2022年2月 No.195

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

2月下旬となりました。
寒い日が続いています。
2月26日土曜日より暖かくなるという報道があり楽しみにしています。
春の訪れですね。
それに伴ってというわけでもないですが、花粉も飛び始めています。
花粉症の方で鼻水が出だしたと薬を希望される方が多くなってきました。
花粉症の方は気をつけておいてください。

新型コロナ
第6波・オミクロン株による感染が続いています。
現在大阪では蔓延防止発令中です。
少しずつ陽性者数が下がってきているような印象があり、ピークアウトしてきていると思いたいですが。
医療では緊急事態宣言が出されています。
実際、私の診ている患者で、重症リスクが高い方を早めに入院させていただくよう保健所に要請しました。
しかし、まだ待っている方が多くおられるので、もう少し待っていてください、という連絡があったそうです。
医療崩壊を実感しました。
2日たって、ようやく入院できました。
保健所も病院も大変な状況にあります。

今はステルスオミクロンBA-2という変異株ウィルスが蔓延しつつあります。
普通のオミクロンウィルスBA-1より病原性が高いとされています。
そしてさらに感染性も高いと言われています。
まだまだ感染対策が必要です。

3回目のワクチン接種も進んでいます。
2月27日に久しぶりに忠岡町役場に集団接種のため、出務します。

コロナ感染症の治療としては、点滴薬としてゼビュディ点滴が追加となりました。
以前使われていたロナプリーブはオミクロンには無効とのことで、あまり使われなくなってきているようです。
経口薬ではラゲブリオに続いて、ファイザーのパキロビッドパックが特例承認となり、選択肢が増えています。
塩野義製薬も国産初のコロナウィルスの経口薬を開発しました。
現在承認に向けて活動しております。早く承認されていただきたいと思っております。

英国では新型コロナ感染症のための規制が撤廃されたそうです。
これによりコロナはインフルエンザと同等の扱いとなっております。

ワクチン接種も進み、進行を抑える点滴、飲み薬も開発されているのですから、私も現在のコロナ感染症は特に2類(保健所対応)に限定せず、インフルエンザと同じ5類で良いのではないかと考えております。
飲食・旅行をはじめ、大変な被害を被っている業界のことを考えると、これからの転換は必要ではないでしょうか。
しかし岸田総理は第5類への転換を全く考えていないとの事でした。
まだまだこの騒動は続くようです。
ちなみに今年もインフルエンザは一例も診ていません。

厚生労働省では、
毎年3月1日から3月8日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。
女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごすためには、生活の場(家庭、地域、職域、学校)を通じて、女性の様々な健康問題を社会全体で総合的に支援することが重要です。

女性の健康を包括的に支援するため、厚生労働科学研究費補助金により研究班が女性の健康についての情報提供サイト「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」を作成しています。
このサイト少し見てみましたが、非常に多岐にわたり紹介されています。
女性のライフステージ別健康ガイド、病気を調べる、セルフチェックなどがかなり詳細に説明されています。
デリケートなお悩み相談まで掲載されていました。
女性にとってかなり有用なサイトと思われました。
女性の健康週間のことは、産業医をしている川本産業の安全衛生委員会で教えていただきました。
そんな週間があるとは全く知りませんでした。
産科婦人科学会よりロゴマークも提示されています

女性の健康習慣

いい機会だと思いますので、女性の方、ヘルスケアラボにアクセスしてみてください。

動悸

動悸は「心臓の拍動を自覚する症候」です。
普段の生活で、心臓の拍動を自覚することは普通ありません。
びっくりして、ドキッとしてそのあと脈が速くなるとか、運動していて脈が速くなってドキドキするとか、アルコールを飲んでいてドキドキするとか、それも一応は動悸です。
でも、まあ生理的な動悸と言えます。
脈の不整を自覚するのも動悸です。
脈が不整でなくても動悸を感じることはあります。動悸を訴える方は結構多いです。

