2021年 1月 No.182
1月後半になりました。
この間正月休みだと思っていたのに、もう一月も終わります。本年もよろしくお願いします。
暖かくなったり、寒くなったりしています。
体調管理には十分お気を付けください。
コロナ対策が奏功されているためか、まだ1月後半になってもインフルエンザの流行のニュースは聞きません。
昨年は本当にコロナに振り回されました。
今年に入っても感染者は増え続け、二回目の緊急事態宣言が発令されています。
酸素が必要な中等症、人工呼吸、ECMOが必要な重症者は入院が必要であり、主に保健所が頑張って入院先を探してくれます。
入院が必要とされる基準は、65歳以上、呼吸器疾患を有する方、腎臓疾患、心臓疾患、血管疾患、糖尿病、高血圧症、肥満その他の事由により臓器等の機能が低下しているおそれがあると認められる方、臓器移植、免疫抑制剤、抗がん剤等の使用、その他の事由により免疫機能が低下しているおそれがあると認められる方、妊婦、現に新型コロナウイルス感染症の症状を呈し、症状が重度または中等度である、が入院が必要とされています。
それ以外でも医師、知事が入院必要と判断されれば入院はできます。
大阪ではまだ重症者の入院ができない、というところまでは来ていませんが、逼迫している状況のようです。
一方で、入院の必要なし、と判断された軽症者は宿泊施設や自宅で経過をみることになっていますが、ここで死亡される方が出ているのが問題となっています。入院したくでもできない状況が既に始まっています。
新型コロナ感染症自宅療養者にも在宅医療が必要なのかな、とも最近思っています。
訪問診療でなくても、電話やネットなどリモート診療でも安心感は得られるかもしれません。
現在は保健所の職員が経過を聞くようになっています。軽症・中等症を受け入れる病院を増やすように要請されているようです。
かかりつけ医にもコロナ感染症、発熱患者の診療をするよう要請されています。
泉大津市医師会では、発熱患者初診時にはまず電話をしてもらって、医院の外でコロナ唾液PCR検査用の容器をお渡しして、自宅で唾液を採取してもらい、指定された回収場所に持って行ってもらうという方法が開始されています。
発熱患者を安易に院内に入れないことが最重要であります。
できれば家族に容器を取りにきてもらい、回収場所に持って行ってもらうようにしています。
大阪府医師会でもこの泉大津市・忠岡町モデルは評価されていて、他地域にも推進するよう推奨されています。
実際、他地区では開業医は発熱患者は一切みない、という地域もあって、市民病院・民間病院の負担が増えているところがあると聞いています。唾液の取れない発熱患者にはインフルエンザ検査のような抗原検査をします。
インフルエンザの同時検査が可能です。
当院はかかりつけ患者さんに限って、発熱の診療をするよう届け出をしています。
まだ始まったばかりで、試行錯誤の状態です。
発熱、感冒症状、呼吸困難のある場合はまず電話連絡してください。
米国ファイザーが開発している新型コロナワクチンの接種が海外で始まっています。
日本では厚労省は2月下旬からコロナ感染に対応する医療従事者から予防接種を開始します。
私も当院職員も接種予定です。
続いて65歳以上の高齢者、持病を持つ人の接種が予定されています。
一般の人の接種が始まるのは4月後半以降と予想されています。
まだ決定事項ではありません。
泉大津市医師会でも行政との打ち合わせを重ねているところです。
予防接種会場での集団接種と医療機関での個別接種があり、私も接種協力予定ではあります。
また詳しいことは決定されれば、次回の院内報でも書きます。
診療費のお支払いに、スマホを使ったPayPayの利用が可能になりました。
受付で支払い金額を確認して頂き、掲示されたQRコードをスマホで読み取って下さい。
PayPayアプリを立ち上げ、指定の金額を入力して支払いが可能です。私はPayPayはインストールしていますが、まだ使ったことのない状況で、詳細はよくわかっていません。
使用方法は受付にお問い合わせください。
内科疾患で受診の方には胸部の診察をしています。
聴診器で胸部・背部の心音と呼吸音を評価しています。
不整脈がないか、心雑音が無いか、肺雑音が無いかを確認しています。
今回は心音、心雑音について説明してみます。
心臓は体全体に血液を循環させるポンプの働きをしている大変重要な臓器です。
1回の収縮で約60ミリリットルの血液が送り出され、1分間に60~80回収縮し、約5リットルの血液量が全身に送り出されています。
ポンプである心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室からなる4つの部屋に分かれています。
それぞれが一定のリズムで収縮と弛緩を繰り返し、全身に血液を送っています。
健康な心臓が1日に送り出す血液量はドラム缶40本分にもなります。
全身から戻ってきた静脈血は、上下大静脈から右心房に流れ込みます。
右心房の血液は右心室から肺動脈を通って、肺で酸素を取り込んだ後、左右の肺から各2本ずつの肺静脈を経て左心房に入り、僧帽弁を通過して左心室に送られます。
ここで血液は左心室の強い収縮力を受けて大動脈から全身に送り出されます。
心房-心室間、心室から肺動脈・大動脈間には逆流しないために弁があります。
右心房-右心室間の三尖弁、右心室-肺動脈間の肺動脈弁、左心房-左心室間の僧帽弁、左心室-大動脈間の大動脈弁の4つです。
血液が逆流しないためにあります。
