2021年 9月 No.190

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

9月も終盤になりました。
9月26日・日曜日、忠岡町役場での集団接種終了後に書いています。
雨が降ったことも影響するのかもしれませんが、空気が冷たかったです。
え、もう秋?という印象でした。
もう少し残暑を楽しみたかった。

私は8月生まれ、ということもあり、四季のうちでは夏が一番好きです。
夏の終わりで秋が感じられるときが一番悲しい時期です。
そう感じる時期が今年は早いのではと感じてています。もう10月。早いですね。
おせちのパンフレット、申込用紙も郵送されていました。
10月になったら、来年のカレンダー、年賀状などのお知らせも例年来ます。
あっという間にハロウィン、クリスマス、正月が来るんでしょうね。

この時期、寒暖の差が激しくなります。
体調管理には十分お気をつけください。
今までだったら、咽頭痛、微熱などで受診されたら、風邪薬処方しますで終了でした。

しかし、昨年から微熱であろうと発熱がある場合は、コロナ感染症の危険性を考え、PCR検査をすることにしています。
発熱のある方はまず医院に電話をして頂くようお願いしています。

緊急事態宣言発出中の中、岸和田だんじり祭りがおこなわれていました。
無観客とされていましたが、報道を見る限り、観衆は結構いたように思いました。
祭りに参加したら、2週間の休職、復職前の新型コロナPCR検査を課された企業も多かったとか。
今のところクラスター発生の報告はありませんが、まだ注意が必要です。
10月9日・10日開催予定だった忠岡、泉大津はだんじり曳行は自粛するとのこと。
忠岡だんじり祭の伝統文化継承とコロナ禍収束祈願のため、忠岡神社においての神事と駅前献灯台の設置は行われるそうです。
神事につきましては、各町の役員のみで行われます。
10月9日土曜日、祭礼がある場合は休診にしようと思っていましたが、祭礼が無いようなので、診療することにしました。
コロナ関連のお知らせについては、今回2-3ページ目を現在の新型コロナウィルス治療についてで書きましたのでそちらをご参照ください。

 インフルエンザ予防接種 

10月1日から65歳以上の忠岡町在住の方対象に、インフルエンザ予防接種を行います。
事前予約してください。昨年は無料でしたが、今年は自己負担1000円必要です。
忠岡町在住65歳以上、以外の方は11月1日より接種開始となります。
費用は3500円です。
受付で予約お願いします。

昨年はインフルエンザを一例も診ませんでした。開業以来20年、初めてのことでした。
だから今年も無いのか?というのはわかりません。私は予防接種はして、備えておいた方がいいのではないかと考えています。

膵がん早期発見。
「午後の紅茶ミルクティー」が膵がん早期発見の突破口になるかもしれません。
「超音波検査時、胃の中に午後の紅茶ミルクティーを入れると膵頭部がほぼ90%見られるようになります」比較した写真を見ると、確かに午後ティーミルクを飲んだ膵臓の方がはっきりと写っいました。
膵臓は体の奥の胃の後ろ側にあり、約半分しか見えないため、がんの発見が非常に難しく「暗黒の臓器」とも呼ばれています。

元大阪国際がんセンター副院長・片山和宏
胃の中に何を入れれば膵臓がよく見えるのか。
約10年にわたって膵臓の超音波検査の研究を行ってきました。
その結果飲み物の中で最適だったのが午後の紅茶ミルクティーだったというのです。
レモンティーだと胃酸と反応して見えにくいというのです。
また、炭酸飲料では細かな泡が邪魔をします。ミルクティーは適度な濁り具合が程よく、超音波を通すのだといいます。
検査時500㏄くらいのまないといけないため、患者によっては苦しいという人もいるとか。

しかし、早期発見が難しい膵がんの早期診断につながればいいですね。

新型コロナウィルス感染症の治療法

猛威を振るっている新型コロナウィルスですが、現在デルタ株という変異株が蔓延しており、ミュー株も散見される状態です。
しかし、徐々には下火になってきているようであり、9月26日時点でまだ決定ではないですが、政府は9月いっぱいの緊急事態宣言の解除を検討しているようです。

