2021年 4月 No.185

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

新型コロナウィルス感染拡大で、3回目の緊急事態宣言が出て飲食店は原則20時までの営業で、アルコールを出すことは禁止されているため、ほとんどの飲食店は休業に追い込まれています。

皆様も外に出られず、鬱々とした大変な日々を過ごされていることと思います。
人の集まるところの営業自粛要請のため、テーマパークなども休業を余儀なくさせられています。不要不急の外出自粛要請が出されています。これも感染予防には重要なことです。

3密(密閉・密集・密接)を避けることと、ウィルスのついた手で目や鼻、口の粘膜を触ってしまうと感染の危険がかなり高くなると思います。その意味ではマスクも有効ですね。

喉を乾燥させないように気をつけることも大事だと思ってます。常に飲み物を持って喉を潤すことがウィルスを洗い流すことになるんじゃないかと思ってます。あとは休息を十分にとって免疫力を上げておくことですね。また、アルコールなどによる手指消毒や石鹸を使用した手洗いをすることも勧められています。個人的には手で顔を触らないことを勧めたいです。

大阪では連日1000人を超える新型コロナ感染症患者が確認され、そのほとんどが変異株感染でイギリス型、インド型など変異があります。
入国者を受け入れしていたので、感染していた無症状の外国人あるいは帰国した日本人が持ち込んだことが疑われています。
大阪では一気に医療崩壊が進み、中等症で入院、酸素吸入、ステロイド・レムデシベル治療が必要な方でも入院できず、自宅・ホテル待機が多くなっているとのこと。

私も保健所に依頼されて、自宅療養患者の訪問診療に行ってきました。
検査上明らかな肺炎で、酸素飽和度も90%前後と低く普通でしたら入院加療の適応なのですが、病床が無いとのことで自宅療養になっています。もう医療崩壊が始まっているということでしょうね。

コロナワクチン接種、現在医療者向けの接種が始まっています。私も一回目接種受けました。
翌日接種部位の軽い痛みがありましたが、手が上がらないとか、熱が出るなどの症状はありませんでした。
同時期に受けた人では、やはり腕が痛い、上がらないといった訴えの方はおられます。
しかし、アナフィラキシーショックなどは少ないようで、泉大津、忠岡の医療従事者では出ていません。

75歳以上の高齢者の方には、予防接種のクーポン券が届いています。
忠岡町の集団接種は5月17日(日)から忠岡町役場・保健センターで開始されます。

当院では6月1日から接種を予定しています。
一日6人接種予定です。
ファイザー社製のワクチンは1バイアル6人で、その倍数で予約をとるようにします。
突然のキャンセル、連絡無しに来ない人などがいるかもしれませんので、その対策が必要です。ワクチンロスはできるだけ避けたいので。

厚生労働省からもワクチンロスを避けるよう通達が来ています。
だったら、クーポンを持っていない人にも接種できればいいと思うのですが、そこはクーポンを持っている人限定で接種するよう言われています。
なんと融通のきかないことかとあきれています。
そのうち、クーポン券が来ていない人にも打っていいとなるのではないかと思っています。

コロナ患者に対するオンライン診療が始まっています。
当院はライン、ズームでの診療は可能なのですが、まだしていません。
今後、必要になるかもしれないので、準備だけはしようと思っています。
問題は患者宅にその設備があるかどうかです。
スマートフォン一台あれば、可能かとは思いますが。

経口のワクチンが開発中だそうです。
楽でいいですね。期待したいです。

また、重症のコロナ患者に肺移植をして経過良好とのニュースもありました。
京都大学のケースで、今後広まることが予想されます。
ECMOでの治療がうまくいかない患者への最終の治療ですね。
治療できる施設は限られますが、重症患者の有用な治療になるでしょう。

