2018年6月 No.151
6月です。梅雨真っ最中。雨の日もありますが、日差しがある日も多くだんだん日中は暑くなってきています。熱中症・虫刺されにも注意が必要な時期です。
今年の夏は暑くなると予想されています。
熱中症対策:エアコンを使用して快適に過ごすようにしてください。水分補給は十分に。
汗をかいたら、塩分補給もお忘れなく。
虫刺され対策:人類一番の外敵は蚊です。
刺されないように対処してください。
私は今シーズン、イカリジンが配合された虫除けスプレーを使っています。効果はあるように思います。
6月 11日、12日は当院の ISO9001の審査日でした。
診療予約を制限したので、ご迷惑をおかけした方もおられたかと思います。申し訳ありませんでした。
当日は審査員が来られて、当院の ISO遵守状況につき、審査いただきました。
今年度も ISOの継続が認証されました。
診療所も外部審査が必要と思って始めた ISO審査です。病院には病院機能評価がありますが、診療所にはなかったため ISO9001を選択しました。現在も続いています。取得当初は院長の私が先導していましたが、今は事務長はじめ、看護師スタッフ、事務スタッフが頑張って対応してくれています。
審査員からは色々指摘は受けていますが、結構高い水準で診療所運営が回っていると自負しています。
今後も月一回の院内報作成と ISO9001認証継続を当院の目標にしたいと思っています。
6月 18日月曜日、午前 8時前、震度 6の地震がありました。震源は大阪北摂の高槻市。
大阪でも通勤通学中の電車が止まり、電車の中に数時間閉じ込められた人、線路を歩いて最寄の駅まで行った人もいました。阪神淡路大震災を思い出しました。
もうあれから 23年がたつんですね。
今回は地震の持続時間が短く、さほど当地では影響はなかったようです。
上町断層に影響がないことを祈るばかりです。
北摂は大変だったようで、壁が落ちてきて亡くなった小学生もいました(合掌)。
阪大病院も本が落ちたりとか、大変だったと言ってました。
ちょっと問題はこの地震の影響で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の心臓病治療を目指す心臓血管外科部門で、研究計画の一部が中断していることです。
余震の懸念から、阪大が専用施設の使用を禁止ました。
年度内に予定していた治療開始が遅れるかもしれません。
中断しているのは、患者に移植するiPS細胞の培養作業で、研究チームは阪大病院4階の専用施設で進めていました。
しかし、阪大病院が余震を警戒し、6月 18日に施設内への立ち入り禁止を決定。
本来は毎日のように行う必要がある培養液の交換作業などができず、培養を最初からやり直すことになったそうです。
研究チームの心臓血管外科・澤教授によると、細胞の培養やシートへの加工には数か月かかる見通し。
「いつ培養を再開できるか分からないが、最短でも1か月は必要。全体の計画にも影響するため、年度内の治療開始に間に合うかは微妙な状況だ」と話しています。
研究チームは、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞をシート状にして、重症の心不全患者3人に移植する臨床研究を計画しています。
本年 6月5日、加藤厚生労働相が正式に承認しました。
GOサインが出たところだったのに。
培養も順調に進んで、シートも完成間近だったろうに。
一日も早い復旧を望みます。
心筋シート移植を待つ患者さんのためにも。
今回の地震の影響で、阪大のほかの研究室や実験室でも、実験材料や装置が床に落下し、研究に支障が生じているとのことです。もう復旧したかな。
サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会が開催されています。今回日本チームは、直前に突然の監督解任劇があったりして、正直あまり期待されてなかったように思います。
FIFAランキング 61位の日本。それが、第一戦、FIFAランキング 16位の強豪コロンビアに勝ちました。
24日午後 11時 40分から放送された、第2戦の日本-セネガル (FIFAランキング 27位)の関東地区の平均視聴率は 30.9%だったそうです。
瞬間最高は前半終了間際の 25日午前 0時 44分の37.1%。、深夜にしては驚異的な視聴率だったようで、今回の関心の高さが伺えます。
セネガル戦は引き分けで、これでもかなりサッカーファンは喜んでいます。次回ポーランド(FIFAランキング8位なのに、一次リーグ敗退決定)戦に引き分け以上で決勝トーナメント進出とか。
是非、一次リーグ突破して、決勝トーナメントに進んでほしいです。
心臓は一定のリズムで規則正しく収縮と拡張を繰り返し、ポンプのように働くことにより働くことで、血液の循環を保っています。
これを拍動といい、その回数は一分間に50-100回が正常範囲とされています。
この正常とされる範囲を超えたり、規則正しい拍動のタイミングがずれてリズムが乱れた状態を不整脈といいます。
ただ、不整脈は正確には病名ではなく、脈が乱れたという状態です。
病名としては、心房細動とか、心室性期外収縮だとかの具体的な不整脈名になります。
不整脈は誰にでも起こります。
むしろ、全く不整脈を起こさずに一生を終える人というのはかなり稀な気がします、というかほぼいないです。
ドキッとするのは誰でも経験があるでしょう。
そのドキッも不整脈による症状と考えられています。
期外収縮という、正常な脈より早期に出てしまう不整脈によって起こります。
但し、正常より早期に心臓が収縮する不整脈は心臓からの血液の拍出量が少なく、そのあとの普通の脈の血液の拍出量が多くなるため、ドキッと感じるそうです。
言われてみればそうかなと思いますが。
