残暑お見舞い申し上げます。とても暑い日が続いています。
高校野球が行われています。この暑いのに大丈夫かな?、と思って見ています。今年は早稲田実業の一年生の清宮君という注目選手がいて、朝6時過ぎから甲子園に人が詰めかけているニュースが出ていました。活躍を期待したいです。
選手の皆さんも熱中症には気をつけてほしいです。
熱中症診療ガイドライン2015、が日本救急医学会から発行されました。一般診療、予防というところで抜粋してみます。
昨年の夏に熱中症で医療機関を受診した人は約40万人。うち、65歳以上の方が18万4千人、約45%です。入院した人、3万5千人。死亡した人は550人で、うち65歳以上の方が474人だったとのことです。
気温は熱中症の環境要因の危険因子として重要である。
若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働による労作性熱中症は屋外での発症頻度が高く重症例は少ない。高齢者では男女ともに日常生活のなかで起こる非労作性熱中症の発症頻度が高い。屋内で発症する非労作性熱中症では、高齢、独居、日常生活動作の低下、精神疾患や心疾患などの基礎疾患を有することが熱中症関連死に対する危険因子となる。
熱中症の発生には気温・湿度・風速・日射輻射が関係し、熱中症リスク指標として「暑さ指数(WBGT)」が推奨される。
WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します。計算方法は省略しますが、ネットでは環境省熱中症予防情報サイトでWBGTの実況と予測を見ることができます。
私はWBGT表示できる黒球式熱中症指数計を今年購入しました。
日本体育協会では「熱中症予防運動指針」、日本生気象学会では「日常生活に関する指針」をWBGTを使って公表しています。暑さ指数とは別に、気象庁では、最高気温が概ね 35℃以上になることが予想される場合に「高温注意情報」を発表しており、こちらも併せて確認する必要があります。
梅雨明け前後の暑さのピークで、熱中症の発生リスクが最も高く、重症率も高い。また、暑くなる前は、真夏よりも低い温度で熱中症が発生する。これは先月の院内報に書きました。また、エアコンの未使用者および非設置者の重症度は高かった。熱中症の予防・治療には 塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1〜0.2% の食塩水)が推奨される。それに砂糖を20-40g混ぜるのも推奨。現実的には市販の経口補水液(商品名オーエスワン)が望ましい。
ほかにも重症度とか冷却法などの治療法が記載されていました。まあ、この辺は病院の救急の先生向き、ということで割愛。引き続き、皆様も熱中症にはご注意ください。
ノーベル賞を受賞される以前から、iPS細胞には注目していました。現在もかなり関心を持って、動向を注目しています。2つ気になるニュースがでていました。
8月15日から18日まで夏季休暇を頂いて、生まれ故郷の三重県熊野市での花火を見に行ってきます。もう夏の恒例行事となっています。この院内報を書いているのが8月13日なので、待合室に並ぶのは14日午後。実際に皆様にお読みいただくのは夏季休暇以降ということになりそうです。
9月26日土曜日、緩和ケア指導者研修会で千葉に行きますので、休診にさせていただきます。4連休の週でご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
今年、某所でダニに咬まれました(刺すという言い方もありますが、今回は咬むで統一します)。かなり痒く、1週間くらい発赤、痒みが取れませんでした。同じ場所にいた二人も同様の皮疹があり、やはりダニ刺咬傷が考えられました。
そこで、ダニ退治をしようと、いろいろ対処方法を検討しました。
いろんな情報をみながら気が付いたことは、私はあまりダニについて知らないということでした。今回は私が調べたダニの話を書きます。
