新しい年になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。
早いもので父より診療所を継承して、7回目の新年を迎えました。
昨年より医療法人となり、かかりつけ医機能と在宅医療を中心として診療をしています。
医療法人の事業の一環として、隣の民家をお借りして、療養通所介護を立ち上げる予定にしています。これは在宅診療をしている医療依存度の高い患者さんをお連れして、一日過ごしていただく施設です。よく街でみかけるデイサービス、デイケアより重症の方が多いイメージで、主に看護師が対応します。
在宅患者さんが利用するデイホスピスを作りたいと思っていたのがきっかけです。
収支が全く合わず、赤字覚悟の運営になるため他の介護事業者が手を出せずに全く普及していません。当院で在宅医療を受けていただく方へのサービスのつもりで始めます。
大阪府では馬場記念病院のペガサス療養通所介護に続いて2件目となる予定です。
どのように過ごしていただくか、などはこれから先検討していくことになると思います。
万能細胞のiPS細胞に注目しています。
再生医療ではドリーに続く久々に私の注目ネタであります。ドリーは覚えていらっしゃいますか? クローン羊です。
羊の乳腺細胞からどんな細胞にでも分化できる幹細胞をつくり、クローン羊を誕生させました。
分化してしまった細胞が幹細胞に戻るということで当時遺伝子の勉強をしていた私はとても驚いた記憶があります。
このiPS細胞はそれに匹敵する話題です。
まだ癌化などの問題が残っているようですが、多くの予算がつき、施設も拡充されるようです。
今年の目標ですが、上記療養通所介護の立ち上げとともに、今年はちょっと中断していたかかりつけ医機能の向上のために、活動を再開します。
まず、かかりつけ患者さん用の別カルテ作成、疾病予防のための高機能検診のご希望などをアンケート等でお伺いするところから始めようと思っていますので登録していただいた方のご協力をお願いします。
また、院内報巻末に掲載していますが、当院のかかりつけ患者に登録してみようか、という方はスタッフまでお願いします。
また、昨年更新以降少し興味が薄れてきたISO9001もちょっとてこ入れしようかと思っています。
最近、勉強する機会がなく、また導入当初ともスタッフの入れ替わりがあることもあって、ISO9001が何を意図するかもわからないスタッフもいる現状で、形骸化していると言われても仕方がない状況です。
院内勉強会の立ち上げも考えています。とにかく、患者満足度の向上のために導入したISOですので、本来の目的に立ち返って活動していきます。
肝炎の無料検査が始まっています。
対象は20歳から49歳までの肝炎検査を希望する府民40歳以上で、今まで受診できなかった方のうち希望者、過去に肝炎検査を受診し異常の無かったものは除く、となっています。
20歳以上の方は対象になる可能性が高いので、受付でお問い合わせください。
◆特集:C型肝炎について
血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎ウイルスに感染した被害者の救済法が成立しました。
衆院に議員提案されてから4日後に成立という異例の速さです。
被害者を一律救済するという福田首相の政治決断から事態は一気に動きましたが、これで肝炎問題のすべてが決着するわけではありません。個人的には手術時によく使用していた止血剤フィブリン糊でも感染の危険性があることに驚いています。
救済は約1000人に上ることが予想されていますが、薬害被害者は約1万人はいるだろうと言われています。
本人が感染に気づかなかったり、投与証明ができない人も救済対象から外れるため、まだまだ問題が出てくるものと思っています。
以下、肝臓の働きとC型肝炎・ウイルスについて説明します。
肝臓は、
a 栄養分(糖質、たん白質、脂肪、ビタミン)の生成、貯蔵、代謝
b 血液中のホルモン、薬物、毒物などの代謝、解毒
c 出血を止めるための蛋白の合成
d 胆汁の産生と胆汁酸の合成
e 身体の中に侵入したウイルスや細菌感染の防御
などの機能を有し、我々が生きていくためには重要な臓器です。肝炎になると肝臓の細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなります。
肝臓は予備能力が高く、慢性肝炎や肝硬変になっても自覚症状が出ないことが多いことから、「沈黙の臓器」と呼ばれています。
このことを正しく認識し、肝炎を起こすウイルスに感染していることがわかったら、症状がなくてもきちんと検査をして、病気を早く発見することが大切となってきます。
C型肝炎
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の病気です。
HCVに感染すると、約70%の人がC型肝炎ウイルスの持続感染者(HCVキャリア)となり、放置すると本人が気づかないうちに慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進展する場合があるので注意が必要です。つまり、C型慢性肝炎、肝硬変、肝がんは、HCVの感染に起因する一連の疾患であるといえます。
C型肝炎の特徴を簡単にまとめると、以下のようになります。
a HCVは、血液を介して感染する。
b 急性期では、A型肝炎、B型肝炎に比べて症状が軽いことから、
気づかない場合が多い。
c HCVに感染すると70%前後の人がHCVキャリアとなる。。
d HCVキャリアの65〜70%は、初診の段階で慢性肝炎と診断される。
e 40歳のHCVキャリア集団を70歳まで適切な治療をせずに放置した場合、10〜16%の人が肝硬変に、20〜25%の人が
肝がんに進展すると予測されている。
f 抗ウイルス療法によりHCVの駆除に成功すると、C型慢性肝炎(線維化の程度の軽い慢性肝炎)は完全に治癒する。
g 抗ウイルス療法の適応がなかったり、抗ウイルス療法が無効であった場合でも、肝庇護療法(抗炎症療法)により
肝炎を沈静化させ、肝の線維化の進展を抑止することができる。
h C型慢性肝炎の治癒、肝の線維化進展の抑止は、肝発がんを予防する効果がある。
i 肝がんは、慢性の炎症が持続したことにより線維化が進展した(前硬変または肝硬変の)肝を発生母地として、
50歳代終わりから60歳代はじめの年齢層に好発する。
C型肝炎ウイルス(HCV)について
HCVはかつて非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていたものの1つで、1988年にウイルス遺伝子の断片が見出され、続いてウイルスの本体も明らかにされたことから、C型肝炎ウイルス(HCV)と名付けられました。
今日では、かつて非A非B型肝炎と呼ばれていたもののほとんどがHCVの感染によるものであることが明らかになっています。
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、全身倦怠感に引き続き食欲不振、悪心・嘔吐などの症状が出現することがあります。
これらに引き続いて黄疸が出現することもあります。黄疸以外の他覚症状として、肝臓の腫大がみられることがあります。
しかしほとんどの場合、自覚症状がないままで経過し、HCVに初めて感染した人の70%前後は持続感染状態に陥る(キャリア化する)ことが知られています。
何らかの機会にC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることがわかった人の65〜70%は、初診時の肝臓の検査によって慢性肝炎と診断されますが、この場合でも、自覚症状がない場合がほとんどです。
HCVに感染していることがわかったら、自覚症状がない場合でも定期的に肝臓の検査を受け、かかりつけ医の指導の下に健康管理を行い、必要に応じて治療を受けることが大切です。
無料の肝炎ウイルス検査も始まりました。詳しくは窓口でお問い合わせください。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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