ホームドクター通信
2008年12月 No.37

◆当院からのお知らせ


年末年始・休診のおしらせ

12月30日(火)午後から1月4日まで休診させていただきます。
1月5日(月)から通常診療いたします。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。



インフルエンザ予防接種

インフルエンザの予防接種しています。
12月末までは忠岡町在住で65歳以上の方は町の補助があり、1回だけ1000円で接種できます。それ以外の一般の方は例年と同じ中学生以上2500円、小学生以下2000円となります。今シーズンは大阪府のインフルエンザの出足が早いという報告がありました。予防のためにうがい、手洗いを励行してください。
このシーズン、医師看護師ともにマスクをして診療にあたることが多くなりますので、ご了承ください。



新型インフルエンザ

今年はまた変異型鳥インフルエンザの流行が危惧されています。一旦流行すれば一気に広がる(パンデミックといいます)ことが予想され、日本では64万人が最悪の場合死亡するという予測もあります。
厚生労働省は「いつ発生してもおかしくない」として、家庭でマスクや食料を備蓄するよう呼び掛けています。
でもまだ一般には浸透していないような気がします。備蓄は2週間くらい外に出歩かなくてもいいくらいの食料、マスクとお考えください。長期保存のきく缶詰、レトルトなどの食品は2ヶ月くらいと勧める専門家もいます。今回医療ページに今年の情報をあげておきました。



自分の見ている文字がパソコンの画面に

京都の研究グループの研究結果です。健常被験者にある文字を見て貰って、そのときの脳の視覚に関する部分を機能的磁気共鳴画像(fMRI)という装置で解析します。脳の活動状態、血流などをパソコンを使って処理すると、そのパソコンの画面にその人のみている文字が表示されました。実際の実験映像をみましたが、驚きの研究です。今は文字認識だけですが、研究が進むと脳の活動をfMRIで観察すると人が見ている文章や図形、映像もパソコン上に再現できるかもしれません。
さらに、今何を考えているかどんな夢をみているかもわかるかも……。



神経難病からのiPS細胞の作成

iPS細胞はどんどん進化を続けています。
今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィーの患者さんからiPS細胞が作成されたことが報告されました。
神経難病は大半が原因不明です。そのiPS細胞を神経に分化させて、病気のメカニズムを詳しく調べることにより、治療法の開発ができるのではないかと期待されます。
このiPS細胞の研究は是非日本が世界をリードしていってほしいです。



療養通所介護

療養通所介護・アネトスが10月1日にオープンしました。今人数を絞って運営中。ご利用の方の満足度は高いようです。パンフレット作成しており、受付においています。御覧ください。



番号札・ネームホルダー

番号札による診察順番通知は大分定着してきたような印象を受けます。自分があと何人待ちなのかが今まではわかりにくかったこともあり、概ね好評と感じています。また個人識別のため、診察券をネームホルダーにいれ当院におられる間お持ちいただくことにしています。診察室で診察券を置いて出られる方がまだ多いのですが、検査・処置・注射・会計のときにも患者さん確認のため必要ですので、お帰りになるまでお持ちください。今のところこの方法で特に問題はないように感じますが、常に改善を心がけています。何かご意見等ありましたらお気軽にスタッフまでお伝え下さい。










◆特集:新型インフルエンザ 2008-2009



必ず発生する「新型インフルエンザ」。 正しく知ることが、最大の防御策、知識のワクチンです。この院内報でも今年の2月に取り上げましたが、もう少しわかったところまで書いてみます。

新型インフルエンザウイルスについて

おさらいです。A型インフルエンザウイルスの表面にはHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼという酵素)の2種類の突起があります。鳥ではHAが15種類、NAが9種類あります。鳥インフルエンザはHAが5番目、NAが1番目の型のウイルスで、非常に病原性が高いことで知られています。これが最近人に感染するようになりました。鳥インフルエンザが更に変異して、人から人に容易に感染するようになれば、新型インフルエンザの誕生となります。

厚生労働省は新型インフルエンザ(H5N1の鳥インフルエンザが人から人への感染力をもつ)が発生流行すれば、国民の4分の1が感染、約1300万人から2500万人が病院を受診すると推計。1918年のスペイン風邪(致死率2%)より計算して、2ヶ月で最大64万人が死亡すると試算しました。
しかし、今回の鳥インフルエンザはスペイン風邪より強毒型で、日本人の死者が210万人にのぼる、との試算もあります。



新型インフルエンザが発症したら…

人から人に感染しやすい新型インフルエンザが出来てしまった、とします。またたく間に新型インフルエンザは拡がり、海外で発生した新型ウイルスに感染した旅行者が、知らぬ間に日本に入り込むことにより1週間後には日本にも入ってくるだろうと考えられています。