個人的には飲食店のアルコール供給ができるようになり、町に活気が戻るのはとても喜ばしいことです。
しかし、まだまだ警戒が必要で手放しに喜んでいるわけにはいきません。
コロナ前と全く一緒になることは無いです。
少なくとも、不要不急の外出は控え、外出時はマスクをして、三密を避ける。
うがい・手洗いをするなどは今後も永続的になると思っています。
特効薬が出るのを待つばかりです。

全ゲノム解析(遺伝子情報)が出来ているようなので、変異株も含め有効薬の出現はそう遠くないだろうと個人的には思っています。
今回は、新型コロナウィルス感染症の治療について、概説します。

新型コロナウィルス、抗原検査、PCR検査で陽性になると、保健所に報告します。
市販のコロナウィルス検査で陽性になった場合は、原則的に医療機関での再検が必要です。
在宅療養、ホテル療養、入院は保健所が決定します。

コロナウィルス感染症と診断された場合、重症度判定をします。
呼吸器症状、酸素飽和度から軽症、中等症Ⅰ・Ⅱ、重症に分類されます。
軽症は酸素飽和度96%以上、呼吸器症状なし、のケースです。
酸素飽和度を測るパルスオキシメーターは保健所から支給されます。

軽症は経過観察のみで、自然軽快することが多いです。
しかし中に呼吸困難が2週間以内に出現するケースもあります。
歩行時に呼吸困難がある場合など注意が必要です。
重症化リスク因子のある患者では中和抗体薬(カシリビマブ/イムデビマブ)の適応があります。保健所か主治医の判断で施行できます。
適応等については後述します。

中等症Ⅰは酸素飽和度93-96%で、呼吸困難、肺炎像のある方です。
酸素飽和度から呼吸不全ありとは認定されません。中等症Ⅰから入院の適応になります。
安静にして、十分な栄養摂取が必要です。
レムデシビルの投与が考慮されます。
現時点では,酸素投与が必要のない患者ではステロイド薬は使用すべきではないとされています。

中等症Ⅱは酸素飽和度93%以下で、酸素投与が必要な方です。
入院の対象です。ステロイド投与されます。
さらにレムデシビルの使用も考慮します。
また,バリシチニブやトシリズマブが用いられることもあります。

重症:酸素投与しても、酸素飽和度93%が確保できず呼吸困難のある方です。
人工呼吸、ECMO(体外式膜型人工肺)が検討されます。薬物ではレムデシベル、ステロイド、パリニシチミド、血栓予防のためのヘパリンが投与されます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第5.3版

図:●新型コロナウイルス感染症(COVID-19)    診療の手引き・第5.3版

 薬剤 

日本国内で承認されている医薬品は、レムデシベル、ステロイド(デキサメサゾン)、バリシチニブ、カシリビマブ/イムデビマブの4種類です。順に解説します。

レムデシベル

一日一回点滴静注。5日間続けます。
中等症Ⅰから投与可能です。
レムデシビルは、この製薬会社がもともとはエボラ出血熱の治療のために開発を進めていた薬剤です。
2020年2月頭に武漢の研究所から、人体ではなく培養した細胞での結果でしたが、レムデシビルが新型コロナウイルスの増殖を抑制したと医学雑誌に発表されました。
レムデシビルには、ウイルスの複製に関するRNAポリメラーゼを阻害する効果があります。これによりウイルスの増殖を抑え、症状を改善する効果が期待されています。

ステロイド

デキサメタゾンとして6mg1日1回10日間まで(経口・経管・静注)同じ力価の他の薬剤、プレドニゾロン40mg、メチルプレドニゾロン32mgも代替使用可能です。
私は5月に中等症Ⅱにもかかわらず、他疾患があったため入院できない方に処方しましたが、結構有効との印象を持ちました。

経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬

バリシチニブ(商品名オルミエント)は、関節リウマチとアトピー性皮膚炎の治療薬として既に国内で使用されています。
新型コロナの治療では免疫が暴走し、急激に症状が悪化する「サイトカインストーム」を抑える効果が見込まれています。

カシリビマブ/イムデビマブ(中和抗体薬)商品名 ロナプリーブ

SARS-CoV-2 スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対するモノクローナル抗体であり、SARS-CoV-2 に対して抗ウイルス作用を発揮することが期待されている中和抗体薬です。
抗体薬は、発症から時間の経っていない軽症例ではウイルス量の減少や重症化を抑制する効果が示されています。
重症化リスク因子を 1 つ以上持つ COVID19 外来患者を対象としたランダム化比較試験でも有効性が示されています。

