2018年3月 No.148
3月です。かなり後半26日・月曜日に書いています。
ついこの間正月だったかと思ったのに、もう4月。
月日の流れの速さに今更ながら驚いています。
3月も中旬くらいまでは、とても寒い日が多くて。
ずっと真冬のような状態で、本当に春はくるのか、とも思いましたが。
3月24日、25日はかなり暖かく、一気に桜が咲いてしまいました。
今年は桜の開花が結構早かったようです。
3月26日、大阪は満開とのことです。
今満開だったら、入学式の頃は散ってしまってるでしょうね。新入生、気の毒。
春の気配を感じます。
今年の冬は寒い日が多かった印象があるので。
春の訪れはなんか嬉しいです。
日も長くなってきましたし。
インフルエンザは下火になってきたようです。このまま終息してくれるのを期待しています。
しかし、全く無くなったわけではありません。
うがい、手洗い、マスクの着用、できれば人込みの中に行かないなど注意して、感染しないように注意してください。
住民健診が3月末で一旦終了します。
次年度の住民(特定)健診は5月から再開予定です。
花粉が飛んでいます。
今年は花粉の飛散は例年並みかやや多いようです。
花粉症の方は花粉のブロックを。
鼻水、目のかゆみなど症状があるようでしたら、受診してください。
昨年から抗アレルギーの新薬で、眠くならない良い薬が出ています。
当院の花粉症の職員も昨年から引き続き使用しています。
今までの薬で効きがよくない方、新薬を試してみたい方も受診の上、ご相談ください。
スギ花粉症の治癒が期待できる舌下免疫療法は当院でも処方できます。
花粉の飛んでいる時期に開始するのは禁止されていて、スギ花粉飛散の終了した6月からの開始が望まれます。
スギのアレルギーが証明されている方は是非ご考慮ください。
また、ダニアレルギーの舌下免疫療法もあります。
当院は発売当初から使用できる準備を整えているのですが、耳鼻科ではないので、あまり普及しませんね。
報告では効果がいいようなので。
スギ花粉、ダニアレルギーでお困りの方、ご相談ください。
iPSから免疫司令塔「樹状細胞」作製…マウス実験でがん進行抑制に成功
人のiPS細胞から免疫の司令塔役を担う「樹状細胞」を作製し、がんの進行を大幅に遅らせることにマウスの実験で成功したと、和歌山県立医大外科の研究グループが発表しました。
免疫反応を利用した効果的ながん治療につながる成果です。
樹状細胞は、がんの特徴を他の免疫細胞に知らせ、攻撃指令を出します。
和歌山医大の外科チームは、以前から免疫療法で有名な医局です。
研究グループは健康な人のiPS細胞を樹状細胞に変化させ、大腸がんに強く反応する遺伝子を加えて培養。大腸がんのマウス7匹に注射すると、15日後の腫瘍の大きさは、治療しなかったマウスと比べて約4分の1に抑えられました。
がん患者の血液から樹状細胞を取り出し、がんへの反応を強めて体内に戻す治療は既にありますが、大量の血液が必要な上、患者の樹状細胞は働きが悪く、効果は限定的だった。
医療応用には時間がかかりますが、iPS細胞を使えば治療効果の高い樹状細胞を作ることができ、体への負担も小さい。
今後は安全性などを慎重に検証していって頂きたいです。
今回は帯状疱疹について書いてみます。
帯状疱疹は主に高齢者に好発する疾患で、社会の高齢化に伴って患者数は増加傾向にあります。
帯状疱疹の原因となる水痘・帯状ヘルペスウイルス(varicella-zostervirus、VZV)は小児では水痘(水ぼうそう)、成人では帯状疱疹という疾患をひきおこします。
子どもの時に初めてVZVに感染し発病するとVZVの小児型疾患である水痘となります。
水痘になると発熱などの風邪症状とともに皮膚に独特の水痘疹がほぼ全身に出現します。その経過は比較的軽いものです。水痘癒後もVZVは神経(三叉神経説または脊髄知覚神経節)に生涯にわたって潜伏感染します。その後、年月が経過し子どもが大人になってもVZVは神経節に潜伏し続けます。
そして体力低下した時、例えば妊娠、高齢化、癌、エイズなどになった時、VZVは再活性化し神経に沿って(多くは片側だけ)痛みを伴う湿疹として皮膚表面に出現してきます。これがVZVの成人型疾患である帯状疱疹です。50歳を超えた人の99%以
上がVZVに感染しており、生涯のうちで帯状疱疹を発症するのは約3人に1人と推定されています。
症状は、赤い斑点の現れる数日前から、皮膚の違和感やピリピリした感じなどの神経痛がでることがあります。
その後、強い痛みを伴い、身体の片側の神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点が現れます。
軽度の発熱やリンパ節腫脹を伴うこともあります。
続いて、赤い斑点上に水疱(水ぶくれ)が出現します。
水疱は破れてただれた状態となり、かさぶたへと変わります。
皮膚症状が治ったあとも後遺症として、帯状疱疹後神経痛が残ることがあります。
典型例では片側の支配神経領域に一致した、疼痛を伴う皮疹から臨床診断可能です。
痛みのある発疹、といえば帯状疱疹、と言われています。
しかしながら病気の初期段階では単純ヘルペスや伝染性膿病(とびひ)とは区別が難しいことがあります。口唇ヘルペスや性器ヘルペスと帯状疱疹は同じではありません。原因となるウイルスが違います。
しかし、いくつかの特徴がよく似ているので、見分けるのは簡単ではありません。
口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因は単純ヘルペスウイルスで、帯状疱疹の原因は水痘帯状疱疹ウイルスです。どちらも同じヘルペスウイルス科に分類される、親戚のようなウイルスで、治療薬は同じですが、それぞれが原因になって起こす病気や症状は大きく違います。
