2019年 9月 No.166
9月です。9月初旬、虫の声も蝉から鈴虫に変わり,朝夕は秋の気配になりました。
9月中盤以降、急に涼しくなりました。
秋の深まりを感じます。
日中はまだ暑さを感じることもあり、寒暖の差が大きいため、体調には十分ご留意ください。
昨年は9月に9月4日に、非常に強い勢力をもって近畿地方を通過した台風21号は泉州地域にも大きな被害をもたらしました。
電柱が折れた、関西空港連絡橋にタンカーが衝突した、など衝撃的な映像もありました。
今年は千葉など関東地方に強い台風が襲いました。
災害はいつ起こるかわからないので備えは大事ですね。
もうすぐ、10月。早いもので今年もあと3ヶ月。
もうおせちなどの宣伝も始まっています。
カレンダー、手帳なども店頭に並び始めています。
9月16日は敬老の日でした。
厚生労働省の発表によると、2018年の日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳で過去最高を更新したことがわかりました。
国際比較で見ると、日本女性の世界ランキングは香港(87.56歳)に続いて第2位、男性は香港(82.17歳)、スイス(81.4歳)に続いて第3位でした。
また、厚生労働省のまとめによると、2019年9月15日時点の住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の数が前年より1489人増加し、初めて7万人を突破し、7万1274人となりました。
100歳以上人口の増加は49年連続。
100歳以上人口は圧倒的に女性が多く、全体の88.1%を占めています。
最高齢の女性は福岡市在住の田中カ子(かね)さん116歳。
田中さんは3月に世界最高齢者としてギネスに公式認定されています。
男性は北海道足寄町在住の渡辺智哲さん112歳。
人生100年時代と言われています。
寿命が伸びるのは喜ばしいことですが、とりわけ健康寿命を延ばしたいですね。
健康寿命が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されており、実際のところは誰の助けも借りずに生活できる、要介護状態ではない状態です。
現在は平均寿命と健康寿命に約10年の差があるといわれています。
京都大iPS細胞研究所は9月12日、フランスの高級ブランド「ディオール」の化粧品を扱うパルファン・クリスチャン・ディオールと共同研究を始めたと発表しました。
iPS細胞を使い、肌が老化する仕組みや原因を調べます。
同研究所が海外の化粧品メーカーと共同研究を行うのは初めてです。
今回の共同研究は、ディオール側が京大の研究所に持ちかけたそうです。
若者から高齢者まで様々な年齢層の人のiPS細胞から皮膚の細胞を作り、年齢ごとの細胞の性質を調べて加齢がどう影響するかなどを研究します。
将来的にディオール側は、皮膚を長く若々しい状態に保つための製品開発を視野に入れているようです。
面白い試みだと思うけど、できたら資生堂とかカネボウとかコーセーなど日本の化粧品会社が言い出してほしかったな、と思いました。
10月1日よりインフルエンザ予防接種を開始します。
今年は十分ワクチンがあるようですが、13歳以上の方は一回接種でお願いします。
健康な成人の方や基礎疾患(慢性疾患)のある方を対象に行われた研究から、インフルエンザワクチン0.5mLの1回接種で、2回接種と同等の抗体価の上昇が得られるとの報告があります。
ただし、医学的な理由により医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません。
13歳未満の方は、2回接種です。
忠岡町在住の65歳以上の方は1000円、一般の方は3000円です。ワクチンの予防効果持続期間は5ヶ月程度と推定されています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないことです。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。
9月中旬沖縄でインフルエンザが流行したというニュースがありました。
診断キットが出る前までは、私もインフルエンザは冬にかかるものだという印象がありました。
しかし、夏に高熱を出す患者さんにインフルエンザの検査をすると陽性になるという経験を結構しました。
