2024年 2月 No.219
2月も後半になってきました。春が待ち遠しいです。ここのところ4月下旬並みの暖かい日があるかと思えば、真冬のような寒さの1日があり、戸惑うことが多いです。
特に朝夕は冷えるのに、日中はすごく暖かいと言う日が多くなってるような気もします。
先日訪問診療中に患者さん宅のテレビでたまたま見たのですが寒暖差疲労と言う病気があるようです。
1日の気温差が7度以上の時に出るようで、一種の自律神経障害、気象病です。
あまり温度差が高いと、交感神経が優位になってしまい、疲労感、全身の倦怠感、肩こりや頭痛、食欲不振、めまい、下痢や便秘、冷え性など多岐にわたる症状が出ます。
衣服で温度を調整することが一番なのですが、予防は自律神経を整えることが重要です。
食事や運動、睡眠の質の向上が基本となり、規則正しい生活を送ることが大切です。
また、呼吸状態を整える(ゆっくりと深い呼吸を行う)、腸内環境整えることも大事です。
朝に日光を浴びたり、毎日お風呂につかる、肩や首周りのストレッチなども有効的と言われています。
花粉も飛び始めています。
花粉症の方で鼻水が出だしたと薬を希望される方が多くなってきました。
花粉症の方は気をつけておいてください。
花粉症は昔に比べていい薬、いい点鼻薬がでているので、またご相談ください。
私は使ったことないですが、スギ花粉用の注射薬もあります。
また、スギ、ダニアレルギーの方には治癒が目指せる舌下免疫療法の薬があります。
当院でも数人処方していますが、手応えは結構あります。現在薬の原料の関係で出荷調整しているそうです。新規の処方は難しいかもしれません。
希望の方はお問合せください。
メーカーに聞いてみます。
新型コロナ・インフルエンザ
新型コロナ、インフルエンザ感染症は流行しており、特にインフルエンザが増えています。
当院では、コロナ5類引き下げ以降も、発熱、咽頭痛、下痢などの症状がある方については一般の受診者とは一緒にせず、車待機か外の診療スペースでお待ち頂くか、院内の隔離が出来るスペースでお待ち頂くことになるか、一旦帰宅して頂いて受診可能な時間になったら連絡して来院して頂くことにしています。
診療所内は高齢者の方が多く、抵抗力が下がっている方もおられるので、受診される方皆様にマスクをお願いしています。
引き続き発熱、咽頭痛、咳、痰、下痢等の感冒症状のある方は、まず電話連絡してください。
人移植用ブタ国内初誕生
遺伝子改変で拒絶反応回避明治大グループは、細胞や臓器を人に移植できるように遺伝子を改変したブタ3頭が2月11日に生まれたと発表しました。
人への移植を目的に開発されたブタの日本での誕生は初めてです。
当面は動物実験で安全性を確認する予定です。
同グループは昨年9月、移植用ブタの開発で先行する米バイオ企業から、人の体内で拒絶反応が起きないように10種類の遺伝子を改変した細胞を輸入。
翌月に遺伝的に同じ個体を作り出す体細胞クローニング技術で受精卵を作製し、代理母となるブタの子宮に移植しました。
クローンブタ3頭は帝王切開手術で生まれました。
成長の推移を確認後、国内の研究機関に提供し、サルなど他の種類の動物に臓器を移植する研究に使う予定です。
研究グループは「人への移植に向けた課題を考える契機にしたい」と話しています。
動物の細胞や臓器の人への移植は「異種移植」と呼ばれ、臓器提供者不足の解決策として期待されています。アメリカでは、メリーランド州ボルティモアのメリーランド大学医療センターで、2022年1月に遺伝子操作したブタの心臓の移植手術されました。術後一時回復し、2か月間生存しましたが、残念ながら急変し、死亡されました。
日本では、1型糖尿病の患者にブタの膵島細胞を移植する研究や、重い腎臓病の方ににブタの腎臓を一時的に移植する研究が計画されていますが、まだ実施例はありません。
これから更に研究が進むものと思います。
私の研修医時代の同僚(2年上でしたが)が、心臓移植の分野で異種移植の研究に取り組んでおり,まだ研究途上のようです。
心臓移植のドナーが伸び悩む中、心臓移植を待つ人にとっては朗報かと思います。
忠岡町・65歳以上の方のインフルエンザ予防接種は終了しました。
全額公費負担の新型コロナワクチン特例臨時接種は、令和6年3月31日をもって終了いたします。
接種を希望される方は、お早めにご予約ください。
今期の忠岡町健康診断は3月末までです。
