2016年 7月 No.128
今年の7月4日から10日までの間に熱中症で救急搬送された人は4659人で、昨年同時期の3倍の人が搬送されたと、先日総務省消防庁が発表しました(総務省消防庁「熱中症情報」)。
今年の夏は猛暑、と予想されています。
いよいよ本格的な夏ですね。
熱中症の症状はけいれんや失神、意識障害や高体温だけではありません。
めまいや立ちくらみ、大量発汗、口渇、筋肉痛やこむら返り、頭痛、嘔吐、倦怠感、せん妄、小脳失調などの様々な症状を呈します。
熱中症といえば、屋外を走り回っている部活中の中高生に発症すると思われがちですが、決してそれだけではありません。
運動と関係なく発症することもあります。
どちらかというとそちらの方が重篤になりやすく、特に高齢者などでは注意が必要です。
熱中症にならないよう。水分、塩分補給をお忘れなく。
大橋巨泉さんが82歳で亡くなりました。
巨泉さんの報道でちょっと疑問に思ったこと
「モルヒネ系鎮痛薬の誤投与で体力を奪われた」
「在宅介護中に処方されたモルヒネの誤投与により状態が悪化した」とご遺族は述べられました。
経緯がどうであったかは分かりません。
しかし、巨泉さんとご遺族が「誤投与された」と思っていたのは事実のようです。
モルヒネをはじめとする医療用麻薬は、癌患者の疼痛に対して適切に用いることで、極めて安全に苦痛を緩和することができます。
この適切にというところがポイントで、疼痛の評価をした上で、他の鎮痛剤を使っていても痛みがあるとき、医療用麻薬が必要であると判断されます。
正しく処方されて、副作用対策(便秘、嘔気など)をしておけば、非常に有用な薬です。医療用麻薬なくして緩和ケアはできません。今回、違和感をもっているのは「モルヒネ=怖いもの、体力を奪うもの」というように報道されていることです。
これから癌の疼痛に対してモルヒネを開始すべき患者がいたとして、今回の報道により抵抗感を抱いてしまうことを懸念しています。
マスコミは、、巨泉さんのご遺族はこう話しているけれど、医療用麻薬は適切に用いれば安全な薬剤である、という論調で書いて頂きたかったな、と思います。
国立がん研究センターは7月14日、2016年に新たにがんと診断される人は100万人を初めて突破するとの予測結果を発表しました。
がんで今年亡くなる人は37万4000人で、過去最高になるそうです。
今年新たにがんと診断される人は101万200人で、昨年より約2万8000人増えると予想されています。
男性は57万6100人、女性は43万4100人。
部位別では、大腸、胃、肺、前立腺、乳房の順に多いとのこと。
死亡者数は37万4000人で、昨年より約3000人増える見通しです。
部位別では肺、大腸、胃、膵臓(すいぞう)、肝臓の順です。
今後、胃が減り、大腸と肺は増え続ける見通しです。
高齢化を背景に、2030年ごろまで新たながん患者は増える見通しで、早急な対策が求められます。
米国がん協会が昨年公表した資料によると、米国では、死亡者が過去20年間で22%減りました。
1980年代にがん検診が普及し、早期発見されやすくなったためとされています。
日本でもがん検診の受診率を高めるよう努力する必要があります。やはり、早期発見、早期治療。
この記事を読んで不安になった方は診察時ご相談ください。
8月5日からブラジルのリオでオリンピックが開催されます。日本人選手団の活躍が楽しみです。
しかし、現地ではとんでもない事態が起きているようです。
リオ警察官や消防官が「地獄へようこそ。警察と消防士には給料が支払われていない。リオデジャネイロに来る人は誰も安全ではない」の横断幕を掲げ、リオデジャネイロの空港でストライキを行っていました。
給料未払いに抗議したとのこと。
この不満は解消されたのでしょうか?