現在は夏にもインフルエンザがあると認識しています。
リウマチ性多発筋痛症、少し耳慣れない疾患でしょうか
リウマチ性多発筋痛症とは、首、肩、腕、大腿など胴体に近い部位の痛みやこわばり、発熱を来す疾患です。50歳以上、特に60歳以上の方に多く発症します
よく聞く関節リウマチとは別の病気で、関節が変形することはほとんどありません
原因不明の痛みや発熱で来院されるケースが多いです。関節リウマチと同様に膠原病の一種とされています
頻度としてはリウマチ性多発筋痛症は、関節リウマチの十分の一以下と考えられます
アメリカでは、人口10万人で18.7~68.3 人、とくに50歳以上の人口10万人に対しては年間50人ほど発病するとされています
日本人は欧米人よりもずっと少ないとされていて、正確な調査は少なく情報は限られますが、50歳以上の人口10万人につき約1.5人と言われています
大変稀な病気ということでもありません
当院でも年間1-2例お目にかかります。
発症は、比較的急速(数日から数週間)で、発症日を特定できる場合もあります
首、肩、腕、腰、太ももの痛みが強く「ある日急に両腕が肩より上に挙げられなくなった」、「痛くて起き上がれない、着替えがしにくい、寝返りができない」という話を伺うことが多くあります
また、発熱や倦怠感といった全身症状を来すことも多く、「整形外科で五十肩と言われたけれど、熱もある」と訴えられることもあります
また、日本では稀ですが側頭動脈炎を合併することがあります。その場合は側頭部の痛みがあります
稀ですが、悪性腫瘍が合併していることがあります。
血液検査で炎症所見を認めますが、それ以外の血液検査・画像検査では直接診断をすることが難しく、同じような症状を起こす他の病気(感染症、関節リウマチなどの膠原病、悪性腫瘍)がないことを確認する必要があります
そのため、診察に加えて血液検査、画像検査などを行い、総合的に診断していきます
診断基準はいくつかありますが、Birdの診断基準がよく使われます
リウマチ性多発筋痛症の診断基準(Birdによる)両側肩の痛み および/または こわばり初発から症状完成まで2週間以内初診時、血沈40mm/時以上(注:当院では血沈検査はしていません。CRPで代用しています。基準は書かれていませんが、CRP3.0以上くらいでしょうか)朝のこわばり(頚、肩甲骨、腰帯)1時間以上年齢65歳以上うつ状態 および/または 体重減少両側上腕の圧痛
上記3項目以上でリウマチ性多発筋痛症と診断されます
・リウマチ性多発筋痛症に特異的な所見はなく除外診断が必要で、本基準のみで確定することは出来ない
・リウマチ性多発性筋痛症の診断をさらに確実にするために、ステロイドよる診断的治療が有用である。
欧州リウマチ学会(EULAR)と米国リウマチ学会(ACR)が合同で「2013年リウマチ性多発筋痛症分類基準」を提唱しています
それにはBirdの診断基にリウマチ因子院生陰性かつ抗CCP抗体陰性が追加されていました
抗CCP抗体は関節リウマチで早期から上昇するマーカーです
当院では、リウマチ性多発筋痛症を疑った場合は病院に紹介して、いろいろな疾患を除外してもらうようにしています
大抵入院になり、入院中にステロイドを開始してもらっています。
多くの場合、副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)の内服が著効し、数日で筋肉痛が劇的に改善します
これが診断的治療となり、ステロイドがよく効くのでリウマチ性多発筋痛症と確定できます
初期治療で反応が見られた場合は、症状や炎症所見を参考に、薬の量を調整していきます
多くの場合、1 ~ 3年でステロイドを中止できますが、30 ~ 40%で再発が見られ、長期にわたってステロイドを必要とする場合もあります
治療中は、ステロイドによる副作用(消化性潰瘍、血糖上昇、骨粗鬆症など)にも十分注意する必要があります。
2015年にEULARとACR(ヨーロッパとアメリカのリウマチ学会)が合同でリウマチ性多発筋痛症の推奨治療を発表しました。
ステロイドはプレドニゾロン換算12.5~25㎎/日で初期治療を行い、症状が無くなっていれば4~8週で10㎎/日まで減量します。
寛解を得たら4週で1mg/日ずつ減量し、主に血液検査の炎症反応CRPの数値を見ながら減量していきます。
