ホームドクター通信
2005年7月 No.2
◆待ち時間について

 ISO9001を取得している関係で、定期的に患者さんにアンケート・クレームなどご意見をお願いしています。先日行った調査で、最も皆さんがご不満思っておられることは待ち時間でした。
待ち時間が長いと感じた人の中には1時間半〜2時間かかっていた方もおられるようでした。しんどいときはイライラするとのコメントがあり、ごもっとも、と思った次第です。

 当院は、時間どおりに来られた予約患者を優先的に診察する。状態の悪い人・感染症の人は別室に移して早めに診察、という原則で診療しております。そのため、予約時間どおりに来られない方、予約のない方、受付・看護師がみて状態の良さそうな方についてはお待たせすることが今後も予想されます。

当院の待ち時間の方針をご理解いただいたうえで、現在の対応策を考えてみます。
 ・受付で大体の待ち時間をお伝えします
 ・受付を済まされた後に院外に出ていただいて結構です。時間が近づけば携帯、携帯メールなどでお知らせるなどし  ます。

 また、診療に時間のかかることもあります。そのため予約しても時間通りに診られないこともあり、診察室外の掲示板に現在何時から何時までの予約の方の診察中です、と張り出すようにしています。

検査・処置予定の方は診察の前に先にするようにしています。

 待合室で快適にお過ごしいただくよう考えております。新聞、雑誌、テレビを置いています。自動給茶機も設置しています。待ち時間を利用して差し支えのない方にはアンケートなどをお願いしています。アロマセラピー、ラジオ、携帯音楽プレーヤーの貸し出しも考えております。

 当院の一連の流れで(受付ー問診ー診察ー処置・検査ー会計)でボトルネックになっているところは、やはり診察です。電子カルテを採用しており、基本的に処置・検査・投薬は診察室での現場入力で、お話はできるだけお聞きするようにつとめ、診療説明は書く、としていますので、他の病院の医師よりは時間がかかっていると思います。待ってでも診てほしいという信頼を得るのが一番かと思いますが、それだけではいけませんので、診療時間短縮についてはカルテ入力をしてくれる医療秘書の導入を考えているところです。

何かご意見がありましたら、スタッフにお伝えください。ご意見箱も活用いただければ幸いです。よろしくお願いします。


◆特集:新しい傷の治し方

 元外科医です。傷は職業上、たくさんみてきました。

 そのうちかさぶたが出来て跡はしばらく残るけど2〜3週間で直るでしょうとか、液のでている間はガーゼをしましょうとか、乾いたらガーゼはなるべくしない。傷口は乾かすように。などと言ってきました。

傷(裂傷,挫傷,縫合創,熱傷,褥瘡など・・・)は必ず消毒する。
消毒しなければいけない。
傷は消毒しないと化膿する。
傷が化膿しないように消毒している。
傷が化膿したので消毒する。
傷にはガーゼをあてる。
傷は濡らしてはいけない。
縫った傷は濡らしてはいけない。
痂皮(カサブタ)は傷が治るときにできる。
痂皮ができたら傷が治る。
ジクジクした傷は乾燥させて痂皮をつくらせる。
 
 学生の時、研修医のときからこのように教えられていました。そして、疑いもなく、消毒、ガーゼの処置を日常業務としており、自分の下の医師にもそうやって教えてきました。でも、実はこの全てが間違っていたのです。この通りにすると,本当は傷の治癒は遅れるばかりで、以前の私を含めて、大部分の医療従事者は間違った知識を持っていると思ってます。


 正解は

消毒は傷の治りを遅らせる、ガーゼも遅らせる。
傷からでている液は悪いものではなく、自分の傷を治そうと一生懸命頑張ってだしている。
かさぶたはつくらないようにする。傷は乾かさない。

  です。


このようなことを最近理解しました。

 きっかけは新しい創傷治療ー消毒とガーゼの撲滅を目指してhttp://www.wound-treatment.jp/というホームページをみたことでした。作成されたのは夏井先生という東北の形成外科の先生です。夏井先生の本も買って読んでみました。待合においておきますので、興味のある方はみてください。ただ、傷がいっぱい掲載されていますので、血をみて気持ちが悪くなる方はご覧にならないように。

 本当かなぁ、と思いつつ、まず自分の傷と家族の傷から、水で洗って、消毒とガーゼを使わず、褥創の治療で使っていたデュオアクティブという被覆剤を使用してみました。2〜3日の間に奇麗に治りました。これに驚き、外傷で来られた患者さんにもするようにしました。以後、全くといっていいほど消毒とガーゼは使用していません。今では外傷の方に痛い思いをさせて消毒して、できかけた皮膚をガーゼごとペリペリとはがすのは罪ではないかとも思えるようになりました。

 今、当院は夏井先生の新しい創傷治療、を取り入れて傷の治療をしています。消毒はせず、洗浄、被覆剤(ラップも使うことがあります)を使用しており、夏井先生のホームページの新鮮外傷を湿潤療法で治療している医師、にも登録しています。特別なご希望が無い限り、傷の消毒・ガーゼはしていません。

 上記の治療法を実践すると、まず、来院回数が減ります。更に驚くほど早く綺麗に治ります。医院の経営を考えると、消毒して、治りかけた傷をガーゼで剥がして治癒を遅らせるほうがいいのでしょうが、、。やっぱり痛くなく、早く治ったほうがいいに決まってますよね。


家庭でできる傷の治療をお教えします。

すりむき傷、小さな切り傷程度でしたら、まず水道水でよく洗います。その上から食品用のラップ(サランラップ、クレラップなど)を貼って、周囲をテープで止めておきます。そのままでもいいですが、上からタオルとかガーゼ(直接傷にあたらなければいいです)とか紙おむつなどをあてて余分に出てきた液を吸い取るようにします。夏でしたら、一日2回くらい交換してください。交換の時、水道水で洗ってください。以上で綺麗に治ります。
市販薬でも、被覆剤と同等品がでています。商品名キズパワーパッド、です。http://www.jnj.co.jp/consumer/index_bandaid.html
キズが3倍早く治る、と宣伝していますね。あながち嘘ではありません。普通の傷絆創膏を貼るより早く綺麗に治ります。ただ、少し高価、です。

以上、家庭でできる傷の治療です。パンフレットも待合に置いています。参照してください。この方法で不安な方はまず一度診察を受けてください。

今後傷の治療法は間違いなく、病院でも変わっていく分野だと思っています。


◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの? かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

今月号の新しい傷の治し特集、いかがでしたか?興味がありましたらお気軽にお尋ね下さい。

お盆は 8/13〜8/16まで休診させていただきます。

発行が遅れ気味になってすみません。月刊をめざして頑張っておりますのでよろしくお願いします。

皆様からのご意見・ご質問・ご要望などがありましたらスタッフまでお願いします。