2020年4月 No.173
4月も終わりに近づきました。
新型コロナウィルス感染拡大で、皆様も外に出られず、鬱々とした大変な日々を過ごされていることと思います。
もうすぐゴールデンウィークですけども今年は家にいることが勧められています。
昨年は10連休などと浮かれてましたけど、今年は帰省・旅行の予定も取りやめられた人が多いのではないでしょうか。
新型コロナウィルス感染拡大により、令和2年4月7日に東京・大阪などに緊急事態宣言が出ました。
4月16日には対象地域が全都道府県に拡大されることとなりました。
人の集まるところの営業自粛要請。
不要不急の外出自粛要請が出されました。
3密(密閉・密集・密接)を避けること。
また、アルコールなどによる手指消毒や石鹸を使用した手洗いをすることも勧められています。
個人的には手で顔を触らないことを勧めたいです。
ウィルスのついた手で目や鼻、口の粘膜を触ってしまうと感染の危険がかなり高くなると思います。
その意味ではマスクも有効ですね。
後はうがいも有効です。
ブクブクうがいよりガラガラうがいが良いです。
喉を乾燥させないように気をつけることが大事だと思ってます。
常に飲み物を持って喉を潤すことがウィルスを洗い流すことになるんじゃないかと思ってます。
あとは休息を十分にとって免疫力を上げておくことですね。
先月の志村けんさんに続き、芸能界では岡江久美子さんが新型コロナでお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
コロナにかかり集中治療室に入ると、家族の面会もできないし、看取りの場所に入ることもできない。
次に会う時は火葬されてお骨になってからなんてかわいそうすぎます。
でもこれがコロナの怖さなんでしょうね。
十三市民病院がコロナ専門に受け入れる病院にかわります。
これは吉村知事、松井市長の英断だと思います。
急性期病院の救急はコロナの影響で破綻寸前です。
もう破綻している地域もあるようで、軽症者は家にいなさいと言われます。
しかし、50歳代の埼玉在住の男性が自宅待機中に悪くなって結局病院に行くことができずに自宅で亡くなっていたと言うニュースがありました。
自宅待機を勧める以上は、体温計とパルスオキシメーターと緊急通報用のコールを貸し出して欲しかったです。
早急に自治体は考えないといません。
大阪府も軽症者は自宅か借り上げたホテルで、酸素が必要な程度の中等症はコロナ専門病院などの医療機関で受け入れるという方針としてます。
人工呼吸、ECMOが必要な人は高度医療のできる病院へ転送です。今後の状況を見守りたいです。
現在日本では13,585人の感染者が確認されています。そのうち回復したのは2905人、死亡者が383人でした。
世界では約300万人が感染して20万人以上が死亡されています。
治療薬については開発が急ピッチに進んでます。
現在世界で治験が650件行われているそうです。
エボラ出血熱の治療薬候補だったレムデシビルが新型コロナ重症患者の回復につながったとの報告があり、これを受けて日本でも早期に薬事承認を目指しています。
日本が開発した抗インフルエンザ薬アビガンも承認の方針です。こちらも期待したいですね。
それ以外にも抗リウマチ薬のアクテムラ、ケブサラ、マラリアの薬のクロロキン、抗生物質のアジスロマイシン、喘息治療薬のシクレソニド、膵炎治療薬のフサン、血液製剤である免疫グロブリンなどが検討されています。
またコロナにかかって回復した人の血漿を使った治療も考慮中です。
国内では早ければ4月中にも試験的な治療を試みる方針だそうです。
今年のゴールデンウィークは、ビデオ通話でのオンライン帰省・飲み会が勧められています。
人との接触を8割減らす10のポイントと言うポスターが厚生労働省から出ていました。
第二次大戦以降の大変な状況と言われています。
皆で頑張って外出を避けて乗り切りましょう。
膵臓から出るホルモンで、血糖を一定の範囲におさめておく働きを担っているインスリンが、十分に働かないために血液中を流れるブドウ糖が増えて血糖が高くなってしまう病気です。
私たちが食事をすると、栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。
糖は体にとって大切であり、食事をした時でも食べていないときでも常に血液中流れています。
糖は血液の流れに乗って体のあらゆる臓器や組織をめぐります。
筋肉などの細胞までたどり着いた糖は、同じく血液中に流れていたインスリンに助けを借りて細胞内に取り込まれます。
取り込まれた糖は私たちの身体活動するためのエネルギーの源となります。
インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような働きをしているといわれています。
インスリンの働きによって細胞の前まで到着した糖は速やかに細胞の中に入り、血液中の糖の濃度は一定の範囲に収まっています。