ダニは、昆虫ではなくクモやサソリの仲間で、頭・胸・腹が一体で胴体部となり、胴体部の前方に口器である顎体部が付属しています。
屋内に生息する種類は屋内塵性ダニ類と総称され、ヒョウヒダニ(チリダニ)類・コナダニ類・ツメダニ類と分類されます。
その種類の中で、7〜9割を占めるのが、「チリダニ(ヒョウダニ)」と呼ばれるダニです。
ホコリや人間のフケや垢などをエサにし、高温多湿の環境で増殖します。一説によると布団の中に30万匹いるそうです。このチリダニ(ヒョウダニ)は、人を咬みませんが、その死骸やフンが、アレルギー性鼻炎、喘息の原因となり、小さなお子様の場合は、アトピーになったり、風邪をひきやすくなったりすることがあります。ヤケヒョウダニ、コナヒョウダニという種類が有名です。
もうひとつ人を咬まないダニに、コナダニというのがいます。
高温多湿を好み、繁殖力が極めて旺盛です。
広範囲の食品(砂糖・乾燥果実・味噌・削り節・煮干・小麦粉・チーズ・チョコレートなど)や医薬品、畳に発生します。コナダニは大量発生すると、白く粉がふいたようになります。新築の家にも発生することがあるそうです。
屋内塵性ダニ類で人を咬むダニはツメダニというダニです。
ツメダニはヒョウダニ、コナダニを餌にするため、ヒョウダニ、コナダニが増えるとツメダニも増えてきます。ツメダニは人の血は吸わないのですが、体液を吸うので、人を咬むことがあります。咬まれて数時間〜2日後に遅れてかゆくなります。
屋内塵性ダニ類には分類されませんが、イエダニというダニも人を咬みます。
ネズミや鳥に寄生する吸血性のダニです。
宿主であるネズミが死んだ場合や、ネズミの巣内で大発生した場合等に、移動して人から吸血します。
割れ目や暗いところに潜み、吸血は普通夜間に行います。
6〜9月が発生の最盛期で、人への被害もこの時期に集中します。
ネズミが死んだり、巣を捨てたときに、一時的に人間に寄生して吸血します。
咬まれるとすぐにかゆくなります。
人間に寄生しても数日で死滅します。
人を刺す「イエダニ」「ツメダニ」は、梅雨シーズンから夏にかけて発生し、寒くなると死滅して人を咬みません。いずれも0.1-0.7mm程度で見えません。
私が刺されたのは多分ツメダニと思っていますが、正確なところはわかりません。
マダニ
上記のダニとは性格が異なります。野外にいます。
マダニ マダニ吸血前後
他のダニは小さくて見えませんが、「マダニ」は体長が1mm〜1cmと大きく、咬まれると目に見えます(食いついたら1〜2週間はなれない)。吸血時は1cmになることもあります。咬まれていてもあまり痛くないそうですが、後に腫れてきます。
あと、疥癬の原因となるヒゼンダニ、ツツガムシもダニの一種です。詳細は今回は省略します。
ステロイド軟膏を塗布して、掻かないようにしてください。掻き破ると、細菌感染からとびひになる可能性もあります。
ステロイド軟こうは市販のものでもいいですが、強めのステロイドがいいかもしれません。受診していただければ、処方します。
また掻かないように、バンドエイドなどをしておくのもいいようです。
痒み止めの飲み薬もあれば多少痒みが軽減されそうな気もします。
私は服用しませんでしたが。
マダニに刺されたときは医療機関を受診してください。私はまだ見たことがありませんが。
自分でピンセットで吸血しているマダニを取ってもいいのですが、口の部分が残ってしまうことがあります。
メルクマニュアルによると、マダニをできるだけ早く除去するべきである。
患者にまだダニが付着しているのを認めた場合,口器も全て含めてマダニを皮膚から引き抜く最良の方法は,中型の無鈎先曲鉗子
を用いることである。
鉗子を皮膚に平行に構え,マダニの口器のできるだけ皮膚に近い部位をしっかりとつかむ。
患者の皮膚やマダニの虫体を穿刺しないよう注意すべきである。
鉗子をゆっくりと着実に引き,ひねらずまっすぐ皮膚から引き抜く。
先曲鉗子が最良なのは,先端を皮膚にあてても持ち手が皮膚から十分離れており把持しやすいからである。
皮膚に残存し容易に視認できるマダニ口器部分は,注意深く除去すべきである。
