2016年 12月 No.133

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

◆今年を振り返って

早いものでもう12月です。クリスマスムードです。
クリスマスを過ぎるといよいよ年末・年始です。
体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。

今年も終わります。ニュースを見直してみますと、今年もいろいろありましたね。
今年のニュース、主だったところを、列挙してみます。

1月ベッキー不倫問題で謝罪・活動休止、SMAP解散騒動

2月清原逮捕

3月北海道新幹線開業

4月熊本地震発生

5月伊勢志摩サミット・オバマ大統領、広島訪問

6月舛添都知事辞職

7月小池百合子東京都知事に・ポケモンGO配信

8月リオオリンピックパラリンピック開催、天皇陛下生前退位の意向、SMAP解散決定

9月広島カープ優勝

10月ピコ太郎PPAP・ボブディランノーベル文学賞・鳥取地震

ノーベル生理学・医学賞に大隅良典東京工業大学栄誉教授

11月トランプ氏が次期米大統領に

12月カジノを中心とした統合型リゾート推進法案成立・オスプレイ墜落
     米軍普天間・辺野古訴訟、国勝訴確定
個人的には泉大津市長選もニュースでした。
アメリカ大統領選にも驚きましたが。

今年の一字は、「金」でした。
選考理由は、漢字能力検定協会によりますとリオ五輪での金メダルラッシュ。
舛添前東京都知事の政治資金問題、イチロー選手の金字塔トランプ次期大統領の金髪、金色衣装のピコ太郎さんのPPAPの世界的大ヒットなどが金になったこと、などが選考理由として挙げられていました。
金はもう3回目の今年の漢字だそうです。「金」が選ばれるのはこれで3度目。オリンピックがあるたびに今年の漢字は金になるかも。

自分にとって今年の漢字一字は、というと今は「早」ですかね。
時の経つのは早い、のためですけど。これでしたら、毎年ですね。
ちなみに、大辞林には時の経つのは速い、という例文があるそうです。
ネットでみても、早い・速いのどちらを使うか、議論があるみたいですね。
ヤフー知恵袋、漢字文化資料館では早いと書かれていましたが、速いとする意見もありました。
でも、私は早い、かな。
8月に骨折部位に入れたプレートを抜いたので、「抜」でもいいですね。
ちなみに、ランニング、まだあまりできていません。
トレーニング始めて3日後に腰痛になってしまって、また一週間休みました。
泉州マラソンに間に合うかどうか。

今年の流行語大賞は「神ってる」でした。37年ぶりに優勝した広島の監督が2試合連続で決勝弾を放った鈴木選手を讃えていった言葉。
神がかりである、というところを中高生がネットでよく使う今どきのワードを使ったということで評判になりました。

私にとっての流行語
先月も書きましたけど、小林麻央さんの”生きていたいのだ~”が残ってますね。今、体調不良で入院中とのこと。心配ですが、頑張ってほしいです。

年末年始の休診
12月30日 ~ 1月4日まで休診致します。
年始は1月5日からです。1月5日より通常診療致します。
今年も、休みが少し長めになっています。御迷惑をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

これを書いているのが12月21日です。
22日に提出ができなかったので、発行は26日になります。今年は院内報1日発行を目指しており、一時期いいところまでいったのですが、また12月に月末まで後退してしまいました。
診療所を続けていく以上、診療時の説明を記した診療手帳と院内報、ISO9001は続けていこうと思っていますので、院内報は来年も続けます。

今年は医院のホームページのリニューアルをしました。 
これを機に情報発信できる方法も考える予定でしたが、まだできていません。来年の課題ということで。

皆様よいお年を。

肥満症とその治療

肥満と肥満症

肥満とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態です。
太っている状態であって、疾病を意味するものではありません。
肥満であるかどうかは体脂肪量によりますが、
指標としてBMI(Body Mass Index)が世界的に広く用いられています。
BMIは体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で算出される体格指数です。
身長165㎝、体重60㎏の人の場合、
60÷1.65÷1.65で、BMIは22.04となります。
WHOによる肥満の判定基準は、BMI30以上が肥満です。
一方、日本ではBMI25以上を肥満としています。
日本肥満学会による肥満症ガイドライン2016でもBMI25以上と定義されています。
我が国では疾病合併率が最も低いBMI22を標準体重としています。

肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患(病的な肥満)であり、医学的に治療が必要となります。

肥満症とは、肥満のうち種々の健康障害と関連し、医学的に減量を必要とする病態を指し、疾患単位として取り扱われます。
肥満症の診断基準はBMI25以上で、11 の肥満関連疾患:耐糖能障害、脂質異常症、 高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常赴任、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病のうち 1 つ以上の健康障害を有すると判定します。
また、内臓脂肪蓄積がある場合も肥満症と診断されます。
これは、ウェスト周囲長によるスクリーニングで男性85㎝以上、女性90㎝以上でスクリーニングして、腹部CTによる内臓脂肪面積を計算して、100平方㎝以上ある場合、内臓脂肪型肥満と判定します。

