インフルエンザ予防接種
10月15日からインフルエンザの予防接種しています。
忠岡町在住で65歳以上の方は町の補助があり、1回だけ1000円で接種できます。12月末までです。それ以外の一般の方は例年と同じ中学生以上2500円、小学生以下2000円となります。
前シーズンのピークは2、3月でした。それを思うと12月頃接種するのが有効かな、と思いますが、今シーズンはどうなるかはわかりません。各自のご判断で、になると思いますが、私は11月と12月の2回接種する予定です(例年と同じです)。
予防のためにうがい、手洗いを励行してください。風邪のシーズン、医師看護師ともにマスクをして診療にあたることが多くなりますので、ご了承ください。
湿布の処方が1ヶ月10袋までに
医療保険当局の指導により、保険診療による湿布の処方は1人1月10袋までとさせていただいています。それ以上必要な方は別途保険外診療ということで実費購入していただいていますので、ご了承ください。
ちなみに当院採用の湿布の薬剤代は、セルスポット(白い大きな湿布)、パテルテープ(茶色い小さな湿布)1枚20円、1袋7枚入り140円となっております。
院外調剤による購入は窓口にお問い合わせください。当院から自費診療の処方箋を出して、薬局で別途お支払いの上お受け取りいただくことになります。あくまで自費診療の上での処方という形になります(混合診療となりますので保険診療との併用が不可・詳しくは窓口で)。
院内薬剤の変更があります。
薬剤取り扱い業者に変更があったためです。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。当院は処方箋による院外処方を基本としていますが、約100種類の薬剤を備蓄しています。ほとんどがジェネリックと呼ばれる後発品で先発品と比べると安価です。先発の薬と成分が同じなので、ほぼ同等の効果が期待されますが、実は中には先発品と比べると効きが悪いな、と感じる薬剤もあります(臨床研究のデータではありません・科学的根拠の無い私の印象です)。そのような薬は変更していく予定です。
先月末、十三まで「終わりよければすべてよし」という映画を見に行ってきました。日本での先進的な在宅医療、さらにオーストラリア、スウェーデンの状況も取材したドキュメンタリー映画です。すべての人にとって絶対に避けられないのが死です。しかし、自分がどのような死を迎えるかは誰にもわかりません。現在、殆どの人が病院で死を迎えています。自宅での安らかな死を望んでも難しい状態です。当院は平成12年以来在宅での看取りをサポートしてきていますが、この映画は終末期医療が緊急課題であると問いかけています。私にとっては興味深い映画でした。マイナーな映画なため、一般の大きな映画館では上映されていません。機会があれば、上映会などしてみたいな、と考えております。
11月2日午後診、都合により休診させていただきます。
◆特集:風邪と抗生物質
今年も寒くなってきました。風邪のシーズン到来です。
・風邪だからマイシンください
・風邪だから一発で治る注射してください
・市販薬を飲んでいましたが、早くよくなりたいので病院に来ました
今でも頻繁に聞かれます。風邪の時には抗生物質を飲むのが当たり前と考えておられるかたは今でも多いです。
咽頭痛・咳・鼻水などが主症状の風邪のおおむね90%はウイルス感染が原因で、残りの10%が細菌などが原因となって起こるものです。また、抗生物質は細菌感染の為の薬で、ウイルス感染に効果ありません。抗生物質は、細胞膜を持っている細菌(バイキン)に働く薬剤です。
一方、風邪やインフルエンザの原因であるウイルスは細胞膜を持っていないので、抗生物質(薬剤)では、小さなウイルスを死滅させることができないのです。
インフルエンザで使用される抗ウイルス剤のタミフルは、ウイルスを死滅させるものでなく、一時的に増殖を抑える薬です。ということは、風邪の時に抗生物質をもらっても、90%は無意味であるという事です。