ご希望の方はお早めに受付にお申し出ください。
RSウイルスというウィルスをご存知でしょうか?小さなお子様がいる家庭以外はあまりなじみのないウィルスかもしれません。
RSウイルスは1956年に上気道炎症状を呈するチンパンジーから最初に発見され、その後小児の呼吸疾患の原因ウイルスであることが判明したパラミクソウイルス科に属するRNAウイルスです。
RSという名前はRespiratory Syncytial という名称を略したもので、Respiratoryは「呼吸器の」、Syncytialはこのウイルスが感染した培養細胞が多数集まってできる「合胞体(Syncytium)」を指します。
なので、和名は呼吸器同胞体ウィルスということになるんでしょうか。
RSウイルスは乳幼児の呼吸器感染症として有名です。
生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子供が少なくとも1度は感染するとされています。
RSウイルス感染症では、普通は一般に鼻水、咳、発熱等の症状を伴う急性上気道炎症状を呈し、多くの場合1~2週間で軽快します。
しかし、低出生体重児、未熟児、免疫低下、心臓肺などに疾患を持つ子供は時に重症化し、ICU管理が必要な場合があります。
大人では普通の風邪と診断されることが多いです(検査しないので)。
しかし、特に高齢者や慢性呼吸器疾患を持つ人は、重症肺炎のリスクが高まることが知られています。
さらに、小さな子供を持つ親や保育園や幼稚園に勤務する方・小児を看護する立場の方は、大量のウイルスに曝露されることで、症状が重くなる可能性もあります。
今回は、様々な事情によりあまり検査されない「大人のRSウイルス」についてお話していきます。
大人のRSウイルスの特徴について言及した論文によると、臨床症状は「若年の成人」「高齢者」「免疫力が低下している成人」で大きく異なります。
いずれもRSの潜伏期間は、RSウイルスに感染してから2~8日(多くは4~6日間)です。
① 若年の成人の場合若年の成人の場合は、下気道に侵入する前に上気道(のど・はな)での免疫が十分発達しているため、気管支炎・肺炎にはならず、上気道症状に限局されるのが一般的です。
自然にRSウイルスに感染した健康な病院スタッフ10人を対象とした研究では、全員が鼻づまり、発熱、咳を中心とした症状をきたしており、10人中8人が平均6日間仕事を休んだとしています。
また2人が4週間くらい喘息のような気管支狭窄や長期間におよぶ疲れ、息切れをきたしたとしていますので、軽症でも新型コロナのように症状が長引く可能性があります。
② 高齢者の場合高齢者のRSウイルス感染症の症状は、軽度の風邪から重度の呼吸困難まで多岐にわたります。
鼻漏・鼻づまり: 喉の痛み 、頭痛、声がれ、喀痰、呼吸困難 、38℃以上の発熱など。
調査結果では、若年成人では鼻づまりが中心であるのが、高齢者は咳が中心とのことです。
また、インフルエンザでは発熱や頭痛を主体としやすいのに対して、RSウイルスでは38℃以上の発熱は多くて半数くらいなので、「発熱もないのに咳がやたら出る」呼吸器疾患にはRSウイルスが隠れているのかもしれません。
③基礎疾患や免疫不全を持っている方免疫力が低下している方でのRSウイルス感染症は、一般的に2日くらい上気道症状が出てから、肺炎の症状をたどることが多くなります。
主な免疫力が低下している方のRSウイルスの症状は下気道中心に多くの症状を伴いやすいことが知られています。
では大人でRSウイルス感染症はどのように検査され、診断されるのでしょうか?結論から言うと、(よほどの事情がない限り)大人でRSウイルスの検査をされることはありません。
理由①RSウイルスに対して、気軽に使える「抗ウイルス薬」がない
RSウイルスに対して外来でもすぐ使える「抗ウイルス薬」があるわけではありません。
米国で認可されている抗ウイルス薬が「リバビリン」という薬であり、微小粒子のエアロゾルとして 吸入にて用いられることはありますが、「重症化リスクが非常に限り使用を検討する」くらいにとどまる製剤です。
遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤である「パリビズマブ(商品名 シナジス)」は日本で使われますが、免疫不全をもつ乳幼児や早産の乳幼児など、ごく一部の人にしか適応がありません。
