2020年5月 No.174
5月の連休も終わり、もう5月末です。
今年は新型コロナウィルス感染症で、大変な春でしたが、5月21日に大阪では非常事態宣言が解除されました。
だんだんと学校なども始まっていくようで、日常生活が戻るのも期待されます。
解除後も感染に対する注意は必要です。
三密(密閉、密集、密接)を避けてソーシャルディスタンス(できれば2m)をとる、マスク、手洗い、咳エチケットなどは必ず守るようにしてください。
いつも言っていることですが、手は感染源となりますので、手洗いは十分していただくのはもちろんのこと、手で粘膜を触らないようにしてください。
目をこする、鼻、口を触るのはウィルスを体内に入れ込むことにつながりますので、顔を触る癖のある人は注意してください。
その意味でもマスクをするのは有効ですね。
眼鏡・ゴーグルがあればさらにいいです。
あとは免疫力を落とさないように。
栄養・休息は十分とるようにしましょう。
今年の連休はステイホームがスローガンになっており、皆さん外出自粛していたことと思います。私も自粛していました。
ほぼ2-3日に一回位の買い物以外は家から出ることがありませんでした。
私は結構家にいてもすることが多く、あまり退屈しませんでした。
ランニングマシンを購入して、うちの療養通所介護アネトスに置いておいたので、連休中ほぼ毎日ランニングマシンを利用していました。今もアネトスに置いていただいてますがきっと邪魔なんでしょうね。でも私にとっては便利です。早くジムがあいてくれないかなと思っている今日この頃です。
外来で高齢者の方に外出自粛中の暮らしをお伺いすると、ずっと家にいると言う答えがかなり多いです。デイサービスも閉鎖になって利用できない、いつもしていたウォーキングもしなくなった、体重が減った、逆に何もすることがないから食べてばかりで体重が増えたと言う方もおられます。
東京大学老年医学の飯島教授によると、2週間の寝たきりで失う筋肉量は7年間で失う量に匹敵するそうです。加齢による心身の衰え・フレイル(虚弱)の進行が懸念されます。
フレイルは予防しなくてはいけません。
室内でできる主な運動としてスクワット、つま先立ち、足踏み、大股で足を前に出すランジが挙げられます。
ふらつく場合は椅子やテーブルに捕まるなどしてゆっくりと行いましょう。
また感染症対策をした上で少しでも外に出ることも勧められています。
骨・筋肉を強くするビタミンD活性化させるには日の光を浴びることが重要です。
日にあたるのは短時間でいいので、日焼けには注意しましょう。
新型コロナウィルス感染、第二波が来ないように皆で乗り切りましょう。
新型コロナウィルスに対する予防接種、治療薬、抗体検査の研究も進んでいるようです。
どうも新型コロナウィルスは根絶するのではなく、インフルエンザと同じように共存していくような気がします。
だんだん日中は暑くなってきています。
そろそろ熱中症にも気をつける必要があります。虫刺されにも注意が必要です。
風疹は感染すると約2-3週間後に、発熱や発疹リンパ節の腫れなどの症状が現れます。
脳炎などの合併症を起こすことがあるので決して軽視できない疾患です。
また、妊娠中(特に妊娠初期)に風疹にかかると生まれてくる赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障等を引き起こす可能性があります。
先天性風疹症候群といいます。
風疹の予防には予防接種が有効です。
妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。
妊娠を希望する女性・配偶者、妊娠している女性の配偶者は医療機関で風疹抗体検査を受けることができます。
保健センターに確認してください。
また昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性は忠岡町からクーポン券が届きますので医療機関で風疹の抗体検査を受けていただけます。無料です。
その検査で抗体がないあるいは抗体価が低いと判明した場合予防接種を受けられます。
クーポン券利用してください。
患者さんへの説明シリーズ。
今回はメタボリックシンドロームを取り上げます。
メタボという言葉もう市民権を得てますね。
ぽってり太った方が想像されると思います。
昔から、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症が合併する人は、それらの疾患を単独で持っている人より、脳卒中、心筋梗塞のリスクが高いことが知られていました。
私が学生のころは、同様の病態をシンドロームXと習いました。
肥満、高血圧、脂質異常、糖尿・特にインスリン抵抗性(前回の糖尿のところで説明しましたけど、インスリンは十分な量が作られていますが、効果を発揮できない状態のことです)が重なってくると、動脈硬化性疾患(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞)がすごく起こりやすくなる状態です。
その後、死の四重奏と言われました。
肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧の四つが併発している状態を表現した言葉です。
中高年がかかりやすい生活習慣病で厚生労働省のちょっと古い調査では高血圧患者数は3,900万人、脂質異常症は2,200万人、糖尿病(予備軍を含め)は1,620万人、肥満症は468万人と言われており、これらの患者は年々増加しております。