しかし,口器部分の残存が疑わしい場合は,外科的な除去を試みても,口器部分が皮内に残って生じる損傷より大きな組織損傷
を与える可能性がある;口器部分を皮内に残しても疾病伝播には影響なく,せいぜい刺激が長引く程度である。
マダニをマッチで燃やす(患者の皮膚に損傷を与える可能性がある),ワセリンでおおう(効果はない)などの,その他のマダニ
除去法は推奨されない。
とありました。なるほど、と思いました。
あとは消毒と抗生剤が必要でしょうね。
2013年、マダニに咬まれて発症する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の報告がありました。
SFTSは新規ウイルス感染症で、血小板、白血球が減少します。
症状は発熱、全身倦怠感、下痢、嘔吐などほかの感染症と同じ。
実はマダニにかまれてもSFTS発症はまれですが、まだ治療薬がないので致死率が高いのが怖いところ。西日本で40〜90代まで40人のSFTS患者発症し、そのうち13人が死亡したとのことです。
被害は西日本だけでしたが、その後の厚生労働省研究班の調査で、SFTSウイルスを保有するマダニは全国に広がっていることが判明しています。
マダニの活動が活発になる春から秋は特に要注意です。
マダニは、家の中にいるダニとは全く別の種類です。シカやイノシシがいるような野山に生息します。
野山に行くとき、山歩き、キャンプなどのときは肌を露出しないこと、虫よけスプレー使用がマダニ対策となります。
一般的に地上1メートルくらいの植物の葉陰にいるため、吸着部位は頭、首、肩、腕、胸腹部が多い。
首の保護も必要です。野外から帰ったらマダニチェックを。
ヒョウダニは咬みませんが、大量発生するとツメダニの発生の原因となります。
また、ヒョウダニはアレルギーの原因ともなるため、駆除が必要です。
ダニは50℃以上でないと死滅しません。
また普通に布団を干しても、ダニは日の当たらないほうに移動するため、あまり有効とは言えないそうです。
そこで、布団乾燥機、スチームアイロン、ホットカーペットなどを使いますが、何回も向きを変えることが必要になってきます。
私が採用したのは、黒い布団袋に布団をいれて干すという方法です。これですと、内部はかなり熱くなり、50度以上キープが期待できます。
そのうえで、掃除機での吸引です。布団専用掃除機がでています。家庭用の掃除機でも布団専用のノズルをつけると有効です。
大体の掃除機に布団用のオプションノズルがあるそうです。これをできれば一週間に一度くらいするといいとのことです。
また、部屋にいることが分かっているときは商品名バルサン、ダニアースなどの使用、いわゆる殺虫剤も有効です。ダニには咬まれないよう、できるだけ予防しましょう。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
今まで、診療中のユニフォームはケーシーという白衣でした。散髪屋さんのユニフォームでもありますね。
丈が短い半袖で、首部分がタートルネックになっている白衣です。1960年代放送されていたアメリカのテレビドラマ「ベン・ケーシー」で、脳外科医のベン・ケーシーがこの白衣を着用していたことが由来となっているそうです。
このケーシー白衣をスクラブに変えました。
スクラブとは、半袖で首元がVネックになっているもの。
手術のときにスタッフが着ている青や緑の服が、代表的なスクラブです。いまでは、手術用はもちろん、いろいろな種類のスクラブが販売されるようになり、海外では看護師の制服として綿で出来た医療スクラブが使われています。医師の
制服としても拡がってきています。英語でスクラブとは「ごしごし洗う」こと。
ケーシー白衣とは違い、着替えも容易にでき、強く洗っても大丈夫なほど丈夫なつくりになっています。これに半袖の白衣を合わせています。そのうち、白衣は着なくなるのでは、と思っています。
徳洲会病院では、院内では白衣を着なくてもいい、という張り紙がしてありました。