ホームドクター通信
2006年10月 No.13

◆インフルエンザ予防接種/当院の診察について

 10月になり、吹く風も冷たくなってきました。祭りも終わり、本格的な寒いシーズンの到来です。


インフルエンザの予防接種

 10月16日から行います。忠岡町在住の65歳以上の方は1000円で接種します。
それ以外の方は自費となり、費用は昨年と同じで、大人2500円、小学生以下の小児2000円で接種しています。
卵アレルギーの方で、今まで一度も卵を食べていない方や卵を食べてショック状態になったという方は接種を控えていただいています。今まで卵アレルギーだったが、少量ずつ食べているという方は通常接種可能です。
インフルエンザの流行は個人的にも社会的にも多大な損失を伴います。防衛は予防接種です。発病を確実に阻止するほどの力はありませんが、症状を軽くし、合併症による入院・死亡を減らすことが知られています。早めに接種してください。


当院の診察(内科系)の流れについての説明(検尿と診察のお願い)

 まず、保険証などを提出して受付をすませてください。
他院で処方されている薬の一覧表、紹介状などがあれば、受付に提出してください。症状のメモなどを持参される方がおられますが、参考になります。これも受付に提出してください。

待ち時間を利用して、自動血圧計で血圧を測っておいてください。
また、パソコンで問診を取ります。診察室では問診結果を参考にして、症状にフォーカスを当てて詳しく聞かせていただきます。

当院では内科系の疾患の診察で来られた方には初診で検尿をお願いしています。
検尿は検査ですが、内科では診察のうちとされています。思わぬ所見が得られることがあるので、有用と思っています。

胸部診察は原則としてすべての内科系の疾患の方に行っています。
胸部診察で不整脈、心臓弁の異常などの音、呼吸音の左右差がないか、気管支喘息、肺炎、心不全のような雑音がないかなどを聴いています。他院では診察なんかしなかったのに、という声も聞きますが、ご協力ください。

聴診器は皮膚に直接あてて聴くのが最も情報が取りやすいのですが、女性の場合はブラジャーははずさなくても結構です。動悸、心臓弁膜症、心不全の診察で心音の正確な聴診が必要な場合はベッドの上に寝て、ブラジャーを取って診察させていただくようお願いすることがあります。女性職員が必ずそばにいるようにしますので、ご了承ください。

診察後は必要な検査、投薬になります。
終了後、薬の説明書と本日の診察の説明の紙を受付でお渡しします。当院で薬を出す場合は、説明書と薬を照合して、説明をするようにしています。

最後に次回の診察の予約を取ってお帰りください。

診察、説明、薬などでわからないことがあれば、気軽にお聞きください。







◆特集:痛風について


若い人も要注意! 尿酸値をチェックし、予防を心がけましょう


はじめに

 痛風とは、「風にあたったくらいでも痛い」ことがその名前の由来になっているくらい関節(足の指が有名)が痛む疾患です。突然の激烈な痛みが特徴で、圧倒的に男性に多い(97〜98%)疾患です。痛風の患者さんは年々増加しており、全国で30〜40万人、高尿酸血症の患者さんは600万人と推定されています。さらに、その数は年々増加してきています。また、発症年齢の若年化がみられ、最近では30歳台で発症する人が最も多くなっています。


痛風はなぜ起こる?

 痛風は体内の老廃物の一種である尿酸という物質が関節に溜まって起こります。
尿酸はプリン体という物質が肝臓で分解されてできます。プリン体は、遺伝子情報を担う核酸の主成分であると同時に、筋肉が使われるときのエネルギー伝達物質(アデノシン三リン酸)の元になる物質です。体にとっては欠かせないものですが、尿酸はそのプリン体が分解されてできる体には必要のない老廃物ですので、主に腎臓から尿に混じって体外に排泄されます。 通常は尿酸の合成と排泄のバランスがとれていますが、合成が過剰になったり、排泄が低下したりした時に、血液中の尿酸の値が高くなります。この状態が高尿酸血症で、高尿酸血症が続くと、溶けきれなくなった尿酸が関節に結晶としてとどまり、痛風の症状があらわれます。

 この関節炎(痛風発作)は、高尿酸血症の1症状に過ぎません。血液中の尿酸値が高い状態が何年にもわたって続くと、体の中に尿酸が沈着し害をおよぼします。

 関節の中に沈着したものが、いわゆる痛風発作ですが、もっと恐ろしいのは腎臓の病気(腎不全・痛風腎)や動脈硬化が進んでいくことです。痛みがなくなったからと安心して放置しておくと、次第に内臓までむしばまれていく。これが痛風の本当に怖いところです。



















痛風・高尿酸血症の予防


 尿酸値をあげないよう生活習慣を改善することにより予防はできます。健康診断の際に尿酸値をチェックし、予防をこころがけましょう。

具体的には、

1.アルコール摂取を控える。
飲酒は尿酸の排泄を抑制します。特にビールは尿酸の材料となるプリン体が多く含まれますので注意が必要です。

2. 
プリン体の多く含まれている食物を摂り過ぎない
内臓や肉汁などのプリン体を多く含む食物を好んで食べると尿酸値が上昇します。

3.水分の補給に努める。
体内の水分が不足しますと、排泄される尿酸の量が減ります。汗をかく夏場は要注意。

4.
尿をアルカリ性にする食品を多く摂る。
野菜・果物・海藻などです。尿をアルカリ性にすると尿酸が溶けやすいので排泄が促進されます。

5.肥満の解消。
肥満状態が続くと尿酸の排泄が抑制され(高インスリン血症のためと言われています)、尿酸値が上がります。

6.有酸素運動を行う。
ウォーキングや自転車こぎ、水泳などの有酸素運動が有効です。全力疾走のような無酸素運動は尿酸の合成を高めるので注意が必要です。




治療

血清尿酸値の目安は正常値7mg/dl未満です。79mg/dlの場合、まず上記の予防をこころがけましょう。

痛風発作のあった人、尿酸値が9mg/dl以上の人は内服薬の服用が必要です。
薬物には尿酸合成抑制剤(ザイロリック、プロデックなど)、尿酸排泄促進剤(ユリノーム、ウロリープなど)があり、病態に応じて使い分けます。高尿酸血症の原因が尿酸の産生が過剰なのか、尿酸の排泄が低下しているのかを血中・尿中のクレアチニン、尿酸を測定して、病型を分類し、薬を決めます。尿酸排泄薬は肝障害で死亡者が出たためテレビや新聞で大きく報道され、医療機関は混乱しましたが、この薬はどちらかというと安全な薬に属します。

痛風発作中は尿酸の値を変動させると発作の増悪を認めることが多いので、尿酸を下げる薬は使いません。発作が落ち着いた時点で尿酸を下げる薬を処方していきます。発作中は主に炎症を抑える薬(消炎鎮痛剤)を用います。

痛みがおさまったからといって通院を中断される方が多いですが、痛風再発の危険もあり、知らないうちに腎機能障害、動脈硬化が進む場合がありますので、継続して受診されることをおすすめします。


 


















◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

祭りも終わり、秋らしい爽やかな気候になりました。

この時期は朝晩と昼間の気温の差が大きく、風邪をひきやすいので気をつけましょう。

毎度のことですが、今回は発行が大幅に遅れてしまいました。申し訳ありません。

来月号をお楽しみに。