最近は異常気象が続き、今年も酷暑なるようで厳しい暑さが続いています。
夏日(最高気温25度以上)、真夏日(最高気温30度以上)に加えて今年から1日の最高気温が35度以上の日を猛暑日というようになったそうです。
8月11日現在、大阪で既に2日猛暑日を記録しています。暑い日々が続きますが体調を崩さないよう注意してください。
特集のページでは熱中症を取り上げました。何より予防のポイントは高温の環境を避けることと水分補給です。
詳しくは次のページで…。
医療メモ:夏の感染症情報
本年8月6日にO157による不幸な事例が発生しました。先月号の院内報でもお伝えしましたが、夏場に入るとO157をはじめとする腸管出血性大腸菌による感染症や食中毒の報告数が増加します。食品については適正な温度管理、十分な加熱を行うとともに、手洗いを徹底してください。
麻しんの流行は下火になったようです。
夏風邪であるヘルパンギーナの報告が増えています。夏のかぜの原因は冬のかぜと異なり、エンテロウイルスやアデノウイルスなどがおもな原因となります。夏のかぜは発熱のほかにのどの痛み、胃腸炎症状、目の充血、発疹などさまざまな症状がみられるのが特徴です。
アデノウイルスによる夏かぜでよくみられる症状は咽頭結膜熱(プール熱)で、発熱、のどの痛み、結膜炎などがみられます。
またエンテロウイルスではヘルパンギーナや手足口病といった病気が代表的です。
ヘルパンギーナは高熱が出て、のどに水疱ができ痛みます。手足口病は手、足、口の中に水疱ができる病気です。
エンテロウイルスやアデノウイルスの特効薬はありませんので、熱のあるときは体を適度に冷やす、こまめに水分を補給するなどが必要です。
発病者の糞便中やのどの粘膜にはウイルスが存在していますので、感染予防には手洗いやうがいをすることが大切です。
結核が相変わらず発症報告があります。
現在でも、毎年全国で約28000人、大阪府でも約3300人の方が新たに結核を発病しており、「過去の病気」ではありません。今なお、我が国最大の感染症です。結核は、吸い込んだ結核菌が肺に入って、病気の巣を作ることで発病します。多くは、発病しないですみますが、発病しても、きちんと毎日薬を飲めば治る病気です。
結核の症状は、最初のうちは風邪とよく似ており、「せき」「たん」「発熱」「血たん」「胸痛」の5大症状の他に、「だるさ」「寝汗」等の症状が2週間以上続いたら要注意です。早めに、医療機関を受診しましょう。
◆特集:熱中症について
暑い日々が続きますと、熱中症で病院に運ばれる人が増えます。
当院では生活習慣病の方に運動(特にウォーキング)を推奨していますが、この季節になると注意が必要です。無防備に運動してしまうと熱中症になってしまうからです。
熱中症については車内に閉じこめられて亡くなった乳児や炎天下での運動中に倒れた中高生の例がよく報道されます。しかし、熱中症による死亡者が最も多いのは高齢者です。発汗や体温調整能力が低下するためと思われます。畑仕事など屋外での作業でおこるケースが多いですが、クーラーをつけずに家の中にいて倒れる人もいます。
熱中症は高温多湿な外気の中にいることにより発症する病気の総称です。従来は、「熱失神」「熱疲労」「熱けいれん」「熱射病」などに分類されていました。
まだ分類は学会でも統一したものはなく、混乱しているようですが、私は安岡の熱中症分類で重症度をみています(表参照)。
かかりやすい気象・環境・活動条件など
1日の最高気温が31度を越えると、熱中症で病院に運ばれる人が増えます。
また、気温はそれほどでなくとも、湿度が高い場合も注意が必要です。湿度が高い場合、汗が蒸発しにくく体温が上昇しやすいと言われています。
活動場所が、アスファルトなどの人工面で覆われているところや、草が生えていない裸地・砂の上、湿地などの場合も起こりやすいようです。
いずれにせよ、熱中症は体温上昇により体内の血管が拡張すること、体内の水分と電解質が喪失してしまうために起こりますので、熱中症を防ぐ方法はこまめに水分を補給すること、体温の上昇を抑えることです。
1. 屋外では日傘や帽子を
2. 水分をこまめに摂取
3. 日陰を利用する
熱中症保健指導マニュアル(環境省)より
水分の補給は早めに行いましょう。
喉が渇いたと思う前に飲むように。運動を行う場合は、運動前、運動中、運動後のすべてで水分を補給しましょう。
水分の温度は常温もしくは少し冷たいぐらい。ミネラル補給のための塩分、あるいは吸収を高めるための糖分を含む水分も有効です。スポーツドリンクなどから自分に合うものを見つけておきましょう。
直射日光をさけましょう。
体温の上昇を抑えるには直射日光を避けるためにも帽子は必須です。見た目はよくないですが、首の後ろにタオルをかけるのも効果的です。帽子は蒸れを防ぐためにも時々外して頭部を乾燥させることを忘れないようにしましょう。
衣服は白っぽいものがよく、通気性の良い素材にしてください。
発症時の対応
発症してしまったときはまず体を冷やすことですが、頭痛・吐き気・めまいなど、異変がおきたら医療機関を受診してください。
意識がおかしい場合は救急搬送も必要です。
炎天下のお墓参りをしなくてはいけないこともあるでしょう。繰り返しますが発症しないよう、水分補給など予防には十分気をつけてください。また、本格的に暑くなる前に散歩などでうっすらと汗をかくトレーニングをして、体を暑さに慣らしておくだけでも発症の危険性が大分落ちるそうです。
◆かかりつけ患者さん募集中
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