2017年 5月 No.138
5月です。だんだん日中は暑くなってきています。
熱中症にも注意が必要な時期になってきました。
総務省消防庁は5月23日、今月15~21日の1週間の熱中症による救急搬送者は全国で984人(速報値)に上ったと発表しました。
昨年同時期の1.7倍、前週(8~14日)の2.1倍だったとのことです。
全国各地で30度以上の真夏日を観測した5月20、21の2日間だけで700人以上が搬送されたそうです。
気象庁によると、今後も全国的に最高、最低気温とも平年より高くなる日が続くとみられ、総務省消防庁はこまめな水分補給などを呼びかけています。
お笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さんが、サケイクラ丼を食べたところ、8匹のアニサキスで胃の中が血まみれになった経験を報告されておられました。
アニサキスにも注意が必要です。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生します。
魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫は魚介類が死亡すると、内臓から筋肉に移動することが知られています。
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
食後数時間後から十数時間後に、キリで刺されるようなみぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
何例か診たことがありますが、本当に痛そうです。
内視鏡でみると、胃壁に頭を突っ込んでバタバタしているアニサキス幼虫がいます。
生検鉗子で摘出すると、痛みがすぐおさまります。
魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。
また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
内臓を生で食べないでください。
目視で確認して、アニサキス幼虫がいたら除去してください。いるのを見つけたら生で食べるのはやめましょう。
一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。
加熱してください。
(60℃では1分、70℃以上で瞬時に死滅します。)
冷凍してください。
(-20℃で24時間以上冷凍すると感染性が失われます。)
アニサキス幼虫は人間の胃では長く生きられないため、何日かすると症状はおさまりますが、生きている間、痛いです。
生でサケ、サバ、イカ、イクラなどを食べた後突然痛みが出現した場合は速やかに医療機関を受診してください。
残念ながら当院は緊急の内視鏡には対応していませんが、すぐしてくれそうな病院を紹介します。
ちなみに、正露丸がアニサキス症に有効だそうです。
予防にも有効だそうで、刺身を食べる前に正露丸が服用してみるのもいいかもしれません。
5月27日土曜日はりんくう総合医療センターの緩和ケア研修会に参加したため、診療を午前11時で終了させて頂きました。
やはり何人か電話があり、ご迷惑をおかけしてしまいました。
周知が足りないのかと思って反省しています。
また、6月10日の土曜日も別の研修に参加のため、11時で終了させていただきます。
すみませんが、よろしくお願いします。
盆休みは8月15日から8月18日までです。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
今年度の忠岡町の住民健診が始まっています。
今年も無料です。
対象の方は受付にお問い合わせください。
健診の血液検査は10時間以上の空腹状態で行っています。
大腸がん検診、肝炎ウィルス検査も対象の方には無料クーポンが配布されています。
こちらも受付で予約してください。
★お知らせ★
6月10日(土)は11時で診療終了させていただきます。
無意識または自分の意思に反して肛門から便が漏れる便失禁は、患者自身が「恥ずかしい」と感じるだけでなく、治療によって改善することがあまり認知されていないため、患者が医師に訴えるケースはこれまで多くありませんでした。
しかし近年、ためしてガッテンなどのテレビ番組などで便失禁が取り上げられたこともあり、私の担当する徳洲会の肛門外来にも「便が漏れるんですけど」と訴える人が増えてきました。
そのような中、日本大腸肛門病学会は初の『便失禁診療ガイドライン』を今年3月に刊行しました。
今回はこのガイドラインの概要を医師向けの雑誌・日経メディカルの記事を参照して紹介します。
便失禁患者の正確な数を知ることは難しいですが、ある65歳以上の調査では、便失禁の有症率は男性8.7%、女性6.6%であったと報告されています。
ここから計算すると、便失禁の潜在患者数はおよそ500万人程度。便失禁に悩んでいる患者は決して少なくないと考えられます。
今回のガイドラインでは、標準的な治療を行う際の手助けになるよう、便失禁の病態や原因といった基礎知識から、問診や診察方法、治療方法などについて広くまとめられています。
特に一般診療所などで推奨する「初期診療」と便失禁の専門医が行う「専門的診療」を分けた点が特徴で、それぞれについて解説がなされています。初期診療はさらに臨床的初期評価と初期保存的療法に分けられ、専門的診療は専門的検査による評価と専門的保存的療法、外科治療などに分けられています。
ガイドライン作成委員長は、日経メディカルの取材で「初期診療の保存的療法で改善する患者が多いため、プライマリケアで行う初期診療が重要になる」と強調しています。
委員長の病院では患者のおよそ8割は専門的な治療をせずにコントロールが可能とのことです。
まずは便意と便性状の確認を
