2017年 4月 No.137
冬が過ぎ、過ごしやすい季節になってきました。
猛威をふるっていたインフルエンザも下火になったみたいです。しかし、時々おられますね。
泉大津ではB型が出ている、とのこと(4月15日の情報です)。まだ注意は必要ですね、手洗い、うがい、マスク、咳エチケットです。
今年の桜は少し遅かったようです。
訪問診療のルートで道の両サイドから桜が咲いてて、その間を通り抜ける、という場所があります。
まるでピンクのトンネルのような桜並木です。これと久米田池周囲の桜、今年は2回の花見でした。
いずれも訪問診療中、車の中から。
桜は、この短期間に咲き誇るというのがいいのでしょうね。
春を感じました。ちょっとまだ寒かったですけど。
今年度特定健診が5月15日(月曜日)より開始されます。今年も無料です。
忠岡町国民健康保険被保険者の受診券は5月上旬より郵送されるそうです。忠岡町在住の対象者の方、是非受けてください。
大腸がん検診、肝縁ウィルス検査も無料クーポン券が配布されます。
ご希望の方は、受付にてご予約をお願いします。
当院では診察後に診察の所見をわかりやすく(と自分では思っている)記載した診療手帳をお渡ししています。
診察の所見以外に、血液検査のデータも貼るようにしています。
昨年4月より、おくすり手帳に貼っていた処方内容シールを貼ってもらうことにしました。
なかなか普及できていなくて。
周知のため、薬剤師さんに、当院受診された方には、診療手帳を見るよう文書で伝えようかな、と思ってます。
薬局に行かれる時、他院受診時、是非当院の診療手帳を持って行って、担当の薬剤師さん、医師に見て貰ってください。
神経難病のパーキンソン病と筋ジストロフィーに対するiPS細胞の応用が発表されていました。
パーキンソン病は、脳の神経細胞と神経伝達物質が減り、体を動かしにくくなる病気で、根本的な治療法はありません。
高齢者の発症例が多く、患者数は約16万人。このうち1割が遺伝性と見られています。
遺伝性パーキンソン病患者の皮膚からiPS細胞を作製し、そのまま神経細胞に変えると、神経の情報をやりとりする軸索や樹状突起と呼ばれる部分が通常より短いことが確認できました。
そこで、ゲノム編集技術を使ってiPS細胞の遺伝子異常を修復し、神経細胞に変えると、軸索や樹状突起の長さが正常になりました。
パーキンソン病の原因解明や、新たな治療法開発につながることが期待される研究です。
もうひとつ、筋肉が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」を発症させたマウスに、人のiPS細胞から作った筋肉のもとになる筋肉幹細胞を移植し、筋力の改善に成功したとの研究成果を、京都大などのチームが発表しました。
筋ジストロフィーについてiPS細胞を使った治療法で効果が確認されたのは世界初だそうです。
国内の患者は2万人以上いるとされますが、根本的な治療法がありませんでした。
チームは、健康な人の皮膚から作製したiPS細胞に特殊な化合物を加えて培養し、乳児の体内にあるような再生能力の高い筋肉幹細胞に変化させることに成功。
病気を発症させて筋肉が衰えたマウスの足に、この細胞を移植したところ、1か月半後に筋力が改善したとのことです。
臨床応用するには、移植する細胞が安全かどうかの検証が必要ですが、全身の治療が可能になれば、多くの患者を救える可能性があります。
今後、犬などの大型動物でも実験し、5年以内に人での臨床研究を始める方針です。神経難病へのiPS細胞の応用は、ずっと個人的に期待していました。更なる進歩を日本主導で続けていってもらいたいです。
5月20日土曜日、都合により休診します。
5月27日土曜日、りんくう総合医療センターの緩和ケア研修会に進行役・講師として
参加するため、11時で診療を終了します。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
小林麻央さんのkokoroというブログを最近よく読んでいます。
Stage4の乳癌であることを公表され、治療に立ち向かっていく、決してあきらめない前向きな姿勢には心を打たれます。
頑張ってほしいです。
自分が末期癌になったときに、どんな対応ができるかな、と考えさせられます。
小林麻央さんは抗がん剤、放射線治療は受けておられますが、同時に緩和ケアも受けておられます。
小林麻央さんのブログで、
昨日の夜中は 久しぶりに痛みのレスキューを飲むために起き上がりました(4月10日)、
すぅー はぁー の深呼吸。久しぶりに、痛みで眠れず、レスキューを使い、焦りました。(3月3日)
レスキューの記載があります。
レスキューというのは、突出する痛みに対する速効性の鎮痛薬で、医療用麻薬のことが多いです。
適切な緩和ケアを受けておられるんだろうな、と思います。
今回はこの緩和ケアについて、概要を書いてみます。
WHO(世界保健機関)によると、緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである、と定義されています。
わかりやすく一言でいうと「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」(厚生労働省緩和ケア推進検討会)となります。
2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。
今後、益々緩和ケアの周知、普及が望まれるところです。
今までのがん医療の考え方では、「がんを治す」ということに関心が向けられ、患者さんの「つらさ」に対して十分な対応ができていませんでした。
