4月になりました。桜も咲き誇り、春爛漫といったところです。
暖冬で出遅れていたインフルエンザのピークも過ぎたようです。
今年はタミフルによる異常行動の報告があり、10代のインフルエンザ罹患者にはタミフルを控えるようにという厚生労働省の通達がでたため、我々医療従事者も困惑しました。
インフルエンザは症状が強いですが、もともと基礎疾患が無く元気な方には安静、保温、水分補給で自然治癒が見込めることをまず認識すべきで、タミフルが無いとすぐに重篤になるのではないかという考えは持たないほうがいいとは思っていました。インフルエンザ疑い−迅速検査−陽性ならタミフル…といった画一的な診療を考え直すシーズンになりました。
タミフルはウィルスの増殖を抑えますので、有熱期間が短縮されるというメリットはあります。特にお年寄り・抵抗力のない方にはタミフルは有効です。しかし、タミフル耐性インフルエンザウィルスの問題もでてきています。今シーズンの結果をもとにまた来年のシーズン前にはインフルエンザの治療指針がでると思いますので、焦らずに待つことにします。皆様も風邪・インフルエンザ予防のため、手洗い・うがいは励行しましょう。
4月より院内土足にしました。
スリッパに履き替えることなくそのまま院内にお入りください。これまで、院内環境上、清潔な床面の保持の為に、当院内における上履き(スリッパ)のご着用へのご協力をいただいておりました。しかし、靴の履き間違いが数件おきていること、他の人の履いたスリッパが気持ち悪い。高齢者や腰痛もちの患者さまなどにとっては、靴を脱ぐこと自体が大変という声があり、土足化を決定しました。
土足により院内感染の原因とはならないのか、という疑問の声もあります。以前の研究では、手術室を3つに分けておいて、「土足で出入りする」、「靴を履き替える」、「土足の靴の上に靴カバーをして入る」という方法で、床の汚染度を調べたら差はないというデータが出ています。また土足化している病院の手術部位サーベイランスでは、感染が多くなったというデータを示していません。
しかし、掃除を今以上にまめにする必要があろうかとは思っています。マットをおいていますので、履物の泥などは落としていただくようお願いします。今後もバリアフリーに近づけるよう検討します。
巻き爪治療について
巻き爪治療のVHOのホームページをご覧になってネット予約で当院を受診される方が増えています。すぐに治療を、といわれる方もおられますが、初診時は診察のみ、VHOは再診時、予約でとさせて頂いていますので、ご了承ください。
◆特集:脳卒中の予防
先月号では心筋梗塞の予防についてご紹介しました。今月号は脳卒中の予防についてです。
脳卒中とは脳出血・脳梗塞・脳血栓の総称です。脳の血管がつまったり、破れたりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり、細胞が死んでしまう病態です。脳の死んだ細胞がコントロールしていたからだの働きができなくなります。
脳卒中の症状は多彩ですが、
意識がなくなる、
からだの片側がしびれる、
手足に力が入らない、
足がもつれて歩けない、
話したいのに言葉が出なくなる、
人のいうことが理解できない、
ものが二重に見える、
片眼が見えなくなったり、視界の半分が見えない
食べ物が飲み込めない、
などがあります。
日本脳卒中協会が作成した脳卒中予防十か条をご紹介します。
1 手始めに 高血圧から 治しましょう
2 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4 予防には タバコを止める 意志を持て
5 アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6 高すぎる コレステロールも 見逃すな
7 お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8 体力に 合った運動 続けよう
9 万病の 引き金になる 太りすぎ
10 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
1 手始めに高血圧から治しましょう
脳卒中の予防で最も大切なのは、高血圧を防ぐことです。
高血圧の原因となるいろいろな生活習慣を改めることが大切ですが、まず塩分をとりすぎないことです。塩分をとりすぎると、体内の塩分の濃度を下げるためにたくさん水分を血管内に吸収します。すると、血液の量が増えるから、血圧が高くなります。毎日の血圧測って(できれば朝)、高いようでしたら記録をお持ちになって相談してください。
2 糖尿病 放っておいたら悔い残る
糖尿病の人では、脳卒中で死亡する率が、正常な人の2〜3倍になります。動脈硬化が進むためと考えられています。食べ過ぎない・運動することが重要です。糖尿の方はコントロールを、そうでない方も検尿、血糖、ヘモグロビンA1cを少なくとも年に一回は調べてください。
3 不整脈 見つかり次第すぐ受診
不整脈の中でも心房細動は、心臓の中にできた血のかたまりができやすく、そのかたまりが血液の流れに乗っていき、脳の血管で詰まって、脳梗塞の原因となります。血を固まりにくくする薬が必要です。不整脈の確認には心電図検査が有用です。
4 予防にはタバコを止める意志を持て
たばこは大きな危険因子で、全ての生活習慣病の危険因子です。1日平均40本のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて4倍も脳卒中で死亡しやすいと言われています。禁煙したいけどできない、という方はご相談ください。
5 アルコール、控えめは薬過ぎれば毒
日本酒では1日に1合、ビール大瓶1本が適量です。
6 高すぎるコレステロールも見逃すな
高脂血症の方は脳卒中のうち、脳梗塞になりやすいと考えられます。悪玉コレステロール、中性脂肪なども健診などでチェックするようにしましょう。
7 お食事の塩分・脂肪控えめに
食塩摂取量の減少を。
まず食生活では、高血圧を防ぐために、減塩が大切です。1日に10g未満にすることが目標ですが、すでに高血圧の人の場合は7gくらいを目指したほうがいいです。そのためには、ふだんから薄味に慣れていくことが必要。
薄味に慣れるには、
@減塩しょう油を使う
A天然のだしをいかす
Bハーブや香辛料で味付けする
C酢や柑橘類など、酸味を利用する
D味見をせずにいきなり調味料を使わない
E甘味が濃いと塩分も濃くなりがちなので、砂糖やみりんの量を控える
などを心がけてください。
それに、塩分をからだの外に出す働きのあるカリウムをとること。カリウムは野菜やキノコ類、果物などにたくさん含まれています。
動脈硬化の原因になる、コレステロールの管理も大切です。コレステロールを増やさないために
@乳脂肪をとりすぎない
A卵黄は1日1個程度に
B即席麺やスナック類などを控える
Cチョコレートなど、甘いものは控えめに
D肉(とくに脂身)を控える
E揚げ物や炒め物は、植物性の油で
F青背の魚を積極的にとる
G食物繊維を含む食品をとる
などが勧められています。
8 体力に合った運動続けよう
運動が不足すると、食事でとったエネルギーを消費しきれず、肥満につながるばかりか、糖尿病や高脂血症、高血圧も引き起こします。早足歩行30分、週3回を目標に。
9 万病の引き金になる太りすぎ
肥満……メタボリック症候群で注目されています。脳卒中の危険因子である高血圧や糖尿病の原因になるため、間接的に脳卒中の危険因子となります。
10 脳卒中 起きたらすぐに病院へ
脳卒中を発症してしまえば、病院での治療が必要です。脳梗塞発症後3時間以内であればt-PA治療が有効ですので、脳卒中の症状がでたら出来るだけ早く病院に行くようにしましょう。脳梗塞の場合、予兆がでることがあります。脳卒中の症状がでて元に戻る場合、早めの頭部CT・MRI検査を受けましょう。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
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