2015年 9月 No.118
今年は、残暑があまりなく、雨・台風とともに秋が深まってくる印象があります。
もう少し夏に頑張ってほしかったと思いますが、夏生まれで、夏が好きな私としては寂しいかぎりです。
急に寒さを感じるようになってきました。特に朝晩は冷え込むようです。日中はまだ暑さを感じます。寒暖の差が大きいので、体調管理には十分御留意ください。
これを書いているのが、シルバーウィーク中です。
言い訳になりますが、8月末から9月上旬まで大阪府医師会の仕事がのしかかり、他の仕事が手につきませんでした。ジムにも全く行けず、読書もあまりできませんでした。
ようやく少し時間に余裕ができてきたところです。
8月15日から18日まで夏季休暇を頂いて、生まれ故郷の三重県熊野市に行ってきました。しかし、今回は残念ながら、雨のため花火が一日順延となってしまい、見ることができませんでした。9年振りの延期だそうです。一日滞在を伸ばそうかとの検討もしたのですが、都合で無理でした。自然のことですので、仕方ありません。来年に期待したいです。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ノーベル賞を受賞される以前から、iPS細胞には注目していました。現在もかなり関心を持って、動向を注目しています。
今回の気になるニュースです。
iPS細胞比較で病気解明へ 日立と京大、今月始動
先月は大日本住友にiPSが提供されたとのニュースがありましたが、今回は日立です。
病気の患者から作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、健康な人から作ったiPS細胞と比較することで、病気の発症メカニズムの解明や治療薬開発につなげる取り組みを今月より始めると、日立製作所と京都大iPS細胞研究所が9月7日発表しました。
患者からiPS細胞を作れば、体外で病気の症状や遺伝子の変異を再現できることを利用する研究です。
取り組みでは、茨城県日立市にある「日立健康管理センタ」で健康診断を受け、病気を発症する可能性が低い同社従業員やその家族約100人から、同意を得て血液の細胞を採取する計画で、今月から収集に乗り出すとのこと。
病気になる遺伝子変異が特定できると、治療につながります。この研究もかなり期待できます。
コレステロールには体内で代謝の違う、「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」と呼ばれる対照的な2つのタイプがあるのです。前者はHDLコレステロール、後者はLDLコレステロールです。
コレステロールの摂取量が多くて血液中でだぶついた状態が続くと、LDLコレステロールは動脈内にたまり、それが続くとやがては動脈硬化をもたらし、心筋梗塞や脳卒中をおこす危険性が高まります。一方、HDLコレステロールは、血液中にだぶついているコレステロールを回収する働きがあり、肝臓に運ばれ、動脈硬化を防ぎます。
このことから多すぎて悪さをするLDLコレステロールは「悪玉」、逆に血管にとって良い作用をするHDLコレステロールは「善玉」というわけです。HDLコレステロールが少ないと動脈硬化の危険が高まるので、これをいかに増やすかということは、生活習慣病を予防するうえで大変重要なテーマになります。HDLコレステロール(善玉コレステロール)の検査値が高いほうが、心筋梗塞などの冠動脈疾患が少なくなると考えられています。
しかし、HDLコレステロールを増やす薬剤はありません。
増やすためには、食べ過ぎないこと、規則正しい生活をすること、禁煙、ジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動が有効、と考えられています。
今回、「朝食前に食べる少量のアーモンド(10g/日)は、HDLコレステロール値が低い冠動脈疾患患者において、脂質異常症の血液マーカーを改善することに加え、HDLコレステロールを増やすことができる。」という発表がありました。摂取後12週間の時点で、HDLコレステロール値はベースラインと比べて12-14%、増えたとのことです。アーモンド100gあたり糖質量9.3gだそうで、10gだと0.93gです。
アーモンド 一粒は約1gですので、10粒で10gになります。
これは面白そうなので、ちょっと自分で試してみようかと思っています。
厚生労働省では、毎年9月24日~30日を「結核予防週間」と定めて、結核に関する正しい知識の普及啓発を図ることとしています。
結核予防会では周知ポスターやパンフレット「結核の常識」等を作成配布するとともに、「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」として全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の大切さをお伝えしています。
今年の結核予防週間における標語は「結核~知って予防。早めの受診。」です。
ポスターを当院待合にも掲示しています。テレビ、ラジオCMも流れています。
この国には、明治時代から流行し続けている病がある。
幕末の高杉晋作、明治時代の樋口一葉、大正になる年に石川啄木、昭和に入ると中原中也。
それは結核。平成の世になった今でも、年間2000人以上が命を落としています。
二週間以上咳が続いたら、早めの受診を。
http://www.jatahq.org/about_tb/index.html