簡単に内臓脂肪を測定できる機械がオムロンとパナソニックからでています。
脂肪の電気抵抗値(インピーダンス)により脂肪量を推定する検査です。

オムロンはデュアルインピーダンス法(四肢と腹部に電極を配置)、パナソニックはBIA法というベルト型の計測器です。
いずれも腹部CTと相関して、ガイドラインでも、今後放射線非被ばくの検査方法として、臨床現場において有益に使用できる方法と期待される、との記載があります。
しかし、今回のガイドラインでは採用されていません。
保険適用になれば、病院、診療所に配置されるようになると思います。

またBMI35以上を高度肥満としています。

肥満症のフローチャート

平成26年度の厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」によると、日本人の肥満の割合は男性27.8%、女性20.5%となっています。
年代別にみると、
男性では50歳代が34.4%と最も高く、次いで60歳代が31.2%となっています。
一方、女性は年齢が上がるにつれて肥満者の割合が高くなり、70歳以上で24.7%と最も高くなっています。

肥満症がなぜ治療しないといけないのか。

肥満により、高血圧、脂質異常症、糖尿病が合併する危険性が増え、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患の発症が誘発されるいためです。
また高度肥満になると睡眠時無呼吸症候群の頻度が高くなります。

治療方法について書きます。
食事療法・運動療法・行動療法・薬物療法・外科療法があります。

食事療法

まず食事です。体重減少のためには食事摂取エネルギーの減量が有効です。
肥満症の人は現体重の3%以上、高度肥満の方は現体重の5-10%の減量目標(3-6か月)を設定します。
体重、ウエスト周囲長は継時的に経時的に計測しています。
その上で肥満症の人は一日25kcal/㎏x標準体重、高度肥満の人は20-25kcal/kgx標準体重、以下の食事エネルギー量とします。
指示エネルギーの50-60%を糖質とし、15-20%をタンパク質、20-25%を脂質とします。私がいいと思って実践している糖質制限食は今回のガイドラインでは有用性は未確立、とのことで採用されませんでした。

運動療法

週5日以上、一日30-60分、有酸素運動を主体で、筋トレ、ストレッチ、種々のエクササイズを併用。
楽しめて習慣化できる種目をみつけるよう促す、とのことです。

行動療法

食行動質問表で問題点を具体的に抽出します。これは食行動のずれ、くせなどの問題点を把握します。このガイドラインでは
55の質問が掲載されています。
早食いである、お腹一杯食べないと満腹を感じない、間食が多いなどの質問に、そんなことはない、ときどきそういうことがある、そういう傾向がある、全くその通り、と答えていくものです。
また、起床直後、朝食直後、夕食直後、就寝直前の一日4回体重を記録して、グラフ化体重日記をつけること30回咀嚼法が勧められています。
私がいいと考えていて食べたものの記録は記載されていませんでした。

薬物療法

食事・運動・行動療法を行っても有効な減量が得られない、あるいは合併疾患の改善がない肥満症症例に対して考慮する、とされています。しかし、日本ではBMI35以上の高度肥満症に対する中枢性食欲抑制剤マジンドールしか使えません。

脂質の吸収阻害薬セチリスタット(商品名:オブリーン2)は膵臓から分泌される酵素であるリパーゼを阻害し、消化管内でトリアシルグリセロールが分解される事を防ぎます。
酵素が働かない事で、トリグリセリドは加水分解されず、遊離脂肪酸の吸収が抑えられ、未消化のまま排泄される薬です。
武田薬品が開発し、製造販売承認は得ていますが、薬価が未収載でいつ発売されるかの見通しがたっていません。
他にも、同じく脂肪吸収阻害剤のオルリスタット、中枢性食欲抑制剤のセロトニン受容体アゴニストのロルカセリン、モノアミン遊離促進薬のフェンテルミンと抗てんかん薬のトピラマートの合剤糖尿病治療薬のGLP1受容体作動薬も欧米では使用されています。
我が国では未承認です。
わが国の肥満症治療薬がマジンドールのみのお寒い状況を受けて専門家は「まるでスタチン登場前のコレステロール治療の世界」と形容し、多彩な肥満症治療薬が認可されている欧米との格差を憂慮しています。

外科療法

今回新しくガイドラインに掲載されました。
胃のサイズを縮小させる手術、バイパス術、胃バンディング術(胃の上部をバンドで締める)などが高度肥満の例に行われている。手術できる施設が限られています。

皆様も肥満にはご注意を。
食べ過ぎに注意、運動してください。

肥満症治療指針


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