しかし、最近では、患者さんがどのように生活していくのかという「療養生活の質」も「がんを治す」ことと同じように大切と考えられるようになってきています。
がん患者さんだけでなく、生命を脅かすような疾病に罹患している方は様々な、苦痛、辛さに直面します。
一般的に身体的・精神的・社会的・スピリチュアル(霊的)な苦痛に分類されます。図をご参照ください。
緩和ケアを、がんの進行した患者さんに対するケアと誤解し「まだ緩和ケアを受ける時期ではない」と思い込んでしまう患者さんや家族は少なくありません。
実際、20年くらい前までは、苦痛・辛さをあまり考えず、がん治療を行っていました。
そのがん治療をいくらしても効果の無い場合に、もう出来る治療はありません、緩和ケアを受けて下さい、と言って、ホスピスに転院することが多かったたように思います。
しかし、最近の考えでは緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われる、と変わってきています。
診断直後の不安や落ち込み・治療前からの痛み・放射線や抗がん剤の副作用(吐き気・嘔吐(おうと))、食欲不振、しびれ、口の渇き、口内炎、下痢など)・手術後の痛み・再発や転移による痛み・治療中の息苦しさ、だるさ(倦怠(けんたい)感)、食欲不振、吐き気・嘔吐、リンパ浮腫・医療費の問題・転院や自宅での療養についての不安・自分の存在や生きる意味についての悩み・不安や気分の落ち込み・家族の心や気持ちの問題、などいろいろな症状、苦痛・辛さがあります。
病院では、緩和ケア外来、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟が対応します。
緩和ケアに関連する治療の多くは、自宅でも入院中と同じように行うことができます。
多くの患者さんにとって、自宅は安心できリラックスすることができる療養環境です。
体の状態が安定していれば、自宅での療養は難しいことではありません。
病院で受けている治療を自宅で継続することは難しいと誤解されていることがありますが、緩和ケアで行われる治療のほとんどは、病院でも自宅でも同じように行うことができます。
のみ薬による治療ばかりでなく、注射による治療のためのポンプや、点滴などの処置が必要な場合でも、自宅での継続もできるようになってきています。
昨年亡くなられた大橋巨泉さんのご家族が、麻薬の誤投与により症状が悪化し、病院に入院した。在宅での治療を希望されていたが、そのまま病院で亡くなった、とのニュースがありました。
在宅緩和ケアをしている私にとっては、とても信じられないニュースでした。詳細はわかりませんが、そんなことはない、と声を大にして言いたいです。
緩和ケアの一例として、痛みについてみてみます。
がん患者さんの7-8割は痛みを感じる、と言われています。
早期から痛みを感じる人も少なくありません。
治療中としても日常生活に支障がでますので、痛みは我慢しないことが大事です。
痛みがあれば、担当医に相談しましょう。
その際、痛みを感じる時期、痛みの部位、痛みの感じ方(鈍い痛みか鋭い痛みか、ズキズキ、しびれたような感じ、キリキリなど)、日常生活への影響、痛みの程度(全く痛くない時を0点、イメージできる最も強い痛みを10点とした場合、今の痛みの点数は?)痛みどめの効果、などを主治医に伝えられるといいです。
がんの場合の痛み、約9割が制御可能といわれています。
普通の鎮痛剤(ロキソニンなど)に加えてモルヒネなどの医療用麻薬をよく使います。
緩和ケアにおいて、医療用麻薬は欠かせません。WHO方式がん疼痛治療法に則って使用します。
定期投薬と突発的な痛みに対数るレスキュー薬が処方されます。
よく使われる医療用麻薬ですが、「中毒」「命が縮む」「最後の手段」といった誤ったイメージを持たれている方もまだ多いようです。
しかし、世界における20年以上の経験から、がんの痛みの治療には、モルヒネなどの医療用麻薬による鎮痛治療が効果的であり、誤解されているような副作用は、医師の指示のもとに使用している限り、 認められないことが明らかになっています。
医療用麻薬の一般的な副作用としては、吐き気・嘔吐(おうと)、眠気や便秘などがあります。
多くの副作用は予防や治療ができるので、安心して痛みの治療を受けていただくことができます。
厚生労働省は、すべてのがん診療に携わる医師が緩和ケアについての基本的な知識・技術を習得する必要があるとの考えから、緩和ケア研修会の開催を推奨しています。
特にがん診療拠点病院では必須となっています。私はこの緩和ケア研修会を平成24年に受けました。
そして、泉大津市立病院の緩和ケア責任者である外科の庄野先生の要請を受け、一昨年指導者研修も受けました。
昨年、泉大津市立病院での緩和ケア研修会のファシリテーター(世話役、講師)デビューしたのに引き続き、今年度は泉大津市立病院、府中病院、りんくう総合医療センターでファシリテーターをします。
自分の講義する「療養場所の選択と地域連携」だけでなく、毎回講義を聴くことにより、自分の知識がブラッシュアップされます。
また緩和ケアに携わる各種専門家の先生方と連携することもできます。
もう来なくていいと言われるまで、体力の続く限り、病院での緩和ケア研修会に参加しようと思っています。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
今年度の特定健診は5月15日(月曜日)より始まります。
健診は、10時間以上の空腹状態で行っています。
ご希望の方は、事前に受付にてご予約をお願いします。
大腸がん検診、肝炎ウィルス検査も対象者には無料クーポン券が配布されますので、
ご希望の方は受付にてご予約をお願いします。