2022年8月 No.201
8月ももう終わります。暑い日が続きました。
各地で大雨による被害が出ました。
特に東北の被害が大きかったようです。
線状降水帯予報もよく出ていました。
積乱雲が連続して発生し、上空の風の影響で帯のように連なると線状降水帯となるそうで、これが大雨の原因とか。
9月になりますがまだまだ暑い日が続きそうです。
引き続き、熱中症、紫外線、虫刺され対策はしてください。
現在第7波となる感染ピークが押し寄せており、大阪では連日2万人を超える感染者が報告されています。私の周りでは、家族は感染していませんが知人が数人感染しています。
当院はコロナウィルス感染症を診ていますが、当院での遺伝子検査のキットが品薄になっており、枯渇寸前となっています。
検査キットが無くなれば抗原検査をするか、唾液のPCR検査(結果翌日)のどちらかとを検討する予定です。
発熱者、感冒症状、下痢など胃腸症状がある方はコロナウィルスの検査が必要です。
いきなり院内には入らないようにしてもらって、受診前に必ず電話連絡してください。
車で来院される方は車での検査、診察になります。徒歩、自転車バイクの方は外に設けたスペースでの検査、診察となります。
また、検査できる人数は当院の診療事情より、規定数以下とさせていただいています。
12歳から49歳の若い人では、薬局で無料の抗原検査キットが配布されています。対応薬局は忠岡町では、百薬堂薬局、のぞみ薬局、さくらい薬局です。
必ず電話予約してから提供を受けて下さい。
また、コロナ陽性患者、検査患者さんの点滴治療は当院では部屋の関係で出来ません。
また、カロナールという解熱剤もよく使っていましたが、出荷調整がかかっています。こちらも無くなれば、何かで対応しないといけません。
咳止め、トローチなども少なくなってきているようです。
医療機関も逼迫しており、救急車で病院に搬送してもらおうとしても、受け入れ先が無く数時間救急車で待機、という例もでています。
コロナと診断されたら、悪化の危険因子のある方については、米メルクの「ラゲブリオ(モルヌピラビル)」、米ファイザーの飲み薬「パキロビッドパック」の処方が可能です。リスクのある高齢者には積極的に処方するようにしています。
重症化の危険因子とは肥満(BMI30以上)、慢性腎臓病、糖尿病、心血管疾患、脳血管疾患、高血圧、慢性呼吸器疾患(COPD等)、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている等の方です。
またオミクロンBA5株にも有効なワクチンも開発されたとのニュースがありました。
「え、今までのワクチン、オミクロンには効かなかったの?」という印象でしたが。
オミクロン株対応ワクチンを巡っては、米ファイザーと米モデルナが8月上旬、厚生労働省に承認申請しています。厚生労働省は10月半ば以降にワクチン接種を始める方向で準備を進めています。
また、国内でもオミクロン対応のワクチン開発が進んでいます。
製薬会社「Meiji Seika ファルマ」(東京都)が「オミクロン株」に対応したワクチンを国内で生産することを目指すと発表した。
同社によると、生産するのは遺伝物質「メッセンジャーRNA」が体内で増殖するよう改良を加えた「レプリコンワクチン」という新しいタイプ。
レプリコンワクチンとは少量の接種で十分な抗体が作られる自己増殖型のmRNAワクチンのこと。
現行のmRNAワクチンと比べて10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本全人口分の製造が可能となることと、副反応が低減されることが期待されています。
米国の製薬企業が開発中の技術を使い、福島県内で生産する方向で検討しているそうです。
先月の院内報で、サル痘は日本ではまだ出ていませんと書きましたが、書いた翌日に第一例の国内サル痘患者が発生しました。
その後、現在日本では厚生労働省の資料によると4例のサル痘患者が発生しています。
2例が日本人。いずれも関東で発生しています。
また、メキシコとキューバではサル痘感染者の死亡が発表されました。
サル痘感染者の死者はアフリカ以外では、ブラジルやスペイン、エクアドル、ペルーで確認されているほか、インドでも報じられています。
今年の夏休みは、昨年に続き故郷である熊野大花火大会が中止となりましたが、三重県に旅行に行きました。
