2016年 5月 No.126
早いもので、5月も連休を終え、終盤にはいってきました。
汗ばむ日も多くなり、そろそろ熱中症対策が必要かと思います。
今年度特定健診が5月16日より開始されます。
今年も無料とのことです。
忠岡町在住の対象者の方、是非受けてください。
今年からABC検診が始まります。
ヘリコバクターピロリIgG 抗体(Hp抗体)検査でピロリ菌感染の有無を、ペプシノゲン(PG)検査で胃粘膜萎縮度を調べ、その結果を組み合わせて胃がんのリスクを評価する検診です。
500円の自己負担があります。
当院での診察後にお渡ししていた診療手帳ですが、4月より診察の所見・血液検査のデータに加えて薬局のおくすり手帳に貼る処方内容シールも貼ってもらうことにしました。
検査結果、診察の説明、薬のシールが一冊の手帳に記載されることになり、皆様にとっても有用な医療情報になるのでは、と思っています。
医療従事者にも有用な情報になっていると思いますので、他院受診時も是非当院の診療手帳(+おくすり手帳)を持参していただいて、担当医師だけでなく、看護師さん、薬剤師さんにもにみせていただきたいと思います。
今日、在宅訪問患者の玄関先で今季初、蚊に刺されました。油断していました。前回の院内報で今年は蚊に注意する旨書いていたのに。今晩から気を付けます。
テレビはあまり見ないのですが、在宅医療関連のメーリングリストで話題になっていた人生の終い方というNHKスペシャルの番組を5月22日に見ました。
超高齢社会で、遺影の準備などな終活がブームになっています。
この番組で伝えたのは、こうした終活ではなく「人生の終い方」。死を意識してから亡くなるまでの最期の日々、何をするか、大切な人に何を遺すか、でした。
いろいろな人の人生の終い方のエピソードがでていましたが、印象に残ったのは、末期の食道がんを患う66歳の団塊の世代の方のお話。
余命わずかと知り、葬儀などの準備を自分で整えました。
その後、その方は妻と息子と娘に手紙を渡しました。
妻への手紙には「定年退職してこれからというときにこうなってごめん。いろいろつくしてくれてありがとう。一番の思い出は自分が親になったとき。自分がしっかりしなきゃと思いました。今は二人共立派なパパとママ。もう安心です」などと書かれていました。
皆、涙ながらに手紙を読んでいました。
また、35歳で肺がん末期になったお父さん。
娘の小学校入学を前に、痛みで起き上がれなくなりました。それでも、亡くなる4日前に家族旅行に行こうと決めて、出発。向かったのは家族でよくでかけた温泉。前日まで体の負担が大きく入浴はできなかったのですが、旅行先では子供たちと一緒にお風呂に入って、夕食時には病気が治りますように、と乾杯しました。
思い出を残そうとしたようでした。
楽しみにしていた娘の入学式には出られませんでした。
辛い時があったら旅行のときのパパの姿をみようと決めて、3人は前へ進みだしました。
このときのナビゲーターは桂歌丸師匠でした。
放送日に笑点の司会を降りられたとか。
肺気腫で酸素吸入されていました。でも、まだまだ落語は頑張っているようです。
「人生のしまい方も十人十色。これが決まりというのは無い。一生懸命生きていればきっと何かを残すことになるんではないでしょうか。人生のしまい方を考えるのはどう生きていくのか考えること」「私もまだまだ頑張って高座の上でお笑いを喋りながら、家族みんなと喋りながら、笑いながら終わりたい」と語っておられました。
在宅終末期ケアをしています。
人生終末期の方を診ることも多いです。自分の終い方も含め、考えさせられました。
年々要求事項が多くなっているようで、戦々恐々としています。外来の予約を制限させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
現在ホームページのリニューアル作業をしています。
リンク集などは自分自身、5年くらいは見ていないので、ほとんどリンク切れ。
来月の院内報発行までには新しいホームページを見ていただけるのでは、と考えています。
今回は血尿について、日本腎臓学会、日本泌尿器科学会、日本小児腎臓病学会、日本臨床検査学会、日本臨床衛生検査技師会が共同で発行した、血尿診断ガイドライン2013を参照して書きます。
尿に血が混じる、真っ赤な尿が出たなどの症状が血尿です。
血尿の定義としては、尿を遠心分離して、得られる下に落ちた個体部分(尿沈渣)を顕微鏡でみて、400倍率の1視野(HPF)で赤血球の数5個以上とするところが多いです。
尿の取り方は中間尿が原則。検尿前に激しい運動は避けること、となっています。
一般的な検尿の尿検査紙では、尿潜血±は赤血球5-10個、尿潜血1+は赤血球20個となっています。
尿潜血の頻度は統計によって違いますが、数%から20%まで大きく差があります。
女性に多いようです。
目で見てすぐわかる肉眼的血尿、目で見てわからないが、試験紙法で尿潜血±以上の顕微鏡的血尿、健康診断で偶然発見される無症候性顕微鏡的血尿(チャンス血尿)があります。
順に対処法を中心に説明します。
チャンス血尿(健康診断で偶然発見される無症候性顕微鏡的血尿)
チャンス血尿の場合、尿路上皮癌の可能性、腎炎の可能性も頻度は低いものの(数%)、あります。
この健康診断の検尿でたまたま尿潜血陽性で、再検査となった場合、医療機関を受診することになります。
このときの検査は、検尿の再検、尿沈渣の検査、血液検査での腎機能検査が行われます。
