2015年 12月 No.121

ホームドクター通信

当院からのお知らせ

年末です。 既にクリスマスムードです。 クリスマスを過ぎるといよいよ年末・年始です。
今年は暖冬だそうですが、かなり寒い日がありますので、体調には十分注意して年末年始を迎えるようにしてください。

今年も終わりです。
ニュースを見直してみますと、今年もいろいろありましたね。
今年のニュース、主だったところを、列挙してみます。

今年の流行語大賞は爆買いでした。
確かに難波、泉大津のホテル、南海線など中国人の姿、飛び交う中国語が目立ちました。今年の一字は、「安」でした。
選考理由は、漢字能力検定協会によりますと
・「安」倍政権の下、「安」保法案の採否をめぐり国論が二分。
・戦後 70 年の節目を迎え、これからの国の平「安」について皆が考えた。
・世界で頻発するテロ事件 や異常気象など、人々を不「安」にさせた
・マンションの杭打ちデータ流用、海外自動車メーカーの排ガス規制違反やワクチン製造にかかる不正など、暮らしに密着したものの「安」全性を揺るがす事件が続いた。
『「安」心して下さい、穿いてますよ。』のフレーズでお笑いタレントが人気を博した。 が理由だったとのこと。

もうひとつ、『ティーンが選ぶトレンドランキング2015』と題されたイベントで、女子中高生で流行ったコトバが発表されました。第5位は「あったかいんだから~」、同じく第5位は「ラッスンゴレライ」、第4位「ぱっかーん」、第3位「うけ」、第2位「YDK」、第1位「じわる」といった結果でした!ちなみに「うけ」は「ウケる」という言葉の略で、「YDK」は「やれば(Y)・できる(D)・子(K)」の頭文字のこと。「じわる」は「じわじわくる」の略称だそうです。
第5位はわかりますが、ほか全然わかりませんし、聞いたこともなかった。

12月27日、午後2時から泉大津市民会館大ホールで、映画「ペコロスの母に会いに行く」が上映されます。
認知症になった母と漫画家のバツイチ・ハゲちゃびんの息子の交流を描いたほっこりとした介護喜劇映画です。
ぼけるのもそんなに悪かことじゃなかかもしれん、というメッセージが印象的です。
私たちが参画している認知症初期集中支援事業の一環として行われます。無料です。
申し込みは泉大津市包括支援センター:0725-21-0294までお願いします。
認知症初期集中支援事業というのは、医療介護に結びついていない認知症の方を支援する事業です。
皆様の周りに、ちょっと認知症がある?、日常生活に支障があるようだけど、何の支援も受けていないという方がおられたら、忠岡町の地域包括支援センター(役場内・0725-32-0294)か私までお知らせいただけたらと思います。個人情報には留意しつつ、支援できる方法を考えたいと思います。今気がつきましたが、泉大津も忠岡も地域支援センターの電話番号は0294なのですね。福祉の語呂合わせ。全国どこでもそう、というわけではなさそうです

年末年始の休診
12月29日 ~ 1月4日まで休診致します。
年始は1月5日からです。1月5日より通常診療致します。今年も、休みが少し長めになっています。
御迷惑をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

これを書いているのが12月23日です。今年は院内報1日発行を目指しており、一時期いいところまでいったのですが、また12月に月末まで後退してしまいました。
診療所を続けていく以上、診療時の説明を記した診療手帳と院内報は続けていこうと思っています。
来年は医院のホームページのリニューアルを考えています。
これを機に情報発信できる方法も考えてみます。

関節リウマチ

今回は関節の腫れ・痛みを主徴とする関節リウマチについて書いてみます。
以前は慢性関節リウマチと言われていましたが、今は慢性はつけません。
関節は、骨と骨とがつなぎ合わされた部分で、全身に68個ありますが構造は共通しています。
骨の端にはクッションの役割を果たす軟骨があります。
関節は、滑膜という膜に囲まれており、この滑膜から分泌される関節液によって、関節がスムーズに動いています。

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。
免疫とは、体外から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除するための仕組みで、私たちの体を守るためのとても大切な機能です。

しかし、この免疫の仕組みが乱れると、体外から侵入した異物に過剰に反応してしまうアレルギーや、自分自身の体の組織や成分を異物とみなして攻撃してしまう自己免疫疾患が起こります。
関節リウマチは、おもに関節の内側にある滑膜を自己の敵と判断して、免疫系が排除しようと攻撃してしまう疾患と言えます。
進行に伴って腫れや痛み、こわばりなどの炎症を起こし、さらに続くと関節の変形をきたします。
その病態は少し専門的になりますが、抗原特異的な免疫応答により,リンパ球,マクロファージ,好中球が関節に集まり慢性炎症と滑膜増殖が起こります。
滑膜炎組織(パンヌス)からはTNFαやIL-6などの炎症性サイトカインが産生され、その炎症性サイトカインは滑膜炎の持続,MMPなどのプロテアーゼ産生促進,破骨細胞の誘導・活性化などを介して関節軟骨や骨組織の破壊に深く関与します。
サイトカインは免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質の総称です。
骨・軟骨破壊が進むと関節の変形や強直が起こり,関節機能の低下,ADL障害,生命予後の悪化が起きることになります。