久々の露天風呂ありの旅館で、寛いできました。
在宅医療をしているので、医院にかかってきた電話は私の携帯に転送するよう設定しています。
今年は一日平均20本の電話がかかってきて、家族に呆れられました。ワクチン接種の予約、熱が出た、喉が痛いなどの症状で受診希望の電話、薬局からや訪問看護からの電話もありました。
まあ、仕方ないかなと諦めてます。
腎臓は血液をろ過して尿を作り、老廃物や余分な水分、酸・電解質を体の外に排泄する役割を担っています。
また、血液を作るホルモンを出したり、骨を維持するのに必要なビタミンDを活性化したりする働きもあります。
腎不全とは、腎臓の機能が低下した状態をいいます。腎不全になるとこれらの働きが悪くなり、全身にさまざまな影響が出てきます。
腎不全は進行パターンによって2種類に分かれ、急激に症状が進行する反面、適切に治療すれば回復可能な急性腎不全と、徐々に悪くなり回復が見込めない慢性腎不全があります。腎機能が極端に落ちてしまうと、透析療法または腎移植を受けないと生存できなくなってしまいます。
腎機能は主に血清クレアチニンと言う検査の数値でみます。
正常は概ね1.0mg/dl以下。クレアチニンが高いという事は腎機能が悪いということなのです。
クレアチニンが2.0mg/dlを超えると少し焦ります。4.0mg/dlを超えるとかなり焦ります。
あと、尿がちゃんと出ているかどうか尿量もチェックします。
クレアチニンが上昇している患者さんを診たとき、まず治るのか治らないのかを見極めないといけません。
上にも書きましたが急性腎不全は治る腎不全です。慢性腎不全は治らない腎不全です。
では急性腎不全と慢性腎不全はどうやって見分けるのでしょうか?
まずクレアチニンの患者さんの過去のデータを集めます。
次に腎臓の形態を見ます。
一般的に急性腎不全の時は腎臓が腫大します。
慢性腎不全の時は腎臓が萎縮すると言われています。
ここで過去のクレアチニンデータを見て急速に上昇している、腎臓の形態が腫大している場合は急性腎不全を疑います。
急性腎不全の原因は3つに分類されます。
1.腎後性腎不全。
これは尿路が閉塞して逆行性に腎臓に圧がかかって濾過できなくなる状態です。
2.腎前性腎不全。
腎臓に流れ込む血液が減少しているために起こる腎不全です。
3.腎性腎不全。
腎臓の実質(糸球体)自体の障害です。
鑑別の順番は1→ 2 → 3です。
まず腎後性腎不全でないかどうかを調べます。
当院ではエコー検査で腎臓が腫れているかどうかを見ます。
尿路(尿管から膀胱から尿道)の拡張があるかどうか、水腎症(腎臓の中心にある排泄路・腎盂が拡張する)が起こっているかどうかで腎後性腎不全を診断します。
尿管の閉塞・膀胱尿道の閉塞により腎臓に障害が起きます。
当院では簡易のエコー検査だけですが、水腎症を呈している場合、病院でのCT検査は必須です。
ただ、クレアチニン値が上昇しているでしょうから、造影剤は使えないことが多いです。
腎前性腎不全の場合は原因精査します。
主には脱水ですね。
嘔吐、下痢、熱中症、発熱、食欲不振、大量出血、血圧低下や心不全による心拍出量減少により腎臓の流れ込む血流が減少して起こります。
この場合腎臓はできるだけ水分を外に出したくないので、水を再吸収する方に傾きます。
腎前性腎不全を疑ったら、尿中ナトリウムの排泄を調べます。
水の再吸収をしたい腎臓は、ナトリウムを再吸収します。
水はナトリウムにくっついて移動しますので、つまり尿中にナトリウムが排泄されなくなるという状態が起こってきます。
腎前性腎不全を疑ったら、尿中ナトリウムの排泄を調べます。
FENa(尿中ナトリウム排泄率)と言う指標があります。
血中のナトリウムとクレアチニン、尿中のナトリウムとクレアチニンを測ります。
FENa = (尿中Na / 血清Na) / (尿クレアチニン /血清クレアチニン) * 100
https://www.msdmanuals.cn/medicalcalculators/FractExcSodium-ja.htm
計算してくれるサイトがあります。
尿中ナトリウム排泄率1.0%以下であれば腎前性腎不全と診断できます。
急性腎不全のステージ分類があります。
クレアチニンと尿量でみます。