ロナプリーブの臨床試験における重症化リスクは」下記の通り。
●50歳以上 ●肥満(BMI 30kg/m2以上)●心血管疾患(高血圧を含む) ●慢性肺疾患(喘息を含む) ●1型又は2型糖尿病 ●慢性腎障害(透析患者を含む) ●慢性肝疾患 ●免疫抑制状態(治験責任医師等の判断による。例:悪性腫瘍治療、骨髄又は臓器移植、免疫不全、コントロール不良の HIV、AIDS、鎌状赤血球貧血、サラセミア、免疫抑制剤の長期投与)

発症から7日以内の点滴が必要です。
今までは保健所の判断で適応を検討して病院での投与指示がなされていました。
しかし、先々週くらいから、かかりつけ医の判断で中和抗体薬必要とされた方については保健所を介さずに病院紹介が可能とないました。
まだ病院名公表がされていないので、病院名を書くことは控えますが、紹介はできます。
保健所にも報告します。

いままで一例だけ病院紹介して、ロナプリーブ点滴して頂きましたが、翌日からピンピンしていたとのことでした。結構効きそうな薬です。
ただ、投与中のインヒュージョンリアクション・アナフィラキシーショックがおこる可能性があり、経過観察が必要です。

この点滴、診療所内でするようにとか訪問診療でするようにというお達しが来ています。
残念ながら、諸般の事情で当院内でのロナプリーブの点滴は難しいと感じております。
他の患者との兼合い、動線の確保、点滴する場所などが原因。
在宅での点滴も推奨されています。
大阪府でも一例訪問診療で投与されたとか。
詳細がわからないので、コメントしづらいですすが。当院の場合、訪問看護にお願いできれば点滴はできると思います。

その他の薬剤・治験中。列挙します。

・アビガンという薬が新型コロナウイルス感染症に効果がある可能性が認識され、治験が行われてきました。
しかし、アビガンの場合軽症者では高い割合で症状の改善が見られた一方で、重症者に対しての症状の改善は芳しくない状況でした。現在も治験が続いています。

・トシリズマブ:抗 IL-6 受容体モノクローナル抗体、 効能・効果 : 関節リウマチ

・ファビピラビル:インフルエンザの薬です。RNA合成酵素阻害薬 。治験中

・アドレノメデュリン:血管拡張性ペプチド。

・イベルメクチン(抗寄生虫薬,効能・効果:糞線虫症,疥癬):先月も書きましたが、尼崎の長尾先生も東京都医師会長も有効と言われてました。
現在、国内において医師主導治験が実施されています。
最新の解析では、イベルメクチンによる治療は標準治療やプラセボと比較して、軽症患者に おける全死亡、入院期間、ウイルス消失時間を改善させなかったと報告されていますので、使用しないようにCDCから勧告が出ています。
企業治験も国内で行われることが発表されています。

・サリルマブ(遺伝子組み換えヒト化抗 IL-6 受容体モノクローナル抗体,効能・効果:関節リ ウマチ)

・サルグラモスチム(GM-CSF)

・シクレソニド(吸入ステロイド薬,効能・効果:気管支喘息)

・ナファモスタット(蛋白質分解酵素阻害薬,効能・効果:急性膵炎)

・ネルフィナビル(プロテアーゼ阻害薬,効能・効果:HIV 感染症)・AT-527(ポリメラーゼ阻害薬):現在,国内において,企業治験が実施されている。

・GSK3196165IV(抗 GM-CSF 抗体):現在、国内において企業治験が実施されている。

・GSK4182136(VIR-7831)(モノクローナル抗体):現在,企業治験が実施されている。

多数の薬が治験中です。
また今年の冬には新しい経口薬が承認・販売されるというお話もあります。
早く、鎮静化してほしい。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

インフルエンザ予防接種

10月1日から65歳以上の忠岡町在住の方対象に、インフルエンザ予防接種を行います。
ご希望の方は、予約をお願いします。
昨年は無料でしたが、今年は自己負担1000円必要です。

忠岡町在住65歳以上以外の方は、11月1日より接種開始となります。
費用は3500円です。

受付で予約をお願いします。