胃食道逆流症のためのFスケール問診票

 @胸やけがしますか?
 Aおなかがはることがありますか?
 B食事をした後に胃が重苦しい(もたれる)ことがありますか?
 C思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか?
 D食べたあと気持ちが悪くなることがありますか?
 E食後に胸やけがおこりますか?
 Fのどの違和感(ヒリヒリなど)がありますか?
 G食事の途中で満腹になってしまいますか?
 Hものを飲み込むと、つかえることがありますか?
 I苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか?
 Jゲップがよくでますか?
 K前かがみをすると胸やけがしますか?
  

   ない:0点       まれにある:1点    時々ある:2点
   しばしばある:3点  いつもある:4点

   ●合計点8点以上● 逆流性食道炎の可能性が高い
ホームドクター通信
2008年5月 No.30

◆当院からのお知らせ

5月に入り、爽やかな季節となりました。
外来としては感染性の胃腸炎やチャドクガによる皮膚炎が少し増えているようですので、注意してください。

特定健診の通知が届き始めました。当院でも健診はしますので、できれば予約の上、朝食を抜いて朝受診してください。
メタボリック症候群にフォーカスをあてた健診で胸部レントゲンが無くなっています。腹囲の測定が必須となっています。


飲む禁煙補助薬チャンピックスが発売になりました。脳のニコチン受容体に作用し、たばこへの切望感や不安、不眠などの離脱症状を減らす飲み薬です。
不眠、うつ病発症、意識障害などの副作用は報告されていますが、日本での使用報告などをみてみますと、比較的使いやすい薬で禁煙効果も高いようです。副作用に気をつけながら使用していきたいと思います。従来のニコチンパッチも保険で使用できますがチャンピックスとの併用はできませんので、受診の際に相談してどちらかを使用することになります。



4月の末にNHKのクローズアップ現代という番組に、一分間程度出演しました。
救急医療の特集だったのですが、高齢者の救急受診が多いのが問題として取り上げられていました。在宅医療がその対策になるということで、岸和田の4診療所が連携しているhck24(http://www.hck24.com/)の出水クリニックが取材を受け、そのバックアップをしている診療所として当院が紹介されたものです。


デイホスピスをするための療養通所介護の工事が始まりました。
隣の民家を借りて現在改装中です。当初の予定より少し遅れ、10月オープンの予定です。これは主に在宅医療を受けている比較的医療依存度の高い方を日中主に看護師がお世話をするという施設です。
工事中は何かとご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。



世界的な感染症の流行をパンデミックといいますが、近年東南アジア諸国で発生している高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型によるトリインフルエンザにより、現在でもパンデミックが起こる恐れがあり、世界保健機関が途上国を中心に対策を立てています。患者が急増した際の医療機関の混乱や、交通機関のまひ、食料の供給不足などを懸念する専門家の指摘もあり、日本では、厚生労働省を中心に地方自治体が対策をとっています。パンデミックフルーの情報提供のためのカード(神経衰弱のようなゲームができます)があります。興味のある方は受付に申し出て下さい。


学会参加のため、6月から9月の第4土曜日(6月28日、7月26日、8月23日、9月27日)と、10月4日土曜日が臨時休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。







◆特集:胃食道逆流症・逆流性食道炎


胃食道逆流症(医師の間ではGERDといいます)は胃内容物の逆流によって不快な症状あるいは合併症を起こした状態をさす、と定義されています。

胸焼け、黄水(キミズ)が上がる、チリチリする痛み、食後みぞおちから胸の下あたりが焼け付くようなどの症状で知られています。
代表的な病名は逆流性食道炎です。欧米に比べて少ないと言われてきましたが、いくつかの調査によると、自覚症状もない人(内視鏡で診断)も含めると、日本人では数パーセントから約20%の人が逆流性食道炎とみられており、増加傾向にあります。