そこから1ヵ月後には大流行・いわゆるパンデミックとなります。

世界保健機関(WHO)では、新型インフルエンザを封じ込めるため、新型の感染者が発見されたら、その地域の半径5kmを封鎖する計画を立てています。新型インフルエンザ関連のニュースに注意を払っておいてください。
今年の4月に法改正がなされ、新型インフルエンザは、ペストやエボラ出血熱などと同程度の、危険度の高い感染症と位置付けられ、感染者等に対する強制措置が可能となりました。

すなわち患者の隔離や立ち入り制限、就業制限などの強制的処置も可能となりました。国もようやく最悪の場合に備えた対応に本腰を入れ始めたといえます。



パンデミックが始まってしまった場合の拡大予防措置

米国では、国内の感染の拡大(パンデミック)が確認されたなら、大学を含むすべての教育機関を3カ月間、閉鎖することが決まっています。
また社員の在宅勤務や部門ごとの時差出勤などを実施し、社内に人を密集させない対策を取る予定の企業が多いそうです。
日本では具体的な教育機関の閉鎖・集会の禁止、大規模施設の閉鎖などはまだ決まっていません。一人でも感染者がでたら、近隣学校の休校・集会中止の措置が望ましいと思います。国の強力な指導力を期待したいところです。



感染拡大防止のため、通学しない・通勤しない・買い物しない・いつもの病院に駆け込まない・電車をやめて徒歩か自転車で・いつもマスクを忘れずに・外から戻ったら必ず手洗い

パンデミックが始まってしまえば、いかに感染しないようにするかが重要になってきます。そのためには人の集まる場所に極力、行かないことが肝心。感染の最初のピークは6〜8週間前後で終わると専門家は予測しているので、一定の食糧、水、日用品を家庭に備蓄しておくことが必要です。インターネットでの買い物、宅配サービスなどを利用することは、人との接触をなるべく避ける意味でも有用です。
感染が全国に広まった場合には、地震と違ってどこからもしばらく救援は来ないので、一般的には、最低1カ月分の食糧の備蓄が必要と考えられています。最悪の場合を想定して今から何を用意すべきかを真剣に考えておくべきです。



実際にかかってしまったら

いつもの病院にかけこまずに、保健所、発熱外来をしているところに連絡し、タミフル、リレンザなどの抗ウィルス薬をできるだけ早期から開始することが大事です。このあたりではりんくう医療センターに発熱外来ができると思います(未定、予想です)。

抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」は個人が直接薬局などに行って購入することはできず、医療機関で医師の診察を受け、処方箋を交付してもらう必要があります。しかしパンデミックの場合は非常事態なので電話だけでタミフルを購入できるようなシステムを組むことも考えられています。

また、感染した人は咳エチケットを守りずっとマスクをしておくよう。看病にあたる人も感染しないように、マスク、ゴーグル、ビニール手袋をして世話をするなどが大事です。
接触後は、着替え、うがい、手洗いを。



トピックス

@ H5N1型鳥インフルエンザに対する効果が動物実験で確認された新薬「T-705」が、臨床試験の最中です。
   2009年中には発売されそうです。

A 新型インフルエンザ検出キットが開発されました。
   ウイルスにレーザーに標識される物質を結合させ、レーザー観察。時間にして3〜5分で新型インフルエンザかどうかが
   わかります。感染者が海外から帰ってきたときの水際阻止に役立ちそうです。しかしこれも来年から運用予定です。

B プレパンデミックワクチン:H5N1型のワクチンが開発され、2008年8月には検疫官や感染症指定医療機関の
   職員等6400名を対象に事前接種する臨床研究が開始されました。有効性が確認されたら、2009年には3500
   万人分のワクチンが備蓄されることになっています。

今年を乗り切れば、なんとか準備も間に合いそうな気もしてきます。研究者には頑張ってほしいし、ウイルスにはもう少しおとなしくしていてほしいものです。



再度予防について

一般的にインフルエンザから身を守る身近な対策としてよく言われるのが、うがい、マスクの着用、手洗いです。
飛沫感染で喉の粘膜に付着したインフルエンザウイルスは、10分ほどで粘膜細胞の中に侵入するので、感染者と接触したら早めのうがいが必要です。

マスクと手洗いは効果的で、使い捨ての風邪用マスクでも、きちんと顔に密着させて着けていれば、感染者の咳などで飛んで来るウイルスを遮断することができます。新型も含めインフルエンザのウイルスは、衣服や肌に付いても1時間程度しか生きていられません。ウイルスが付着した手を舐めたりしない限りはまず感染しないとのことです。とはいえ、ドアの取っ手などにウイルスが付着していて知らずにつかみ、その手を無意識に口元に、というケースはありえます。頻繁な手洗いが新型の予防にも効果があります。


今回のネタ本のひとつ、知識のワクチン、新型インフルエンザ予防マニュアル(岡田晴恵著)を待合室においています。是非お読みください。











◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

早いものでもう12月。

今年もあと1ヶ月をきりました。

暖かい日もありますが、やはり冬。

診療所の中は暖かいですが、外に出ると寒いです。

忘年会シーズンでもあり、メタボ該当の方は飲み過ぎ食べ過ぎに注意。体調を崩されませんよう。