再燃したら再燃前の量に戻し4~8週ごとに減量し、最終的には漸減中止が推奨されています。
ステロイド中止で症状も炎症反応もないという状態が望ましいですが、少量ステロイドを持続的に使用し続けないといけない例もあります。
当院では、病院でステロイドを導入してもらい、CRPを見ながら減らしていっています。
明け方の症状が強い場合は朝夕で分割投与することがあります。
漸減しますが、少量投与で長期にわたり続けないといけないこともあります。
また、ステロイドで効果が少ない場合、関節リウマチで使うような免疫抑制剤を使うこともあるとのことです。リウマチ性多発筋痛症に保険適用にはなっていません。
リウマチ性多発筋痛症は、少量のステロイドで良くなりますが、適切な診断・治療が必要です。
体幹に近い部位の痛みやこわばり、発熱といった症状がありましたら、受診下さい。
ステロイドとは、腎臓の傍にある副腎から作られる副腎皮質ホルモンの1つです。
ステロイドのもつ効果には炎症を抑えたり、免疫力を調整したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われています。
ステロイドが使われる疾患としては、関節リウマチなどの膠原病をはじめ、皮膚病、アレルギー疾患で抗アレルギー剤だけではコントロールできない症状の強い場合、ある種の腎臓病、気管支喘息、肺炎など炎症や免疫が関与するさまざまな病気の治療薬として使われています。
腫瘍による熱にも効果があるため、緩和医療の領域でもよくステロイドが使われます。食欲が出たりしていい効果が期待できます。
ステロイドの製剤には全身作用を目的とした飲み薬や注射薬の他に、局所作用を目的とした吸入薬や塗り薬、点眼薬などがあり、疾患に応じて用いられます。
気管支喘息には吸入ステロイドが有効です。
最も頻繁に使われるのが皮膚の塗り薬、リンデロンなどにもステロイドが含まれています。
炎症がある場合、よく効きます。
長期にわたって塗り続けると、皮膚が薄くなる、カビに感染しやすくなるなどの副作用があるので注意が必要です。
風邪などの軽度な炎症疾患にステロイドを使われる先生もおられますが、まだ推奨はされていません。
個人的には風邪にステロイドは過剰な薬かな、と思っています。
しかし、将来風邪にはステロイドという治療方針になっている可能性は否定はできません。
当院では風邪にはステロイドは処方しません。
炎症疾患によく効くステロイドですが、副作用があります。
便秘、満月様顔貌、食欲増進、ニキビ様皮疹、また重度なものとして糖尿病、消化性潰瘍、骨粗鬆症、白内障・緑内障など。
また、感染症にかかりやすくなることがあります。そのため、これらの症状に対処するためのお薬が必要に応じてステロイドと一緒に処方されます。
具体的には、骨粗鬆症を予防するためのカルシウム剤、ビスフォスフォネート製剤、胃潰瘍を予防するための胃薬(プロトンポンブ阻害薬、H2阻害薬など)抗生剤(バクタがよく使われています)などを併用します。
ステロイドが短期終了できる場合はこのような副作用予防薬は使わないこともあります。
長期間ステロイドを服用すると、副腎はステロイドをつくる力が弱くなってしまいます。
この状態でステロイドを急にやめてしまうと、本来副腎でつくられるはずのステロイドが欠乏するために、低血糖、急性循環不全、下痢、発熱、倦怠感などの副腎クリーゼと呼ばれる症状が起こる可能性があります。
そのためステロイドをやめる時には、少しずつ量を減らしていく必要があります。
副作用を恐れて自己判断でステロイドを減らしたり中止したりすると、かえって症状が悪化したり副作用が起こる場合があるため、医師の指示通りに適切に使用していくことです。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
10月12日土曜日、都合により休診します。
また10月22日火曜日は即位礼正殿の儀の行われる日で、国民の休日となっていますので、休診になります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
10月から消費税が8%から10%に変わります。
一部の診療報酬が改定され、医療費が変わります。
窓口でお支払いいただく料金も変わります。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。