2022年9月 No.202
9月の後半に突入しています。
9月中旬までは真夏日を記録する位の暑さだったのですが、9月19日の台風以来急に秋が来たようで、1日涼しい日が続いています。
21日に書いていますが、今日は10月中旬なみの気候とのことでした。こう寒暖の差が激しいと、身体がついていきません。
この週末にはまた暑い日が戻ってくるらしく、着るものの選択に困ります。
皆さんも充分気をつけてこの寒暖差を乗り切ってください。秋は短そうです。
新型コロナの第7波は収束に近づいているようで、感染者は減少傾向です。しかしまだ感染される方がおられるので注意が必要です。
忠岡町の祭りも近づいています。
3密に気をつけて、感染予防に努めてください。
保健所の負担を減らすためか、新型コロナの登録方法が変わりました。
65歳以上、入院を要する方、新型コロナ治療が必要な重症化リスクのある方、妊婦の方はこちらから保健所に発生届で連絡をします。
重症化リスクとは、悪性腫瘍、COPD等慢性呼吸器病患者、慢性腎臓病、心血管疾患、脳血管疾患、喫煙歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、BMI30以上の肥満、臓器の移植、免疫抑制剤・抗がん剤等の使用その他の理由による免疫機能の低下、妊娠の方をさします。
保健所からSMS等連絡があります。
それ以外の方はこちらから発生届けは出しませんし、保健所からの連絡はありません。
薬局で抗原検査キットが配布されています。
忠岡ではのぞみ薬局(30-5689)、さくらい薬局(31-3141)、百薬堂薬局(31-1388)で対応しています。
症状のある方は連絡して行ってください。
陽性の方はご自身で陽性者登録センターにご登録をお願いします。
ウェブで大阪府陽性者登録センターを検索して(QRコード貼っておきます)、氏名、性別、生年月日、電話番号、メールアドレスを登録して、検査キット等の写真を添付して登録してください。登録完了後メールが届きます。ウェブ申し込みができない方のみ電話による登録ができます。
専用電話、06-4400-0923に9時から17時の間に電話してください。宿泊等を希望する方は要請者登録センターに登録後お電話して下さい。
体調が悪化した、外来診療往診等を行う医療機関を探している、宿泊療養、簡易配食サービス、パルスオキシメーターの貸し出しを希望される方は自宅待機SOS(電話 0570-055221)に連絡してください。24時間対応しています。
療養期間は発症日から7日間に短縮されています。
症状のない方は8日目から療養解除されます。
症状のある方は7日間の外出禁止・外出自粛期間の後、10日目まで検温等の健康観察や自主的な感染予防行動が必要です。
自宅療養にされる方は自宅療養に必要な情報や支援内容を掲載しています。
大阪府自宅療養支援サイトを検索してください。
当院では10月2日よりオミクロン対応コロナワクチンを接種ができます。
まず60歳以上の方の接種が優先されます。その後若年者からすべての方に摂取が拡大されます。
クーポン券が届いたら受付にご連絡ください。
忠岡町に住民票を有する65歳以上の高齢者及び60歳以上、64歳以下で心臓、呼吸器、腎臓、免疫能に重篤な障害(障害者手帳一級相当)を持っていることを身体障害者手帳または医師の診断書により証明できる方が今年は無料で接種できます。
対象者以外の方は3500円の実費が必要です。
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種が可能です。受付にご相談ください。
手のひらやわきの下などに異常なほど大量の汗をかく多汗症。大した病気ではないと思われがちですが、恥ずかしさなどで生活の質(QOL)や仕事の生産性が下がることがあります。
患者は女性が多く、ほとんどが幼少期に発症し国内では推定1000万人以上の患者がいるそうです。
わきの症状については塗り薬や拭くタイプの外用薬が発売され、より手軽に治療できるようになりました。「エクロック」と「ラピフォートワイプ」という2種類の外用薬が保険収載されています。
汗を分泌する汗腺には全身に分布するエクリン汗腺と主にわきなどに分布するアポクリン汗腺の2種類があります。
多汗症は主にエクリン汗腺からの発汗です。
エクリン汗腺は、自律神経の一種の交感神経が放出したアセチルコリンという物質により、内臓や血管の壁などにある受容体が刺激されることで汗を分泌します。この2つの薬は、受容体に結合することで、アセチルコリンによる汗腺の刺激をブロック。
これにより発汗が抑えられます。
緑内障、前立腺肥大の方は使えません。
治療に踏み切った方は、新薬の登場によって「白い服がストレスなく着られるようになった」などとと喜ばれる方が多いとのことです。
令和4年9月19日、カーペンターズのカバーをされているSINONさんと言うボーカリストのライブに行くつもりで楽しみにしていました。
ライブに行くと決めてから2週間ほどカーペンターズとSINONさんのYouTubeばかり見てました。しかし、台風でライブは中止。
残念でした。SINONさんを初めて見るので楽しみにしていたのですが。
1970年代、カーペンターズは好きでよく聴いていました。
カレンカーペンターさんの声が好きでした。
私が研修医の時の1983年突然お亡くなりになったというニュースが飛び込んできました死因は拒食症による心不全だったそうです。
拒食症で亡くなるんや、とびっくりしたことを覚えています。
カレンさんはもともとぽっちゃり体型だったらしく、身長163センチで体重は66キロあったそうです。
BMIにすると24.8でギリギリ肥満手前と言う感じですね。
そんなに太ってると言う感覚ではないです。
でも兄のリチャードさんに私太ってるかなぁ?と聞いたところちょっとね、という返事が返ってきて、また雑誌の記事で太っていると書かれていたことにショックを受けダイエットを決意しました。
ダイエットをしてから短期間に44キロまで体重が落ちたそうです。
