2023年 3月 No.208

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

3月も後半になりました。
3月21日春分の日・祝日 に書いています。
初夏を思わせる暖かい日があったかと思えば、寒い日もあり。寒暖差が大きいです。
しかし、確実に春に向かっています。
大阪管区気象台は3月19日、大阪城公園にあるソメイヨシノの標本木で5輪の花が咲いていることを確認して、大阪の桜の開花を発表しました。
3月に入り比較的暖かい日が続いていることもあり、1953年の観測開始以来最も早い開花となりました。(2021年とタイ)昨年も早いなと思ったのですが、昨年よりも4日早いということです。小学校、中学校の入学式には桜は散ってしまうことが予想されます。
新入生の方は制服を着て、桜の下で早めに記念写真を撮っておかれることをお勧めします。


 新型コロナウィルス感染症 

新型コロナウィルス感染症は少なくなってきている印象を受けます。
実際感染者数も減っているようです。
5月6日より新型コロナウイルスの感染症法上の分類が現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられます。
医療提供体制は、入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくことになります。
このため、新型コロナウイルス感染症対策にこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促すための取組を重点的に進めるとのことです。
これまでコロナ後発熱患者は診ませんと言ってきた医療機関にコロナ前と同じように診るように、と勧奨しています。

泉大津市医師会管内でも、コロナ後発熱患者は診ません、発熱外来している病院に行ってくださいという対応をされていた医療機関がありましたが、5月以降は診るようにということでしょうか。

当院は、大阪府にはかかりつけ患者の発熱者は対応すると届け出をしていましたが、実際は初診の方も診ていました。 ただ隔離スペースが少なく、検査体制も少数の方しか対応できないため、受診をお断りせざるを得ないこともありました。
今後も同様の診療体制が続くものと思います。

なので、発熱、感冒症状、下痢などあるかたは受診前に電話での連絡をお願いします。
院外スペース、車の方は駐車場での対応になります。恐れ入りますが、ご協力のほどよろしくお願いします。

自宅療養者の発熱時等の受診相談機能や陽性者の体調急変時の相談機能は継続されるようです。

新型コロナウイルス感染症治療薬(内服薬ではラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ)の費用(薬剤費)の公費支援については、夏の感染拡大への対応としてまずは9月末まで措置され、以後は冬の感染拡大に向けた対応を検討するとのことです。

発熱等の患者に対する検査については、抗原定性検査キットが普及したことや他の疾病との公平性を踏まえ、自己負担分の公費支援は位置づけの変更により終了します。
引き続き、重症化リスクが高い者が多く入院・入所する医療機関、高齢者施設、障害者施設における陽性者が発生した場合の周囲の者への検査や従事者への集中的検査を地方自治体が実施する場合には、行政検査として取り扱うとのことです。

個々の陽性者についての発生届が廃止となります。
隔離のための宿泊療養施設は位置づけの変更と同時に終了します。
ただし、高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設は、入院とのバランスを踏まえた自己負担を前提に地方自治体の判断で経過的に9月末まで継続するとのことです。

これはどこに聞けばいいのかな?忠岡町?大阪府?それとも入院機関が問い合わせてくれるのでしょうか?不明。ちょっと混乱しそうですが。

なお、病原性が大きく異なる新たな変異株の特性等によっては、ただちに「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけることもありえます。

令和5年度のワクチン接種については、秋冬に5歳以上の全ての者を対象に接種を行い、高齢者等重症化リスクが高い者等には、秋冬を待たず春夏にも追加で接種を行うとともに、引き続き自己負担なく受けられるようにするとのことです。
また決定されればお知らせします。

感染後の自宅療養期間については、従来と同様症状がでてから7日間かつ症状軽快から24時間のようです。
マスクについては先月の院内報でも書きましたが、当院内ではマスクの着用をお願いします。
厚生労働省も医療機関ではマスクの着用をと勧めています。

