2019年 3月 No.160
3月です。
いつもながら、月日の経つのは早い。
大阪は3月27日に桜の開花が発表されました。
平年より1日早く、昨年より7日遅いそうです。
昨年は3月27日、満開でしたね。
今年東京はもう満開とのことです。
春の気配を感じます。
春の訪れは嬉しいですね。でも、まだ寒い日もあり、日中暖かくても、日が沈んでからはまだ寒くコートが必要です。
今年の一月に猛威をふるっていたインフルエンザは下火になってきています。
このまま終息してくれるのを期待しています。
今年はあまりB型のインフルエンザの方がいなかった印象があります。
これから流行ということもあるかもしれないので、うがい、手洗いはするようにしてください。
もうすぐ平成が終わります。
4月1日に新元号が発表されます。
有識者会議に5つの元号案が提示され、その中から選ばれるそうです。
有識者会議にはiPS細胞の山中伸弥京大教授、作家の林真理子さん、宮崎緑千葉商科大学教授(NHKのニュース番組のキャスターだった方ですね)が起用されています。
あとは経団連元会長とか前最高裁長官、教育界、報道機関からも選出されています。
どんな元号になるんでしょうね。
麻疹は全国で今年300人を超え、大阪でも100人を越える感染がありました。
ワクチン接種が有効なので、抗体の無い方は予防接種を。
風疹は追加的対策があり、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性の方は抗体検査、ワクチン接種できるクーポン券が発行されるそうです。
クーポン券が送られてきた方には無料で風疹の抗体価が測定されます。
抗体価が低い方についてはワクチンが接種されます。詳細を知りたい方は忠岡町役場保健センターにお問い合わせください。
花粉が飛んでいます。今年は花粉の飛散は例年並みかやや多いようです。花粉症の方は花粉のブロックを。
目に対しては眼鏡の着用で60-70%の花粉がブロックできるそうです。
また、花粉カット眼鏡もあるとのこと。
これだと98%ブロックしてくれるそうです。
ゴーグルしか知りませんでした。
鼻水、目のかゆみなど症状があるようでしたら、受診してください。
抗アレルギー薬、車を運転する方には眠くならない薬を処方しています。
添付文書上に車の運転注意の記載がない薬は、先発品の商品名でいうと、アレグラ、クラリチン、ビラノア、デザレックスです。
このうちデザレックスは現在処方することができません。
効アレルギー薬の使い分けとしては、肝機能障害がある場合は腎排泄のタリオンが、腎機能障害がある場合はアレジオンやエバスチン、クラリチンが使用されます。
妊婦では妊娠15週までは極力薬物療法を避ける。
必要な場合、ジルテック、ザイザル、クラリチンが使用経験が多く安全と考えられています。
抗アレルギー薬は対症療法ですが、花粉症の根本的治療となる舌下免疫療法は当院でも処方できます。
花粉の飛んでいる時期に開始するのは禁止されていて、スギ花粉飛散の終了した6月からの開始が望まれます。
スギのアレルギーが証明されている方は是非ご考慮ください。
また、ダニアレルギーの舌下免疫療法もあります。
当院は発売当初から使用できる準備を整えているのですが、耳鼻科ではないので、あまり普及しませんね。
報告では効果がいいようなので、スギ花粉・ダニアレルギーでお困りの方、ご相談ください。
5月の10連休。当院は4月30日、5月2日は午前中のみ外来診療を予定しています。
カレンダーの赤い日(4月28日・29日、5月3日~6日)と即位の日の5月1日は休診します。
また、少し早いですが、6月8日土曜日は岸和田徳洲会病院の緩和ケア研修会のため、休診します。
6月10日・11日はISO9001の審査日です。
診療予約を制限させていただく予定です。
よろしくお願いします。。
タレントの堀ちえみさんが、舌癌を公表され、平成31年2月22日に手術を受けられました。舌の6割を切除して、頚部のリンパ節隔清をして、大腿の筋肉から舌を形成して縫合するという11時間もかかる大手術だったようです。手術中・術後は気管切開で呼吸管理されています。
その気管切開孔も閉じられ、3月26日には退院されました。
ブログもほぼ毎日更新されていて、生きていることの喜び、食事のできる喜び、家族と一緒の喜びを綴られています。
堀さんは昨年の夏ごろから舌の違和感があり、口内炎と診断され、レーザー焼灼などの治療を受けておられたようです(詳細不明ですが)。あまり治らないので大学病院を受診され、舌癌と診断、頚部リンパ節転移もあったとのこと。最近、口内炎ができた患者さんで、舌癌を心配する方が当院でも増えてきました。
今回は口内炎、舌癌について書いて見ます。
口内炎とは口腔粘膜の表在性炎症です。
一般に口腔粘膜全体にびまん性、あるいは多発性に生じるものを指しますが、特定部位に限局したり、片側性に生じるものもあります。
限局性に生じた場合は、その部位により舌炎、歯肉炎、口唇炎などと呼ぶことになっていますが、口腔内、口唇、舌のどこに出来ても口内炎ということが多いように思います。
臨床症状・所見をもとに分類すると、アフタ性口内炎、びらん性口内炎、潰瘍性口内炎、壊疽性口内炎、水疱性口内炎などとなります。
口内炎で一番多いのが、アフタ性口内炎です。