日本では、肥満・内臓脂肪過多に着目、内臓脂肪の蓄積に伴い高血圧、脂質異常症、糖尿の動脈硬化危険因子が集積する病態を内臓脂肪症候群として提唱されました。
肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病を横並びにしたシンドロームX、死の四重奏の概念と違うところは、内臓脂肪増加による肥満が上流にあり、そのため高血圧、脂質異常症、糖尿病が引き起こされるとしたところです。
2005年、メタボリック症候群として発表し、診断基準を提示しました。
この診断基準では必須項目となる内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100平方cm以上)のマーカーとしてウエスト周囲径が男性で85cm、女性で90cm以上を「要注意」としました。
CTとお臍の周囲径が相関したのだそうです。
腹囲は立った状態で、息を吐いたタイミングで臍を通るライン・水平で測りますウエストが最も細い位置ではかるのではありません。
腹囲が基準以上で、
①血清脂質異常(トリグリセリド値150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)
②血圧高値(最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上)
③高血糖(空腹時血糖値110mg/dL)
の3項目のうち2つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断する、と規定しています。
腹囲が基準以上で、3項目のうち1つを有する場合、メタボリックシンドローム予備軍と判定します。
高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含めます。
「メタボリックシンドローム」という概念が確立された目的は、動脈硬化による循環器病(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など)をいかに予防するかということです。
動脈硬化は、ある程度症状が進まないかぎり、なかなか症状として出にくい病気です。
しかも、動脈硬化による循環器病は突然発症することが多く、生命に関わる重大な病気であり、後遺症も深刻です。
メタボリックシンドロームを放置しておくと、やがては動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化にならないために、メタボリックシンドロームを指摘された段階でキチンと改善しておきましょう。
少し古い平成18年度の厚生労働省のでのデータですが、40~74歳については、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者(該当者)または予備軍と考えられています。
該当者数約960万人、予備軍者数約980万人、合わせて約1940万人人と推定されています。
予防:運動と食事
では、メタボリック症候群・予備軍と判定されたら、どうすればいいのでしょうか?まず、運動習慣をつけることです。
運動は内臓脂肪を減らすのに一番有効な方法です。
誰でも簡単に、毎日できる運動としてオススメなのは“ウォーキング”です。
厚生労働省の「健康日本21」によると、健康維持に最適な運動消費カロリーは1週間で2,000kcal、1日あたり約300kcalといわれています。
体重60kgの人が時速4km(やや早歩き)のペースで、歩幅70cmで10分間歩く(700m、1000歩)ときの消費エネルギーは約30kcalになります。
1日300kcalを消費するには、1日で1万歩を歩けばいいわけです。
もちろんジョギングができる方はジョギングのほうがいいです。
運動習慣のまったくない人は一回30分やや早足、週3回から始めて、だんだん時間、スピードを増やすようにしてください。
内臓脂肪がたまりやすい食事は、高脂肪食(脂っこいもの)、高糖質食(主食・甘いもの)、高カロリー食(カロリーが高いもの、食べ過ぎ)、低繊維食(緑黄色野菜の不足)です。
また、濃い味付けは塩分を摂りすぎるだけでなく、食欲をそそり、食べ過ぎを招きます。
「百薬の長」とも呼ばれるアルコールですが、脂肪に変わりやすいのでとり過ぎは禁物です。
また、おつまみには高カロリーのものが多いので、おつまみの品を工夫したり、食べ過ぎに注意しましょう。
バランスの良い食事と腹八分目。
これがメタボリックシンドロームにならない秘訣です。
上記のように運動して食事に気をつけて、体重を減らすことが重要です。
体重を6か月のうちに3-5%減らすだけでも、血圧、脂質、血糖の改善が期待できます。
忠岡町の健診のパンフレットには4%の減量を実践しましょう、とあります。
最終的にはBMI(身長㎝÷体重kg÷体重kg)が25以下を目指します。
理想的には22です。
運動と食事に気をつけても高血圧、脂質異常症、糖尿病が改善されない場合は、薬を含む適切な治療の追加が必要です。
健診でメタボと判定された方は放置せず、医療機関受診するようにしてください。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため、開始を見合わせておりました住民健診が5月23日から始まっています。
ご希望の方は事前にお問い合わせください。
体調がすぐれない場合は健診の受診は見合わせてください。
また今後のコロナウィルス感染症の拡大状況により変更になる場合がありますので、ご注意ください。