2021年 3月 No.184

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

3月の後半になりました。
寒い日もありますが、概ね暖かくなってきています。
今年の桜は平年よりかなり早くなっています。開花日が観測史上最も早いところが多くなりました。大阪では3月19日の開花で、3月26日の満開予定です。
昨年は3月23日の開花で、4月3日が満開でした。昨年も結構早かったのですが、今年はさらに早くなっていました。
満開から1週間近くで散ってしまうので、忠岡町の中学校小学校の入学式には残念ながら桜は散っているでしょうね。
新入生の方は桜の下で早めに記念写真を取って置かれることをお勧めします。

今月も相変わらず新型コロナウィルス感染症のニュースばかりが入ってきます。
現在は緊急事態宣言は解除されています。
しかし、まだ不要不急の外出は避けるように勧告されています。
忠岡町では、2月に1名、3月に2名の新規感染者が確認されています。大阪府でも、入院先の確保も余裕あり、と聞いています。
引き続き、三密を避ける、マスク・手洗い・うがい、手で顔を触らない等の感染予防をお願いします。

コロナの対策が進んだためか、今シーズンはインフルエンザの発症が全国的に少ないです。
私も今シーズン診たことはありません。
先月も書きましたが、泉大津市医師会では、発熱患者初診時にはまず医療機関に電話をしてもらって、診療所の外でコロナ唾液PCR検査用の容器をお渡しして、自宅で唾液を採取してもらい、指定された回収場所に持って行ってもらうという方法がとられています。
発熱患者を安易に院内に入れないことが最重要だからです。
できれば家族に容器を取りにきてもらい、回収場所に持って行ってもらうようにしています。
必要な場合は問診のみで解熱剤の処方も可能です。今のところうまく実施されています。
発熱、感冒症状、味覚・嗅覚障害、呼吸困難のある場合はまず電話連絡してください。

現在コロナウィルスワクチンの医療従事者への予防接種が始まっています。
コロナ感染症を診療している大病院の医療従事者に対して接種中です。
その次が我々のようなコロナ感染症の診断に従事する医療従事者の接種となります。

当初2月下旬に一回目の接種が予定されていましたが、ワクチンが入ってこない為、遅れています。
4月上旬に我々は泉大津市立病院で接種する予定となっています。
しかし、ワクチンが予定通り入ってこなければ、延期になる可能性もあります。

次が高齢者施設に入っておられるかたです。
その次が65歳以上の高齢者、基礎疾患をもつ方となっています。

65歳以上の方から、コロナワクチンはここで定期診察時に打ってもらえるんですね?というご質問をよく受けます。
2月号にも書きましたが、当院でも高齢者の定期受診時のコロナワクチン接種は考えていますが、まず高齢者施設での接種、忠岡町の集団接種で様子をみてから、と思っています。
やはり副反応が懸念されるからです。

忠岡町での集団接種は、おそらく5月から忠岡町役場で日曜日に行われます。
私も出務します。アレルギーがあって不安な方、早く打ちたい、という方は日曜の忠岡町での集団接種をご検討ください。

 予約 

長らくウェブ上で予約が取れない状況でしたが、4月12日より新しい予約システムを導入することにしました。

このシステムを時間予約と当日予約に分けられていてネットでの予約が可能です。
新しいシステムなので、まだよくわかっていませんが、とにかく導入してみます。
最初は試行錯誤になり、迷惑をおかけするかもしれませんが、皆様にお役立ていただけるようなシステムにしていきたいと思っています。

予約時間ですが、その時間からの診察が受けられるという約束ではありません。
あくまで目安としてご利用いただくものとご理解ください。
診療内容により時間がかかる場合もあり、待ち時間が長くなることも不本意ながらあります。
恐れ入りますがご了承のほどよろしくお願いいたします。

えっ、最期まで家におれるの?

令和3年3月15日、忠岡町ふれあいホールで、住み慣れた環境で生活できる・在宅医療講演会
「えっ、最期まで家におれるの?あなたの疑問にお答えします」
という発表をしてきました。
対象は忠岡町住民さま。
令和元年7月にも、松ノ浜の長寿園で市民の方を対象に在宅医療についてのお話をしてきました。
今回はこれをバージョンアップしたもの。

1.高齢者をとりまく問題、2.療養場所の選択、3.在宅医療について、4.人生会議についてお話しました。

今回は発表の概要を書きます。
高齢者をとりまく問題については、人生100年時代(現在の平均寿命、男性:81.41歳、女性:87.45歳)、昭和22年の平均寿命が52歳だったこと、少子高齢化、健康寿命と平均寿命の差(約10年)などについてお話しました。

療養場所の選択については、戦前・戦後は自宅で亡くなる方が多くて、病院で亡くなる方は少数でした。
昭和51年に病院で亡くなる方と自宅で亡くなるか方が逆転して、現在では80%の方が病院で亡くなっています。
自宅で亡くなる方は15%前後です。
人生の終末期に自宅療養を希望されている方は70%前後おられます。
しかし、自宅で最期まで療養するのは実現困難と考える方が65-70%おられます。

その理由が、家族に迷惑がかかる、症状の急変が心配、費用がかかる、自宅医療をどうして受けるのかがわからない、といった理由が多いです。
家族・本人の不安もさることながら、在宅医療があまり進まない原因の一番が、入院医療を担当されている医師の在宅医療への認識が低いことだと我々は思っています。