動悸を訴える方が外来に来られたら、どうアプローチするかを考えます。

まず、動悸の性状です。
胸が一瞬ドキンとする、ドキドキする、心臓が早く打つ、ゆっくりだが一拍ずつ強く打つ、心臓が一瞬止まるよう、脈が飛ぶ、胸の中に鳥がいてバタバタしているよう、などいろいろな訴えがあります。
受診時の今も動悸を感じるのか(持続性)?
発作的に動悸を感じるのであれば、どのような時に起こるのか?
持続時間は?
頻度は?(一日に何回も起こるのか?一日に一回なのか?数日に一度なのか?週に一度、月に一度なのか?)
誘因があるのか?
冷汗・めまいを伴うか?
等をお伺いします。
動悸 挿絵そのうえで服用されている薬をチェックします。薬から心不全、高血圧、貧血、甲状腺機能など関係する背景疾患の有無を確認します。

そして、診察です。
血圧が下がっていないか、上がっていないか確認します。
自動血圧計で測定した脈拍数を確認。
心音チェックして、診察時の心拍数の確認、不整脈・心雑音があるかどうかを確認します。
また、肺うっ血を示すような雑音、呼吸器疾患が疑われる雑音がないかチェックします。
そのほか、貧血があるか?甲状腺腫大・眼球突出、振戦、浮腫ががないか?を診ていきます。
心因性の動悸のチェックのため、意識レベルや精神症状・ストレスや不安、精神科疾患を疑わせる徴候が無いかをお話の中から探ります。

明らかに生理的な動悸という場合を除いて、原則、12誘導心電図を撮ります。
持持続性の動悸、不整脈はここで確認できます。確認できない場合は必要に応じ、Holter心電図(24時間心電図)を予定します。
心不全、肺疾患が疑われる場合は胸部レントゲンを追加。
貧血、甲状腺機能亢進症などが疑われる場合は甲状腺機能、炎症反応,NTproBNP(心不全のマーカー)を含めた血液検査を追加します。
ここまで検査できたとして、動悸の鑑別診断です。

まず、心臓血管性非心臓性かを区別します。

心臓血管性で不整脈がある場合、持続性頻脈であれば診断は心電図検査でつきます。
頻脈であれば、洞頻脈、心房細動、心房粗動、上室性頻拍であることが多いです。
発作性頻脈の場合ホルター心電図で診断がつくことがあります。
持続性と同じ洞頻脈、発作性心房細動、発作性上室性頻拍、発作性心房粗動に加え、命にかかわる致死的不整脈心室頻拍のことがごくたまにあります。

脈の結滞がある場合は、期外収縮であることが多いです。
放置可能な期外収縮か、治療介入必要な期外収縮かを判断します。
徐脈の場合は、洞徐脈、房室ブロックのことが多いです。
房室ブロックではペースメーカーが必要になる場合もあります。

不整脈性以外の心血管疾患では、高血圧の方、心不全の方が動悸を訴えることがあります。
しかし、心不全は呼吸苦を訴えることのほうがが多いです。

非心臓疾患で動悸がある場合、貧血、甲状腺機能亢進症は比較的多いです。
慢性の呼吸器疾患は進行が緩徐のことが多く、動悸の訴えは少ないようです。
気管支喘息、精神科疾患、循環器の治療薬には動悸を副作用とするものもあります。
気管支拡張剤、シロスタゾール、抗うつ薬は比較的副作用に動悸を訴えることが多いようです。
心因性:動悸の原因が明らかでない場合、心因性にみえることは多いです。
しかし、一般診察では診断のつかない心血管性動悸、非心臓性動悸動悸が存在していることあがあり、注意が必要です。

診断のつかないときは循環器専門医にコンサルト・受診して頂きます。
心エコー、運動負荷試験、長期の心電図検査などが行われます。
頻脈発作を疑い、その検出が必要なときは、電気生理学的検査や植込み型ループレコーダなどが行われます。
精神科疾患やその治療との関連の可能性があれば、専門医へのコンサルトします。
背景疾患が明らかでない生理的な洞頻脈も存在します。