過活動膀胱

トイレが近いなど排尿に関する悩みや心配はありませんか?具体的にはトイレが気になり外出や旅行等は気が引ける、夜中にトイレのために2回以上起きる、水仕事や手を洗った時にトイレに行きたくなる、急にトイレに行きたくなり駆け込むことがある、頻繁にトイレに行く、トイレに駆け込む前にちょっと漏らしてしまう。
このようなトイレの悩み、歳のせいかと諦めていませんか?もし当てはまるようなら、過活動膀胱かもしれません。
問診票で確認してください。

過活動膀胱症状質問票

質問3が2点以上(週一回以上急に尿がしたくなり我慢が難しいことがあった)で、合計点数が3点以上なら、過活動膀胱が疑われます。

この問診票で3点から5点の人は軽症6点から11点は中等症12点以上は重症と判定されます。
この結果はあくまでも目安です。
問診票で過活動膀胱の可能性がある場合、自己判断はせずにこの結果を持参の上受診してください。
過活動膀胱は以前は神経因性膀胱と呼ばれていました。

過活動膀胱では次のような症状が見られます

1.尿意切迫感:急にトイレに行きたくなり尿が漏れそうになります。我慢することが難しい。
   過活動膀胱の患者さんでは必ず起こる症状です

2.昼間頻尿:昼間の排尿回数が多くなります。
   ・8回以上

3.夜間頻尿:夜中に排尿のため1回以上トイレに起きます。

4.切迫性尿失禁 :トイレまで間に合わず、尿を漏らしてしまいます。

過活動膀胱は、膀胱機能の変化、膀胱や尿道などを支えている骨盤庭筋が弱くなる、前立腺肥大症、脳出血や脳梗塞の後遺症など様々な原因で起こります。
また原因が特定できない場合も多くあります。

過活動膀胱では、排尿のシステムのどこかにトラブルが生じ、自分の意思と関係なく膀胱が縮んだり、過敏な動きをするために上記のような症状が起こります。
2003年に行われた疫学調査では、過活動膀胱の症状がある方は加齢とともに増加し約約810万人と推定されています。
これは40歳以上の人口の12.4%、8人に1人が排尿に関する何らかの症状を抱えているということになります。

 問診・検査 

問診では先ほど確認した質問表の内容や症状はいつ頃からか、どんな時に出るか?出産経験の有無、尿漏れパッドの使用の有無、日常生活の障害等について確認します。

過活動膀胱では除外診断が大切であり、鑑別疾患として悪性腫瘍(膀胱癌や前立腺癌など)や尿路結石(下部尿管や膀胱、尿道)、下部尿路炎症性疾患(膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、間質性膀胱炎)、子宮内膜症などの膀胱周囲の異常、多尿、心因性頻尿、薬剤の副作用などがあります。

当院では、まず検尿します。
腎機能の状態や感染症などを調べます。
尿白血球が多く出ていれば、膀胱炎などの炎症によって症状が起こっている可能性があるので、原因菌検査の上、抗生剤処方して効果をみてもらいます。

次に残尿測定します。排尿前後の膀胱容量、排尿量をみて判断します。
男性は前立腺がんの鑑別のために血液検査が行われ、PSA検査をします。
前立腺がんで上がる腫瘍マーカーです。
クレアチニンで腎機能を調べます。
超音波検査で尿の残量や膀胱の状態を調べます。

過活動膀胱と診断されたら主に薬による治療が行われます。
抗コリン薬やβ3作動薬と言う薬を服用します。
抗コリン薬は膀胱が勝手に収縮するのを抑える薬です。
ウリトス、ステーブラ、バップフォー、ベシケアなどがあります。
β3作動薬は膀胱を緩めて尿を貯める機能を高める薬です。
ベタニス、ベオーバがあります。
また男性では前立腺肥大症が活動活動膀胱の原因になっていることが多く、このような患者さんではまず前立腺肥大症の治療を行います。
前立腺肥大の薬の効果が今一つであれば、過活動膀胱の薬を併用することで、症状の改善がみられることが多いです。

