◆当院からのお知らせ
春まっさかり、といった感じの日からまだ肌寒い日が交代でやってきます。
だんだん暑くなってくるんでしょうね。4月です、もう後半ですが。
インフルエンザは終結したと思いますが、まだこの近辺からも感染があったとの報告が4月に入ってもあります。
今シーズンは新型インフルエンザの流行はなく、ほっとしています。新型インフルエンザ対策として、ワクチン開発などの動きがあります。いい方向に向かうことを期待しつつ次のシーズンを待ちたいと思います。
4月に医療法の改正があり、75歳以上を後期高齢者とし、新しい保険制度を適用しています。
保険料を年金から天引き、周知が徹底していなかったなど混乱しており、厚生労働省のミスばかりが目立ちます。
後期高齢者の外来主治医制度に関しては、当院が以前より提唱してきた「かかりつけ患者さん」のコンセプトに近いものがあります。高齢者にかかりつけ医を担当させて日頃から健康状態のチェックをしていると、危険な病気の突然の発症・救急受診などは確かに減るとは思います。制度としてはいいように思うのですが、時期尚早。まだ高齢者自体の受け入れができているとも思えず、義務化するのは早すぎますね。希望者だけにすべきかと思います。
また、診察に5分かけないといけない、という規定もできて、首を傾げてしまいます。
睡眠剤等の長期処方が可能になりました。1ヶ月に1度の受診を推進しようとしているようです。
従来の住民健診に変わって、メタボ健診が始まります。生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防の概念を取り入れた厚生労働省の特定健診・特定保健指導が4月から始まりました。40歳から74歳までの男女約5600万人を対象にしています。
メタボは内臓の周囲に蓄積した脂肪が元凶となり、高血圧、脂質異常症などリスクが複数あれば、動脈硬化を起こし、心筋梗塞などの重大な疾患につながるという考え方です。肥満・内臓脂肪が多い人には生活習慣病・心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクが高い、というのは事実だと思いますので、制度の考え方はいいと思います。
メタボ患者の減少により将来の医療費が削減できる、という予防医学の取り組みとしては世界をリードする壮大な試みだけに成果が期待されるところです。問題は受診率と指導を受けた後、どの程度の方が食事、運動に気をつけてメタボ脱却となるのか、というところですが、始まったばかりなのでなんとも言えませんね。
生活習慣病の発症リスクというかなりやすさを遺伝子レベルで検査するキットがでてきています。以前肥満遺伝子の遺伝子検査を爪でしたことがありますが、それの発展系のようです。安いものでは8000円から高いものでは20万円。また適宜自分の遺伝子を調べてもらって、よければお勧めすることにします。
休診のお知らせ
4月26日土曜日、5月10日土曜日、6月から9月までの第4土曜日、10月4日土曜日、学会出張のため、休診の予定です。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
◆特集:コレステロール新事実
コレステロールは高ければ動脈硬化を促進させるので、狭心症、脳梗塞といった血管の老化に関係する病気のリスクを高めるのですが、コレステロールは細胞膜の原料になったり、血管壁を丈夫に保ったり、性ホルモン、ステロイドホルモン、胆汁酸の成分になったりという大切な働きがあるために少なすぎてもいけません。最近コレステロールについていくつかの話題がでていましたので紹介します。
高コレステロール食
一般的にコレステロールが高いと言われたら1日300mg程度のコレステロール摂取を目標にしましょう。卵、イカ、エビ、タラコなどはコレステロールが高いので食べ過ぎないよう、とされています。では、高コレステロール食を食べた翌日の総コレステロールの値はいくらか? 答えは「変わらない」です。食事内容が高コレステロールでも、それを体内でうまく調整できるからです。コレステロール自体は食べ物ばかりでなく肝臓で7割が作られますので、短期間または1回で大量に高コレステロール食を食べても血液中の値は急激に上昇はしません。しかし高コレステロール食を続けると3日目からは上昇傾向を示します。
コレステロールを下げる油
市販されている食用油の中で、「コレステロールが気になる方へ、コレステロールを下げる」という表示のある油があります。メーカーの実験では確かに総コレステロール値は下がっています。コレステロールを下げる油には植物ステロール(植物の細胞を作る材料)が入っていて、これが動物のコレステロールよりも吸収しやすいから数値が下がるとしていました。この植物ステロールは血液中に入っても結果的には全て排出されるそうです。しかし、食事内容・カロリーが変わらずに油だけを植物ステロ−ル入りのものに変えれば確かに下がるが、食べ過ぎてしまえば逆効果です。油を使った料理が増えると結果としてカロリーが過剰になってしまいます。
下げすぎは危険
上記のような研究結果がでました。以前からも一番総死亡率が低いのはコレステロールが240〜280mg/dlの人たちであるという結果もでています。
どういうことなのか? 高コレステロールが原因で動脈硬化が進展し、心筋梗塞・脳梗塞になってしまう人は確かにいます。また一方でコレステロールが高いままでも何も起こらず天寿を全うされる方がいます。これは体質による、としか言いようがないです。結局は遺伝子レベルの話になると思います。この遺伝子とこの遺伝子の一部に特殊な変異があるので、あなたは動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞になりやすいです。積極的に薬を使って血圧コレステロールを下げます。運動して体重を落とさないと危険です。あるいはあなたは動脈硬化発症リスクに関係する遺伝子変異がないのでコレステロールは下げる必要は無いです。そういう話になってくるのだろうと思います。しかしこの遺伝子レベルの話ができるのは10年くらい先だろうと考えています。
それまではどうするか? 一度でも脳梗塞、心筋梗塞になったことのある人は積極的にコレステロールを薬物で下げた方がいいです。糖尿病の方も下げておく方がいいでしょう。高血圧、喫煙者、脳梗塞、心筋梗塞の家族歴のある人も要注意です。それ以外の方のひとつの目安としてLDL/HDLをご紹介します。
LDL/HDL
コレステロール管理の目安として、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロール値を「善玉」のHDLコレステロール値で割った数値が注目されています。
コレステロールは血液に含まれる脂質の一種。悪玉のLDLは体中の血管にコレステロールを運び、善玉のHDLは余分なコレステロールを回収する役目を担います。両者とも体内の細胞膜に欠かせないものですが、LDLの量に比べてHDLが少なすぎると、コレステロールの供給過剰を招きます。プラークと呼ばれる塊が血管に付着しやすくなり、動脈硬化の原因になります。動脈硬化予防には、悪玉のLDL値を下げるだけでなく、余剰分を回収してくれる善玉のHDL値を上げる必要があります。
手軽に危険度をチェックする目安として、「悪玉÷善玉」という数式。
この値が「2.5以上」なら要注意で、健康な人なら「2.0以下」、糖尿病や高血圧といった危険因子を持っている人は「1.5以下」を目指すよう呼びかけています。
指標の根拠は複数の研究データです。軽症狭心症患者約100人を対象に実施した国内の臨床研究では、「悪玉÷善玉」の値が「2.5以上」になると、血管内のプラーク占拠率が目立って高くなりました。この値が「2.0以下」になるとプラークの体積は縮小に向かい、「1.5以下」ではさらに小さくなりました。
当院でお渡しする検査結果の中にある動脈硬化指数は(総コレステロール−HDLコレステロール)÷HDLコレステロールですので、少し違います。LDLコレステロールは計算上、総コレステロールからHDLコレステロールと中性脂肪×0.2を引いた値です。
これも変えていただけるよう検査会社にも要望を出しておきます。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
何をしてくれるの?