クレアチニンがその方の前回のクレアチニン値の0.3mg/dl以上の上昇またはその方のベースラインのクレアチニンから1.5-2倍の上昇かつ尿量・例えば60キロの人が6時間で180CC以上の尿が出なければ急性腎不全にステージ1に分類されます。
クレアチニンの値がベースラインから2-3倍の上昇があり、60キロの人で12時間360ml以下の尿量であるとステージ2の急性腎不全です。
ベースラインから3倍以上のクレアチニンの上昇またはクレアチニンが4.0mg/dlである場合、そして60キロの人で24時間で432ml以下の尿量である場合、または12時間以上の無尿の場合、ステージ3の急性腎不全と分類されます。
一般にステージ3では透析などの腎補助療法が必要となります。
治療は、循環血液量を増加させること。
輸液が一番手っ取り早いです。
腎性腎不全
腎後性と腎前性を除外することで腎性と判断されます。原因は感染や薬剤性などいろいろです。
腎機能低下の症状として尿量の低下、むくみ、体重増加、食欲不振、吐き気などがあり、重症例では息切れ、胸の痛み、けいれんなどが出ることもあります。
急性腎不全は上記で診断します。
慢性腎臓病は、老廃物を除去する糸球体という部位で1分間にどれぐらいの血液をろ過できるかを示す糸球体ろ過量(GFR)を目安として診断します。
GFR測定は一日蓄尿、採血が必要でしたが、最近日本では血清クレアチニン値と年齢、性別、身長・体重から計算で推定する方法(eGFR)が確立したため、血液検査だけで済むようになりました。
この数値と、尿検査で測った尿中のタンパク質の量との組み合わせによって、慢性腎臓病になっているか、その進行度はどの程度であるかを診断します。
また、急性・慢性にかかわらず、必要に応じて腎臓に針を刺し、組織を採取して調べる腎生検を行う場合もあります。
この検査でわかるIgA腎症という病気は、扁桃腺の摘出手術とステロイド投与で改善する可能性があります。
急性腎不全は適切に治療すれば、通常は腎機能が回復します。
原因を特定し、薬物治療や食事療法を行い場合によっては回復するまでの間、透析療法を行うこともあります。
腎後性腎不全の場合、閉塞機転となっている病変を取り除きます。
尿路結石の場合は、カテーテル、衝撃波を使った砕石術を。
腫瘍の場合はできたら摘出ですが、無理だったら尿管カテーテル、腎瘻などでなんとか腎臓より下に尿を流します。
主に泌尿器科での治療となります。
腎前性腎不全の場合、輸液が必要になることが多いです。
あとは脱水の原因となった原疾患の治療が必要です。
慢性の腎不全をもたらす病気を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。
CKDの原因は多岐にわたり、加齢、糖尿病、慢性腎炎症候群、高血圧・動脈硬化、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、結石などの泌尿器科の疾患、膠原病などの自己免疫疾患、薬の副作用など、多彩です。
慢性腎臓病を引き起こす原因として最も多いのは糖尿病で、慢性腎臓病の35~40%を占め、次が高血圧で30%近くを占めています。
慢性腎不全の治療は、大きく分けて2段階あります。
できるだけ腎機能を落とさないように、薬による治療と食事療法を行う段階と、極端に機能が低下した腎臓に代わり、透析療法または腎移植によってその機能を肩代わりする段階です。
進行予防治療では、血糖値や血圧を薬で厳格にコントロールするとともに、タンパク制限食を行うことが基本です。
腎機能の悪い時にのんではいけない薬があるので必要に応じて中止あるいは他の薬に変更します。
腎機能が健常人の15%を切った段階を末期腎不全といい、透析導入か腎移植を検討すべき時期です。
透析には、透析施設で受ける血液透析と自宅で患者自身が行う腹膜透析があり、最近では施設の透析装置を自宅に設置する在宅血液透析という方法もあります。
腎移植にも死体腎移植と生体腎移植があります。
それぞれの方法には一長一短がありますので、専門医と相談して選択することが重要です。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
10月8日土曜日(忠岡町の祭礼の日)休診させて頂きます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。