新年を迎えて今年はと願い事と計画のたてたのもつかの間、もう春を迎える弥生になります。
今年は暖冬で、1月・2月初旬くらいまではインフルエンザも少なく、流行の無いまま春になってくれたらいいのに、と願っておりましたが、残念ながら2月の下旬から流行が始まってしまいました。
3月1日現在、学校での学級閉鎖・学年閉鎖の報告が相次いでいます。インフルエンザA型、B型も出ています。症状の軽いインフルエンザもよくみかけます。以前は、急に始まる高熱・立っていられないくらいの倦怠感などの全身症状が強いものがインフルエンザ、と想像していました。
診断キットが出る前は発熱のないインフルエンザというのは考えてもみなかったのですが、念のために検査してみると意外にインフルエンザだった、ということがよくあります。つまりは検査してみるまではわからない、というのが今の印象です。この検査キット、早く市販の検査薬にならないか、と考えています。簡便で有効ですので。
インフルエンザの治療ですが、昨年まではすぐタミフルという薬を処方していました。しかし、新聞報道などでご承知のことと思いますが、中学生2人がインフルエンザと診断されタミフルを服用した直後に飛び降りる、という痛ましい事故が起こっています。タミフルとこの異常行動の因果関係は現在調査中でまだ答えはでていません。インフルエンザによる脳症である可能性もあります。しかし、このような事故が起こってしまった以上、タミフル投与は慎重にならざるを得ません。
A型インフルエンザには抗ウィルス薬としてタミフル、吸入薬のリレンザ、シンメトレルがあります。B型インフルエンザにはタミフル、リレンザのみで、シンメトレルは効きません。
抗ウィルス剤の無かった時代は安静と症状を抑える薬のみでした。タミフルを服用すると確かに有熱期間が短縮されるという印象はありますが、抗ウィルス剤が無くても、抵抗力がある健常者は自然に治癒していきます。
また麻黄湯という漢方薬も抗ウィルス剤ではありませんが、インフルエンザの症状を抑えるのに有効です。
今シーズンは上記より治療を選択していただくことになりますが、どうしてもタミフル、という声はさすがに少ないように感じています。いずれにしろ、未成年者がインフルエンザに罹患した場合、タミフルの服用の有無にかかわらず、異常行動が出現することがありますので、少なくとも2日間は1人にならないよう配慮することが望まれます。
年度末のため、患者さんへのアンケートをお願いしております。患者さんの満足度向上のための資料とさせていただきたく、当院へのご要望、ご不満、改善の提案など何でも結構ですので、よろしくお願いします。
◆特集:心筋梗塞の予防
血液の供給が減ることや途絶えることを虚血といい、狭心症や心筋梗塞症を合わせて虚血性心疾患といいます。
心臓を栄養する冠状動脈が狭くなり、一時的に閉塞するのが狭心症、長く閉塞してその冠動脈に栄養される心筋が壊死に陥ったものが心筋梗塞です。
狭心症と心筋梗塞の大きな違いは、心筋が回復するかどうかで、狭心症では心筋が死なず回復するのに対して、心筋梗塞は心筋が死んでしまい回復しません。血管の痙攣により起こる場合もありますが、多いのは動脈硬化で狭くなったところに血栓などが詰まることです。
虚血性心疾患の予防のためには動脈硬化の進行を予防することが大切です。
冠動脈の動脈硬化は、様々の因子が複雑に影響しあって進行します。こうした因子を危険因子あるいはリスクファクターと呼んでいますが、このファクターを除去することが予防につながります。
リスクファクターにはいろいろなものがありますが、メタボリックシンドロームとして注目されている内臓肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病、これに加えて喫煙は修正可能であり特に重視されています。それぞれ単独でも虚血性心疾患のリスクファクターとして重要ですが、これらがあわさるとその危険度は相乗的に高くなることが認められています。
また、ストレス、攻撃的な性格、高尿酸血症、歯周病、血中ホモシステイン血症なども修正可能なリスクファクターとして重要です。その他、修正不可能なリスクファクターとしては男性、加齢、家族歴などがあります。修正不可能な因子を持った人はライフスタイルを改善し、他のリスクファクターを減らすよう努カする必要があります。
1.まずは禁煙
タバコの本数が多いほど虚血性心疾患に罹る危険が高くなります。一日20本未満でも危険度が3〜4倍、20本以上では6〜7倍となるとの報告もあります。
2.食事に注意
バランスのよい食事を心がけ、塩分・糖分・脂肪の取りすぎに注意。
コレステロール(摂取量300r/日以下に)、動物性脂肪を避け、カロリーを抑えて肥満をなくしましょう。塩分を控え高血圧を予防しましょう。
3.適度な運動をすること。
全身を使った軽い運動が最適です(歩行、速歩、自転車等)。特に汗をかく程度の早足で30分歩行(距離2〜3q)、これを週3回おすすめしています。狭心症発作がたびたび起こる時や心筋梗塞の発作直後は禁止です。体調の悪いとき、起きたばかりの早朝(脱水状態)、食直後なども控えたほうが無難です。
4.ストレスをコントロールして、規則正しい生活を。
現代社会でストレスが全く無い状態は無理かもしれませんが、押しつぶされること無く上手にコントロールする必要があります。攻撃的な性格も危険因子です。社会的に成功するためには必要かもしれませんが、過労になって身をほろぼしては元も子もありません。
下記の表で6個以上○のある人は要注意。日本人的攻撃的な性格は「敵意」「攻撃性」はあまり表出されず、性急さや仕事中毒といわれるような過剰適応が特徴と考えられています。責任感の強い人は、ストレスを発散するのを後回しにして、物事に没頭する傾向があります。
睡眠・趣味・娯楽・運動やスポーツをする、友人と話しをするなど気分転換でストレスの軽減を。
ストレスのはけ口としてやけ酒、食べ過ぎ、タバコの吸いすぎはよくないです。
5.高血圧症・糖尿病・高脂
血症の早期発見を。発見後は厳格なコントロールを。
6.歯科受診を。
歯周病も心疾患の危険因子と考えられています(説明略、歯科か院長まで)。
7.胸痛を感じる場合は早目に医療機関を受診する。
狭心症の段階で早期に発見して、心筋梗塞への移行を予防することも大事です。
8.縁関係に心筋梗塞・狭心症の方がおられたらより一層の注意が必要
9.急に寒いところにでるなどの温度差に注意すること。
血管が急に収縮します。冬の風呂場など特に気をつけてください。
攻撃的な性格チェックリスト
1.毎日忙しい生活である。
2.時間に追われている。
3.何ごとにも競争してしまう。
4.ちょっとしたことでも怒りやすい。
5.仕事や行動に自信がある。
6.何ごとにも熱中しやすい。
7.何ごとでもきちんと片付けないと気がすまない。
8.緊張したりイライラしやすい。
9.早口でしゃべる。
10.並んで順番を待つことがイヤである。
◆かかりつけ患者さん募集中
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
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