↓吸入型インスリン  
ホームドクター通信
2006年9月 No.12

◆ISO継続審査がありました

 朝夕、少し涼しい風が吹くようになってきましたが、まだまだ日中は暑いです。脱水、熱中症にはまだまだお気をつけください。

 8
11日金曜日に、ISO9001の継続審査がありました。9時から午後5時まで、昼休みをはさんで、一日中審査を受けていました。

 全体的にISO9001に必要な文書の漏れも無く、不適合は指摘されず、認証は継続されることが確認されました。
管理責任者の桑田さんと小林さんにより事前に文書確認が入念に行われ、また審査で的確に質問に答える活躍をしてくれて、いい雰囲気で審査が終わりました。
院長は最初の30分くらいの質問だけで、あとは傍観していました。



●審査で指摘された点

 診察室の包交車に保存されている軟膏に期限切れのものがあり、管理対象として使用期限などを明確にしておく必要がある。

 めったに使わない軟膏でしたので、目につきませんでした。表を作って管理をすることにしました。


 待合室にご意見箱が設置されているが、ご意見箱の表示や記入用紙の位置について検討することが望まれる。

 待合においてある赤いポストですが、意見箱の表示が見にくかったので、箱の前面に大きくご意見箱の表示をして記入用紙の隣に置くように改善しました。またお気づきの点がありましたら、記入してポストに入れておいてくだされば対応します。

 他にも改善のヒントになるご意見を審査員から頂きました。検討していきたいと思います。実現したら、またこの紙面上でお知らせします。


Good Point とされた点

 昨年の職員の教育研修計画の一環で「サービス接遇検定2級」の受験を奨励し、9人合格している点は接遇向上への積極的取り組みとして評価される。

 昨年から職員(院長も含む)が接遇の勉強をするようにしており、その一環として、上記試験を受けるようにしました。全員合格しています。新しい職員にも受験するよう指導しています。


 院長の平成18年度年間教育研修計画の一環で「福祉住環境コーディネーター2級試験」受験を目指しているのは、介護分野への知識を深めるのに役立つことで評価される。

 在宅医療の一環として、住宅改修などのアドバイスができるように勉強しようと思ったものですが、なんとか7月の試験で合格しました。まだこれだけでは不十分ですので、福祉住環境コーディネーター協会などに入って、実務的なものを勉強しようかと思っています。


 ホームドクター通信を発行して、医院のお知らせ、新しい治療を掲載されているのは医院を患者さんに紹介するよい手段であるとして、評価を頂きました。いつも発行が遅れがちですが、この評価を励みにして続けていきたいと思います。







◆特集:糖尿病について


糖尿病の治療について

 前回は糖尿病の診断、検査についてお話しましたので、今回は治療について述べることにします。

 糖尿病の治療、糖尿病を完全に治すことを主眼にするのではなく、コントロールして合併症を起こさずに健康で長生きする事を目標とします。糖尿病は早期発見、早期治療が最も大切です。糖尿病は初期の自覚症状があまりない為、糖尿病を患っていると推定される人口(約1,600万人)の半数以上が治療を受けていないと言われています。
糖尿病を発症し症状が進行すると、様々な合併症を伴ってきます。前回も書きましたが、糖尿病の恐さはこの合併症にあります。合併症を起こさないためにも、継続的な治療が必要です。
 糖尿病の治療には、食事療法、運動療法そして薬物療法がありますが、食事療法は糖尿病治療の基本となります。


食事療法について

 糖尿病の初期の段階であれば、食事療法で糖尿病の進行を抑えることができ、薬物療法が必要になっても食事療法により薬の量を減らすことができます。1日の必要カロリーの範囲内で食事を摂取していく必要がありますが、特別なメニューが必要な訳ではありません。食事療法に重要なことは炭水化物、タンパク質、脂質、野菜をバランスよく摂り、カロリーコントロールをしていくことです。

       1日の必要カロリー(Kcal)=標準体重×30Kcal
       標準体重=身長(m)×身長(m)×22
(体力を使う仕事の場合は35Kcalを掛けます。)

 例えば、身長160cmの人では 標準体重 = 1.6×1.6×22=56.3Kg 
                     1日の必要カロリー=56.3×30=1689Kcalとなります。
 
