師走です。あわただしい日々が続きます。
インフルエンザが例年より早い流行をみせているそうです。近隣の小学校・幼稚園でも学級閉鎖になったところがあるようです。
マスクの着用により、インフルエンザ感染はマスク無しの5分の1にまで減少します。関西医科大学が行った研究結果が11月に日本小児感染症研究会で発表されました。マスクはウィルスを含んだ飛沫の侵入を効果的に防ぎ、インフルエンザ感染予防には有効、とのことです。
一昨年くらいから冬季にはマスクをして診療にあたることにしており、その有効性を私も感じていました。診療に際し、医師・看護師ともにマスクをして診療にあたることをご了承ください。マスクといえば、当院でも業務提携している川本産業さんが“デコリマスク”というピンクのマスクにシール状のアクセサリーを飾ることができるマスクを発売しています。おしゃれグッズとしても進化中のようです。
インフルエンザ対策での厚生労働省の今年の標語は、ひろげるなインフルエンザ、ひろげよう咳エチケット、です。大阪府からもポスターがでており、当院でも掲示しています。
マスクをせずに咳やくしゃみをすると、ウィルスが2〜3m飛ぶといわれています。
インフルエンザウイルスは飛沫の中に大量にいて、吸い込むと感染します。感染拡大を防ぐにはマナーの向上が必要です。
そこで必要なのが咳エチケット。
以下の3か条が呼びかけられています。
@咳・くしゃみの際はティッシュなどで鼻を押さえ、周りのひとから顔をそむけましょう。
A使用後のティッシュは、すぐにふた付きのごみ箱に捨てましょう。
B症状のある人は、マスクを正しく着用し、感染防止に努めましょう。
インフルエンザより12月中旬現在はノロウィルス(確定はできませんが)による嘔吐下痢も多くでています。嘔吐したものの処理により手から家族内感染がよくおこります。こちらも手洗いにより予防しましょう。
インフルエンザ予防接種しています
インフルエンザ・ワクチンは打たないで!という本が出版されたようで、まだ私は読んでいませんが、医師の間のメーリングリストでも話題になっています。今のところはインフルエンザに対抗するにはワクチン接種が一番で、完全に予防できる性質のものではないですが、かかりにくくなる、かかっても軽症ですむ、というエビデンスがある、と理解しています。
予防接種、マスク、うがい、手洗いでインフルエンザにかからないよう注意しましょう。
年末・年始の休診予定
12月30日(日)から1月4日(金)まで休診。
1月5日(土)は午前中診療します。
10月号の院内報でお知らせしたシッコというアメリカの医療危機を描いたマイケル・ムーア監督の映画が12月27日大阪府医師会の主催で上映会を大阪国際交流センターで行います。
ドキュメンタリー映画なので、ハラハラ・ドキドキやどんでん返しの結末、などはありませんが、日本の今後の医療政策を考える上では有効だと思います。申し込みが必要ですので、受付にでもお問い合わせください。
◆特集:アルコールと肝臓
これからクリスマスパーティーや忘年会、そして年があけてからも新年会と、なにかにつけてアルコールの飲み過ぎ、そしてご馳走の食べすぎになりやすい時期です。
暴飲暴食は人生のスパイス、と言う人もいましたが、こんな時は肝臓もお疲れ気味です。
今回はアルコールと肝臓の基礎知識をご紹介します。
肝臓は多くの働きを担っていますが、代表的なものとして以下の3つが挙げられます。
@代謝機能=カラダに吸収された栄養素(糖 質、蛋白質、脂質)を分解・合成し、脂肪 や糖質は、肝臓に貯蔵され、必要な時にエネルギーとして使われます。
A解毒機能=カラダの老廃物や、薬物や食物 を通じてとりこまれた人体に有害な物質を 解毒・分解するなどして排泄します。
B胆汁生成=脂肪を消化する消化液(胆汁)を作り、胆嚢に蓄えられて、胆管から十二指腸に排出します。このような肝臓の機能は、「カラダの化学工場」とたとえられています。最近は「デトックス」がブームですが、上で紹介したように、解毒を司るのがまさに肝臓です。
アルコールの分解
口から入ったアルコールは、胃や小腸で大部分が吸収され、
血液に溶け込んで、まず肝臓に送られます。
吸収されたアルコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)の
働きによりアセトアルデヒドに分解され、さらにアルデヒド脱水素酵素
(ALDH)の働きで酸化され、酢酸に変わります。
このアセトアルデヒドを分解する酵素は個人差があり、
少ない人ほど、頭痛や吐き気などの二日酔いを引き起こします。
肝臓で分解しきれなかったアルコールは、肝静脈を通って心臓に
送られ、ここから脳はもちろん全身へと巡っていき、再び肝臓に
戻って分解されます。
肝臓でできた酢酸は、全身を巡るうちに水と炭酸ガスに分解され、
最後には体の外に出ていきます。
アルコール性肝障害
お酒の飲みすぎによって肝臓が負担を受け、起こる病気の総称です。
アルコールを飲めば、肝臓は一生懸命に分解作業を行いますが、飲み過ぎや食べ過ぎで肝臓の処理能力を超えてしまうと、肝臓に中性脂肪をためて脂肪肝へ、またその他の肝炎や肝線維症などのアルコール性肝障害の道へつながります。アルコール性脂肪肝になり、軽い腹部不快感や疲れやすさ、食欲不振ややせなどがみられます。
さらに負担が増加すると、アルコール性肝硬変へ移行します。
以前日本は、欧米よりはアルコール性肝障害が少なかったのですが、最近は1人あたりのアルコール消費量も増え、女性は男性よりもアルコール性肝障害になりやすいことも指摘され、今後もますますアルコール性肝障害が増えるのではと、懸念されています。
アルコール性肝障害をチェックするには
自覚症状としては、「体がだるい」「右わき腹が張って重い」「食欲がない」「黄疸が出る」などがありますが、初期にはほとんど現れません。
飲酒の機会が多い人は、年に2〜3回は血液検査を受けて、肝機能をチェックしましょう。検査ではγ-GTP、GOT、GPTの値を見ます。「脂肪肝」ではまずγ-GTP値が上昇し、さらに進行するとGOT値が上がります。
アルコール性肝障害は、初期段階なら禁酒をし、食事に気をつけることで、肝臓の細胞を修復することができます。
沈黙の臓器であるがゆえに、過信せずに日頃から肝臓をいたわってあげましょう。
アルコール性の肝障害になってしまったら、飲まないことが最大の治療法です。
肝臓をいたわるアルコールとの付き合い方
・酒は何より適量、です。
1日に日本酒なら1〜2合、ビールなら大瓶1〜2本、ウイスキーならダブル1〜2杯までが適量といわれています。
・すきっ腹では飲まずに、肝臓がアルコールを処理するために適当なつまみを食べながら飲むようにしましょう。
低カロリーで良質のタンパク質、ビタミン、ミネラルを摂りながら飲むことを心がけてください。
・肝臓を休ませてあげましょう。当たり前ですが、飲む機会が増えれば休ませてあげましょう。
ちょっとだるいなー、体調がすぐれないなという時は、お酒を断る勇気も必要です。
「週に1度は休肝日」を実践されている方もいらっしゃると思いますが、
できれば週に2日が推奨されています。
お酒は上手に飲めば、一生つきあうことができます。
過度な飲酒は避け、適量を守って楽しく飲みましょう。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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