では今まで何故風邪、インフルエンザウイルスなどウイルスを原因とする感染症に抗生物質が効くと思われていたのでしょうか?今まで日本の医師は、風邪を引くと多くの人が、それに引き続いて細菌(バイキン)感染を起こしやすいと誤った考えから、抗生物質を処方していました。風邪の治りかけには黄色いたんや膿性の鼻汁が出ることが多いのですが、これらの症状が細菌感染によるものと考えられていました。しかし、ウイルス感染でも色のついたたんや鼻汁が出ることが明らかになっており、必ずしもこれらの現象に細菌(バイキン)が関与しているわけではないのです。
また小児の風邪で、ある種の細菌による菌血症は、風邪症状で初発しますが、高熱を発し放置すれば、髄膜炎に移行してしまいやすいものがあります。しかしこの風邪なのか、普通の風邪なのか見分けることは容易ではありませんでした。
従って医者は念のため抗生物質を出しておけば安心できるので、この様な細菌性感冒を念頭に置いて、抗生物質を出すという事が多くなってしまったわけです。
今でも抗生物質の必要な細菌感染による風邪というのは外来での鑑別は難しいのですが、それなりに重篤感があったり、扁桃腺に膿がついていたり、呼吸音の雑音とともに膿性の痰がでるなどの所見があります。当院では細菌感染が疑われる方に、白血球・CRPという炎症反応を調べて、その上で抗生剤の点滴・抗生剤の処方をするようにしています。
信頼性が非常に高い前向きの臨床研究で、風邪に抗生物質を使っても使わなくてもその後の症状の改善や、細菌性の中耳炎などの予防効果においても差がないと言う結果が出ており、抗生物質が効くという結果は得られていません。
むしろ、抗生物質の不適切な投与は、抗生物質が効かない耐性菌を生み出す危険性をはらんでいると結論づけられています。また、別のインフルンザの患者200人を対象にした臨床研究でも、抗生物質の効果は認められず、「インフルエンザでは抗生物質を使わない」という方針を出しています。
さらに日本呼吸器学会は、成人気道感染症の指針に「抗生物質の使用は控える」という内容を入れています。
米国の感染症学界では以前から、「健常人に発症したウイルス感染には抗生物質を使うべきでない」とはっきりガイドラインで示していましたが、日本では2005年にやっと、学会や国が「風邪やインフルエンザに抗生物質は無効、細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」と指針を出しました。
西洋では、ウイルス感染症の根本対策は健全な免疫機能を整える事と認識されており、昔から風邪やインフルエンザに掛かると、水分や栄養を摂り十分な休養で、免疫力を回復して対処することが常識となっています。
日本では、今も、風邪やインフルエンザに掛かると「抗生物質のおかげで風邪の治りが早かった」と誤解して抗生物質を欲しがる人も多く、医師は患者を手ぶらで帰すわけにはいかず抗生物質を処方するといった事が多いのです。実際、全国の開業医を対象に処方実態を調べた結果、抗生物質を「ほぼ全員」に処方するとした医師は30%、「患者2人に1人」が32%、「ほとんど処方しない」は4%に過ぎなかったということです。
抗生物質には副作用、アレルギー、耐性菌の問題などがあり、乱用すべきでないことは明らかです。当院でも前院長の時代は風邪のときにはほぼ100%抗生物質を処方していましたが、今ではほとんど処方していません。また、抗生物質の筋肉注射も今では全く行っていません。
抗生物質の必要な細菌感染があるかどうかを念頭において風邪の診療にはあたっています。インフルエンザを疑う場合は鼻腔粘液の迅速診断キットを使用しますし、点滴をして炎症反応を調べることはよくしています。
今後咽頭・鼻腔の粘液を調べると、感染しているウイルス・細菌がすぐにわかるという時代が来るかもしれませんが、まだまだ先のことでしょう。
やはり風邪は予防が一番。手洗い・うがいを励行してください。
手についたウイルスというのは結構感染源になります。
風邪にかかったかなと思ったら、無理をせず早く休養をとるようにしてください。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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