 野菜、きのこ類、海草類は食物繊維を多く含み、食物繊維には小腸からの糖の吸収を抑え、食後の血糖上昇を緩やかにする働きがあります。カロリーが低く食物繊維を多く含む食品は積極的に摂るよう心がけてください。又、1日の食事はバランス良く3回に分けて摂るようにし、アルコールはできる限り控えてください。糖尿病の食事療法はダイエットにも有効です。糖尿病と診断された方で、どんな食事をしたらいいのかわからない、という方には病院の教育入院をおすすめしています。


運動療法について

 運動療法には食事で摂りすぎたカロリーを消費したり、血糖を下げたり、肥満を解消する効果があります。食事療法と併用することで、糖尿病の進行を抑えることができます。ウォーキングなどの有酸素運動が勧められます。できれば毎日、少なくとも週3回。ウォーキングであれば、一回15-30分、一日の歩数としては一万歩。ただし、他の疾患や病状により運動をしてはいけないこともあるので、医師の指示に従ってください。


薬物療法について

 食事療法や運動療法で十分な効果が得られない時は、薬物療法を行います。
最初からインスリン注射を使用する場合もありますが、多くは 経口血糖降下薬(飲み薬)を用い、それでも十分な効果が得られない場合にインスリン注射に切り替えるか、インスリン注射との併用を行います。


 経口血糖降下薬には5つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。

1.スルホニル尿素(SU)薬 
主に膵臓のβ細胞を刺激して、インスリンの分泌を促し血糖を下げます。

2.ビグアナイド剤 
肝臓からのブドウ糖の放出を抑えたり、腸からのブドウ糖の吸収を抑えたり、インスリンの働きを高める。インスリンの放出はされているが、その働きが悪くなっている患者に用います。SU薬と併用して使用されることが多いです。 

3.α(アルファ)グルコシダーゼ阻害薬 
腸からのブドウ糖の消化吸収を遅らせ、食後の血糖上昇を抑えます。食事による血糖上昇をコントロールできます。

4.チアゾリン薬 
肝臓や筋肉におけるインスリン抵抗性を改善し、ブドウ糖を取り込みやすくします。

5.速効型インスリン分泌促進薬 
膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促します。SUより即効性があり、かつ持続時間が短い為、食事による血糖をコントロールしやすくなります。 

6.インスリン製剤 
インスリン分泌機能が低下している1型糖尿病患者や、経口血糖降下薬では十分に血糖コントロールができていない患者に使用します。速効型、中間型、遅効型などがありインスリン分泌量により使い分けます。最近のペン型注射器は非常に扱いやすく、細くて短い針を使用しており、注射の際の痛みも非常に少なくなっています。インスリンは内服では腸で分解され効果がなくなりますので、現在のところ注射療法しかありません。 アメリカでは吸入型インスリンが使用されており(図)、効果は認められています。日本でも吸入インスリンの臨床試験が進行中ですが、販売にはまだ時間がかかりそうで、安全性や価格、吸入器の大きさなどにまだ問題があるようです。

























 いずれの治療法でも低血糖が副作用として上げられます。血糖値が60mg/dl以下(または50mg/dl以下)になった状態をいいます。血糖値が下がりすぎると、空腹感や倦怠感が現れ、さらに下がると冷や汗が出たり、手指のふるえといった症状が現れます。これを低血糖症状といい、これらの症状が出たら早めに糖分の補給が必要です。αグルコシダーゼ阻害薬を服用中の方は低血糖が起こったら、飴やジュースではなく、ブドウ糖を摂取する必要があります。


大切なこと

 糖尿病と言われたら、治ったと思っても治療を中断しないことが大切です。
調子が良くても12ヶ月に一度は必ず受診し、血液検査(血糖・ヘモグロビンA1c)を受けること、また合併症のチェック(眼底検査、腎症、血管病変の評価)が重要です。









◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

夏休みも終わりました。

夏の疲れが出やすい時期ですので、体に気をつけてください。

今回も発行が遅れてしまいましたが、皆様に喜ばれるような紙面づくりを目指して頑張ってまいります。

ご意見・ご要望をお聞かせください。