今後も厚生労働省大阪府の通知を元に診療します。
皆様に通知が必要がある通知は掲示物、院内報でお伝えします。

電解質 特にナトリウム・カリウムについて

日常診療で血液検査の結果、カリウムが高いですね、ゼリー処方しますから服用しておいてくださいというシーンが度々あります。
その都度、カリウムって何ですか?と聞かれ細胞の浸透圧や体液のPHをコントロールする電解質です、高いと不整脈になりやすいです、とお答えしていましたが。あいまいでした。
今回は電解質について書いてみます。

電解質とは、水などの溶媒に溶解した際に、イオンに電離する物質のことで、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、クロール(Cl)、重炭酸(HCO3)などがあります。
これらは主要ミネラルとしても重要で、身体の機能の維持や調節など、生命活動に必要な役割を果たすために、体内にある一定の範囲内で保持されています。

ミネラルとは生体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で、無機質ともいいます。
ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。

さまざまな理由で過不足が生じ、その恒常性が破綻すると、「電解質異常」が起こります。
電解質異常は、臨床のあらゆる場面で遭遇する病態であり、重症例では致死的不整脈など、生命を脅かすことも少なくありません。
さらに最近は、高齢者の増加、心血管障害や悪性腫瘍の増加、薬剤の影響、サプリメントの乱用などにより増加傾向にあります。

電解質異常を早期に発見し、適切に治療する必要があります。
今回は主要電解質、ナトリウムとカリウムについて書きます。

 ナトリウム 

主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されています。
小腸で吸収された後、大部分が腎臓から尿中へ排泄されます。
体内のナトリウム量は腎臓での再吸収量の調節によって維持されています。
成人の体内では、ほとんどが細胞の外の体液(細胞外液)に含まれています。
細胞外液の浸透圧を調節して、細胞外液量を保つなどの役割を持っています。

ナトリウムは、カリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与しています。
また、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節しています。
そのほかに、胆汁、膵液、腸液などの材料でもあります。

通常、健康な人では欠乏することはほとんどありません。しかし、多量の発汗、激しい下痢の場合には欠乏します。
近年の地球温暖化の影響による熱中症が問題になっていますが、熱中症対策としては水分だけでなく適度な塩分の摂取は必要です。

摂りすぎるとむくみや口の渇きのほか、高血圧・胃がん・食道がんのリスクを高めることが報告されています。
近年における日本人の成人1人1日当たりの摂取量は、食塩相当量として男性11g程度、女性9g程度であり、以前に比べ減少しています。
しかし世界的にみると、なお高いレベルにあります。

塩味の好みは習慣的なもので個人差も大きくつい摂りすぎてしまいがちです。
カリウムを多く含む野菜や果物を一緒に摂ることでナトリウムの排泄を促進することができます。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取量の減少を目指すものと位置づけられており、目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。

なお、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量は、男女とも6.0g/日未満とされています。

ナトリウムは、塩、しょうゆ、みそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含む調味料の他、ハム、ウインナー、練り製品、即席めんなどの加工食品や野菜の漬け物などにも多く含まれています。
また、うま味調味料などの食品添加物の多くには、グルタミン酸ナトリウムなどのナトリウム塩の形でナトリウムが含まれています。
汁物にも食塩は多く含まれるので、具だくさんのみそ汁にしたり、ラーメンやうどんなどを食べるときは、汁を半分残すようにしたりしましょう。

 高ナトリウム血症 

健常者では血漿浸透圧を上昇させるNa負荷や水分喪失があれば、口渇中枢が刺激されて飲水行動につながるため、通常は高Na血症にはなりません。
臨床的に遭遇する大部分の高Na血症は,口渇中枢障害や意識障害など、何らかの理由で飲水行動ができない状態にある乳幼児やや脳梗塞後などの高齢者です。

高ナトリウムの原因に抗利尿ホルモン過剰の尿崩症か、血糖が高いための浸透圧利尿か否かなどを区別する必要があります。
原因への対応とともに、輸液療法が必要となる場合があります。

 低ナトリウム血症 

症状のない低ナトリウム血症は経過観察で可能。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、溢水、などの原因鑑別は必要です。

痙攣、意識障害のあるときは輸液による補正が必要で病院での治療になります。

 カリウム 

カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。
また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。

