◆お知らせ
今年ももう終わりです。
皆様にとってはどんな1年だったでしょうか。
今年はなんといっても政権交代が大きなニュースでした。まだ沖縄米軍基地問題や予算案でも迷走が続いているようですが、変化が始まっているときはこんなものなのかもしれません。医療介護方面の政策も来年に期待したいところです。
医療のニュースでは新型インフルエンザの流行が一番の話題でした。5月に大阪府の男子高校生らが成田空港での検疫で初の国内の感染者と確認され、8月に沖縄県の男性感染者が初めて国内で死亡。12月には死者が100人を超え、休校や学年、学級閉鎖の教育関連施設も相次ぎました。情報が錯綜して、我々も混乱しました。今後は今回の騒ぎに学び、もう少し冷静に対応したいものです。
年末年始休暇のお知らせ
12月30日(水曜日)〜1月4日(月曜日)まで休診させていただきます。
1月5日(火曜日)から通常診療となります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。定期薬服用中の方は休み中に薬が無くなるということのないようお願いします。
インフルエンザ予防接種について
忠岡町の65歳以上の方の接種は12月末で終了になります。季節型インフルエンザの自費での接種はワクチンがある間受け付けます。ご希望の方は予約ください。価格は一回3000円です。
今年はワクチンの供給本数が少なかったため、妊婦・小児の方の接種はしていませんので、ご迷惑をおかけしました。
新型ワクチンについては、対象者が拡大してきています。65歳以上の方の接種が来年2月から始まります。当院は基礎疾患をお持ちの方と65歳以上の方の接種を受け付けています。
少しずつワクチンが入荷されてきている状況です。予約制です。詳しくは受付にお聞き下さい。
肺炎双球菌のワクチンのお知らせ
65歳以上の高齢者・基礎疾患があって抵抗力が落ちている場合は肺炎の原因微生物の約半数を占める肺炎球菌のワクチンの接種も勧められます。
当院では自費7000円、予約制で肺炎球菌ワクチンを接種しています。ご希望の方は受付に申し出てください。今までは生涯に1回だけという制約がありましたが、現在その制約は無くなっています。実は効果が約5年というのを聞いていて、なかなか勧めづらい状況にあったのです。
新型インフルエンザは少し下火になったようですが、12月末でも学級閉鎖の知らせがありました。
本格的な季節型インフルエンザのシーズンが始まりそうです。
強毒性のトリインフルエンザの流行も危惧されています。感染対策をお願いします。
まず手洗い、マスク、うがい。手についたウィルスが感染するのは意外に多いです。咳くしゃみが出る場合は咳エチケットをお忘れ無く。外出時にはマスクを。咳くしゃみがでるときは、ティッシュで口と鼻を覆うよう気をつけてください。
◆アネトス通信
今年も残り少なくなりました。アネトスでは緩和ケアに取り組んでいます。
先日、岸和田緩和ケア地域ネットワークに参加し、せん妄について学んできました。
ちょっと難しいのですが、せん妄は意識低下を伴って精神症状(興奮・妄想・幻覚)などが現れる状態です。
終末期がん患者には30〜40%にみられ、死亡直前の患者においては90%がせん妄の状態にある
と言われています。家族にとってはこの時期が一番肉体的にも精神的にもしんどい時です。
ケアはとりあえず安全を確保しつつ、環境の調節を行います。
昼夜のめりはりをつける。たとえば、日中は日光に当たって活動を促し、夜は部屋を薄暗くする。
日時をわかりやすくするためにカレンダーや時計を置く。
後は逆らわず話をあわせたり、話題を変えたりする方法があります。
このような問題は家族や介護者だけで抱えるのではなく、主治医や訪問看護師、療養通所介護のスタッフや担当のケアマネジャーに御相談ください。
◆特集:心不全とNT-proBNP
慢性の心不全は高血圧、虚血性心疾患、心筋症、弁膜症などにより心臓が障害を受け、体に必要な酸素と栄養分を含む血液を送り出せなくなる、あるいは血液のうっ滞を起こして日常生活に支障を生じる状態をいいます。
上記高血圧、虚血性心疾患などが基礎疾患ですが、これに感染、過労、不整脈(特に心房細動)、服薬中止、血圧コントロール不良、狭心症、肺塞栓などが誘因となって、心不全症状が表に出てくることがあります。
心不全の自覚症状は呼吸困難、動悸、疲労、狭心痛などです。ひどくなれば身体活動が制限され、苦しくて寝ていることもできない状況になります。
心不全の重症度分類としてニューヨーク心臓病協会(NYHA)心機能分類が汎用されています。
<ニューヨーク心臓病協会心機能分類>
T度:日常労作では自覚症状なし
U度:強い労作(階段を上る、坂道歩行など)によって自覚症状がある
V度:軽労作によって自覚症状がある
W度:安静時あるいは身の回りのことをするのにも自覚症状を認める
この分類は簡便ですが、このような症状は心不全以外にでも生じることがあるのが問題となっています。
血液検査で心不全の程度がある程度わかるようになってきました。
現在心不全に有用な血液検査マーカーとしてNT-proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)が使用されています。何らかの原因で心室が楽に動けない状態になった時に、心筋が他の臓器などに苦労を知らせるホルモンで、いわば心臓の悲鳴の程度を表すものです。
以前はBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)がよく測定されていました。現在では採血後安定していて、血清での測定が可能なNT-proBNPが測定されます。なお、腎臓病、心房細動などの不整脈があると症状・病態から予測されるよりも高く出ることがあります。
<NT-proBNP測定値(単位はpg/mL)と慢性心不全の診断指標>
55以下:心血管系に問題なし
55-125:高血圧などを含む生活習慣病の疑い(早期の予防・改善を)
125-500:生活習慣病and/or心不全を含む心臓病の疑い(早期予防改善に加え、経過観察が必要)
500-1000:心不全を含む心臓病の疑い(心機能のチェックを行い、適切な治療が必要)
1000-4000:心不全を含む心臓病の疑い(専門医への紹介が必要)
4000-8000:心不全を含む心臓病(早期専門医紹介、精査治療が必要)
8000以上:心不全を含む重篤な心臓病(緊急の入院、加療が必要)
上記のNYHA分類ではNYHAT度がNT-proBNP500程度、U度が3000前後、V度が5000前後、W度8000以上、とおおまかに予測されます。
当院では精査・加療の必要な心不全の患者さんは病院の循環器科へ紹介しています。泉州医療危機の中にあって、循環器領域の診療は幸いなことに充実しています。心エコー、RI検査、造影検査などで原因疾患が特定されたら、病状に応じた治療が開始されます。
重症の心不全は入院して、強心剤、利尿剤などの注射、水分制限などの治療がなされます。病院での急性期治療が済んで安定した心不全の経過観察については当院でも可能です。
慢性心不全の一般的な注意として塩分、水分を取りすぎないこと、適度な運動をすることが勧められますが、基礎疾患、心機能の状態によって指導は異なるため、個別対応が必要となります。ご相談ください。
疲れやすい、動悸がある、少し運動すると息切れがある、などの症状のある方は一度心不全の程度を評価するためにも一般血液検査とともにNT-proBNPを測定してみますのでお申し出ください。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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