その後あまり体調は良くなく、一度結婚されたのですが離婚して、そういう心労もあったのでしょうか。お亡くなりになったとき体重は35キロだったそうです。
今回はカレンカーペンターさんを死に追いやった拒食症、摂食障害について書いてみます。
私は学生の頃、拒食症のことを神経性食欲不振症と習いました。
我が国の神経性食欲不振症患者は増加しており、本症患者の約7割が最初に一般医を受診するそうです。
あまり見ることはないとはいえ、私も一通りは知っておかなくてはいけません。
本症は、主に10~20代の女性において、多くはその年代に特有の心理的ストレスに対処できないことを契機に、やせ願望や肥満恐怖に基づく食行動の異常のためにやせを来たす疾患であり、その程度に応じて様々な合併症を呈します。
病型には制限型(小食)とむちゃ食い/排出型(やせを維持するための過食後の自己誘発性嘔吐や下剤・利尿剤の乱用)があります。
神経性食欲不振症の診断基準(厚生労働省特定疾患・神経性食欲不振症調査研究班 平成元年)
1. 標準体重の-20%以上のやせ
2. 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど)
3. 体重や体型についての歪んだ認識(体重増加に対する極端な恐怖など)
4. 発症年齢:30歳以下
5. (女性ならば)無月経
6. やせの原因と考えられる器質性疾患がない
食べないばかりでなく、経過中には過食になることが多いとされています。
過食には、しばしば自己誘発性嘔吐や下剤・利尿剤乱用を伴います。
その他食物の貯蔵、盗食などがみられます。
また、過度に活動する傾向を伴うことが多いようです。
極端なやせ願望、ボディーイメージの障害(例えば、ひどくやせていてもこれでよいと考えたり、肥っていると感じたり、下腹や足など体のある部分がひどく太っていると信じたりすること)などを含みます。
ほとんどは25 歳以下で思春期に多いです。
最近の傾向では30 歳以上の発症例も多く見られます。
カレンさんは亡くなったとき32歳でした。
発症は20代後半。
男性の発症も見られます。
やせをきたす器質性疾患には下垂体・視床下部腫瘍、慢性炎症性腸疾患、感染症、慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍などがあります。
痩せている患者を診たときは、ホルモン検査を含めた血液検査、消化器系の検査が必要です。
統合失調症、うつ病、心因反応(身内の死亡など)による一時的な摂食低下などを鑑別する必要もあります。
合併する異常として、60/分以下の徐脈、36℃以下の低体温、収縮期血圧90mmHg以下の低血圧 、骨量減少・骨粗鬆症、貧血、白血球減少、血小板減少、電解質異常、低ナトリウム血症、低カリウム血症、肝機能障害(ALT ・AST上昇)、70 mg/dl 以下の低血糖、歩行困難や起き上がれないなどの運動障害、意識障害などがあります。
痩せた人を診たとき、まず栄養状態の評価をします。体重が最も重要な指標です。
%標準体重 やせの重症度
75%以上 軽症
65%以上75%未満 中等症
65%未満 重症
カレンさんはお亡くなりになったとき35㎏だったので、60%の重症であったわけですね。
本症の死亡率は6~20%で、他の精神疾患より高いので救命のために緊急入院の適応の有無の判断をします。
主な死因は内科的合併症、飢餓、自殺です。
次の場合には緊急入院が必要です。
1. 全身衰弱(起立、階段昇降が困難)
2. 重篤な合併症(低血糖昏睡、感染症、腎不全、不整脈、心不全、電解質異常)
3. 標準体重の55%以下のやせ
重症の治療を私のような家庭医がすることはないです。軽症の場合、栄養状態をよくするよう努めます。
強引な栄養療法の導入や急激な体重増加指導は治療関係を悪化させるので、避けなければなりません。
患者は体重増加を容易には受け入れず恐怖心を抱きますが、体重増加による利点を自覚させるような動機づけが最も重要です。
重症例、難治例は迷わず専門医に紹介します
拒食症の経過中に、過食症が現れることはよくあります。
病的やせを伴わない神経性大食症でもみられる過食・排出行動(意図的嘔吐)には、依存症としての側面があります。
次の過食を誘発する意図的嘔吐をしないようにする工夫、治療が望まれます。
まず睡眠時間を確保して生活リズムを整えるよう指導する必要があります。
認知行動療法の効果も実証されていて、強化認知行動療法(CBT-E:enhanced cognitive behavior therapy)は2018年より神経性大食症に対し健康保険が適用され、今後の適応拡大が期待されています。
マニュアルがありました。
摂食障害に対する認知行動療法CBT-E 簡易マニュアル。
https://www.ncnp.go.jp/nimh/shinshin/edcenter/pdf/cbt_manual.pdf
要は今の自分の食生活・行動を記録して、どうなりたいかも記録、それについて食の記録を分析してカウンセリングする、というものでした。
やっぱり専門施設でのカウンセリングになりますね。
過食症状は自分の責任であり、恥ずかしいものと考えるため受診は遅れがちです。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は症状軽減に一定の効果はあるとされています。しかし長期の効果は不明です。
以上、カレンカーペンターにかこつけて摂食障害について概説しました。
深いところまでは説明していません。
本格的治療はやはり専門医が必要です。
それにしてもSINONさん、見たかったな。
またホームページチェックして、行けるときに行きます。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
10月8日土曜日(忠岡町の祭礼の日)休診させて頂きます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。