アフタというのは、口腔粘膜にできる直径数ミリの円形または楕円形の、境界がはっきりした浅い潰瘍で、そのまわりを取囲んで幅の狭い赤くなった部分 (紅暈) があり、潰瘍面が白色ないし灰白色の付着物で被われています。
痛みがあります。
疲れ、ストレス、胃腸障害、ビタミンB不足などが原因としてあげられていますが、実際は原因不明のことが多いです。
通常、1週間程度で自然治癒します。
ケナログ軟膏やデキサルチン軟膏、アフタッチなどを塗布して治療します。
ケナログはよく使用していたのですが、昨年の末に販売中止になってしまいました。
まだ市販薬ではあるようです。
ケナログの代わりに後発品のオルテクサー軟膏があります。
ケナログを希望される方には処方してみようかと思っています。
あのジャリジャリとした感触がいいという方もおられますので。
しかし、オルテクサー軟膏が同じ感触なのかは私の経験が無いのでまだわかりません。
アフタ性口内炎は再発、多発する場合があります。
アフタ性の口内炎がなかなか治らない、陰嚢にも潰瘍がある、目の症状がある場合は全身性の疾患であるベーチェット病の可能性がありますので、精査が必要です。
帯状疱疹ウイルスや単純疱疹ウイルスにより、口腔粘膜や口唇に多発性に小水疱を形成するウィルス性の口内炎です。
水疱は容易に破れ、びらんあるいは潰瘍を形成します。
内服または外用の抗ウィルス剤、鎮痛剤で治療します。
舌炎も口舌粘膜の表在性炎症であり、口内炎のひとつとして扱われます。
地図状舌、真菌性口内炎、萎縮性舌炎などがあります。
地図状舌は舌の上面に、不規則で境界のはっきりした灰色にふちどられた、赤色の平坦なところがあるもので、地図のように見えます。
良性のもので、原因はわかっていません。
痛みなどの症状があれば含嗽剤を処方します。
真菌性口内炎は真菌(カビ)による舌の炎症です。舌の中央または全体が白っぽくなります。
擦過物の直接検鏡で真菌が確認できることもありますが、真菌が検出されないことも多いです。
真菌が証明されなくても、真菌が疑わしい場合はファンギゾンシロップなどの抗真菌性外用薬を使って効果をみます。
抗真菌薬の内服をする場合もあります。
舌の粘膜が萎縮している場合は鉄欠乏性貧血や悪性貧血の一症状として出る場合があるので、血液検査が必要です。
乾燥による萎縮性舌炎もあります。
唾液の分泌が少なく、舌がカラカラに乾いている状態です。
10分間ガムを噛んで、唾液の量が10cc以下だと唾液分泌が低下していると判断します。
シェーグレン症候群という全身の粘液分泌が低下する疾患でないか、血液検査などで確認します。
人工唾液(サリベート)、含嗽剤などを使用して、口腔内乾燥を緩和するようつとめます。
口腔の中にできる癌の中で半数を占めるのが舌癌です。
初期症状として硬結や違和感、疼痛、出血などがみられます。
口内炎と思い込み、長期間放置されていることも少なくないようです。
不良歯牙や口腔内不衛生、喫煙、飲酒などが発症原因として挙げられ、中年以降の男性に多いとされています。
診断は病変部分の生検・組織検査です。
癌が証明されたら、CTやMRI、超音波検査などで病変の進展範囲や転移の有無を確認します。
治療ですが、一般に口腔癌は放射線治療や抗癌剤に対する感受性が低く、原則は手術による切除となります。
早期の場合は舌の部分切除のみ。
頚部のリンパ節転移があれば、舌の切除に加え、頚部のリンパ節郭清が必要です。
頚部を切開して切除した舌を引っ張りだし、頚部のリンパ節と一塊として切除します。
切除した舌は縫い合わせるだけの場合もありますが、堀さんのように大腿の筋肉を移植して残った舌と縫い合わせることもあります。
大腿の筋肉生着のためには血流が必要なので、頚部での動静脈の血管吻合をします。
時間のかかる処置です。
見たことがないので、移植された大腿の筋肉が代用舌としてどのように機能するのか、上に粘膜が張ってくるのかどうかは全く知りません。
時間が経ち、良くなったら堀さんの舌の画像を見てみたいです。
今回は、口内炎・舌癌を取り上げました。
口内炎は多いですが、舌癌はさほど多くなく、私も実際には診た事がありません。
口内炎が通常の治療で2週間以上治らない、あるいは悪くなっていく場合は舌癌を疑って、口腔外科の専門医に診てもらうことが必要です。
舌癌は触ってみると硬いので、口内炎を診た場合は触診が必須、と書かれていました。
今まであまり口内炎の触診はしたことがなかったのですが、今後は悪性疾患の除外のため、積極的に触診をしていこうと思っています。
明らかなアフタ性口内炎は最初から触診をすることは無いです。
あくまで治りにくい口内炎の場合だけ。
また、口内炎の治療では原因に対する治療とともに、含嗽薬処方や歯磨きなどによる口腔保清が大切です。
痛みのため口腔保清ができない場合は、歯科医師や歯科衛生士から口腔保清の器具や方法の指導を受けるように勧めます。
幸い当院の2階には歯科医院がありますので、治らない口内炎の方は紹介します。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
特定健診が 3 月末で一旦終了します。
次年度の特定健診は 5 月から再開予定です。
日程が確定したら、またご案内しますので、受付またはお電話にて予約を取り、健診を受けて下さい。