薬での治療と合わせて、膀胱訓練や骨盤底筋訓練を行うと効果的です。
膀胱訓練尿意をもよおしてもできるだけ我慢し膀胱の容量を広げる訓練です。
即効性は無いので、継続することが大事です。
まずは短時間から始めます。
徐々に15分から60分単位で排尿時間を伸ばし最終的には2-3時間の排尿間隔になるように訓練します。

 骨盤底筋訓練 

骨盤底筋が緩むと尿道を占める力が弱まり尿漏れの原因になります。

骨盤底筋訓練は骨盤底筋を鍛え尿漏れを防ぐトレーニングです。

仰向けになる体の力を抜き肛門膣尿道をぎゅっと閉めます。

最初は2-3回繰り返します。

次はゆっくり3秒ほど静止します。

この訓練を1回5分から始めて10分くらいまで増やしていきます。

1日数回毎日続けます。

2-3ヶ月で効果が実感できるようになります。

 日常生活で注意するポイント 

寒い場所は避け、体に体を冷やさないようにしましょう。

水分摂取の管理をしましょう。

外出時はトイレの場所を確認しましょう。

便秘や太りすぎに注意しましょう。

排尿トラブルを起こす女性の病気に腹圧性尿失禁があります。
頻尿・イラスト 咳やくしゃみなど急にお腹に力が加わったときに重いものを持ったり運動してる時に少量の尿が漏れることがあります。
これが腹圧性尿失禁です。
出産や加齢、女性ホルモンの低下によって骨盤底筋が弱くなるために起こります。
骨盤底筋は訓練によって収縮や時間を自分でコントロールできます。
β2作動薬(商品名:スピロベント)と言う薬が使われます。
この薬は尿道の締まりを良くします。
効果の無い場合は弱くなった尿道を手術で支える方法があります。

排尿トラブルを起こす男性の病気として多いのが前立腺肥大症です。
前立腺は男性の膀胱の下にあってこれが大きくなると尿道が締め付けられる尿が出にくくなります。主な症状は次のようなものです。

夜間頻尿
尿勢低下、尿意切迫感、残尿感、頻尿、尿線途絶、腹圧排尿、などの症状があります。

薬による治療
α1遮断薬(ハルナール、タムスロシン)またはPDE5阻害薬(ザルティア)が基本となります。
これらの薬は前立腺や尿道の筋肉を弱め尿を出しやすくします。
その他5α還元酵素阻害薬’(デュタステリド)漢方薬、植物エキス製剤等が使われます。
薬によっても改善しない場合手術が行われます。前立腺切除術、レーザー治療などがあります。
薬剤によっても改善しない場合、泌尿器科専門医に紹介します。
過活動膀胱の場合、抗コリン薬とβ3 作動薬の併用は,単独療法よりも効果があり,安全性も報告されています。
・難治性過活動膀胱に対して仙骨神経刺激装置植込み術とA型ボツリヌス毒素製剤ボトックス注入療法が保健適応となっています。
薬剤により軽快しない場合は専門医紹介します。

以上、排尿のトラブルについて概説しました。
年齢のせいと諦めてしまわず、一度はご相談ください。
色々な原因があります(原因がわからないこともありますが)。
当院で検尿、問診、残尿測定して、膀胱炎、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、前立腺肥大と判定できれば薬を処方して効果をみてもらいます。
軽快しなければ、病院の泌尿器科を紹介します。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

当院受付にもひっきりなしにコロナ予防接種予約の電話がかかっているようです。
4月24日、25日の土日にもコロナワクチン接種希望の電話が10件以上かかってきて、びっくりしました。
それだけ、認知度が高いというか、早く予防接種を受けたいという人が多いということなんでしょうね。

休診日は、予約対応が難しいので、予約は診療時間内にお電話でお願いします。

忠岡町の集団接種は5月17日の日曜日から開始されます。
忠岡町役場、保健センターで行います。

当院では6月1日から接種を予定しています。