便失禁を訴える患者の病歴を聴取する際にどのような漏れ方をするかを確認する必要があります。
便失禁は、気が付かないうちに便が漏れている「漏出性便失禁」、便意は感じるがトイレまで我慢できずに便が漏れてしまう「切迫性便失禁」、または両者が混在する「混合性便失禁」に大別されます。
肛門括約筋の障害が主な原因である場合、内肛門括約筋の機能が落ちれば漏出性便失禁が、外肛門括約筋の機能が落ちれば切迫性便失禁が生じやすいとされています。
内肛門括約筋は加齢によって収縮力が弱まることが多く、一方、外肛門括約筋は分娩や直腸癌の手術などによって傷害されることで、便失禁の原因になりやすいとのことです。
さらに漏れ方以外にも、問診で確認すべきポイントとして「漏れる便が液体か固体かといった便性状の確認も必要です。
患者によっては比較的軟便であっても普通の便と申告することがあるので、問診の際にはブリストル便性状スケールを患者に見せ、タイプを選んでもらうと確認がスムーズに進みます。
ブリストル便性状スケールタイプ4が普通便で、数字が大きいものほど水様便になります。
便失禁患者の多くはタイプ6または7ですが、タイプ1のような固い便が漏れる患者も存在します。
重度の便失禁患者では、固く小さい便を失禁することもあります。
患者の便失禁の訴えを聞いて下痢だけをイメージし、下痢止めを処方してしまうと、便秘になってしまう可能性があります。
どんな漏れ方をして、どんな便を漏らすのかを確認することが大事です。
便失禁の大半は軟便を伴うため、治療の基本として、便を固くすることに重点が置かれます。
ガイドラインを作成した専門家は「薬物療法と併せて食事指導、排便習慣指導を行えば十分に効果が得られることが多い」「食物繊維の多い食事やサプリメントを取ることや、アルコールなどの刺激物を避けることを患者に勧めている」と言割れています。
排便習慣指導も便失禁の治療において重要になります。
高齢者などでは直腸の感覚が低下しているので、糞便が溜まっていても便意を感じにくいこと多いようです。
便意がなくとも食後にトイレに行くようにすると有効な場合があります。
また、家を出る前にあらかじめ排便しておくよう心がける、トイレに行く頻度を増やすなど、外出先で便失禁を起こさないための工夫もするといいでしょう。
便失禁の治療の一つに、患者が罹患している疾患に対する内服薬の調整をしないといけません。
また病歴では、プルゼニド、ヨーデル、センノシドなど刺激性の下剤を服用していることがあります。
便秘改善のために下剤を服用している患者が、便失禁を起こしてしまったというケースは多いようです。
患者によっては便の固さを適切な範囲に保つのが難しいことがあり、内服量を調節する必要があります。
その他、向精神薬も末梢神経に作用して便失禁の原因になることがあります。
また現時点では便失禁に対して保険適応を持つ薬剤は存在していませんが、軟便を伴う便失禁ではポリカルボフィルカルシウム(商品名コロネル・ポリフル)とロペラミド塩酸塩(ロペミン)が有効とされています。
特にポリカルボフィルカルシウムは、ロペラミド塩酸塩のように便秘の副作用が少ないため、第一選択として使用しやすい薬です。
下痢型の過敏性腸症候群が疑われる方にはラモセトロン製剤(イリボーなど)が処方されることもあります。
多くの患者は初期保存療法で症状が改善するが、効果が不十分な場合は専門的な治療が必要になります。
専門的診療においてもまずは保存療法が推奨され、骨盤底筋体訓練、バイオフィードバック療法、アナルプラグによる治療などです。
骨盤底筋訓練とは、外肛門括約筋や肛門挙筋などの骨盤底筋の収縮力を増強させて便失禁を改善する治療法のこと。
呼吸を続けたまま膣や肛門の筋肉を10秒収縮し、その後20秒休むという訓練を繰り返す。
この骨盤底筋訓練は専門的ではないような気がします。
一般診療所でも十分対応可能かと。次のバイオフィードバック療法とは骨盤底筋訓練を発展させたもので、肛門筋電図や肛門内圧計を用いて骨盤底筋の収縮力を数値化し、患者自身が力の入れ具合を意識的に調節できるようにします。
アナルプラグは、肛門の栓です。
専門的な保存的療法でも便失禁が改善しない場合は外科治療が必要になります。
2014年に仙骨神経刺激療法について保険適用になったことは、外科治療の領域でも大きな進歩でした。
仙骨神経刺激療法(SNM)とは、肛門や直腸の運動を支配する仙骨神経を持続的に刺激して便失禁を抑える治療法で、保存的療法が無効な便失禁が適用となる。
心臓のペースメーカーに似た小型の刺激装置を臀部皮下に植え込み、電極を仙骨孔から神経に沿って留置する装置です。
あるSNMの臨床試験では、8割以上の患者に効果が確認されています。
これは泉州地域では府中病院の内間先生が認定をうけて治療を開始しておられます。
残念ながら、岸和田徳洲会病院ではしていません。
括約筋の断裂がある人には括約筋の修復が行われることもあります。
第二選択の術式については順行性洗腸法、人工肛門造設などがあります。
順行性洗腸法というのは、虫垂、盲腸(大腸の起始部、小腸との境目)に腸瘻(人工肛門またはチューブ挿入)をつけてそこから水を入れて洗腸し、大腸を綺麗にするという治療法です。
第二選択の術式は専門機関での検査・判断になります。
患者の多くは悩み抜いた末に、勇気を出して受診することが多いので、便失禁患者を診察するとき、『なんだ便失禁か』といった冷ややかな対応をしてしまうと、患者は二度と病院を受診しなくなってしまうそうです。デリケートな問題ですからね。私も注意したいと思います。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
今年のお盆休みは、
8月15日(火)~8月18日(金)です。
8月19日(土)より通常診療致します。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。