カリウムは動物性食品や植物性食品に豊富に含まれているので、通常の食事ではほとんど欠乏症はみられません。
しかし、激しい嘔吐や下痢の場合、利尿降圧剤の長期使用の場合などでは、カリウムの排泄量が増し欠乏することがあります。

カリウム欠乏の主な症状は、脱力感、筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺などです。
カリウムは多くの食品に含まれていますが、腎機能が正常であり、特にカリウムのサプリメントなどを使用しない限りは過剰摂取になる危険性は低いと思われます。
そのため、日本人の食事摂取基準(2020年版)において耐容上限量は設定されておりません。
しかし、腎臓の機能が低下している場合はカリウムの過剰摂取に注意が必要です。

カリウムは大部分が尿中に排泄されますが、腎不全などで腎機能が低下するとカリウムがうまく排泄されなくなり、高カリウム血症になります。
高カリウム血症になると筋収縮が調節できなくなり、四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れ、重篤な場合は心停止を起こすこともあります。腎機能は加齢により衰えてくるため、腎臓疾患は高齢者に多く見られます。
腎臓に障害がある場合は、カリウムの摂取量を制限される場合があります。

 カリウムを多く含む食品 

カリウムは、藻類、果実類、いも及びでん粉類、豆類、肉類、魚介類、野菜類などに多く含まれます。
生鮮食品に多く、加工や精製が進むと含量は減少します。
カリウムは水溶性で、煮たりゆでたりすると水に溶け出します。
生野菜サラダで摂ったり、生の果物でとったりすれば、効率よく摂取することができます。
カリウムはナトリウムの排泄効果があるので、みそ汁の汁物で食塩(塩化ナトリウム)含量が気になる場合は、カリウムを多く含む野菜などをたっぷり具として入れるとよいでしょう。

 高カリウム血症の治療 

高カリウム血症の原因は複合的なものが多く,大半の症例では基礎疾患に腎機能障害が存在します。また採血の際、血球が壊れることによりカリウム値が高くなることがあります。
高カリウム血症の誘因として、薬剤(特にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害薬)や消化管出血などがある場合もあり、原因の確認を行う必要があります。
緊急の場合は致死的不整脈を避けるため、カルシウム剤の注射、インスリン・糖の注射が行われます。これも病院での治療になりますね。
慢性の場合はカリウムの排泄を促す薬を処方します。最近はゼリーを出すことが多いです。
利尿剤を処方することもあります。

 低カリウム血症 

低カリウム血症の原因としては、腎臓からのカリウム喪失、腎臓以外からのカリウム喪失、カリウムの細胞内移行、カリウム摂取不足などが挙げられます。
代表的なものとして、腎臓からの喪失の原因は尿細管機能異常やミネラルコルチコイド作用過剰、漢方薬の服用、利尿薬など、腎外からの喪失は嘔吐/下痢や下剤の濫用など、細胞内移行としてはインスリンや甲状腺機能亢進症などが挙げられます。
治療の基本は経口の薬剤によるカリウム補充です。
病態によっては抗アルドステロン性利尿薬も処方します。
不整脈や、呼吸筋麻痺などの重度の筋力低下を呈する重症の低K血症の場合には、カリウム製剤の点滴補充を検討します.マグネシウム欠乏を伴っている場合はマグネシウム補正も併用することで、低カリウム血症も治療に反応しやすくなります。

以上電解質特にナトリウム、カリウムの過剰、低下の原因、治療について述べました。
残念ながら、当院は院内でナトリウム、カリウムを測ることができず、検査会社への外注になります。
症状があり急ぐ場合は病院にお願いしています。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

★休診のお知らせ★

6月3日土曜日は岸和田徳洲会病院の緩和ケア研修会に参加するため、休診します。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

★お知らせ★

糖尿病の治療の指標であるヘモグロビンA1c検査が、試薬の関係で院内でできなくなっています。
院外検査となり、結果判明するのは翌日です。 薬の変更などがあれば、電話で連絡します。

恐れ入りますが、ご了承のほどよろしくお願いします。