ホームドクター通信
2008年10月 No.35

◆当院からのお知らせ


10月になりました。祭りも終わり、キンモクセイも散って秋の深まりを感じます。
寒暖の差が大きいので、体調を崩されませんよう。



インフルエンザ予防接種

前年と同様、10月15日からインフルエンザの予防接種しています。
忠岡町在住で65歳以上の方は町の補助があり、1回だけ1000円で接種できます。
12月末までです。それ以外の一般の方は例年と同じ中学生以上2500円、小学生以下2000円となります。

今シーズン、当院ではまだですが、全国的に10月初旬からインフルエンザが発生しています。忠岡中学校の生徒の発症もありましたし、堺市では学級閉鎖もあったとのことで、今年は出足が早いのかもしれません。予防のためにうがい、手洗いを励行してください。風邪のシーズン、医師看護師ともにマスクをして診療にあたることが多くなりますので、ご了承ください。



療養通所介護

療養通所介護・アネトスが10月1日にオープンしました。
とはいっても、まだ物品、環境整備で足りないものを補充したり、スタッフを馬場記念病院の療養通所介護ペガサス(大阪で今までは1つだけ)に研修に行ってもらったりして、準備を整えているところです。
医療依存度の高い方を半日〜1日お預かりする施設です。

対象となる方は通所のニーズがあり、当院で在宅医療を提供している医療依存度の高い難病などの中重症者・癌末期の患者で、定員は1日5名まで。半日〜1日お預かりする施設です。
在宅医療を実際していると、夜間みてほしいというニーズが多いのも感じますが、次の課題としております。
とりあえず、昼間のみです。デイホスピスを意識した施設で、常時看護師の見守りで重症の方でも安楽に過ごしていただけるよう整備を整える所存です。
一般のデイケア・デイサービスのようなレクリエーション、リハビリ等はせず、その人なりの快適な方法で1日を過ごしていただけるよう考えます。



8月より、番号札による診察順番通知を開始し、現在はホワイトボードに現在の診察順番を書くようにしています。また、検査等で再度診察室に入る方がおられる場合も書くようにします。
大分定着してきたような印象を受けるのですが如何でしょうか?ご意見等ありましたらお気軽にスタッフまでお伝え下さい。
また個人識別のため、診察券をネームホルダーにいれ当院におられる間お持ちいただくことにしています。
診察室で診察券を置いて出られる方がまだ多いのですが、検査・処置・注射・会計のときにも患者さん確認のため必要ですので、お帰りになるまでお持ちください。



特定健診を受け付けています

できれば予約の上、朝食を抜いて午前中に受診してください。
メタボリック症候群にフォーカスをあてた健診で、胸部レントゲンが無くなり、腹囲の測定が必須となっています。
慢性疾患継続治療中の方の健診は必ずしも必要はありませんが、ご相談ください。
社会保険の方も当院で受けられる場合がありますので、こちらも受付スタッフにお聞きください。







◆特集:高齢患者への薬剤処方


国立保健医療科学院から、高齢者における不適切な薬剤処方の基準の発表がありました。
私自身高齢者の方に処方している薬もいくつか含まれています。テレビ・新聞などで御覧になった方も多いと思います。
この発表となった背景、また現在当院での薬の処方について書いてみます。


なぜ「高齢患者における不適切な薬剤処方の基準の一覧表」を作成することになったのか。リスト作成責任者のコメントです。

現在、製造されている処方薬は、小児と大人の区別しかありません。代謝のいい20歳の若者と痩せた70歳の高齢者が、同じ『大人』と括られて同じ分量を処方されているのが現状です。

人口構造がピラミッド型で、平均寿命が60歳だったときは、小児と大人の2パターンの区別で差し障りはなかったことでしょう。
しかしこれだけ高齢化が進めば高齢者向けに薬の量が提示されてもいいのではないでしょうか。高齢患者に処方するにあたり注意する薬のリストを作成しました。

排尿困難を起こしやすい抗アレルギー薬、錯乱や幻覚などを起こすおそれのある胃薬、肝機能障害の危険がある抗血小板薬など71の薬剤をリストにしました。疾患・病態に関わらず使用を避けることが望ましい薬剤46種類と、特定の疾患・病態において使用を避けることが望ましい薬剤25種類です。
これらを高齢者に処方するときは、量が適切か、副作用は出ていないか診察のたびに細心の注意が必要です。

リストに掲載された身近な71種類の薬剤だけでも、医師は処方するときに留意してもらいたいです。そして代替薬があるものはどれが患者さんにいちばんふさわしいか検討してもらいたいです。


このリストは新聞にも掲載されていました。安定剤、睡眠導入剤、抗アレルギー剤、循環器系の薬の中には当院でもよく使用する薬が含まれています。
私が高齢の方に処方したこともあるハルシオン、デパス、ドグマチール、ロヒプノール、メイラックス、ジゴシン、カルデナリン、アダラート、タガメット、リスモダンなども掲載されていました。日々飲み慣れた薬がリストに挙がっていれば不安になるし動揺する方も多かったようです。


リストの全表示はここでは控えますが、国立保健医療科学院のホームページから検索できます。
http://www.niph.go.jp/soshiki/ekigaku/BeersCriteriaJapan.pdf
待合いにもコピーを置いておきますので、ごご参照ください。このリストにあがっている薬を服用しているからといって、即「危険」というものではないです。「他の薬があるならできれば避けてほしい」ということだし、用量によっては全く服用しても問題はないものもあります。



確かに高齢者の明らかに抗不安薬の副作用と思われるふらつきを目にしたことはあります。
ふらつきは転倒につながりやすく、転倒して骨折すれば寝たきりにつながり、寝たきりは死亡を早めてしまうこともあります。また、ふらつきは誤嚥のリスクも高くなります。でも、抗不安薬で快適な生活をされている高齢者もいることも事実。
結局は適切な薬の量を処方するために、処方する高齢者の全身状態・意識レベルを診たり、可能であれば腎機能や肝機能の検査、心電図などの検査をする必要があるということになります。


再度作成者のコメントです。

リストの薬剤すべてが全員の患者さんにとって危険だから中止すべき、というものではないし、法的な効力もありません。
しかし、さしたる根拠もなく習慣でなじみの薬を処方しているのであれば再考してもいいのではないか、と考えています。
たとえ患者さんがある特定の薬を要求しても、高齢患者にふさわしくなければその旨を説明し、代替薬があれば切り替えるべきです。なによりも安全性の確保、医療の質の向上が重要です。
















薬を処方する側からは耳の痛い話です。
今後はこの薬は高齢者にとって望ましくない薬だから、という理由で処方の変更をすることがあるかもしれませんので、ご了承ください。

また、リスト掲載薬を高齢者の方に処方するときは細心の注意を払います。すべての薬剤の即刻中止というわけではありません。もうすぐ、リスト掲載薬の代替薬のマニュアルが出るそうですから、これも参考にしていきたいと思います。


また薬の飲み合わせには以前から注意をしているつもりです。
他院で処方された薬がある場合はその薬剤の説明書、薬剤名などを当方に通知するようにしてください。たとえ整形であっても、歯科であってもお知らせください。事故防止のためにはこちらの方も大事と思います。















◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

先月号あたりからまた遅れ気味になってしまいました。すみません。

毎月1日発行予定です。

来月号は頑張ります。

朝晩の気温の差が大きくなっています。体調を崩さないように気をつけましょう。