入院患者が今の状態なら帰りたいという意思を持ったとしても、主治医がこんな状態だと帰るのは無理だ、と退院させないというのが一番の在宅医療のバリアだと思っています。

全ての患者が自宅に戻ることを希望しているわけではないですが、自宅に帰りたいと希望する患者であれば全て在宅ケアに移行できる可能性があります。
医療者側で「退院できない」と判断するのではなく、「どうすれば自宅に帰すことができるだろうか?」とまず考えてみることが重要です。

厚生労働省が医師・看護師向けに受講をすすめている、「緩和ケア研修会」では、このように受講生に教えています。
地域のがん拠点病院では、9割以上の医師に「緩和ケア研修会」を受けることが義務付けられています。
私も地域医療・在宅医療をしている立場からこの緩和ケア研修会の講師をしています。
昨年は残念ながら、コロナ禍ですべて中止となりました。
今年は6月5日(土曜日)に岸和田徳洲会病院で緩和ケア研修会が行われることになっており、休診にして行ってきます。
徳洲会の若い先生方に在宅医療を伝えられるかどうか。まあ、頑張って伝えてきます。

 在宅医療について 

在宅医療は大きく二つに分類されます。
往診と訪問診療です。
往診は患者の求めに応じて訪問して診療する医療行為です。最近は新規の患者さんの往診はほとんどしていません。
我々のしているのは訪問診療です。

訪問診療とは通院できなくなった患者さんを対象に、自宅などの生活の場において、医師、看護師、歯科医師、薬剤師、ケアマネージャー、訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリ等がチームとなって提供する医療です。
最近では自宅だけでなく、サービス付き高齢者住宅への訪問診療も増えています。

訪問診療では介護保険対象の高齢者、神経難病、身体障害者・小児在宅、人工呼吸、胃瘻なとのハイテク在宅(医療依存度の高い例)、在宅ターミナルケアなどが含まれます。
定期的な訪問をして状態を観察します。

急変時、状態が悪くなったら、病院に紹介して診てもらいます。
入院になることも多いです。
住み慣れた環境で、家族やペットとともに過ごすなど、自分のペースで生活できることが最大のメリットです。
在宅医療は入院医療とよく比較しますが、時間、衣食住・アルコール・喫煙が自由であること、医療の目的がケアであること(病院ではキュア・治すこと)が最も異なります。

在宅医療は入院から退院するときに始まることが多いです。
退院時に紹介状やカンファレンス、家族面談などで計画をある程度立てます。
退院されたら、定期的にお伺いします。

当院では必ず訪問看護ステーションをつけてもらって、何かあればまず訪問看護師に連絡していただくようにしています。
在宅医療にとって一番重要なポジションは訪問看護師と思っています。

人工呼吸器や胃瘻などが必要な状態でも、症状が安定していれば、自宅等で療養することは可能です。
在宅医療・ケアのデメリットとしては、家族の介護負担がある。
急変が不安、次第に状態が悪くなっていくのを見るのがつらい自宅に引き篭もる事になり、人との接点が無く、孤独を感じることがある、生命保険が適用されない(医療保険は適用されます)、などがあげられます。

私が在宅医療をした経緯ですが、病院外科勤務のころ、自分の担当の胃がん末期症例(腹部から膿がでていて、食べられず高カロリー輸液の厳しい患者)を総合診療科に転科させ、自宅で看取って頂いた経験がありました。
あんな手がかかる人を自宅で診ることができたことにとても驚きました。
家族にも喜ばれました。

20年前、医院を継承したとき、父が胃がんの末期状態でしたが、自宅に連れて帰り、自宅で看取りました。
母をはじめとした家族の満足度の高さに驚きました。
以後、在宅医療をしています。

患者さん、家族のご希望があれば、在宅医療はいい医療だと思っています。

 人生会議 

誰でも、いつでも、命に関わる大きな怪我や病気をする可能性があります。
自らが希望する医療やケアを受けるために大切にしていることや、望んでいること、どこでどのような医療やケアを望むかを自分自身で前もって考え、周囲の信頼できる人たちと話し合い、共有しておくことを人生会議(ACP アドバンスケアプランニング)といいます。

命の危険が迫った状態になると、約70%の人が医療やケアなどを自分で決めたり望みを人に伝えたりすることができなくなると言われています。
具体的には、

1.治療する際に大切にしたいことを考えます。

2.次にもしもの時、あなたの思いを伝えてくれる人を選びます。

3.できればかかりつけ医に相談してみましょう。

4.希望する医療やケアについて話し合いましょう。どんな治療ケアを受けたいかや、どんな所で療養したいかを考えます。

5.1から4を話し合った内容について人生会議の記録に記載しておきます。

人生会議についてはまた改めて書きます。

講演会の最後に、喪失体験ゲームをいうのをしました。
友達、家族、健康、お金、役割、生きがいと書かれた6枚のカードを配ります。
進行役の人とジャンケンをして、あいこか負けたら、カードを一枚破ります。
何回かジャンケンを繰り返します。残ったカードが自分の大切にしていることです。
自分の価値観を知る機会になります。

またこのような講演会も何回か行い、住民の方に在宅医療や人生会議のことを啓発していきたいと考えています。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

1月号でもお伝えしましたが、診療費のお支払いにスマホを使ったPayPayの利用が可能となっています。
コンビニでの自分のバーコードを見せて、支払額決定という方法ではありません。
アプリを立ち上げていただき、当院で掲示されているQRコードをスマホで読み取った後、指定の金額を入力するというシステムです。

私は当院でこのサービスを始めたとき、PayPayがまだ使えませんでしたが、現在、ほとんどPayPayでの支払いをするようになってしまいました。便利です。
既にアプリをインストールしていて、PayPayでのお支払いを希望される方は、使用方法を受付でお問い合わせください。