これらの弁が閉まる時音がします。
右心房から右心室、左心房から左心室への血液の移動は心臓が弛緩するとき同時期に起こります。
なので三尖弁、僧帽弁は同時期に開閉します。
右心房から肺動脈、左心室から大動脈への血液の移動も心臓が収縮するとき同時期におこるので肺動脈弁、大動脈弁も同時期に開閉します。
心音は「ドックン」と表現されますね。
心音は弁の閉まるときの音です。
心音はⅠ音とⅡ音からなっており、ドッ(Ⅰ音)・クン(Ⅱ音)と解釈すると分かりやすいですね。
聴診器が無くても胸壁に耳を直接当てれば、心音は聞こえます。
Ⅰ音は「僧帽弁と三尖弁の閉まる音」、Ⅱ音は「大動脈弁と肺動脈弁の閉まる音」で成り立っています。
心臓が正常であれば、それぞれ2つの弁は同時に閉まるため「ドッ・クン」と聞こえます。
脈がゆっくりのときはⅠ音、Ⅱ音の区別は簡単なのですが(大体収縮期と拡張期は1:2)、脈が速い時は難しいことがあります。
Ⅰ音とⅡ音の間が収縮期で、脈が触れるので難しい時は脈を取りながら聴診します。
不整脈があるときも脈を診ながら聴診します。
Ⅰ音
Ⅰ音は、二つの成分(僧帽弁と三尖弁)から成り立ちます。一般に単一に聴かれます。
Ⅰ音が二つに聞こえた時(分裂といいます)は、右脚ブロックの場合があります。
Ⅱ音
高血圧では、Ⅱ音が大きく聴こえることがあります(亢進といいます)。 白衣高血圧では、Ⅱ音は亢進しません。
Ⅱ音には、ⅡA:大動脈成分とⅡP:肺動脈成分があります。
Ⅱ音が分裂しているばあい、右脚ブロック、左脚ブロックの場合があります。
右脚ブロックでは、吸気時にⅡ音が分裂の度合いがさらに広くなり(呼気時にも分裂あり)Ⅱ音の分裂がわかりやすくなります。
左脚ブロックでは、奇異性分裂(吸気時には、はっきりしなくて、呼気時にⅡ音の分裂 ⅡPⅡAの順)を認めます。ちょっと難しいです。
Ⅱ音の固定性分裂(吸気、呼気に関係なく分裂)は、心房中隔欠損症の特徴で、医師国家試験にもよく出題されますが、私は実際には聞いたことはありません(音源ではあります)。
Ⅲ音
心室の急速充満期(拡張早期)に心房から心室に血液が流入する振動により生ずる低調音。
心室の容量負荷や心不全で認めます。
IV 音
前収縮期(拡張終期)に心房が強く収縮し,心室への流入が増加し心室筋が伸展して生ずる低調音。心不全の時によく聞かれます。
心不全などになって、Ⅰ音Ⅱ音のほかにⅢ音Ⅳ音が加わると馬が駆けている時の足音のような特有の三拍子、ないしは四拍子のリズムに聞こえます。これを奔馬調律(ギャロップリズム)と言います。
心臓の雑音は心臓の中に穴が開いていたり(心室中隔欠損症・心房中隔欠損症)、心臓の弁の狭窄(僧帽弁狭窄症・大動脈弁狭窄症)や弁の逆流(僧帽弁閉鎖不全症・大動脈弁閉鎖不全症)などで見られますが、貧血や甲状腺機能亢進症などでも認められることがあります。
小児では心雑音は頻繁にみられます。
50%くらい心雑音があるといわれています。
私の次女も心雑音でひっかかり、心エコー検査うけています。
特になにも病変はありませんでした。
機能性雑音と言われます。
雑音は収縮期雑音(Ⅰ音とⅡ音の間)、拡張期雑音(Ⅱ音からⅠ音の間)、連続性雑音があります。
雑音の程度は6段階に分けられ、1/6-6/6と表します。
1/6の雑音は微弱すぎて非専門医には聴取できないと言われています。
6/5・6/6のような大きな雑音は胸壁で触診できます。スリルを触れるといわれます。
多くみられる心雑音は大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症の3つです。
1.大動脈弁狭窄症
収縮期に聴取できるザーという駆出音です。
狭窄の程度が強くなると大きく聴こえます。
狭窄には二尖弁やリウマチ性もありますが、硬化によるものがあります。
弁口部の最高流速が2m/秒(圧較差で16mmHg)以上になれば狭窄と言われます。
狭窄にまで至らない状態では弁硬化性雑音と言われます。
結構頻度は高いです。
大動脈弁狭窄症は段々増えてきています。
以前は心臓手術で人工弁置換をしていましたが、最近ではカテーテルでの弁置換(経カテーテル的大動脈弁留置術・TAVI)が可能になっています。
2.僧帽弁閉鎖不全
こちらも収縮期雑音です。
僧帽弁がきちんと閉まらないことで収縮期に左室から左房に血液が逆流し、起こります。
雑音の特徴はⅠ音とⅡ音を覆い隠す平坦で柔らかな吹鳴様雑音です(全収縮期雑音)です。
音は大きく、長く、高音です。
3.大動脈弁閉鎖不全
拡張期に大動脈から左室に血液が逆流するための雑音です。
胸骨左縁で、Ⅱ音から続く高調な(シャー)減衰性雑音です。聴取すればまず95%以上の確率で本症と診断されます。
最近は心エコー装置、特にカラードプラ?装置の感度が上がり、健常高齢者の大動脈弁逆流シグナルは高頻度に観察されます。
治療の対象にならないものが多いです。
心雑音の図(日本心臓財団の図より)
他にも数多くの雑音があります。最終診断は心エコー図検査です。
だから聴診は不要というわけではありません。手軽な聴診は早期診断の糸口になります。
これからも内科診察では診察していきたいと思います。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
忠岡町の健診しています。
インフルエンザ予防接種、忠岡町在住の65歳以上の方は1月末までしています。
それ以外の方、まだワクチンの在庫は少量ですがありますので、ご希望の方はお申し出ください。