2017年 12月 No.145
早いものでもう12月後半です。体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。
今年も終わります。ニュースを見直してみますと、今年もいろいろありましたね。
個人的には小林麻央さん死去が一番ショックだったかな。ブログ、毎日読んでいたので。
今年の漢字は15万3594票の応募があり「北」が7104票を得て決定した。
度重なる弾道ミサイルの発射や核実験の強行など「北」朝鮮の動向に脅威と不安を感じた年であり、トランプ米大統領来日時の「北」朝鮮による拉致被害者家族との面談で、日本国民が「北」朝鮮拉致問題を再認識した年。
また、九州「北」部では記録的豪雨により甚大な被害が発生したほか、「北」海道産ジャガイモの供給が滞ったことによりポテトチップスが一時販売休止になった。
さらに、球界では、大谷翔平選手の大リーグへの移籍や、早稲田実業高校の清宮幸太郎選手の入団など「北」海道日本ハムファイターズに注目が集まり、競馬界では「キタ」サンブラックが現役最強馬として大活躍した(有馬記念も勝って引退しましたね)などが理由にあがったそうです。
「新語・流行語大賞」も発表されました。
今年は「インスタ映え」と「忖度」の二つの言葉が年間大賞に選ばれました。
インスタ映えは見栄えのいい写真ってことなんだろうけど。インスタグラムしないからな~。
SNSと言われるサイトですが、ツィッター、ブログ、フェースブック、mixi の使い分けが何にもわからない。
忖度は他人の心をおしはかって相手に配慮すること、だそうだけど。私は日常会話で使うことが今まで一度も無かった。これから使うことがあるかな。
私にとっての流行語は「ちーがーうーだーろー、このハゲー」がインパクトがありました。
「超高齢社会と終末期医療」に関して検討を重ねて きた、日本医師会の生命倫理懇談会は、答申をまとめ ました。
患者さん本人の意思決定を支援する仕組みの重要性、 意思決定支援におけるかかりつけ医の役割、本人の意 思に基づく緩和ケアが望まれることなどが盛り込まれ ました。
特に、将来のケアについて本人や家族と医療者が事前 に話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」 の重要性が強調されています。
現在の課題として、
「意思決定支援の仕組みをどのよ うに工夫するか。 在宅・施設・病院で、望まない医療を防ぐための具体 的な方策は何か」
「終末期医療の質の向上を図るため にはどのような取り組みが必要か。 その場合の質の向上とは何か」
の2点を挙げました。
その上で、1つ目の課題について、将来の意思決定 能力の低下に備えたACPの重要性に言及しました。
医療者からアプローチして、本人、家族、医療・ケアチー ムなどが話し合いを繰り返す仕組みが必要だとしてい ます。
独居者に関しては、一定の意思決定能力があるうち に何らかの意思決定支援に取り組むこと、すでに意思 決定能力を失っている場合には「患者の最善の利益を 基準に、医療・ケアチームで判断する」としました。
いずれにおいても、意思決定支援にはかかりつけ医 の役割が重要になるとしています。
2つ目の課題については、「本人の意思に反するケア は質の良いケアとは言えない」ことを前提に、「最善と なるケアが現在以上に実現することが望まれる」とし ました。
その上で、がん以外の疾患にも緩和ケアの考え方を 導入することを提言しました。
ケアがどこで行われるかも重要です。
「住み慣れた環境でできるだけ生活を続けることを可能 にするように努める」とし、その点でも、本人がどの ような生活を送りたいかを継続的に考えるACPが重要 だと指摘しました。
会見で生命倫理懇談会会長は「本人と家族の意見が 食い違う場合の対応が議論されたが、最終的には本人 の意思を優先すべきという結論に至った」と説明しま した。
日本医師会長の横倉氏は、「かかりつけ医は終末期医 療に対する意識をよりいっそう高めていただきたい。 地域で看取りを行う技術力やコミュニケーション能力 を高められるよう、研修の充実を図る」と述べました。
12月29日 (金) 午後~1月4日(木)まで、年末年始休暇を頂きます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。当方でも、薬が切れないよう注意しますが、皆様もご注意ください。
超高齢化社会を迎えたわが国では、動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血)は死因の大きな位置を占めています。
これらの疾患の発症を予防するためには、基盤にある動脈硬化を進展させないことが重要となります。
日本動脈硬化学会は1997年に高脂血症診療ガイドラインを発表しました。
以来、5年毎に改定を重ねてきています。その間、高脂血症の診断基準の検査項目を、総コレステロールから悪玉コレステロールであるLDLコレステロールへと変更しました。
2012年版から高脂血症から脂質異常症への病名の変更。
ガイドラインの名前も高脂血症診療ガイドラインから動脈硬化性疾患予防ガイドラインと変更になっています。
今回5年ぶりにガイドラインが改訂されました。当院では、ガイドラインに沿った診療を基本としていますので、既にこのガイドラインで診療しています。
変更点をこのガイドラインの序文から抜粋して みます。
本の構成が、臨床疑問に答える形で記載されて います。
また、冠動脈疾患の絶対リスクとして、吹田ス コアという基準が採用されています。
総コレステロールからHDLコレステロールを 引いたnon HDL コレステロールも診断基準に 採用されています。
また、狭心症、心筋梗塞などを発症された方の 二次予防は厳格な基準が採用されています。
家族性高コレステロール血症、小児の脂質異常 症のも言及されています。
また、新しい薬剤についても触れられています 。
書かれたのは動脈硬化学会理事長で、りんくう 総合医療センター院長のの山下静也先生です。
ちなみに今年の5月に行われたりんくう総合医 療センターの緩和ケア研修会では、山下先生は 主催者でありながら、受講者として参加されて いました。
私はファシリテーター(支援・進行役)として 参加していました。
では、私の診療と関係のある部分をみていきま す。
