2019年 6月 No.163

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

6月です。
今年は近畿地方は入梅が遅く、6月23日の時点でまだ入梅していません。
来週には、と予測されているそうです。
(6月26日に入梅しました。いきなりその後台風なんて、G20もあるのに。)
その分夏が短くなるのでしょうか?
今年の夏は雨が多く、蒸し暑くなるのだそうです。
気温はだんだん上がって暑くなってきています。
熱中症・虫刺されに注意が必要な時期です。

 熱中症対策 

食事は十分摂る様に。
水分は食事も合わせて1日8回取るのが目安。
食欲がなくても、定期的に一口でも水を飲むなど、自分のペースで水分を取る習慣を身につけてください。
暑さに対する感覚が加齢で鈍くなる人もいますので、自分の基準ではなく、必ず温度計を見て室温を調節しましょう。
室温の目安は28度以内。
ただし、湿気があると同じ気温でも暑く感じるので、湿度60%以上なら、もっと下げてもいいです。
室温と湿度の両方を測定する熱中症計を設置すると便利です。
服装は風通しのよいものを。
エアコンを使用して快適に過ごすようにしてください。
汗をかいたら塩分補給もお忘れなく。
経口補水液で早めに水分を補給しましょう。
補水液には塩分と糖分が含まれ、水分の吸収速度を高めます。

 虫刺され対策 

人類一番の外敵は蚊です。
刺されないように対処してください。
私は今シーズン、イカリジンが配合された虫除けスプレーを使っています。
効果はあるように思います。

 ISO9001 

6月11日、12日は当院のISO9001の審査日でした。
診療予約を制限したので、ご迷惑をおかけした方もおられたかと思います。申し訳ありませんでした。
当日は審査員が来られて、当院のISO遵守状況につき、審査いただきました。
マイナーな不適合がありましたが、是正処置を提出することで、今年度もISOの継続が認証されそうです。
ISO9001取得当初は院長の私が先導していましたが、今は事務長はじめ、看護師スタッフ、事務スタッフが頑張って対応してくれています。
審査員からは色々指摘は受けていますが、結構高い水準で診療所運営が回っていると自負しています。
今後も診療時の診療手帳発行、月一回の院内報作成とISO9001認証継続を当院の目標にしたいと思っています。

 認知症対策 

政府は6月18日、認知症対策を強化するため、2025年までの施策を盛り込んだ新たな大綱を関係閣僚会議で決定しました。
安倍晋三首相は同日午前に開かれた関係閣僚会議で、「共生と予防を車の両輪として取り組みを強力に推進していく。誰もがいくつになっても活躍できる生涯現役社会の実現に向けて全力を尽くしてください」と指示しました。
発症や進行を遅らせることを「予防」と定義し、認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「共生」とともに2本柱の一つとして初めて目標に掲げています。
成年後見制度の利用を促進するため全市区町村に調整機関を新設することなども盛り込まれています。

 風疹 

今月、大阪府内の医療機関で0歳の男の子が「先天性風疹症候群」と診断されました。
全国的に風疹の患者が増加しています。
大阪府内では、今月16日までに報告された風疹の患者数が117人で、すでに去年1年間の患者数の123人に迫る勢いです。
妊娠中の母親が風疹に感染することで、おなかの赤ちゃんに障害が出る「先天性風疹症候群」は赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が出ます。
「先天性風疹症候群」の子どもが府内で確認されたのは前回の大流行に伴う患者以来5年ぶりで、今年に入り全国で3例目だということです。
女性は妊娠する前にワクチンの接種を行うことや、免疫を持たない30代から40代の男性を中心に、幅広い世代の人にワクチンを接種してほしいと注意を呼びかけています。
若い男性にはクーポン券も発行されていますので、これ以上患者を増やさないためにもワクチンの接種や抗体検査を行ってください。

脊椎圧迫骨折

「脊椎圧迫骨折」とは、せぼね(脊椎)が押しつぶされるように変形してしまう骨折です。
最近は骨粗鬆症性椎体骨折とも言われるほど、多くの脊椎圧迫骨折の原因は骨粗鬆症です。
脊椎圧迫骨折は、体動時、寝返りをうつ時や、起き上がる時に痛みが出ることが特徴です。
安静にしていると痛みが少ないので、従来は“年のせいだから”とあきらめられていたり、見過ごされていることが少なからずあります。
明らかな外傷も無く脊椎圧迫骨折を起こしていることもあり、いつの間にか骨折ともよばれています。

脊椎圧迫骨折

院内報に骨粗鬆症を書いた平成28年1月、いつのまにか骨折、というCMがありました。いつのまにか骨折というのはいいネーミングですね。
外傷などでボキッと折れるだけが骨折ではありません。
本人が気付かないうちに骨折しているのは、脆弱性[ぜいじゃくせい]骨折といって、骨の強度が低下し(もろくなり)、本人が気付かないうちに骨がつぶれてしまう骨折です。
つまり、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折のことです。
軽微な外力とは立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力をさします。
尻餅をつく、くしゃみをする、体をねじる、咳をするだけでも圧迫骨折が発症する場合があります。
骨粗鬆症ではこういう脆弱性骨折の方が多くなっています。
加齢とともに急増してくるのが背骨の骨がつぶれる椎体骨折。
つぶれたときに痛みで気付く人もいますが、気付かないまま、背中が丸くなってしまう人も多いようです。

