寒い日が続きます。
雪の日もあり、今年は暖冬、という言葉が聞かれませんね。昨年に比べ随分寒いような気がします。
体調を崩されませんよう。
禁煙治療に内服薬が登場します。
チャンピックスという名前で、ニコチン受容体に作用する部分作動薬で、脳内のニコチン受容体に弱く作用して喫煙したときと似た満足感を与え、逆にニコチンが受容体に結合するのを阻害するため、喫煙しても満足感を得られなくするのです。
約6割の方に効果があるようです。持続的な禁煙達成効果はニコチン置換療法より優れるとされています。
国内臨床試験の結果、515人の日本人を対象に試験を実施。
禁煙達成率は用量依存的で、1mg投与群では12週間後に65.4%、52週後に34.6%が禁煙を継続していました。ニコチンパッチとの併用は原則としてできず、単独で12週間服用するとのこと。ニコチンパッチやニコチンガムと異なりニコチンは含まれず、ニコチンパッチではかぶれたりするニコチン過敏症の方にも使用可能です。
ただ、鬱状態になる、という報告もあり、少し注意が必要かもしれません。
4月の発売で、禁煙治療を保険でできる施設(当院もそうです)で使用出来るようになる見込みです。
決定したらお知らせします。
インフルエンザ
タミフルだけでなく、シンメトレルという薬にも異常行動がでることが報告されています。
10代のインフルエンザ患者さんには今年度は原則、タミフルが処方できず、シンメトレルかリレンザ処方だったのですが…。インフルエンザそのものにも異常行動を起こすことがあるので、罹患したらなるべく一人にはせず、注意深い観察が必要、ということなのでしょう。
また、タミフル耐性(タミフルが効かないインフルエンザウイルス)の報告もでています。欧州疾病対策センターの発表によると、A(H1N1)型のインフルエンザで2004年から昨シーズンまでに、タミフル耐性のウイルスは1%未満しか報告されていなかったのに対し、今シーズンは14%からタミフル耐性のウイルスが発見されています。
医療面では新型インフルエンザのことを書いてみました。早く暖かくなってほしいですね。
私も注目している京都大学発のiPS細胞、癌化しにくい細胞ができたそうです。以前は皮膚からiPS細胞をつくったようですが、今回は肝細胞から、とのこと。再生医療もすすみますね。
前回の院内報を書いた後、診療所の隣にある私の母の家をつぶして新しい施設・療養通所介護を建てる、という噂が流れたそうです。お借りしたのはその裏の民家です。7月開設の予定でしたが、諸般の事情により少し遅れそうです。
4月からの保険改訂があります。
まだ答申のレベルですが、75歳以上の方を後期高齢者として、保険を分ける、というのはどうもほぼ決定されるようです。
住民健診が無くなり、特定健診・特定保健指導になることは決定されています。詳細はまた次号ででもお知らせできると思います。
◆特集:新型インフルエンザ
1月に放映されたNHKの「シリーズ 最強ウイルス ドラマ 感染爆発〜パンデミック・フルー」という番組をみた方もおられるでしょう。細かいところはともかく、問題提起という意味ではいい番組でした。パンデミックとは世界的大流行のことです。
今、鳥インフルエンザが変異して、人から人にうつることにより、パンデミックがおこるのではないか、と危惧されています。
昨年の院内報に書きましたが、おさらいです。
インフルエンザにはA、B、Cの3つの型があります。
A型インフルエンザウイルスの表面にはHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼという酵素)の2種類の突起があります。人に感染するインフルエンザウイルスのHAは3種類(H1、H2、H3)、NAは2種類(N1、N2)が知られています。有名なA香港はH3N2、Aソ連はH1N1のウイルスというように表現します。今年流行しているのはAソ連型です。
インフルエンザは鳥や豚などにも感染し、鳥ではHAが15種類、NAが9種類あります。
通常、鳥のウイルスは人間にうつりませんが、豚は人間、鳥両方のウイルスがうつります。その豚が鳥のインフルエンザウイルスに感染し、さらに同じ豚が人のインフルエンザウイルスに感染し、その豚の体内で人間と鳥のウイルス遺伝子の一部が置き換わる(交雑といいます。突然変異のひとつです)と、人にも感染する新型が発生します。
これが新型ウイルス発生のメカニズムです。
今話題の鳥インフルエンザはH5N1で、鳥のウイルスなので、人には感染しないはずだったのですが、鳥から人に感染が確認されています。ただ遺伝子の型は鳥の型のままですので、大流行にはまだなっていません。
これが人に移るタイプに突然変異が起こると、大流行(これがパンデミックです)になる可能性があります。実は中国では今年ヒトからヒトへの感染が確認されています。
今年はアジアで高病原性の鳥インフルエンザの流行が確認されています。
インドネシアでは人への感染による死者が100人を超え、中国、パキスタン、ベトナムなどでも同ウィルスによる人への感染、死亡事例が報告されています。
人から人への感染の報告も出だしました。封じ込めに躍起になっていますが、なかなかうまく行かないようです。
厚生労働省は新型インフルエンザ(H5N1の鳥インフルエンザが人から人への感染力をもつ)が発生流行すれば、国民の4分の1が感染、約1300万人から2500万人が病院を受診すると推計。1918年のスペイン風邪(致死率2%)より計算して、2ヶ月で最大64万人が死亡すると試算しました。しかし、今回の鳥インフルエンザはスペイン風邪より強毒型で、日本人の死者が210万人にのぼる、との試算もあります。
WHOは表のようなパンデミック警告表を作って各国に警戒を呼びかけています。
現在はフェーズ3でヒト−ヒト感染は無いか、きわめて限定されている、のレベルですが、ヒトからヒトへの強い感染力を持ったウイルスが出現すると、一気にフェーズ4から6に移行する可能性もあります。
実際には、重症感の激しい、なんらかの発熱性の気道系疾患が急激にある地域に集団発生するという形をとり、パンデミックが始まると予想されます。
世界各国は対策を練っています。
日本では行動計画を作り、タミフルやインフルエンザワクチンの備蓄を進めています。
一旦感染者が続出すれば医療機関だけでは足りないので、ホテルなどの施設借り上げも検討するといいます。まさに非常事態です。
本当にパンデミックが始まってしまえば、社会機能も停止します。
私たち医療者は完全防備をして、保健所・行政の指導のもと診療にあたらないといけないのでは、と思っています。
しかし、こまったことに、現在の商用インフルエンザ抗原迅速検査キットはH5N1の検出頻度が低い可能性を指摘されています。そして、通常のインフルエンザとH5N1を区別できないのです。それにタミフル耐性などが加われば、どうなってしまうのだろう、という背筋が凍るような想像もしてしまいます。
予防としては今までと同じです。
インフルエンザワクチンを打っておく、うがい、手洗い、マスクです。
一旦パンデミックが始まったら、外出しない、というのも大事になってきます。あとは規則正しい生活をして、栄養・休息をとり、免疫力・抵抗力をたかめておくことでしょうか。
ウイルスとヒトの攻防は以前からもあり、この先もずっと続きます。ただ、今回はこの記事が取り越し苦労であることを切に望みます。
そして、来シーズンにはH5N1型のワクチンが完成していることも望んでいます。
今はまだ冬と春が綱引きをしている状態ですが、早く暖かくなってほしいです。
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