障害の程度を反映します。すなわち炎症が強いほどCRP値は高くなります。
このためCRPは細菌感染症、心筋梗塞、悪性腫瘍などの疾患の重症度、治療効果の判定に極めて有効であり、これらのことにより、血清中のCRPの量は炎症反応の指標とすることができると考えられています。

CRPは通常0.6mg/dl以下です。これは1dl中の血液に0.6mg以下が正常範囲ということ。

0.6〜2mg/dlくらいが軽度の上昇:炎症性疾患の初期、あるいは治癒期、通常感冒のようなウィルス感染症、真菌感染、脳梗塞などで多くみられる数値です。

2〜10mg/dl:やや強い炎症:細菌感染症、悪性腫瘍、心筋梗塞、関節リウマチ、外傷などで多く診られます。

10mg/dl以上:高度の上昇、重症細菌感染症、関節リウマチの活動期、腫瘍、手術後でよくみられます。

一般に細菌感染症で上昇しやすく、ウィルス感染症ではあまり増加しません。ウィルス感染症の中でもアデノウィルスによる感染はCRPが高くなることが多いですが、インフルエンザウィルスのように強い症状がでるものでもCRPの上昇は軽微です。
つまり、通常の感冒では上昇しないことが多いと考えられています。

同じ疾患で同程度の重症度の場合でもCRPの上昇の程度には個人差があります。一人の患者の経過を観察するのに有用な指標といえます。つまり治療効果をみるのに有効で、病院のICUでも、CRPの結果に一喜一憂しながら治療法を検討する場面が多々あります。

炎症や組織の破壊が起こったとき、最初に反応するのは白血球です。白血球は侵襲をすばやく認識し、攻撃します。
その結果、発赤、腫脹、疼痛、熱感といった炎症が起こります。次に炎症時に異物や壊死物質を貪食した単球、マクロファージ(白血球の一種)がIL-6、TNF-αなどのサイトカインと呼ばれる物質が分泌され、これが肝細胞に作用して、CRPや他の急性期蛋白(フィブリノーゲンやαアンチトリプシン)の産生を促進します。

よって、白血球数の上昇は炎症などの侵襲が加わったのち数時間以内に起こり、CRPの増加は6〜12時間後から始まります。
CRPは炎症、組織障害以外で上昇することはなく、炎症の程度を反映しますが、血中濃度の上昇が明確になるには半日を要するので、その間は白血球数が参考になります(図)。
















白血球数は炎症に特異的ではありません。精神的な興奮やけいれんなどでも上昇します。
またウィルス性感染症や小児の感染症ではCRPが正常であったり、高齢者の感染症では白血球が正常であることも多く、感染症の早期診断時や炎症性疾患の活動性を把握する際には診察の所見とともに白血球数とCRPを組み合わせて測定します。

その昔、炎症反応の推測に赤血球沈降速度(血沈、赤沈)がよく使用されていました。昔の診察室で血液の入った細長い試験管のような管が何本もたててあるのを覚えている方もおられるでしょう。図で御覧のように、CRPより遅れて上がり、下降も遅れます。貧血、アルブミン減少、グロブリン増加の影響を受けますので、検査が少し面倒で時間がかかることもあり、最近はCRPにおされてほとんど測定することが無くなりました。

当院では、白血球、CRPを測定して、抗生剤服用の必要がないウィルス性の風邪なのか、抗生剤の飲み薬が必要な細菌の関与した感染症なのか、抗生剤の点滴が必要なちょっと重症の感染症なのか、病院への転送が必要なほどの重篤な感染症なのかを判定する参考にしています。勿論、実際に判定するのは病歴、一般状態を含めた診察であることはいうまでもありません。













◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

今年は花粉が少ないとはいえ、花粉症の方には辛い季節です。

抗アレルギー薬など症状にあった薬剤で乗り切るようにしてください。

また、切らない痔の治療を当院でしています。

お悩みの方はご相談ください。