脊椎

背骨=脊椎は椎骨とよばれる骨が連結したものです。
椎骨は、脊椎の分節をなす個々の骨のこと。
縦一列に並んでおり、ヒトの場合上から順に頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎4個の33個存在しますが、仙椎および尾椎はそれぞれ癒合しており、仙骨および尾骨と呼ばれています。
英語の頭文字をとって、頚椎(Cervical spine)はC1~C7、胸椎(Thoracic)はT1~T12、腰椎(Lumbar)はL1~L5で表現されます。

椎骨は前方(腹側)の缶詰のカンのような形をした「椎体」と、後方(背側)の複雑な形をした「椎弓」から成っています。
椎弓はその名の通り弓のような形をしていますが、上下の椎体とうまく連結するための棘突起や横突起などがついているために、かなり複雑な形をしています。
椎体と椎弓で囲まれた空間を椎孔(脊柱管)と呼んでいますが、このスペースに脊髄が通っています。

椎骨と椎骨の間には「椎間板」と「椎間関節」という2種類の関節があります。
椎間板はまさに衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。
脊柱管の中を走っているのが「脊髄」です。
脊椎と脊髄、ややこしいですが、脊椎は「骨」、背骨そのものです。
脊髄は「神経」です。
脳からの指令を末梢に伝える、そして末梢からの情報を脳に伝えるのが神経の役割です。

椎骨

脊椎圧迫骨折は脊椎のカンのような部分・椎体が押しつぶされて、くさび形になるものです。
交通事故や転落のような大きな外力がかかると正常の椎体も押しつぶされますが、高齢者に起こる圧迫骨折の多くは骨粗鬆症をベースに軽微な外力で起こります。

レントゲン検査の側面像で診断します。
しかし、レントゲンでは古い圧迫骨折か新しい圧迫骨折かが区別できません。
区別するために腰椎のMRI検査をします。
新鮮な脊椎圧迫骨折は出血や浸出液などがありますので、MRIではその液体を検出して新鮮な圧迫骨折と診断できます。
治療はまず、安静・固定です。
コルセット コルセットやギプスなどを装着します。

痛み止めの飲み薬

・鎮痛剤も必要に応じて服用します。
安静にすることで、3~4週ほどでほとんどが治ります。治ります、とは言っても痛みが取れるだけで、変形は残ります。
コルセットを巻いたまま生活する必要があるため日常の活動が制限され、長期の入院が必要になることがあります。
また、長期間ベッドの上で安静を保っていると御高齢の方では著しい筋力低下や見当識障害が発生することもあります。

『骨折をしたら、骨を元の形に戻して固定をする。』これが骨折治療の基本です。
手首や足首の骨折、大腿骨の骨折なども、曲がったまま骨折を放置することはありません。
手術か整復して固定します。
しかし、肋骨、脊椎、骨盤などはギプスを巻いたり、すぐに手術をしないことが多いです。
特に脊椎はある程度の変形は許容して治療します。
ひしゃげて変形してもそのままの形で固まるまで待ちます。
そのため、治療を終えても背中が丸くなってしまうことがあります。

 外科的療法(固定術) 

従来からの脊椎圧迫骨折の「外科的療法」固定術は手術によって骨を移植したり、金属製のねじや棒で骨を固定します。
これらの手術の際には、通常入院が必要となり、リハビリも必要になります。

 椎体形成術 

従来の椎体形成術は、切開して骨折した椎体にハイドロキシアパタイトなどを充てんし、安定化させ、痛みを低減させる手術で、手術の方法は様々です。
また、固定術と組み合わせて行う場合もあります。

 BKP治療法 

脊椎圧迫骨折の新しい治療法-BKP治療法Balloon Kyphoplasty【バルーン カイフォプラスティ】(略して「BKP」と呼ばれています)は、1990年代にアメリカで開発された、新しい治療法です。
日本語では経皮的椎体形成術といいます。
この治療法は、世界で100万件以上の脊椎圧迫骨折に対して行われています。
日本でも治験を行い、その安全性と有効性が確認され、2010年2月に厚生労働省の承認を得、2011年1月より公的保険が適用されるようになりました。
脊椎圧迫骨折によってつぶれてしまった椎体を、骨折前の形に近づけ、椎体を安定させ、痛みをやわらげる治療法です。
バルーン(風船)状の手術器具や医療用の充填剤(骨セメント)を使用します。
BKP治療の手術は全身麻酔をして行います。
BKP治療法 ベッドにうつぶせに寝た状態で背中を2ヶ所(1㎝程度)切開し、手術にはレントゲンの透視装置を使用します。
背中から針を刺入し、骨折した椎体への細い経路を作ります。
そこへ小さな風船のついた器具を入れます。
椎体の中に入れた風船を徐々に膨らませ、つぶれた骨を持ち上げて、できるだけ骨折前の形に戻します。
風船を抜くと、椎体内に空間ができます。
その空間を満たすように、骨セメントを充填します。
手術は1時間程度で終わり、骨セメントは手術中に固まります。
BKP治療は、短時間の手術(約1時間以内)で、早期に痛みの軽減が行え、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
泉州地域でもいくつかの病院でBKPが受けられます。
なかなかいい方法だと思うので、圧迫骨折後で腰痛に悩まれている方はご相談ください。

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

編集後記

夏季休暇

8月15日から18日までです。

当院受診される方、薬がきれないように。
当方も注意しますが、毎年1-2例、休み期間中に薬が切れたと連絡があります。

薬局に無理を言って準備してもらっていますが、対応が難しい場合もありますので、できれば薬切れなどの無いようにお願いします。

住民健診(特定健診)、高齢者健診しています。
詳細は受付にお問い合わせください。