QOLを損なうほどの訴えがあり、器質的心疾患と他臓器疾患が除外されていれば、β遮断薬が処方されることがあります。

緊急処置が必要な場合動悸を訴える患者の中で心室性頻拍は電気的除細動などの緊急性処置が必要です。

まだ遭遇したことはありませんが、意識低下などを伴うようなら、AEDが必要でしょう。
しかし、意識が正常なら救急車を呼んで、病院救急・循環器受診が適切と思います。

血圧低下やめまいなどを伴う動悸は、持続性頻脈性不整脈を疑わせます。
すぐに心電図検査を行い、どのような不整脈が起こっているか確認します。
上室性頻拍の場合、当院でも静脈点滴をしながら、モニター観察の上でアデノシン三リン酸(ATP)の急速静注をすることがあります。有効であることが多いです。
ただ、稀に徐脈・心停止などの副反応があり、AED・気管内挿管などの準備をしたうえで行います。
今まで数回しましたが、幸い奏功しました。

循環器を専門とする医師会の先輩からは、「そんなことようするわ」、「病院に紹介したほうがええで」と助言されています。
この数年、上室性頻拍の患者さんはお目にかかっていませんが、今度受診されたらどうしようか考えます。
ATP静注で軽快するのなら、まあしてみるかな、とは思っていますが。

頻脈性心房細動も電気的除細動が必要なことがあるので、その日のうちに病院に紹介しています。
血行動態的に不安定な患者、めまいや失神のある(いわゆるアダムストークス)方は一刻も速い病院受診をお勧めしています。
幸いこの地域には循環器の救急を快く受けてくださる病院が多く、助かっています。

動悸をよく感じる患者さんへ

動悸を感じたとき、自分で脈をとってみることをお勧めします。
手のひらを上に向け、反対の手の人差し指、中指、薬指の3本で、親指方向の手首の下にあて、橈骨動脈を触知し、脈をみます。

脈を診る

脈拍数(速いのか遅いのか)、脈が規則正しく打っているのか、不整脈があるのか、を記録しておいてください。
一分間測られてもいいし、30秒測定で2倍、15秒測定で4倍して頂いてもかまいません。

ホルター心電図をしたけど不整脈がつかまらなかったという患者さんには、携帯型心電計が有効なことがあります。
当院でも、パラマテック・EP202という機械を貸し出しすることがあります。(保険適応がないので、無償でお貸ししています)
動悸が起こったときに、機械を胸にあてると心電図が記録されます。
これで診断できたことが数回あります。
オムロン 携帯型心電計 HCG-801を購入された方もおられました。
ネットで2-3万円で売っています。

オムロン 携帯型心電計 HCG-801

動悸を感じるときにどのような心電図波形なのかを記録しておくことは、治療を考える上でとても有用なことだと思っています。

以上今回は動悸につき、書いてみました。
一刻も早い処置の必要な場合から、精査・処置の必要な場合、生理的な動悸で特に処置の必要のないものまでいろいろな病態が含まれています。

動悸がよくある方はまたご相談ください。
こう書くと、酒飲んだらドキドキするんやけど、とか綺麗なお姉さん見たら動悸するんやけど、という相談が増えるかもしれませんが、生理的な場合は適当にあしらいます。
心電図くらいは撮ろうかな。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

3月5日土曜日、岸和田市民病院での緩和ケア研修会にファシリテーターとして参加するため、休診します。
御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

3回目のコロナワクチン接種が始まっています。忠岡町の集団接種も始まっています。
当院での接種希望の方は接種券(クーポン)が到着したら、電話で予約をお取りください。
現在当院はファイザー社製のワクチンを使用しています。モデルナ社製のワクチンも使用予定です。