また、免疫グロブリン製剤も使われることがありますが、いずれにせよ気軽に使える製剤ではなく、対症療法が中心となります。
その分、診断を確定させる意義がうすれてきます。
理由②迅速検査の信頼性が、大人の場合低い
より重要な理由が「抗原検査への信頼性」です。
乳幼児では、迅速抗原検査は75 ~ 95% の感度をもつといわれ、それなりに信頼の高い検査として活用されています。
しかし、大人になると迅速検査の信頼性は大きく下がります。
そのため、RSウイルスの迅速抗原キットは原則「1歳未満」となっており、大人を主に対象としたクリニックではRSウイルスの迅速検査キットはありません。
RSウイルス感染症の出勤停止期間に関する具体的なガイドラインは、現時点で特に定められているものはありません。
風邪に準じて、咳などの症状がなくなり普段どおり元気であれば、園や職場と相談し登園・出勤することができます。
厚生労働省のガイドラインでは、登園の目安として「呼吸器症状(咳やゼイゼイ)が消失し、全身状態が良いこと」となっています。
今回RSウィルス感染症を取り上げたきっかけは、2種類のRSウイルスワクチンが登場したからです。
ひとつは、妊婦に対するワクチン「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」に対する「アブリスボ筋注用」です。
本剤はRSウイルスに対する国内初の母子免疫ワクチンであり、妊婦に接種することにより、母体のRSウイルスに対する中和抗体価を高め、それが胎児に移行し、出生時から乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患を予防することが目的です。
母体からの免疫があっても、生後6か月以内にRSウィルスに感染してしまうと、重症化率が高くなることが知られています。
このワクチン接種でその発症予防、重症化率を下げることが期待されます。
こちらは残念ながら当院では接種予定はありません。
もうひとつが高齢者向けRSウイルスワクチン「アレックスビー」です。テレビで気にしてください、RSウイルス感染症というCMもしているそうです。
外来で診断するのは難しいですが、文献的には日本でも毎年60歳以上の成人でRSウイルス感染症によって63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されています。
アメリカCDCでまとめられた、60歳以上の24,994人を対象としたデータによると、RSウイルスワクチンによりRSウイルス感染になるのが約4分の1~5分の1になる(ワクチンの有効性:74.6~82.58%)RSウイルスによる入院が約5分の1になる(ワクチンの有効性76.4%)酸素や人工呼吸を必要とするほど重症になるのが約5分の1になる(ワクチンの有効性76.4%)とのことでした。
特に下記の方はRSウイルス感染症に気を付けた方がよいので予防接種も検討されるといいかと思います。
免疫不全の方、気管支喘息の方、長期間たばこを吸っている方(COPDの方)糖尿病の方、-狭心症や心筋梗塞をきたした方、うっ血性心不全をもっている方、高齢者施設に入所中の方など。
効果の持続期間は、1年以上(2年程度?)とされています。
現在も臨床試験が進行しており、アレックスビーの有効期間はさらに伸びると予想されています。
当院でも導入予定です。費用は25000円。
筋肉注射、一回投与・予約制です。
副反応は注射部位の疼痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労などがあります。
ちょっと高いな~と思われるかもしれません。
しかし、肺炎になって入院、さらに重症管理などされるとかなりの医療費がかかります。
上記基礎疾患のある高齢の方は接種をご検討ください。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
予約なしの方の受付は午前診11:30 午後診19:30までとさせていただきます。
必ず受付時間までに受付をお済ませください。
発熱・咳・風邪症状などがある方は、 市販のキットでコロナ抗原検査しておいてください。
できる方だけで結構です。できない方は当院で検査します。
上記受付時間内に先にお電話ください。