逆流性食道炎が増えてきた原因として人口の高齢化、食生活習慣の変化、肥満の増加、診断技術の向上があげられています。


胃酸の逆流で逆流性食道炎が起こります

 食べたものは強い酸である胃酸によって消化されます。しかし、食道と胃のつなぎ目の機能が故障するなど様々な原因により胃酸が胃から食道に逆流すると、胸焼けがおこります。そして、胸焼けが何度も続くと、食道の下端の粘膜が炎症を起こして、逆流性食道炎となります。食道は胃と異なり胃酸を防御する働きがないため、胃酸が逆流すると炎症が起こりやすいのです。炎症が強くなると潰瘍(かいよう)が生じて、出血や狭窄(きょうさく:せまくなること)の原因になります。



食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア?

 胃食道逆流症・逆流性食道炎の原因のひとつに食道裂孔ヘルニアという状態があります(図参照)。











食道裂孔とは横隔膜に空いた食道を通す穴で、胃と食道を固定し逆流を防止していますが、これがゆるむと胃の一部が胸部に持ち上がってきます。これが食道裂孔ヘルニアで、食道と胃のつなぎ目(接合部)のしまりも悪くなり、胃の内容が簡単に食道に戻りやすくなります(ヘルニアとは医学用語で脱出の意味で、椎間板ヘルニアや脱腸=そけいヘルニアなどのように本来の場所から飛び出している状態を言います)。程度がひどいと手術が必要です。最近では腹腔鏡下での手術が有効で、開腹に比べて侵襲が軽いです。



胃食道逆流症の症状

症状は主に胸やけで、特にかがんだ時や食べすぎた後あるいは就寝後に強くなるのが特徴です(これは重力の関係で胃酸が食道に戻りやすくなるためです)。夜間の咳の原因になることもあります。また、げっぷやのどに酸っぱい水(胃酸)が上がってくることがあります。

潰瘍がひどくなると、狭窄による食べ物のつかえ感・胸痛や持続出血による貧血まで出現してきます。内視鏡検査でもほとんど異常がないのに、胃酸の逆流による症状がおきている場合もあります。



胃食道逆流症の診断

診断は症状からほぼ見当がつきますが、問診票がありますので、参考にしてみてください。食道がん等を否定するために内視鏡検査を行う必要があります。



胃食道逆流症の予防

脂肪の多い食物、チョコレートなどの甘いもの、アルコール、香辛料など刺激のあるものは控えるようにしましょう。
たばこも胃酸の分泌を高めます。肥満やお腹を強くしめることは、お腹に圧力がかかり食道裂孔ヘルニアの原因になります。
腰痛でバンドをしている人も、動かないときにはゆるめるようにしましょう。
胸やけの傾向のある人は、一度に食べ過ぎないこと、特に消化の悪いものや胃に残りやすいもの(油こいもの・いも類など)に気をつけることが大切です。
食後すぐに横にならず、座って過ごすこと、寝たあとで症状の強くなる人は寝る前二時間は食事をしないようにして、上体を高くして休むと良いことがあります。



胃食道逆流症の治療

胃・十二指腸潰瘍で用いる胃酸を抑える薬・特に酸抑制剤のうち効果の強いプロトンポンプ阻害剤(PPI)という薬が有効です。
従来PPIは医療保険では2カ月以内で中止しなければなりませんでしたが、現在では長期投与が可能となり、重症の患者さんにとっては朗報となりました。酸抑制剤の他に胃食道接合部の緊張や胃の運動を強め、逆流を抑える薬も併用することがあります。治療が遅れ食道が狭窄してしまった場合には、内視鏡を使い風船をふくらまして広げたり、場合によっては手術が必要なこともあります。
食道裂孔ヘルニアも手術が必要な場合があります。現在は上記のような良い薬がありますので、我慢しないで早く治療を開始することが大切です。

























◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

今月号も大幅に遅れてしまいました。

毎月言っているような気がしますが、来月号こそは!もう少し早く出せるように努力します。

よりよい紙面づくりを目指し、皆様からのご意見、ご要望などをお待ちしております。

スタッフまで声をおかけください。