最近になり、テロ事件も世界各地でおこっています。
リオオリンピックが無事行われることを祈っています。
今年は8月15日から18日まで夏季休暇をいただきます。
今年は平成25年11月11日に受傷した事故で、左下腿に入っているプレートを抜く手術を受ける予定です。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
認知症初期集中支援、あまり聞き慣れない言葉とは思いますが、我々がしている活動です。
紹介します。
簡単に言うと、医療・介護の世話になっていない認知症の方を見つけて、適切な医療介護を受けられるように誘導し、住み慣れた地域で、よい環境のもと自分らしく暮らしていけるようにする事業です。
後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態のことです。
「知能」の他に「記憶」「見当識」を含む認知障害や「人格変化」などを伴うこともあります。
単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下するものを指します。
とはいっても、どの辺から病的なのか、自分で判定するのは難しいかもしれませんね。
物忘れがきになる方はご相談ください。
いろんな統計がありますが、現在高齢者(65歳以上)の7人に一人が認知症と言われています。
これが、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるだろうと予測されています。
別の調査では現在高齢者の約4人に1人が認知症、又はその予備群と報告されています。
予備軍というのは、認知症とは診断できないけど、正常とも言い難い、という方のことです。軽度認知障害(MCI:MildCognitive Impairment)と呼ばれています。
忠岡町には65歳以上の方は4779人おられます。
7人に1人が認知症とすると、683人の方が該当します。
また、4人に1人が認知症及び認知症予備軍とすると、1195人が相当します。
忠岡町の要介護認定者(要介護1-5まで)は731人。
要介護者のうち約6割が認知症高齢者といわれていますので、該当するのは439人。
683-439人で244人の認知症の方が介護を受けずにいる、と推定されます。
但しこれは、入院中で介護保険を申請していない方は含まれませんので、概算です。
忠岡町で200名弱の認知症の方が医療介護を受けずに、ちょっと不自由な思いをして暮らしておられるのかな、と考えています。
このように認知症が増えていくことを受けて、平成24年年9 月、厚生労働省は「認知症施策推進5 か年戦略(オ0レンジプラン)」を策定しました。
その後、オレンジプランを加速化するために、オレンジプラン5か年計画の途中ではありましたが、、厚生労働省だけでなく、関係府省庁と共同して、平成27 年1 月27 日に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定しました。
新オレンジプランの基本的考え方は、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す、というものです。
7つの柱があります。
列挙しますと、
説明は省略しますが、このうち、今回の認知症初期集中支援事業は、新オレンジプランの2つ目の柱の「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の早期診断・早期対応のための体制整備として位置づけられています。
チームを組んで活動します。
地域包括支援センター(役場の中にあります)の介護福祉士、保健師がチーム員となり、認知症サポート医(忠岡町では私)が協力して活動します。
どんな活動?
認知症、またはその疑いのある方のお宅を訪問して、お話を聞き、今後の対応、受けていただくといい医療・介護サービスなどを検討します。
必要な場合は専門医を紹介したりします。専門医は泉州地区の認知症疾患医療センター・水間病院の岡先生にお願いしています。
また、泉大津市立病院には、もの忘れ外来があって、大阪市立大学の老年学教授を退官された三木先生が診療にあたっています。
人格者でとても頼りになる先生です。
また、精神科・心療内科受診をお勧めする場合もあります。
かかりつけ医、ケアマネージャーと相談したりもします。
40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる方や認知症の方で、以下のいずれかに該当する方です。
1.認知症の臨床診断を受けていない方、または治療が中断している方
2.医療サービス・介護保険サービスを受けていない方
3.なんらかのサービスを受けているが認知症の症状が強いため、対応に苦慮している方
私の所属する泉大津市医師会(泉大津市・忠岡町)では、平成25年より認知症サポート医と地域包括の職員が認知症の方の訪問。
その成果を報告したところ、平成26年度は、認知症早期医療モデル支援事業試行、となり、活動に対して大阪府から補助を受けることができました。
平成27年度より認知症初期集中支援事業として活動を始めています。
認知症初期集中支援チームは2018(平成30)年度からすべての市町村で実施することが決まっています。
認知症初期集中では、今まで泉大津、忠岡で32件の事例があり、介護サービスにつなげたり、かかりつけ医が担当するようにしてくれたりしたケースが多いです。
中には施設入所したり、精神科の病院に入院したりしたケースもあります。
一定の成果は上がっているものと考えています。
認知症初期集中支援チームをもっと皆様に知っていただく必要があります。
ちらしができています。
このちらしを配って、地域のお世話をしているかたなどに事業の説明をしていきたいと思っています。
また、泉大津市医師会と行政が組んで、いろんな市民公開講座や映画上映会などが催されています。
もし、皆様の近くに、認知症が疑われている方がいて、孤立していたり、医療介護を受けておられない方がいらっしゃったら、地域包括に連絡(32-0294)するか、私まで教えてください(私から地域包括に連絡します)。
勿論個人情報保護には気を付けます。
よろしくお願いします。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
蚊に刺されたことによる疾病がかなり多いので、まず自分から虫よけのテストをしようと思った今年の夏。
今のお気に入りはサラテクト・ウォーターミストです。
雑誌の実験(蚊が20匹入ったボックスに、種々の虫よけを塗布して腕を入れる)では、サラテクトが一番成績がよかったようです。
私自身いろいろ試してみましたが、サラテクトに落ち着きました。
車の中、診察室、家の玄関、アネトス自室において、外にでるときは使用しています。
蚊に刺される回数は昨年に比べ、とても少ないです。
この夏はこれで乗り切ります。
9月一杯は虫刺されを塗布するのを続けようと思っています。