その検査で、蛋白尿を伴う場合、問診、身体所見で腎炎を疑う場合、尿沈渣で変形赤血球、赤血球円柱が存在する場合、腎機能低下がある場合(eGFR 50以下)の場合は専門医紹介となります。
多くは経過観察になりますが、再検でも血尿が続く場合など、下記顕微鏡的血尿で示すような尿路上皮癌のスクリーニングが必要になります。
このガイドラインでは、顕微鏡的血尿が確認された症例には尿路上皮癌のスクリーニングが推奨されています。
尿路上皮癌とは、膀胱癌、腎盂尿管癌です。
正直いままで尿潜血±の人ではあまり尿路上皮癌のスクリーニングはしていませんでした。
スクリーニングは、腹部超音波検査、尿細胞診(尿の細胞を顕微鏡で調べる、主に悪性の細胞が混じっていないかをみます)が勧められます。
ほかに尿中腫瘍マーカー、尿白血球がある場合は尿細菌検査、腎機能などの血液検査が記載されています。
40歳以上の男性、喫煙者、化学薬品暴露、肉眼的血尿(既往?)、泌尿器科疾患、排尿刺激症状、尿路感染の既往、鎮痛剤多用、骨盤放射線治療既往、シクロホスファミド治療歴などがある人は積極的に膀胱鏡(膀胱の内視鏡検査)を考えなさいとなっていました。
まあ、今後は尿潜血±程度の方にも沈渣、細胞診、膀胱の超音波検査くらいは勧めることにします。
膀胱鏡するかどうかは泌尿器科に一任します。
尿沈渣で変形赤血球、蛋白尿などがある場合は腎臓内科受診が勧められていますが、まあこれも経過をみてから、になるでしょうね。
尿路上皮癌スクリーニング陰性の顕微鏡学的血尿の場合、定期的に検尿を続け、また血尿が強くなるようなら、再度尿路上皮癌スクリーニング、となっています。
蛋白尿陽性の顕微鏡的血尿に対しては、腎臓内科受診の上、腎生検の適応を考える、とされています。
肉眼的血尿をきたす疾患には、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂尿管癌)、腎癌、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、腎梗塞、糸球体疾患、尿路結石症、出血性膀胱炎、特発性腎出血などがあります。
50歳以上の血尿で最も多いのは膀胱癌です。
膀胱癌に伴うのは間欠的血尿で、検査時に血尿が無くても、過去の血尿の有無を確認するのは大事です。
腎癌は側腹部痛、血尿、腹部腫瘤が3大症状でしたが、最近では健診などで偶然わかるものが増えています。
前立腺肥大症で手術適応の12%に肉眼的血尿を認めます。
血尿を伴う前立腺肥大の組織では、微細血管密度が著しく高くなっているとの報告があります。
腎梗塞は、腎動脈あるいはその分枝の閉塞によって、腎組織の急激な壊死を起こす疾患で、主に患側の側腹部痛を伴います。
糸球体疾患は、腎臓内科が扱う内科疾患です。IgA腎症、急性腎炎、急速進行性糸球体腎炎などがあります。
超音波検査で腫瘍、結石などが認められず、尿沈渣での赤血球の形態、円柱、尿蛋白などが参考になる場合があります。
出血性膀胱炎は、化学物質による膀胱出血、特異体質や免疫原性の薬剤反応による膀胱出血、ウィルス感染による膀胱出血、原因不明の膀胱出血に分けられます。
このガイドラインにはありませんが、最近経験した肉眼的血尿で、泌尿器科に紹介したところ、細菌性の出血性膀胱炎で抗生剤内服で治癒したという症例がありました。
通常の泌尿器科的検査を行っても、その原因がつかめないものを総称して、特発性腎出血と呼んでいます。
原因として、自律神経障害、腎低酸素症、腎杯静脈交通による出血、腎炎・腎盂腎炎による出血、アレルギー、病巣感染性腎出血、などが推定されていました。
近年腎盂尿管鏡装置と手技の進歩により、腎盂静脈洞の血管破綻などの尿路の微小血管の破綻や血管腫など血管病変が主なが原因で発生すると考えられています。
また、左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈の間に挟まれ、左腎静脈の還流障害により左腎静脈の内圧が上がり、左腎から出血する現象が認められます。ナットクラッカー(くるみ割り)現象と呼ばれています。
肉眼的血尿が見られたら、泌尿器科学的な検査、まず腹部超音波検査、尿細胞診、続いて、CT尿路造影が行われます。
膀胱・前立腺疾患に関してはMRI検査が行われます。
その所見に応じて、膀胱鏡検査が考慮されます。
抗凝固剤内服中の肉眼的血尿に対しても、服用していない人と同じ検査が行われます。
精査により所見のない肉眼的血尿については、厳重な経過観察が必要です。
反復する肉眼的血尿症例の10%以上で、その後泌尿器癌と診断されているためです。
遊走腎(立位で腎臓の位置が2椎体落ちる)も血尿の原因になるとされていましたが、今回のガイドラインでは触れられていませんでした。
あと、尿道の腫瘍、膀胱結石、尿道結石なども血尿の原因となります。
血尿についての当院の方針は以後、尿潜血±程度でも一度は尿細胞診、腹部超音波検査を考える。
蛋白尿がある、腎機能低下の場合は腎臓内科受診を考える。
肉眼的血尿は尿細胞診、腹部エコーとともに泌尿器科に紹介するとしたいと思います。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
予約制なので受付にて予約をお取り下さい。
今年も費用は無料です。
忠岡町在住の対象者の方、是非受けてください。
ABC検診は、忠岡町に住民票がある40~74歳の方が対象です。
※年内に1回ではなく、生涯に1回だけ受けられる検診です。
ただし、下記に該当する方は検診の対象となりません。
費用:500円です。ご希望の方は受付にお問合せください。