最近、インフルエンザ診断キットのような迅速検査法(デルマクイックVZV)が市販され、保険も適用されます。水疱底を綿棒で擦過し、試験薬・テストテープでウィルスの存在を調べます。
外来で簡単に、しかも早く検査結果を出すことができるようになりました。
この新しいイムノクロマト法とPCR法との一致率は96.2%と高く、また患者さんの負担も少ないので初期段階での診断に期待が持てると考えられます。
ただし採取した皮疹部のウイルス量が少ないと偽陰性となることがあります。当院でも採用予定です。頭頸部の帯状疱疹では眼科的・耳鼻科的合併症に注意する必要があります。
治療は早期からの抗ウィルス剤の投与と痛み対策です。
1960年代から抗VZV薬の研究が盛んとなり、1964年にビタラビン(Ara-A、アラセナA)が報告されました。10年後の1975年にはビタラビンがVZVに有効であることが報告されました。
ビタラビンの作用機序はまだ明らかになっていませんが、現在も外用剤として使用されています。
1977年になりアシクロビル(ACV、ゾビラックス)が発見されました。
アシクロビルはヘルペスウイルスのDNA複製を阻害する作用をもち、安全性が高いので現在も使われています。
アシクロビルの発見者エリオンは他の功績とも合わせて1988年のノーベル医学賞を受賞しています。
その後もパラジクロビル(バルトレックス)、ファムシクロビル(ファムビル)と次々と新しく改良された抗VZV剤が出現してきました。
これらはゾビラックスのプロドラッグといわれ、投与されると生体で代謝作用を受けて体内で長く作用する薬剤です。
ゾビラックスが改良された薬剤であり、服用回数が少なくてすみます。いずれも腎機能が低下した方への処方は注意が必要です。
中枢神経症状が出ることがあるからで、腎機能低下のある人には処方量を少なくしたりします。
2017年7月にアメナメビル(アメナリーフ)という薬が発売されました。
アメナメビルはこれまでの抗ヘルペス薬とは全く異なる機序で、ヘルペスウィルスの増殖に必要なヘリカーゼ・プライマーゼという蛋白を阻害する薬剤です。
主として便中排泄で、腎機能の影響を受けにくいので、今まで注意の必要であった高齢者の腎機能低下患者でも投与量の調節の必要がないというのが特徴です。一日一回服用です。
ほぼすべての症例で痛みを伴いますが、程度はさまざまで個人差があります。
抗ウィルス剤だけで改善して問題のない場合はいいですが、それだけでは改善しない場合鎮痛薬を併用します。
今までは腎機能に注意する必要があったので、腎血流量を低下させにくいアセトアミノフェン(カロナール)がよく使用されていました。
効果が不十分な場合はロキソニンなどの非ステロイド抗炎症薬を使用します。
通常、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリするような痛みが持続することがあります。
これを帯状疱疹後神経痛といいます。
これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって起こります。
プレガバリン(リリカ)などで治療します。
できるだけ安静に。
帯状疱疹は疲労やストレスが原因となり、免疫力が低下したときに発症します。
十分な睡眠と栄養をとり、精神的・肉体的な安静を心がけることが回復への近道です。
患部を冷やさないように。
患部が冷えると痛みがひどくなります。
患部は冷やさずに、できるだけ温めて血行をよくしましょう。
著しい潰瘍がない限りは入浴は特に問題ありません。
だだし、使い捨てカイロや温シップ薬は、やけどやかぶれに注意が必要。
水泡(水ぶくれ)が破れると、細菌による感染が起こりやすくなります。
細菌による化膿(かのう)を防ぐためにも、患部は触らないようにします。
小さな子どもとの接触は控えます。
帯状疱疹が他の人にうつることは一般にはありませんが、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性があります。
しかし、白血病やエイズなど極端に免疫力が落ちた人は、帯状疱疹がうつる危険性がありますので、注意が必要です。
小児に水痘が流行しているとき、水痘既感染者の免疫が増強されるので、帯状疱疹の発症が少なくなるそうです。
水痘は冬に多く、夏に少ないので、帯状疱疹の発症は夏が多いとのこと。
最近小児の水痘予防接種が定期化しているので、水痘の発症が少なくなり、帯状疱疹の頻度が増えているのだそうです。
今後さらに帯状疱疹の増加が予想されています。
帯状疱疹は水痘ワクチンを接種することで発症を抑制することが示され、米国・EUでは50歳-60歳の接種が推奨されています。
わが国では2016年4月に水痘ワクチンが50歳以上の人で、帯状疱疹のワクチンとしての使用が認可されています。
また、2015年には97%という高い発症予防を可能とした新たなVZV成分ワクチンが開発されています。
帯状疱疹予防ワクチンShingrixで、まだ一般使用はできませんが、今後このワクチン導入が帯状疱疹の診療を大きく変える可能性があります。
かなり期待ができそうなワクチンですが、普及するまではまだ時間がかかりそうです。
疲れないようにして免疫力を落とさないようにする必要がありますね。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
2018年度の特定健診(住民検診)は5月より開始致します。
4月は健診の実施がありません。
ご希望の方は、受診券が届いてからご予約をお取り下さい。