インスリンが十分に働かない状態とは1つはインスリンの分泌が低下している状態です。
膵臓の機能低下により十分なインスリンを作れなくなってしまう状態です。
細胞のドア開けるための鍵が不足しているので糖が細胞の中に入れず血液中に溢れてしまいます。
もう1つはインスリン抵抗性という状態です。
インスリンは十分な量が作られていますが、効果を発揮できない状態のことです。
運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。
鍵であるインスリンがたくさんあっても、最後のドアの立て付けが悪くなっている状態のため、細胞の扉を開けることができません。
血糖が少し高くても何の症状も現れません。
高い状態が続いていると、喉が渇く、水をよく飲む、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすくなるなどの症状が出ます。
さらに血糖値が高くなると意識障害が出ることがあります。
また、血糖が高い状態を放置すると血管が傷つき将来的に心臓病や脳卒中、失明、腎不全、足の切断というより重い病気(合併症)につながります。これが怖いのです。
合併症の進展の図を載せておきます。
糖尿病に関する疫学調査で、過去1-2ヶ月の血糖状態を示すヘモグロビンA1cを測定した調査があります。
ヘモグロビンA1cが6.5%以上の人を糖尿病が強く疑われる人と判定。
ヘモグロビンA1cが6.0%以上6.5%未満を糖尿病の可能性を否定できない人と判定しました。
その結果を日本人の人口に照らし合わせると、糖尿病が疑われる人は日本で約一千万人、一方可能性が否定できない予備軍も一千万人と予想されました。
合計二千万人以上の方が糖尿病の疑いがあると判定されています。とても多いですね。。
疫学のところでも出てきたヘモグロビンA1cを重視しています。
2013年に熊本宣言というコントロール目標が出て、そこでは合併症を防ぐためにヘモグロビンA1cは7.0%未満にしましょうと言う宣言が出されました。
これは今も変わっておらず、当院でもヘモグロビンA1c7.0%以下を目指すように指導・治療しています。
高齢者の方は若い人と比べてさほどコントロールはきつくしなくても良いのでは、という声が出ていました。
これを受けて日本老年学会と日本糖尿病学会が認知機能・生活機能を鑑みてもう少し緩い基準でも良いのではと言う指標を出しました。
とにかく低血糖起こさように管理しましょうという提言です。
表をご覧ください。
高齢者糖尿病においても認知症状もなく元気な人は合併症予防のためには目標は7.0%未満で、若い人と同じです。
認知機能や基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)、手段的ADL(買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など)を評価して患者の特徴・健康状態をカテゴリー別に分けます。
その上で年齢併発疾患余命などを考慮してここに血糖コントロール目標を設定します。
カテゴリー3の認知症がある場合、ADLが低下している場合で血糖を下げる薬(インスリンやSU剤)をしている場合は8.5%でも良いとされています。
高齢者の心身機能の個人差は著しいです。
とにかく低血糖起こさないように、低血糖を起こしにくい薬などで管理していきます。
これは個人の状態、認知機能によって治療方針を変えてもいいという画期的な指標でした。
治療の基本は食事、運動療法です。
適正な体重を維持するのが大事です。
それでも血糖コントロールが不十分な場合、薬を使用します。
治療薬もかなり変化してきています。
以前よく使われた血糖を下げるSU剤はあまり使われなくなってきて、DPP-4阻害薬、ビグアナイド剤などがファーストLINEになっています。それでもだめな場合は尿に糖を出す薬SGLT-2阻害薬を追加します。
それでもダメならアマリールなどのSU剤をを追加します。
効果の違う薬の合剤も使用可能です。
これだけ投与してもヘモグロビンA1cが下がらない場合はインスリン治療を考慮します。
とにかく若い人は7.0未満に下げた方がいいです。
高齢者の方は認知症や動ける範囲に応じて薬を調整すれば良いのではないかと思っています。
このような方針で当院では糖尿病の治療を進めていきます。
当院連休は暦通りです。
こんな時期ですから電話での処方箋の発行、薬だけの診療もやむを得ないと思います。
オンライン診療の準備はあります。
まだ使えていませんが。
SkypeやZoomなどのテレビ会議等の準備のある方はお申し出ください。
院内報2-3ページ目は疾患説明シリーズとして高血圧・脂質異常症に続いて糖尿病を記載しました。
糖尿病も放置すると怖い病気ですので、また見ておいてください。
次回はメタボリック症候群を取り上げる予定です。