私も今まで、ドキッとするのは期外収縮の心拍のせいと思ってました。
それはさておき、不整脈は誰にでも起こっているものなのです。
ほとんどが放置可能ですが、中に治療の必要な不整脈があります。順に解説していきます。
不整脈は大きく分けて、3つのタイプがあります。
です。
1の脈がとぶタイプ(期外収縮)は、心臓の拍動が規則正しい拍動の前におこるもので、心室に十分な血液がたまる前に収縮してしまうため、脈がとんだように感じます。
不整脈では最も多く、健康な人にもみられるもので、ほとんどが治療不要です。
治療が必要な場合もあります。
心電図で判定します。
2の脈が速くなるタイプは、心臓の拍動が異常に速くなるもので、常時脈拍が100以上となります。
精神的に緊張したり、走るなどの運動をしているときは普通の人でも脈が速くなります。
異常な頻脈は、心臓を刺激する電気がいろんなところから発生したり、電気が心臓内のいろんなところを回り続けたりするために起こります。
放置可能な頻脈から、治療の必要なもの、突然死の原因になったりする頻脈まであります。
一分間100以上の頻脈が続く場合は医療機関での検査が必要です。
3の脈が遅くなるタイプは、拍動のリズムがゆっくりだったり、拍動の間があいたりして、一分間に50以下になるものです。
スポーツをよくされる人に脈が遅い人がいます。
私が学生の頃のテニスプレーヤーで、普段の脈が30の人がいました。
全く症状はありませんし、世界トップの活躍をされてました。
拍動が減ることにより、全身に血液が十分送りだせなくなると治療が必要です。
症状としては失神。
脳に行く血流が少なくなると起こります。
失神が起こるようになると、治療は薬というよりはペースメーカー植え込みです。
治療・対処
1.治療不要・経過観察
不整脈で医療機関を受診される方のの約9割が治療不要、経過観察です。
特に脈がとぶタイプの期外収縮は健常な人にも起こる不整脈でほとんどの場合、心配はいりません。
期外収縮の方のほとんどが無症状ですが、症状のある場合(動悸、胸部の不快感など)のある場合は循環器に受診していただいて、心エコーなどの検査をおすすめしています。
期外収縮の多くは自律神経のバランスの乱れによっておこります。
その誘因となるのが、ストレス、睡眠不足、疲労、カフェインやアルコールの摂り過ぎ、喫煙などです。
期外収縮があることがストレスになって一層期外収縮が起こりやすくなるという場合もあります。
その場合は抗不整脈剤の処方より安定剤の頓用で経過をみることもあります。
頻脈、徐脈の場合も自覚症状のない場合は治療の必要がないことが多いです。
でも、一度は心電図検査は必要かと思います。
2.不整脈を抑える薬
抗不整脈薬は主に拍動が速い頻脈タイプに使われます。
心拍数があまりに多い状態が何日も続くと、心不全になってしまうことがあります。
異常な心臓を刺激する電気の発生や刺激の伝道を抑える薬は不整脈の出現をおこしにくくします。
特に心房細動という不整脈で脈が速い場合は薬を使って、脈拍を抑えるようにします。
3.血栓を作りにくくする薬
主に心房細動といわれる不整脈での対処方法です。
心房細動では、心房が細かく震え、血液が心房内でよどんで固まりやくなります。
心臓内で固まった血栓が脳に飛ぶ心源性脳梗塞は重症になりやすいです。
そのため、血液を固まりにくくする薬を心房細動の人には無症状でも処方します。
いままではワーファリンという薬が使われていました。
しかし、このワーファリンは気まぐれで、効いたり効かなかったりすることが多いので、受診のたびにその効果を測る数値を検査して(PT-INR)薬の量を調整することが必要でした。
また、納豆が食べられないという規制もありました。
新規に出てきた抗凝固薬は納豆制限はなく、薬の量の調整も必要ないので、使いやすい薬です。
効果も臨床データではワーファリンと遜色ないとのことで、使用回数が増えてきています。
心房細動治療においてはワーファリンは過去の薬になりつつありますが、心臓の弁を人工弁に置換している人はまだまだワーファリンが必要です。
4.カテーテル治療
脈の速い頻脈タイプの不整脈に対して、カテーテルによる治療があります。
動脈から心臓にカテーテルを入れて、異常な電気の発生しているところや、電気の通り道を焼ききる治療です。
発作性上室性頻拍や心房細動に有効です。
最近のこの治療法の進歩が目覚しいです。
5.ペースメーカー植え込み
主に脈が遅くなる徐脈タイプで、失神などの症状がある人、あるいは失神を起こすことが予想される人にペースメーカーが植え込まれます。
突然死を招く心室細動には植え込み型除細動器が植え込まれます。
小型のAEDを体内に植え込むものです。
6.救命処置
心室細動などの不整脈で倒れた人には救命処置そします。
電気ショックによる除細動が必要で、医療機関の他、街のあちこちで見かけるようになったAEDを使います。
脈が触れない場合は心臓マッサージをしながらのAED処置となります。
こうならないためにも不整脈を自覚した場合は一度は医療機関受診が勧められます。
一般に、不整脈を診た場合、心電図検査をします。
心電図だけで、治療は不要、と判断される場合も多いです。
心電図所見により、循環器科受診をお勧めする場合もあります。
脈が乱れる、動悸がするなどの症状のある方は医療機関受診して心電図検査をまずしてください。
健診を利用されてもいいかと思います。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
8月15日(水)~19日(日)までです。
当院受診される方、薬がきれないように。
当方も注意しますが。毎年 1-2 例、休み期間中に薬が切れたと連絡があります。
薬局に無理を言って準備してもらっていますが、できればそういうことの無いようにしたいです。
よろしくお願いします。