診断基準は、空腹時採血で、LDL140mg/dl以上が高LDLコレステロール血症、120-139mg/dlが境界型高LDLコレステロール血血症、HDLコレステロールが40mg/dl未満が 低HDLコレステロール血症、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上が高トリグリセ ライド血症、総コレステロールからHDLコレス テロールを引いたNon-HDLコレステロールが170mg/dl 以上を高non-HDLコレステロ ル血症、150-169mg/dlを境界型高nonHDLコレステロール血症と診断します 。
今まで冠動脈疾患をおこしたことのある人(狭心症、心筋梗塞になったことのある人)は有無を言わさず、二次予防群になります。
無い場合でも、糖尿病、慢性腎臓病、非心源性脳梗塞(心房細動を伴わない脳梗塞)、末梢動脈疾患(閉塞性下肢動脈硬化症など)がある場合は高リスク群になります。
以上が無い場合、吹田スコアでのリスク判定です。
吹田スコアは、年齢、性別、喫煙の有無、血圧、HDLコレステロールの数値、LDLコレステロールの数値、耐糖能異常(糖尿病・予備軍も)の有無、早発性冠動脈疾患の家族歴(父母・祖父母に年齢の若い時期に発症した心筋梗塞の方がおられるか)の項目で判定されます。
アプリがあります。
冠動脈疾患発症予想アプリ Web版
http://www.j-athero.org/publications/gl2017_app.html
二次元バーコードもつけてみます。
冠動脈疾患二次予防のLDLコレステロール管理目 標 値 は 100mg/dL で す が、「the lower, the better」の考えに基づき、高リスク病態ではさら に低い管理目標値を念頭においた厳格な管理の必 要性を提示しています。
二次予防例のうち、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾 患、慢性腎臓病、メタボリックシンドロームの合 併や主要危険因子の重複、喫煙の継続がある場合 は、前回同様LDLコレステロール100mg/dL未 満を管理目標値としています。
今回の改訂では、我が国においても急性冠症候 群(ACS)や糖尿病合併例において冠動脈プラー クの退縮効果を認めるためにはLDLコレステロー ルを70mg/dL未満に管理することが必要である との複数の報告があること、LDLコレステロール と心血管イベントの発症率の関係は直線的である こと、また家族性高コレステロール血症が極めて リスクの高い病態であることを踏まえ、二次予防 例の中でもACS、家族性高コレステロール血症 を 合 併 す る 場 合 は、LDLコ レ ス テ ロ ー ル 70mg/dL未満を目標としたより厳格な脂質管理 を考慮します。
また、糖尿病患者の中で他の高リスク病態(慢性 腎臓病、非心源性脳梗塞、末梢動脈疾患を合併し た例も、これに準じた管理を考慮するよう提唱し ました。
脂質異常症と診断されたら、まず生活習慣の改善 が必要です。具体的には禁煙する、受動喫煙を回 避する。過食と運動不足に注意し、適正な体重を 維持。肉の脂身、動物脂、鶏卵、加藤を含む加工 食品の大量摂取を避ける。魚、緑黄色野菜を含め た野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類の摂取を増やす。糖質含有量の少ない果物を適度に摂取。
アルコールの過剰摂取を控える。中等度以上の有 酸素運動を毎日合計30分以上する。
上記が推奨されています。
薬物治療はスタチンと呼ばれる資質異常症治療薬がメインとなります。
商品名、メバロチン、リポバス、リピトール、クレストール、リバロなどです。
スタチンには、横紋筋融解症という副作用があり、飲むと筋肉が赤くなって痛みがでる人がいます。
米国における調査ではスタチン服用者において筋肉痛は、2~7%で生じ、CK 上昇や筋力低下は 0.1%~ 1.0%で認められる。
重篤な筋障害は 0.08%程度で生じ、100万人のスタチン服用者がいた場合には、0.15 名の横紋筋融解による死亡が出ていることになるといいま す。
決して多いわけではないですが、重篤になることがあるので注意が必要です。スタチン服用で筋肉痛が出る方は別の薬が処方されます。
新しい脂質異常症の薬として、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬が登場しました。
PCSK9阻害薬はエボロクマブ (商品名レパーサ 皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン7) 注射薬です。
適応は高コレステロール血症で、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な場合に限る場合です。スタチンと併用されます。
MTP阻害薬はロミタピドメシル酸塩(商品名ジャ クスタピッド)です。
適応は「ホモ接合体家族性高コレステロール血 症」。
家族性高コレステロール血症(FH)のひとつの病型で、100万人に1人の割合ではあるもののLDL-C値が正常値の6倍を超えることもあり、より重篤な症状を伴うことも報告されています。
日本では166人 (2014年) の罹患患者が特定疾患医療受給者として登録されているそうです。私たち一般医家が使うことはないでしょうね。
LDLコレステロールが500超えた例はみたことがありませんが、もしいたらりんくう総合医療センターか、他の代謝内科に紹介します。
いずれにしろ、脂質異常症の方はまず生活習慣の改善。それでも自分の該当するリスクにあった数値まで下がらない場合は薬の使 用を考えた方がいいようです 。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
これを書いているのが12月24日です。
25日に提出ができなかったので、発行は26日になります。
今年は院内報1日発行を目指しており、一時期いいとこ ろまでいったのですが、また12月に月末まで後退してしまいました。
診療所を続けていく以上、診療時の説明を記した診療手帳と院内報、ISO9001は続けていこうと思っていますので、院内報は来年も続けます。
皆様よいお年を。