今回は結核について説明します。
「結核は昔の病気」ではありません
明治時代から昭和20年代までの長い間、結核は「国民病」「亡国病」と恐れられてきました。
50年前までは、年間死亡者数も10数万人に及び、死亡原因の第一位でした。
治療の進歩もあり、また国をあげて予防や治療に取り組み死亡率は往時の百分の一以下にまで激減しました。
しかし、人々の関心の低下や、後述する多剤耐性結核などの新しいタイプ結核のため、結核の減少は鈍化しており、1999年には「結核緊急事態宣言」が出されたほどです。
現在も年間約2000人が結核で死亡しています。
諸外国に比べ、発症率も高いです。決して昔の病気ではありません。
言い換えると、今でも一日に56人の新しい患者が発生し、6人が命を落としている日本の重大な感染症といえます。
結核を知ることが予防への第一歩。
結核とは、結核菌によって、主に肺に炎症を起こす病気です。
痰の中に結核菌がいる患者が、咳をすると空気中に結核菌を周りの人が吸い込むことによりうつります。空気感染といいます。
早期発見・早期治療は本人の重症化を防ぐためだけではなく、大切な家族や職場等への感染の拡大を防ぐためにも重要です。
咳が出る人は、マスクをすることを心掛けましょう。
また、2週間咳が続くときは医療機関を受診しましょう。
抵抗力の弱い赤ちゃんは、結核に感染すると、重症になりやすく、生命を危うくすることもあります。
予防するためには、BCG接種が有効です。
簡単な予防法として、咳エチケットの徹底、マスクをする、適度に運動する、睡眠時間を十分にとる、好き嫌いをせず、バランスのとれた食事をする、煙草を吸わない、があげられます。
結核は結核菌による炎症なので、肺ならば肺炎のような症状から始まります。
炎症が進むと、組織が壊死になり、「化膿」に似た状態になります。肺結核ではこの状態がかなり長く続き、レントゲンなどに写る影の大半がこの時期の病巣です。
その後、壊死した組織がドロドロにとけて、咳(せき)やくしゃみと一緒に気管支を通って肺の外に出され、病巣は空洞(穴のあいた状態)になります。
空洞なので空気も肺からの栄養も十分にあり、結核菌には絶好のすみかとなって菌はどんどん増殖します。
ここから菌が肺の他の部分に飛び火したり、リンパや血液の流れに乗って他の臓器でも結核菌が悪さを始めたりすることもあります。
結核は肺だけではなく、全身に病気を作るのが特徴です、肺以外に冒される臓器としてはリンパ節が最も多く、とくに多いのが首の脇が腫れるもので、昔は「るいれき」と呼ばれていました。
また骨や関節にもできますが、背骨にできるのが「脊椎カリエス」です。
次に腎臓(腎結核)が多く見られます。腎結核は膀胱などを巻き込むこともよくあります。
このほか結核は喉頭、腸、腹膜、また眼や耳、皮膚、生殖器にまで拡がることもあり、脳にくる場合もあります。脳を包んでいる膜(髄膜)にたどり着き、そこに病巣を作ることによって起こります(結核性髄膜炎)。
結核菌が血管を通って全身にばらまかれ(このような状態が「粟粒結核」です。
今日では粟粒結核は早く発見すればかなり助かりますが、髄膜炎では適切な治療が遅れると、3分の1近くが命を落とし、治っても脳に重い後遺症の残ることがあります。
結核の治療はかなり確立しています。
1944年、ワックスマンが放線菌から作り出したストレプトマイシンはその劇的な効果で、まさに「魔法の弾丸」と呼ばれるにふさわしいものでした。
続いてパス (PAS) 、イソニアジド (INH) などが登場し、「結核の治療は化学療法で」行うことが確立しました。
以後も次々と開発され、現在「抗結核薬」として広く認められているものは10種類を越えます。
結核菌はしぶとい菌なので、ある程度の期間、薬で叩かないとぶり返します。
またその間に薬に慣れて抵抗性(「耐性」といいます)ができるので、2種類以上の薬を一緒に使うのが鉄則です。
最新の方式はリファンピシン、イソニアジドという2種類を軸に最初4剤、続いて2~3剤を合計6カ月間使う、というのが
主流です。結核と診断されても、6か月間薬をきちんと飲めば治ります。
結核が「発病」して結核菌をたくさん「排菌」している場合(痰の塗抹検査で陽性の場合)は、入院になります。
「発病」しても「排菌」していない場合は、通院治療できます。
治療を開始して症状が無くなったからといって、治療の途中で服薬を止めてしまえば治りません。
それどころか、菌は抵抗力をつけ、多剤耐性菌になることがあります。
結核菌に「耐性」を作らせないためにも、
化学療法ではこの2つが基本です。
治療を確実にするために、医療従事者の目の前で薬を服用する、という支援方法が強化されてきています。
治療の進歩により、結核は治る病気になりました。結核を撲滅するためには、なによりも、結核について正しい知識を持っていただくことがとても大切です。
結核がどのようにして拡がるのか、どのようにして治すのかを理解し、定期的に健診を受ける、2週間、咳・発熱が続く場合は医療機関を受診してください。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
平成27年10月1日(木)より インフルエンザ予防接種実施いたします。
忠岡町在住の65歳以上の方は、
平成27年10月1日から平成28年1月31日まで1回1,000円で接種可能です。
一般の方は、
1回目3,000円
2回目2,500円(当医院で1回目接種された方のみ)
ご希望の方は、受付までお電話で予約をお願いします。