「リウマチ」という病名はギリシア語の「rheuma(リューマ)」という「流れ」を意味する言葉に由来しています。
古代ギリシアでは関節が痛む病気は脳から悪い液体が流れ出し関節にたまって痛みをおこしていると考えられていたためです。
現在日本には、60~70万人の関節リウマチの患者さんがいます。
女性の患者さんが男性の3~4倍と多く、発病するのは主に30~50代ですが、60歳を超えてから、あるいは16歳未満の若い時期に発病する方もいます。

原因は、まだ完全には分かっていませんが、遺伝による体質にウイルスなどの刺激が加わって、免疫に異常が生じてしまうと考えられています。
遺伝が関係することが分かっていますが、家族に関節リウマチの方がいるからといって、必ずしも発病するわけではありません。
原因がよくわかっていないので、予防方法もよくわかりません。

関節リウマチの診断基準
今までは1987年に発表されたアメリカリウマチ学会(ACR)の分類基準が診断に使われてきましたが、2010年にアメリカリウマチ学会/ヨーロッパリウマチ学会の分類基準が新たに発表されました。
この分類基準は痛みや腫れなどの症状、関節炎の持続期間、血液検査の結果から診断を行うものです。
この分類基準では、1987年の基準よりも関節リウマチの早期診断が可能ですが、一方で他の疾患との鑑別が重要とされています。
説明できない1か所以上の関節の腫れがある場合、

  1. 腫脹あるいは圧痛のある関節の部位と数
  2. 血清反応(リウマトイド因子,抗CCP抗体)
  3. 急性炎症反応(CRP、血沈)
  4. 罹病期間(6週間以上か)

の4項目からなるスコア法に照らし合わせて点数をつけ、診断します。

治療方針
前述のRA分類基準を満たせば,関節リウマチとして薬物治療の対象となります。
リウマチの薬物療法はかなり進歩しています。
病気がよくなることを「治癒する」といいますが、関節リウマチでは症状がおさまることを意味する「寛解する」という言葉を使います。
「寛解」が明確な目標です。
関節リウマチの寛解とは滑膜の炎症が限りなく低い状態にコントロールされ,関節の骨・軟骨破壊が進行しない状態です。
最近では、圧痛、腫脹関節数、炎症反応、患者による健康度評価を組み合わせたDAS28、などの総合的疾患活動性評価を用いて、寛解の導入を目指して治療を行います。
CRP、MMP3という血液データを目安にすることが多いです。

治療方法
1.抗リウマチ薬(DMARDs)
関節リウマチの治療の中心薬であり有効であれば関節破壊の進行を遅延・停止させることができます。
作用機序により免疫抑制薬と免疫調整薬に分けられ、治療薬選択の際や感染症発生時の対処の参考になる。免疫抑制薬にはメソトレキセート(MTX )・レフルノミド・タクロリムス・ミゾリビン があり、免疫調整役にはサラゾスルファピリジン・ブシラミン・イグラチモド・注射金剤があります。
このなかでも、MTXが中心薬であり、診断基準でと診断されて禁忌がなければ、MTXで治療を開始します。
目標が達成できなければMTXを増量・継続して、ほかのDMARDsや生物学的製剤との併用療法を行います。

2.生物学的製剤
DMARDsと並びRA治療の中心的な役割を果たすようになっています。
関節リウマチの滑膜炎や骨・軟骨破壊に深く関与するサイトカインやリンパ球を標的とする蛋白製剤です。
サイトカインのひとつのTNF阻害薬と、融合蛋白製剤、抗IL-6受容体、T細胞活性化共刺激阻害薬などがあります。

生物学的製剤は高い有効性と速効性がある反面、高価で、投与時反応や免疫抑制による感染症に注意が必要です。
現在は抗リウマチ薬治療で目標が達成できない場合、特に活動性が高ければ生物学的製剤が適応になりますが、最近では高活動性の予後不良例にはより早期から使用される傾向にあります。

3.ステロイド
DMARDs治療で目標が達成できない場合、高活動性で社会生活に支障がある場合、臓器障害などでDMARDs治療が十分にできない場合に併用されます。
目標が達成できれば漸減中止します。

(C)実際の処方
1)リウマトレックス カプセル(MTX、2mg) 1日3カプセルより開始。
2回に分けて服用します。
朝2カプセル・夕1カプセル 週1回
目標達成まで,副作用を確認しながら4~8週ごとに増量。最大週16mgまで増量できます。
葉酸、消炎鎮痛剤を併用します。

今後の当院の対応
関節の腫れがあるときは相談ください。関節リウマチの可能性があるか、レントゲン検査、血液検査をします。
診断基準に照らし合わせて関節リウマチと診断されたら、MTXでの治療を開始します。
葉酸、消炎鎮痛剤を併用します。
関節の痛みなどの自覚症状、CRP、MMP3を指標として寛解となっているかどうかを判定。

この治療でよければ当院で治療を続けますが、寛解に至らずステロイドや生物学的製剤が必要な場合は専門医に紹介します。
勿論最初から専門医にお願いする場合もあります。

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。
現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう

かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。

そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。

当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を行っています。
1回目は3000円
2回目は2500円、

忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。

インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。

その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。
ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。